企業日本航空電子工業東証プライム:6807】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、創業以来『開拓・創造・実践』の企業理念のもと、独自の革新的、創造性に富んだ高い技術・開発力を背景に、「コネクタ事業」「インターフェース・ソリューション事業」「航機事業」の3つの事業をグローバルに展開し、発展してまいりました。

“Technology to Inspire Innovation”「当社の開発する技術が、お客様の独創的な商品開発に新しい扉を拓きます。」をグローバルスローガンとして、お客様のイノベーション実現を加速する技術開発・ものづくりに注力しております。そして、世界のお客様からパートナーとしての高い信頼をいただくため、「連結経営を基軸としたグローバルな事業展開」「グローバルマーケティングと技術開発力の強化」「品質・ものづくりの革新」を経営の基本方針として推進しております。

 そして航空電子グループ企業行動憲章に基づいて、良き企業市民として、関係法令を遵守し、お客さま、株主・投資家の皆様、取引先、地域社会をはじめとした関係者に対する社会的責任を果たすことを目指します。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループが置かれている事業環境は、デジタル化、リモート化の加速、世界的な脱炭素化への流れ、5G(第5世代移動通信システム)の進展など、社会や市場が大きく変化しております。当社グループが注力する市場においても、自動車市場における電装化の一層の加速、産業・インフラ市場でのスマート工場やFA・工作機械のネットワーク化の進展が見込まれるとともに、携帯機器市場においても5G化によるスマートフォンの機能進化による需要のほか、ウェアラブル機器やVR(仮想現実)・AR(拡張現実)機器の普及も期待されるなど、各市場において大きな変化が見込まれます。

 こうした環境の中で、当社グループは、「5Gでつながる環境にやさしい次世代モビリティ・IoT社会」の実現に向けて、当社の持つ製品や技術開発力によって、事業を通じて社会に貢献し、企業として成長していくことを目指します。

 その実現のために、2025年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画を2020年度に策定しました。

 中期経営計画の基本戦略として、

①自動車、産機・インフラ、携帯機器の「3つの重点市場」における市場の変化や技術の進化をとらえ、「技術開発力とものづくり」を強化すること

(注)2024年度より、航機事業における航空・宇宙市場については、防衛予算の増加などを背景に今後売上拡大が見込まれることから、第4の重点市場として取組みを強化しております。

②コネクタ事業、インターフェース・ソリューション事業、航機事業の「主力3事業」において成長を図るとともに、小型・高性能アンテナなどの「新たな領域」を確立し、社会のニーズに応える価値の創造と事業の成長を図ること

③世界的な脱炭素化の潮流を踏まえ、サステナビリティ経営を目指し、持続的成長への基盤を強化すること

 を推進してまいりました。

 中期経営計画の目標値としては2025年度売上高3,000億円、経常利益300億円達成を目指しましたが、産機・インフラ市場における深刻な需要低迷や携帯機器市場の不振等から、業績の進捗にギャップが生じました。今後も引き続き、上記目標値達成に向けて尽力いたしますが、最終年度である2025年度においては、過去最高の売上高2,600億円、経常利益240億円の達成を目指します。

1) 成長戦略

 コネクタ事業、インターフェース・ソリューション事業、航機事業においては、下記のとおり、それぞれの中長期的戦略を強化し成長を目指します。

(コネクタ事業)

 自動車市場においては、ADAS(先進運転支援システム)、自動運転による電装化の進展やEV化需要拡大に伴う海外市場向けの体制強化に加え、ハーネス品の生産効率改善・収益性強化に注力いたします。携帯機器市場においては、営業・開発・生産体制の強化によりトップクラスのシェアを維持しながら、最先端製品の取組み強化を図ります。産機・インフラ市場においては、高齢化や人手不足を背景にした省人化・自動化ニーズの高まりを追い風にFA・工作機械需要の市場回復のタイミングを確実に捉えるとともにEV用充電プラグの拡大に向けた取組みを強化いたします。また、M&A、アライアンスを活用した成長スピードの加速を目指します。

(インターフェース・ソリューション事業)

 自動車の進化によって需要が拡大する自動車向け静電容量式タッチパネルの事業成長を目指すほか、操作性の向上が求められている産業機器市場においても操作パネル等の販売拡大を進め、自動車と産機市場それぞれの用途に適したタッチパネルのニーズを捉えて事業拡大を目指します。

(航機事業)

 航空・宇宙市場においては、防衛予算の増加などを背景に、100億円規模を見据えた事業基盤の構築、民間市場向けにおいては、防衛・宇宙事業で培った加速度計、ジャイロ、IMU(慣性計測ユニット)など“モーションセンス&コントロール”の技術を、油田掘削用センサパッケージ、半導体製造装置向けリニアモータ、ドローン向け製品などに展開し、売上拡大・成長を目指します。

2) 企業価値向上に向けた財務戦略

2025年度に向けて、資本効率向上に向けたバランスシートの効率化及び資本収益性の向上を推進しています。バランスシートの効率化については総資産回転率と自己資本比率の改善を目指します。総資産については、連結資金マネジメント強化、棚卸資産管理強化、設備効率のアップなど、資産効率の向上に取り組みます。負債・純資産については、利益の創出や借入金の早期返済などを推進し、自己資本比率を高めることにより、財務の健全性を向上させていきます。

 キャピタルアロケーションの方針として、営業キャッシュ・フローに加え、運転資本の効率化などにより、今後2年間で約1,000億円の資金を確保し、この資金を、成長投資を最優先としながら、財務体質の強化と還元にバランスを持って活用いたします。成長のための設備投資については、設備効率向上によって償却費の範囲内に抑制する一方で、戦略投資としてM&A資金を確保し、2025年度までに具体化を進めます。

 配当に関しては、安定配当を基本とし、配当性向30%以上を維持することを方針といたします。

 資本収益性の目標としては、現状、当社は資本コストを6%から8%程度と認識していることから、2025年度にROE10%以上、中期的には12%以上の資本コストを超えるROE達成を目指していきます。

(3) 対処すべき課題

 当社を取り巻く事業環境は、米国や一部新興国を中心に底堅い成長が期待されるものの、中国や欧州経済の減速懸念、中東やウクライナ情勢による地政学リスクの高まりに加え、燃料や原材料価格の高止まりなど、景気の先行きは不透明な状況にあります。

 当社グループの関連するエレクトロニクス市場は、自動車市場においては、生産台数の成長鈍化が懸念されるものの、引き続きADAS・自動運転の進化に伴う電装化やEV化の需要拡大が見込まれます。また、停滞が継続している産業機器市場においては、AIの普及拡大などを背景とした半導体製造装置需要の回復も期後半では期待されます。一方で、携帯機器市場においては、需要の厳しさが継続することに加え、当社の一部特定製品で顧客の生産終了の影響が見込まれます。

 このような状況のもと、当社グループとしては、各国の経済状況、市場動向並びに顧客動向を踏まえ、生産性を向上することにより、売上高の確保、収益性の改善を進め、事業環境の変化に迅速に対応する強い事業構造の確立に努めてまいります。

 加えて、上述(2)項記載のとおり、持続的成長の実現に向けて、5G関連市場やCASEをはじめとする自動車市場など成長市場・成長領域への取り組みの遂行にあたって、電気自動車における大電流対応などの技術開発力とものづくりの一層の強化を進めてまいります。更に、営業・開発・生産体制の連携強化のもと、製品投入のスピードアップやコスト競争力の向上などに取り組むとともに、工程改善や自動化による省人化、サプライチェーン最適化等により、収益性の改善を図ってまいります。

 また、当社グループは、サステナビリティ経営の推進にあたり、2024年4月にサステナビリティ推進室を設置し、グループにおけるサステナビリティの重要課題に組織的・体系的に取り組む体制を整えました。また、同じく2024年4月に執行役員等を委員とするサステナビリティ推進委員会を設置して、サステナビリティに関連するガバナンス体制を再構築し、同委員会が、今後のサステナビリティに関連する方針や戦略についての審議・策定・指示並びに重要案件の経営会議・取締役会への報告を行うこととし、サステナビリティ経営の推進をさらに加速してまいります。

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