伊藤ハム米久ホールディングス 【東証プライム:2296】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループの研究開発につきましては、基礎研究を当社の中央研究所が中心に行い、商品開発を加工食品事業本部の商品開発部が中心となり、マーケティング部門と連携をとりながら新商品の企画立案、商品化を推進しております。
まず基礎研究活動の分野では、中央研究所においてグループの技術基盤強化を担い、基礎的研究、及び技術開発を通して、商品の改良や製造技術の高度化に繋げるテーマに取り組む一方、蓄積した研究成果、分析技術、品質評価技術等を活用してグループ各社の課題解決をサポートしています。研究を通じた新たな価値創出と、社内ニーズへの対応を果たす事を両輪として、グループへの貢献を果たすべく取り組んでまいりました。
当期におきましては、前期に引き続き下記に掲げる3つの視点を堅持しこれらに寄与するテーマを選定して取り組みを進めました。
「品質保持技術の高度化」
微生物制御に重点を置いた取り組みを行いました。食品変敗の原因菌を特定し汚染原を迅速に特定するための質量分析計を利用した微生物同定法の検討、および微生物検査における「培養法」の課題である迅速化を実現するため、最近のDNAを増幅して菌数を算出する新規PCR法を用いた細菌検査手法の確立や日持ち向上剤の食品中での効果を近似できる簡易評価手法の開発に取り組んでいます。
「おいしさ・品質向上の追求」
製品のおいしさを客観的に評価するための新たな分析指標の構築およびそれに基づく分析手法の開発に取り組んでおり、主に近赤外分析装置を利用した栄養成分や食品添加物等の簡易分析法の開発を進めています。
「新ニーズをとらえた基礎技術の開発」
未利用の畜産副産物の有効利用に関する研究を進めています。具体的には畜産副産物より機能性を有する成分を抽出して機能性素材として利用するための製造法の検討を行い、将来的にはこれら機能性素材を配合した機能性表示食品の上市を目指しています。また、将来的な動物性タンパク質の安定供給を実現するため、和牛肉由来の細胞を用いた培養肉作成技術の開発にも取り組んでいます。本研究は大阪大学等と「培養肉社会実装共同研究講座」を大阪大学大学院工学研究科内に開設し、また、ここに他の複数の企業を加えて「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立し、各社が役割を分担しながら培養肉の社会実装に向けて協業を進めています。その他には電子レンジ調理時の加熱ムラの解明・防止を目的とする加熱シミュレーションモデルの構築、食肉製品の色調安定性向上に関する研究、フードテックを利用した新たな食肉/食肉様製品の製造方法に関する検討、LC-QTOF-MSを用いたアレルゲン物質検出の新規プロトコルの確立等々、新技術創出に向けた基礎的研究を中心に取り組んでいます。
次に商品開発の分野では、2023年度の基本方針として
「お客様を満足させる製品づくり」
「利益を生み出す製品づくり」
「信頼感を獲得する製品づくり」 を掲げて取り組んできました。
組織構成としては、第1商品開発室(「伊藤ハム」ブランド自工場生産品)、第2商品開発室(「米久」ブランド自工場生産品)、第3商品開発室(社外生産品)の3部署体制とし、各室に求められる開発力を効率的に発揮できる拠点へと配置し、新しい価値を創出するモノづくり、既存の収益改善のための施策、新しい技術の検討等スピード感をもって業務を推進しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,648百万円であります。
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