三協立山 【東証プライム:5932】「金属製品」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループが長期的に目指す方向
当社グループは経営理念に対して、従来よりCSRやSDGsに取り組み、環境や社会との調和を図ってまいりました。今、さらにそのことが強く求められる時代背景となっております。2020年10月、政府が2050年温室効果ガス実質ゼロを目指す方針を掲げ、また深刻化する労働力人口減少の中で、多様性を尊重した活躍を推進することなど、サステナビリティの取り組みが求められております。当社グループは、創業の原点である「お得意先」「地域社会」「社員」の三者が協力し共栄するという協業の精神に基づいた経営理念のもと、健全な企業活動を通じて社会に貢献していくことが私たちの使命であると考えております。
①ガバナンス
サステナビリティ推進体制として、業務執行取締役からなるサステナビリティ政策委員会を設置し、気候変動対応など全社的なサステナビリティ政策に関わる意思決定の審議を行っております。審議結果の内、全社方針、中期活動計画などの重要事項については、取締役会に提議しております。また、サステナビリティ政策の実行組織として、サステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ政策委員会で策定された方針・中期活動計画に基づき、具体的施策を策定し推進する体制としております。各委員会・各部会の運営は、サステナビリティ推進部が事務局となっております。
<サステナビリティ推進体制>
②戦略
当社グループは、「カーボンニュートラルへの挑戦」「資源の循環」「人財を未来へつなぐ」を掲げ、サステナビリティについて自社の経営理念・これまでの取り組み(強み)から当社グループが長期的に目指す方向として、2021年に『サステナビリティビジョン2050 Life with Green Technology~「環境技術でひらく、持続可能で豊かな暮らし」を実現する企業グループへ~』を策定し、2030年を目標年としたマテリアリティ(重要課題)を定め、施策を遂行しております。
③リスク管理
マテリアリティは、サステナビリティ推進委員会に設置した課題別部会において施策の実施、進捗状況の管理を行っております。課題別部会で把握した、発生し得るリスク等については、サステナビリティ推進委員会、サステナビリティ政策委員会へ報告され、重要と判断されたリスクについては、取締役会へ報告しております。特に、気候変動への対応の詳細については、「(2) 気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)③リスク管理」に記載のとおりであります。
また、当社グループでは、リスク管理の取り組み全体の方針・方向性及びリスクテーマ共通の仕組みの審議等を内部統制委員会で行っております。マテリアリティに関して特定したリスクについては、発生頻度、影響度から内部統制委員会へ報告すべきテーマを特定し、継続して報告しております。
なお、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制図は、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 <コーポレート・ガバナンス体制図>」に記載のとおりであります。
④指標と目標
当社グループにおけるマテリアリティを定め、2030年に向け温室効果ガス排出量2017年度比50%削減、循環(リサイクル)アルミ使用促進、女性管理職比率10%を目標設定し施策を遂行してまいります。
※Scope1:自社での燃料の使用に伴う直接排出 Scope2:自社が購入した熱・電力の使用に伴う間接排出
(2) 気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)
当社グループは、長期的に目指す方向として2021年に「サステナビリティビジョン2050」を策定し、これに基づく2030年を目標年とするマテリアリティを定めております。また、長期的な経営方針として2021年7月に「VISION2030」を定め、重点戦略の1つに「サステナブルで豊かな暮らしに貢献」を掲げており、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減や主要原材料であるアルミニウムの循環使用の促進、廃棄物の再資源化を推進しております。2021年12月にTCFD提言に賛同し、気候変動に関するリスクと機会が、事業活動、経営活動、財務計画に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、情報を開示しております。
①ガバナンス
気候変動への対応は当社グループのマテリアリティの1つであり、ガバナンスについては、サステナビリティ推進体制に組み込まれております。
サステナビリティ推進体制について、詳細は「(1)当社グループが長期的に目指す方向 ①ガバナンス <サステナビリティ推進体制>」に記載のとおりであります。
②戦略
気候変動によるリスクと機会の特定にあたり、当社グループ国内3事業のバリューチェーン全体を対象として、TCFDフレームワークに沿って整理し、重要性の評価を行いました。次に国際機関などが公表している外部シナリオをもとに、国内事業について、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つの将来世界観を描き、2050年カーボンニュートラルを見据えた、2030年時点における考慮すべき外部環境変化のシナリオを策定し、リスクと機会を特定いたしました。また、事業収益にもたらす影響の大きさにより、大中小の3段階で分類いたしました。
リスク/ 機会 | インパクト | 事業に及ぼす影響 | 発生時期 | 影響度 | ||
建材 事業 | マテリアル 事業 | 商業 施設 事業 | ||||
移行 リスク | 炭素税の導入 | 炭素税の導入による操業コスト増加 | 中~長期 | 大(注)1 | ||
原材料への価格転嫁 | アルミ地金の調達コスト増加 | 中~長期 | 大(注)1 | |||
ゼロカーボン対応の建築基準法の施行 | カーボンフットプリントの削減要求を満足できず販売機会を損失 | 中~長期 | 小 | 小 | - | |
リサイクルアルミの需要の増加 | 溶解炉ライン構想見直し費用の発生 | 中~長期 | - | 中 | - | |
機会 | 断熱性向上のためのリフォーム需要の増加 | 高断熱商品の需要の増加 | 中~長期 | 中 | - | - |
リサイクルアルミの需要の増加 | リサイクルアルミを使用した商品の需要の増加 | 中~長期 | (注)2 | - |
(注)1. 影響度は3事業合わせて記載しております。
2. 定量化に必要なパラメータ不足により、財務影響は非算出のため影響度は記載しておりません。
リスク/ 機会 | インパクト | 事業に及ぼす影響 | 発生時期 | 影響度 | ||
建材 事業 | マテリアル 事業 | 商業 施設 事業 | ||||
物理 リスク | 異常気象の深刻化・激甚化(水害の発生) | 自社工場被災による売上機会の喪失 | 短~長期 | 大 (注) | ||
気候変動に起因する感染症の発生・増加 | 感染症対策による国内と海外のサプライチェーン寸断 | 短~長期 | - | - | 小 | |
機会 | 異常気象の深刻化・激甚化 | 防災関連商材の需要の増加 | 短~長期 | 中 | - | - |
(注) 影響度は3事業合わせて記載しております。
<影響度の高いリスクと機会への対応状況>
a.温室効果ガス排出量削減の取り組み
当社グループでは、2030年までに温室効果ガス排出量を2017年度比で当社グループのScope1+2で50%削減することを目指しております。目標達成に向けて、CO2フリー電力の導入や太陽光発電の導入、照明のLED化などの設備更新、バッテリー式フォークリフトの導入などの具体的な削減計画を策定し、実行しております。その中で、日本国内においては、2022年6月から当社の4工場で使用する電力をCO2フリー電力に切り替えることで、年間約3,000トンを削減しております。
b.リサイクルアルミの使用促進の取り組み
当社グループの「サステナビリティビジョン2050」において、資源の循環は重要な取り組みであり、原材料にリサイクルアルミ材を使用する取り組みの強化を進めております。アルミの使用済み製品やお客様の加工工程で発生する加工端材の回収など、お客様やサプライチェーンとの連携した取り組みを進め、安定したリサイクルアルミ材の調達を目指しております。
また、2022年度には、国立大学法人富山大学が有する基礎的研究資源と当社が有する製造技術資源を融合し、単独では困難な研究課題に果敢にチャレンジすることで、カーボンニュートラルへの礎を築くとともに、社会変化に資する研究成果の実現を目指すといった目的でアルミリサイクル及び押出加工革新の共同研究を開始しております。
③リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ推進委員会に設置されたTCFD部会のもと、各カンパニーの事業企画、営業、開発、生産部門などの関係者が参加し、直接操業や上流、下流のバリューチェーンに関連する気候関連リスクと機会について、発生頻度、影響範囲等から分析を行い、対応策等を総合的に評価し、優先度合いを決定しております。このプロセスに基づき特定した重要度の高いリスクと機会については、TCFD部会と各カンパニーの関連部署にて行うワークショップで、対応施策など議論を重ねた上で、年4回定期開催されるサステナビリティ推進委員会及びサステナビリティ政策委員会へ報告しております。両委員会で重要と判断されたリスク及び機会については、取締役会へ報告するほか、TCFD部会を通じて関連部署へフィードバックしております。また、進捗は定期的にサステナビリティ推進委員会、サステナビリティ政策委員会に報告し、取り組みに対するモニタリングを行っております。
④指標と目標
当社グループの2030年度の指標と目標は以下のとおりであります。2022年度実績は、2023年10月以降に当社ホームページで公表する統合報告書をご参照ください。なお、2023年6月、当社グループの温室効果ガス排出量削減目標の対象範囲は、海外子会社を含めた当社グループ全体に拡大しており、また、基準年を2013年度から2017年度にしております。
対象範囲 | 対象スコープ | 目標(基準年2017年度) |
国内+海外グループ | Scope1+2 | 2030年度50%削減 |
(3) 人的資本
当社は、「お得意先・地域社会・社員の協業のもと、新しい価値を創造し、お客様への喜びと満足の提供を通じて、豊かな暮らしの実現に貢献します。」を経営理念として掲げております。2021年7月に策定したVISION2030及び中期経営計画では、長期成長への仕込みのための施策として「新たな強みの創出」・「領域拡大」を定め、その実現のための人材育成強化が必要と認識しております。
①戦略
当社は、女性、高齢者、障がい者、外国人、キャリア採用者など多様な人材の雇用拡大とともに職場での活躍に向けて取り組んでおります。サステナビリティ推進委員会に設けた人材活躍部会では、中長期的な方向性と戦略の策定及び推進により、多様な人材が活躍できる風土づくりを目指しております。また、女性の活躍促進や障がい者の雇用促進を含むダイバーシティ推進の専任部署では、具体的な計画策定と施策を実施してまいります。一方で、戦略的人員配置を目指すために、業務の効率化にも取り組んでおり、業務改革の推進と省人・自動化、デジタルを活用した新たな働き方を構築してまいります。
<人材育成方針>
人材育成については、当社グループの持続的な成長を支え、お客様へ喜びと満足を提供するために新しい価値を創造できる人材の育成を目指しており、各種研修のほか通信教育受講の奨励や社内e-ラーニングの提供、公的免許・資格取得に対する報奨金支給等の自己啓発やキャリア形成支援を行っております。今後も、創業の原点である「お得意先」「地域社会」「社員」の三者が協力し共栄するという協業の精神に基づいた経営理念に表されるように「自ら成長する意欲」を持った社員に対し、知識・能力・技術レベルに応じた多彩な教育プログラムを通じて、スキルアップ支援を実施してまいります。
a.従業員教育
新入社員の早期戦力化、職場定着を目的にチューター研修をはじめ、入社から3年にわたり、段階的にフォローアップする研修を行っております。また、階層別に必要能力の組み込みを図るべく、各種研修を企画・実施し、事業環境を取り巻く様々な課題を的確に解決できる人材や、次代のビジネスリーダーの育成にも取り組んでおります。
b.選抜教育
選抜教育は、将来の経営者や経営幹部候補者の育成として当社が選抜した優秀な人材に対する教育であり、経営リーダー研修や改革リーダー研修を実施しております。また、女性リーダーの育成を目的とした行政が主催する研修への参加や外部機関での若手リーダー育成研修への参加など、他業種の方との交流を通じて、リーダーとしての資質を磨くことと新たな視点を社内で活用できる人材の育成を行っております。
<社内環境整備方針>
当社は、社員一人ひとりが、お互いの「違い」を尊重し合い、それぞれの「個性」を生かしつつ能力を発揮し、企業に貢献できる環境づくりに取り組んでまいりましたが、更なる雇用環境の整備のための行動計画を定めております。
a.働きやすい職場づくり
経営トップからの全社的取り組みの表明や、職場風土に与える影響が大きくチームづくりの要となる管理職向けの啓発教育を実施しております。2022年度は、各職場の責任者向けに『多様性と人材育成について』をテーマに46回(参加者1,270名)の研修会を行いました。
人的資本の拡充:経営戦略の実現のためには、当社で働く一人ひとりが「強い個人」となるために、社員が自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりが不可欠であり、革新管理者研修の受講促進や女性社員の積極的なキャリア選択支援などを行っております。
b.多様性の推進、多様な人材の活躍
当社では、変化の激しい市場環境に対応し、常に迅速に新しい価値を創造するため、女性、外国人、様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に行っております。今後は、それぞれの特性や能力を最大限生かせる職場環境の整備や管理職層の教育などの取り組みを進めてまいります。
・女性社員の活躍
女性を積極的に採用することや働きやすい制度を整える取り組みを続けてきたことで女性社員は増加・定着してまいりました。また2022年度は、「女性活躍の推進」に向け、部長職以上を対象に外部講師による『なぜ今女性活躍なのか?~皆が働きやすくて働き甲斐のある職場にするために~』をテーマに研修会を行いました。
今後は、女性社員の業務領域を広げること、女性社員の経験・スキル向上や職場風土を変える教育などを軸に各カンパニーの特性に応じた施策と全社の共通施策を展開し、戦力となる人材・経営視点を持てる人材を育成することにも注力してまいります。
・キャリア採用者
キャリア採用者は、即戦力となる実務経験者を年間を通して採用しております。仕事と一緒にライフスタイルを考えるUターン、Iターン、Jターンを希望する方にも、全国に拠点を持つ強みを生かして積極的に対応しております。
また、業界未経験・他業種からの人材も積極的に採用し、それまでの知識・経験を生かして新たな価値創造に取り組んでおります。
c.健康と安全
・基本理念
従業員の安全と健康は、企業の存立の基盤をなすものであり、安全衛生の確保は、企業の社会的責任であります。当社グループでは、人間尊重を基本理念とし、「安全第一」と「健康保持増進」を基に全員参加で安全衛生活動と健康経営を展開しております。
・健康経営の推進
2019年10月に健康経営宣言を策定し、健康経営推進体制として、人事担当役員を健康管理推進委員長とした「健康管理推進委員会」を設置し、施策の立案、実行、効果の検証を行っております。
・健康経営の取り組み
当社は、社員の健康を重要な経営基盤と考え、2019年10月に、従業員の心身の健康の保持・増進に取り組む姿勢を示す「健康経営宣言」を策定いたしました。多様な人材の誰もが働きやすい職場環境づくりを目指して、仕事と生活の両立を図るワークライフバランスを推進し、有給休暇の取得率向上や長時間労働の削減、業務効率化に取り組んでおります。
また、健康経営の推進について経営会議で定期的に報告を行っており、取締役、執行役員へ健康に対する意識付けを行うとともに職場環境の改善へ繋げております。
・健康経営優良法人認定の取得
当社は、2023年3月に、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められ、経済産業省及び日本健康会議より「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を受けております。また、連結子会社のST物流サービス㈱では、同制度にて「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門(ブライト500))」の認定を受けております。
②指標と目標 <女性管理職比率> 当社グループは「サステナビリティビジョン2050」に基づき、中長期的に取り組むべきマテリアリティの1つとして、「多様性と人材育成」を掲げております。 その中で女性の管理職比率は、2030年に10%とする目標を定めており、2023年5月末時点では1.9%となっております。 |
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