三洋化成工業 【東証プライム:4471】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。
当社グループの研究開発は、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、界面活性剤事業本部の研究部、高機能マテリアル事業本部の研究部、ウレタン材料事業本部の研究部、インダストリアル事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の研究グループ、事業企画本部の企画開発部とエネルギー事業本部の研究開発グループ、デジタル嗅覚事業創造部の研究開発グループ、研究業務本部、及び連結子会社のSDPグローバル㈱の研究部、サンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しています。研究開発人員数はグループ全体で370名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。
当連結会計年度における研究開発の成果としては、当社が連携協定を締結している宮崎県新富町にある試験研究用ビニールハウスで、当該地域の方々と協力し『ペプチド肥料』の実用化を目指した検討を行った結果、良好なデータが取得できたため、第一弾のペプチド含有資材を肥料として登録完了しました。また、当社の界面化学および分散技術の知見を活かして開発した匂いセンサー「FlavoTone®」のサービス提供を開始いたしました。販売・レンタルはもとより、有償受託分析やお客様との共同開発による価値創造を開始しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、全社費用として報告セグメントに配分していない新規事業に係る研究開発費1,245百万円を含む5,222百万円であり、各セグメントの主な研究開発成果は次のとおりであります。
(1) 生活・健康産業関連分野
本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、紙オムツ用高吸水性樹脂、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては、高機能性アップサイクルコメ素材「コメファイン」や人にも環境にも優しいピッカリング乳化剤「ソリエマー」の開発を推進したこと、環境と人にやさしい京都の石けんをコンセプトに廃棄オリーブオイルや京都・水尾産のゆずの搾りかすを活用した石けん「オリーブの贈りもの」の企画開発を行ったこと、機能性タンパク質「シルクエラスチン」を用いた「皮膚欠損創に対するシルクエラスチンスポンジ(P47K-WAS)の検証的臨床試験」が終了し、2024年度に薬事承認申請予定であること、「半月板縫合術に対するシルクエラスチン(P47K-WAS-MR)の有効性・安全性に関する探索的治験」の広島大学での医師主導治験が終了したこと、簡便な操作で高収率かつ高い精製度の細胞外小胞の回収を可能にする精製キット「EXORPTION」を2024年度から販売開始予定であることなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は967百万円であります。
(2) 石油・輸送機産業関連分野
本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤などの化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、バイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤「ネオプルーバー」を開発し販売を開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,086百万円であります。
(3) プラスチック・繊維産業関連分野
本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、ポリオレフィン不織布などに持続的な親水性を付与する不織布用耐久性親水剤「ハイドロスルー」を開発したこと、有機フッ素化合物(PFAS)を含有しない低融点タイプ永久帯電防止剤「ペレスタットシリーズ」の新グレードを開発したこと、廃材からなる木材を含む植物性バイオマスを最大約80%含有させた柔軟なテキスタイル素材(MOC-TEX®)を開発し、加工メーカーでの工業化検討を完了したことが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は732百万円であります。
(4) 情報・電気電子産業関連分野
本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、リサイクル樹脂50%以上を原料としたカーボンニュートラルに貢献する環境対応型の画像形成材料を開発したこと、アルミ電解コンデンサ用電解液の新グレードを開発したこと、ストレッチ性に富んだUV硬化樹脂である「ストルテック」を山形大学と共同で開発したこと、近年の電子機器の処理速度増大に伴う電子部品からの発生熱量の効率的な放熱を促すための電子部品と冷却器とを密着させるウレタン系放熱ギャップフィラー『サーマップ』を開発、そのフィラー分散技術を応用しワイヤレス給電や電磁部品向けに磁性粒子分散ウレタン樹脂の開発に着手しサンプルワークを開始したこと、ポリエーテル系グリシジルエーテル誘導体の低塩素化技術を工業化し、電子材料向けに低塩素含量グリシジルエーテル(NOPTECHS ES-100)を開発したことなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は699百万円であります。
(5) 環境・住設産業関連分野他
本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、肥料用薬剤について、コメを活用した生分解性の肥料被覆材「サンアグレックス」が、2023年度の農業技術10大ニュースに選出されたことや圃場での試験を開始したこと、土木・農業用資材について、木質バイオマス素材を土木・農業分野で活用するための加工薬剤の開発を進めていること、住宅用断熱材用原料について、地震発生時の火災への対応意識の高まり及び2030年新築住宅へのZEHスタンダード化の流れに沿い、不燃吹付断熱材用原料を開発し、サンプルワークを開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は490百万円であります。
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