サンケン電気 【東証プライム:6707】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当連結会計年度における当社グループの研究開発活動といたしましては、事業ドメインを「Power Electronics」と定め、研究開発活動を進めてまいりました。パワーモジュール、パワーデバイス、センサーの領域での成長戦略の実現及び技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進を進め、連結子会社にも研究開発部門を有し、グループを挙げて研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の総額は売上高の13.53%に当たる31,835百万円であります。
製品開発における技術マーケティングの導入により成長市場へのシフトを担う製品開発に注力するとともに、共通コンセプト(SPP: Sanken Power-electronics Platform)による設計改革、業務改革を推進し開発スピードのアップを図っております。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。
・技術開発力、提案力のさらなる向上のため、新たな技術教育体系を構築、社内の技術学校として「NEXUSスクール」を立ち上げ。
・高圧三相ブラシレスDCモータの小型化に伴い、これまで市場で認められてきた小容量モータドライバ用SXシリーズの機能を伝承しつつ、起動時180度変調方式を採用し、市場のターゲットコストを実現できるセンサー付き正弦波変調方式を搭載したモータ制御IC SIM262xMシリーズを開発。
・IGBTとDiodeの2つのデバイスそれぞれの構造を最適化し、当社旧世代品に比べ大幅に特性改善した第一世代RC-IGBTを開発。
・IPM製品に内蔵されるモータドライバIC向けに、低コストの高耐圧BCDプロセス、SG7.5HVプロセスを開発。
・xEVの高電圧入力に対応した車載用フライバックコンバータコントロールIC YH2102/YH2103を開発。
・車載メインインバータ用IGBTチップとして、従来のFS-IGBTより大幅な特性改善を得ることができるBlueIGBT7のプロセスを確立。
・PFC制御部とLLC制御部を1パッケージに統合し、端子共通化とICへの機能取り込みを行うことで、高い連携性と大幅な部品点数削減を実現したPFC+LLCコンボコントローラIC SSC4S910シリーズを開発。
・採用したセンサレス制御により、スポークモータなどで発生する起動時のモータ音鳴りを低減、薄型のSOP36パッケージに制御用IC、ゲート駆動用IC、6石のブートストラップダイオードを内蔵することで、駆動回路の実装部品点数を大幅に削減、また、モジュール化により駆動回路の信頼性向上に寄与するスポークモータ向けモータドライバIPM SX68144Mを開発。
・絶対最大定格1200Vで産業機器の3相モータの駆動に最適、出力スイッチング素子、プリドライバ、制限抵抗付きブートストラップダイオード及び温度検出用サーミスタを1パッケージにした産業機器向けモータドライバIPM SAM212M10BF1を開発。
・PFC部は連続モードに対応し入力電圧や負荷に応じて周波数を最適制御することで軽負荷から重負荷まで高効率な電源システムが実現可能、LLC部はオートスタンバイ機能を内蔵することで周辺部品の削減により低コスト化が可能なフルデジタル制御の電源IC MD6759を開発。
・Wide入力で最大60Wまでカバー、低待機電力対応、充実した保護機能により構成部品が少なくコストパフォーマンスの高い電源システムを容易に構成できるPWM型スイッチング電源用パワーIC STR-W6000SAシリーズを開発。
・過電圧保護にラッチタイプを追加することで屋内外全ての照明用途に対応可能な高力率・高効率LED照明用コントローラIC LC5581LSを開発。
・高圧バッテリーとインバータ回路の間に接続される遮断スイッチの駆動に最適、パッケージはHQFN32ウェッタブルフランクを採用しており、視認性が良く、省スペース化に適し、ローサイド出力のコンタクタドライバを3チャンネル搭載したIC LS1908を開発。
・漏れ電流が少なく、かつ、順方向損失の低減、電源効率の向上と高周波化を実現する電源2次側整流ダイオード SJPEシリーズを開発。
・3相インバータ回路用に低オン抵抗NチャネルパワーMOSFETを6個内蔵、小型SIP12パッケージを採用し、小型化が求められる家電製品などのファンモータの駆動に最適な3相ブラシレスDCモータ向けMOSFETアレイ SMA5145, SAM5146を開発。
・光透過率を抑えたパネルを使用したブラックアウトデザインに対応、従来LED光源の約2~3倍(当社比)の高輝度で発光可能、ルームランプ・マップランプなどの高輝度車室内照明で要求されるアプリケーションに対応した高輝度2835LED SEP1WC1L19DTAを開発。
・車載標準小型サイズで実装基板の小型化に貢献、センターチップレイアウト基板を採用することで従来品より指向性を改善し、光学設計の簡易化に貢献する車載インテリアスイッチ用1608パッケージ白色LED SECE1**A1Y***シリーズを開発。
なお、SiCデバイスに関しては、2023年度のNEDO先導研究プログラムで『SiCスマートパワーIC技術の研究開発』が産業技術研究所との共同提案で採択されました。本研究内で、現状Si製のゲートドライバーをSiC化することで、SiCモジュールの高速・高信頼性化を検討する計画です。
GaNデバイスに関しては、NEDO基盤技術研究促進事業で得られたGaN on Si技術を活かし、横型HEMTデバイスのカスタム製品を少量出荷中です。並行して、GaN基板を用いた縦型デバイスの検討を、名古屋大学中心に進められているGaNコンソーシアムに参画し行っております。
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