CKD 【東証プライム:6407】「機械」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針について
2023年4月に創立80周年を迎えた当社グループは、新しい理念「Purpose」 (存在意義) と「Brand Slogan」を、10月に「Values」 (価値観) を制定いたしました。
新理念の制定は、CKDブランディングプロジェクトとして、海外を含む多様なCKDグループ社員が参画し、最終選考ではCKDグループ全社員の投票により決定いたしました。
会社の存在意義と目指す方向を定めた「パーパス」は、「自動化技術の探求と共創を続け、健やかな地球環境と豊かな未来を拓きます」とし、「お客様やビジネスパートナー、仲間と共に、豊かな未来を実現する」という意味が込められています。
Valuesの「C-SHIP」とは、CKD-SHIPを略したもので、「CKDグループ社員として持つべき価値観」を表しています。
そして、理念体系を包含し、未来に向けた私たちの考えや行動を象徴的に表した「ブランドスローガン」は、「Creating Solutions Together」といたしました。
新たな理念をCKDグループ社員全員で共有し、私たちCKDはこれからも健やかな地球環境と豊かな未来の実現に向けて取組んでいきます。
(2) 目標とする経営指標について
当社グループは、各事業の経営計画の目標達成を軸に利益を確保しつつ、新しい事業と市場に挑戦するため、売上高、営業利益率の向上と、株主資本利益率 (ROE) を安定的に維持することを経営目標として企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略について
① 事業環境
世界では、世界経済の見通しは、依然続くロシア・ウクライナ情勢の長期化と中東情勢の緊迫などの地政学リスク拡大による資源・エネルギー価格の高騰や、景気下振れの懸念はあるものの、IT関連財での在庫調整が進み、世界貿易や生産には底打ちの兆しがあります。また、気候変動とともに高齢化や労働力不足が大きな社会的課題となっており、企業は持続可能な社会の実現に向けた課題解決につながる活動が求められています。
一方、IoT (Internet of Things) やAI (人工知能) などテクノロジーの進展により、ビジネスモデルの変化が進んでおり、製造業においても環境保護への取組みとともに、製品の高機能化や製造工程の自動化・省人化への取組みが一段と加速しております。
社会の価値観や市場そのものが大きく変化し、デジタル化が促進される中、人に頼らない生産設備や、設備の遠隔操作など製造業の自動化・省人化需要の一層の高まり、半導体設備投資といった電子産業における投資拡大、自動車の電動化に向けた需要の増加などを想定しております。
② 長期経営ビジョン及び中期経営計画
<長期経営ビジョン>
当社グループは、上述したパーパス「自動化技術の探求と共創を続け、健やかな地球環境と豊かな未来を拓きます」のもと、自動機械装置と機器商品の開発・生産・販売・サービスを通じて、「技術革新と価値創造によって社会の課題解決に貢献」することを目指しております。
そして、2016年に策定した長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」を、環境変化に合わせて、2度改訂し、2025年までの10年間における長期目線の取組みを強化しながら進めております。
「より豊かな社会づくりに貢献すること」「社員、そして家族を幸せにすること」「株主の皆様からの期待に応えること」の3つを目標として掲げ、4つの基本方針「新しい事業と市場に挑戦」「グローバル化を加速し海外市場を拡大」「サスティナブルな経営基盤の確立」「人材重視の企業風土を構築」に基づき、高い目標に向かって果敢に挑戦を続け、その結果生み出される新しい価値を世界に示してまいります。
そして、将来を見据えた新たな技術・商品の開発や、海外市場への積極的な展開、お客様第一のサービス体制強化を通じて、すべてのステークホルダーの皆様と共に、真のサスティナブル企業を目指してまいります。
<中期経営計画>
2023年3月期からスタートさせました第5次中期経営計画『Exciting CKD 2025』は、2026年3月期までの4年間の中期経営計画です。長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」を達成し、次の長期経営ビジョンへつなげる基盤構築の位置づけとなります。事業を通じて社会に貢献し、新たな価値を創出しながら心躍る4年間として、次の10年につなげる意味を込めて「Exciting」といたしました。
成長が見込まれる半導体や電池などの産業、電動事業や新事業、海外市場に注力するとともに、サービスビジネスにつながるカスタマーサービスを強化し、経営効率を向上させながら、経営基盤の強化に取組み、企業価値向上を目指してまいります。
2024年3月期を振り返りますと、自動機械事業では、包装、産業機械ともに社会の課題解決につながる商品を拡充し、機器事業では、自動化・省人化ニーズ、半導体や電池産業など成長する産業に対応した生産能力増強と生産性向上に継続して努めました。また、専門知識がなくても、パソコンだけで誰でも簡単に電動機器や空気圧機器、そして画像検査までを自在に制御可能なプログラミングツールを発売し、DXを活用した新たなサービスビジネスの強化を加速させるとともに、環境負荷低減型商品で新たな価値の創出に取組んでおります。
さらに海外市場では、引き続き米国・欧州・ASEANへの強化を進めています。2022年10月から稼働している米国工場や、子会社化したイタリアの販売会社CKD ITALIA S.R.L.での活動を強化するとともに、今後市場の拡大が見込まれる新興国における機器商品の需要拡大を見据え、生産体制の強化を目的に、マレーシア工場とインド工場を2024年度に立ち上げます。
今後も、中長期的な成長と企業価値向上を考え、将来に向けた事業基盤を築くための投資を進めていきます。
(4) 会社の対処すべき課題について
① 中長期的な成長に向けた取組み
新しい価値観が生まれる中、事業環境及び社会的変化を考慮し、2016年に策定した長期経営ビジョン「10年VISION GO CKD!」を2021年に見直しいたしました。
また、長期経営ビジョンを実現するために、企業の進むべき方向性を明確にした、2025年度を最終年度とする中期経営計画「Exciting CKD 2025」を策定いたしました。基本方針の方向性は変えず、グローバル化を加速させるとともに、サスティナブルな経営基盤の確立を目指します。さらに、人材重視をより明確にするため、3つの基本方針から、新たに1つ加えて4つといたしました。
a) 新しい事業と市場に挑戦
新事業の立ち上げと新市場の開拓に向け、様々な挑戦をいたします。新しい事業の中で最も注力する電動事業では、当社が従前より保有する空気圧機器のコンパクトで力が強くメンテナンスし易いといった特徴に、高精度の位置制御ができる電動機器の特徴を加え、多様化するお客様のご要望にお応えできるよう取組んでまいります。また、グループ会社のCKD日機電装 (株) とのシナジー効果も高め、開発から販売までの取組みを強化してまいります。医薬品市場で培った検査技術を生かした新たな検査装置、安全で働きやすい労働環境を実現するための助力装置 (パワフルアーム) など、新しい技術で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
b) グローバル化を加速し、海外市場を拡大
成長する地域・市場へ経営資源を集中させ、海外市場の拡大を目指します。
自動機械事業では、ハイブリッドを含む電気自動車の普及拡大に伴い、北米を中心にリチウムイオン電池製造システムの需要が増加しております。また、世界的な電子部品やデバイスといったIT関連材の生産増を背景に、三次元はんだ印刷検査機需要が増加しております。市場の拡大を見据え、更なる生産性の向上に取組んでまいります。
機器事業では、2019年に稼働した東北工場及び2024年度上期より稼働を開始する北陸工場を活用し、高機能製品の世界に向けた展開を一段と強化してまいります。米国では、テクニカルセンターの機能強化により、お客様に密着した商品企画と開発を進めるとともに、生産拠点である北米オースティン工場によって、現地ニーズに対応してまいります。欧州市場では、オランダに在庫センターを設置し、イタリアには販売会社を設立いたしました。これらの新しい基盤を活用し、更なる市場開拓を積極的に推進してまいります。このように、海外市場の地域や国ごとに合わせた商品開発や事業戦略を展開し、その国の文化や人材を取り込みながら、現地に根付いた活動を推し進め、現地対応力を高めてまいります。
c) サスティナブルな経営基盤の確立
事業を通じて環境や社会に貢献しながら、持続可能な成長を実現するための経営基盤を確立してまいります。そのためには、デジタル技術や基幹システムを活用し、最適な組織編成で生産性を一段と向上させてまいります。また、CSR (企業の社会的責任) 活動を推進し、環境や社会の課題解決に向けた取組みを進めて、サスティナブルな企業を目指します。
d) 人材重視の企業風土を構築
当社グループでは、「人材重視の企業風土」を経営理念の一つとして掲げており、「人材」を「人財」として企業の持続的な発展・成長のための重要な経営資源と位置付けております。
CKDグループの全ての人を活かす経営を推進していくため、2023年に新たな組織として、「人材戦略委員会」を発足し、さらに、全ての社員がいきいきと働ける会社・職場を実現するために、あるべき姿を描き、理想の人材戦略を推進していくことを目的に、「人材戦略委員会」の下部組織として「未来人材プロジェクト」を発足いたしました。
なお、女性活躍推進に関する行動計画については、2030年度までに女性管理職比率10%以上を目標と設定し、推進してまいります。
② ESG (環境・社会・ガバナンス) に対する取組み
当社グループでは、社会情勢や事業環境の変化を踏まえ、長期的な視点で企業活動を行っております。SDGs (持続可能な開発目標) のゴールにつながる活動に取組み、ステークホルダーの皆様との信頼関係を築きながら、事業を通じて社会の課題解決と発展に貢献してまいります。
環境負荷低減型商品について、自動機械事業では、環境に優しいバイオマスプラスチックを用いたPTPシートを3社連携で実用化し、2023年2月に日本オープンイノベーション大賞「環境大臣賞」を受賞することができました。機器事業では、省エネ、省資源に加えて、ライフサイクルの視点を考慮し、長寿命製品で『止まらない生産設備』と『安定稼働の実現』に貢献する空気圧機器製品を開発・販売し、インフラ・生産工程の改善やエネルギー使用量の削減に努めております。
さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030年度までにCO2排出量を50%削減(売上高原単位目標:2013年度比、総量目標:2022年度比)、2050年度までにCO2排出量実質ゼロを中長期の目標と設定いたしました。徹底した省エネルギー改善の推進、太陽光発電設備の拡充、グリーン電力導入等の再生可能エネルギーの活用に取組んでおります。また、2022年6月にTCFD提言への賛同を表明し、情報開示を進めています。
今後も、法律、規則を順守し、メーカーとして長年培ってきた自動化技術、流体制御技術を活かした環境にやさしい商品を開発し、お客様にお届けすることにより、地球環境の保全に貢献してまいります。
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