三協立山 【東証プライム:5932】「金属製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業の原点である「お得意先」「地域社会」「社員」の三者が協力し共栄するという協業の精神に基づいた経営理念のもと、健全な企業活動を通じて社会に貢献していくことが私たちの使命であると考えております。
①経営理念
「お得意先・地域社会・社員の協業のもと、新しい価値を創造し、お客様への喜びと満足の提供を通じて、
豊かな暮らしの実現に貢献します。」
②行動指針
私たちは
お客様満足 |
常にお客様の視点に立ち、誠実に対応することで、信頼される存在であり続けます。 |
価値創造 |
技術と知識の向上に努め、新たな製品の開発とサービスの提供にたゆまず挑戦し続けます。 |
社会との調和 |
環境、地域社会、人との調和を考えて行動し、人と自然にやさしい企業であり続けます。 |
自己研鑽 |
自己研鑽に励み、互いに切磋琢磨し、働き甲斐のある企業風土を育みます。 |
③CSポリシー
・お客様満足を第一とし、“常にお客様の立場・視点で考え行動”しよう
・お客様の意見に耳を傾け、“期待や問題点をしっかり把握”しよう
・お客様の満足実現に向け、“創意・工夫で改善、提案”しよう
・お客様の“満足こそが仕事の成果”であると心がけよう
・お客様の満足を、“共にわかち合えることに感謝”しよう
(2)価値創造のプロセス
当社グループでは、株主及びその他ステークホルダー、そして社会からの信頼を築き共に発展していくことを経営の基本方針としており、VISION2030に向けて、4つの事業を中心に自社の強みや財務・非財務の資本を投入し、価値創造プロセスを循環させ続けることで、当社グループの更なる企業価値を高めてまいります。
(3)当社グループの強み
各事業の強みは次のとおりであります。
強み | 建材事業 | マテリアル事業 | 商業施設事業 | 国際事業 |
①多角化したポートフォリオ |
| ・国際事業とのコラボレーション、日本、欧州、タイ、中国のグローバル拠点 |
|
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②高い技術開発力 | ・「安心・安全・快適」な商品づくり ・パイオニアとしての自然換気商品 ・業界トップシェアを誇る手すりの商品ブランド力 ・サッシ、玄関ドア、インテリアなどによる統合商品と特注品対応力 ・強み分野を持つオリジナリティの高い商品開発 ・最新技術の導入による省人化生産 | ・国内最大級の生産能力を持つ合金鋳造、形材押出、加工の一貫体制 | ・店舗用什器、サインともに業界トップクラスのシェア ・お得意先様の要望を具現化できる商品開発力 | ・合金鋳造、形材押出、加工の一貫生産体制 ・各地域で同一製品を同一品質で供給できる体制 ・自動車(EV)分野での先進的なアルミ形材の自動加工技術 |
③強固なビジネスパートナーネットワーク | ・代理店様、販売会社様による全国の流通販売体制 ・強固なパートナーシップを有する代理店販売網 ・営業力と部材組立機能を有する代理店販売網 ・施工店様と強いパートナーシップ | ・多様なニーズに対応可能な合金、形状、構造などの提案力 | ・お得意先様の要望を具現化できる営業対応力 ・全国一律サービスを提供するネットワーク ・24時間365日対応の店舗メンテナンスサービス ・中国上海での事業伸長 | ・日本、欧州、タイ、中国のグローバルな拠点 |
※植物工場事業など当社グループ全体のリソースを活用した新たなビジネス創出と展開
(4)ビジネスモデル
私たちの使命は、商品・サービスをはじめ、様々な企業活動を通じて、人々が暮らす快適な空間と満足される生活づくりに貢献していくことであり、人と社会にやさしい環境商品やサービスを提供することで、豊かな暮らしの実現を目指してまいります。
お客様の心で考える価値創造環境技術で新たなビジネスフィールドへ
多様なニーズに最新技術でお応えするビル建材と省エネ・バリアフリー・高耐久を考慮した住宅建材、そして最新のデザインと高い品質を追求したエクステリア建材の提供を通じて豊かな暮らしの実現に貢献いたします。
ビル建材
多くの人々が利用するオフィスビルや 集合住宅などのビル建築は、安全性や快適さ、 利便性に対して、より高い性能を求められ、 新築から改装まで幅広く高品質な商品を 提供しております。 |
住宅建材
住まいが大切な財産として 長く受け継がれるよう、「人にやさしい」 「地球にやさしい」「安全・安心」を コンセプトに商品をご提案いたします。 お客様の様々なニーズに応えるため ユニバーサルデザイン商品や、 強靭性・断熱性を向上させた商品などで 快適な居住空間を創造いたします。 |
エクステリア建材
「青空の下 わくわくを 楽しもう!」 空間提案や、外部空間を多彩にアレンジできる 多機能的商品など、幅広いデザインと機能を 兼ね備えた魅力ある商品で、皆様に幸せと笑顔、 わくわくをお届けいたします。 |
『素材をカタチにする』素材の無限の可能性を追求し、快適な環境づくりに貢献
『アルミニウム』と『マグネシウム』素材・押出形材に |
人に快適な商業空間を創造するスペースクリエーター
ショッピングセンター、コンビニエンスストアや ドラッグストアなどの専門店、商業施設及び企業向けに、 商品陳列什器、カウンター、ショーケースや内装仕上げ 工事、看板・サイン等の屋外広告物、店舗・関連設備の |
グローバルサプライヤーとして高付加価値製品を追求
欧州・タイ・中国にある海外拠点において、 提供いたします。 |
持続的な成長に向けて新しいビジネスモデルを構築
さらなる事業機会の創出を目的にオープンイノベーションの取り組みを強化し、より多くの異業種と連携を図ることで企業価値向上につながる新たなビジネスモデルの構築を目指します。
植物工場事業
植物工場プラントメーカーとして、業界トップの生産能力を 持った栽培設備と圧倒的な栽培技術力、衛生管理や生産管理などの 工場運営ノウハウ、ネットワークを生かした販路紹介で、 不採算要因を取り除いた植物工場運営を支援いたします。 |
(5) 当社グループの将来戦略
①VISION2030 ~当社グループ企業としての持続的成長に向けて~
当社グループは、2021年7月に長期ビジョン「VISION2030(2031年5月期)」を定めております。
1つ目は、
サステナブルで豊かな暮らしに貢献
~環境に配慮した、安心で快適な社会の実現へ~
についてです。
「環境にやさしく」、「安心な社会へ」、「暮らしを快適に」を軸とし、各事業活動を通じて魅力ある価値を創造してまいります。
2つ目は、
多角化した経営
~バランスの取れた事業ポートフォリオへ~
についてです。
建材事業を主力としてきた当社グループにとって、国内建設市場の長期的な縮小は大きな課題であり、将来的な事業環境変化に対応するためには、建材事業は引き続き中核事業として収益力向上を図るとともに、新たな成長分野を創出していく必要があります。このような事業構造の中で、2015年3月には、国際事業のM&Aにより、国内外のマテリアル事業を強化し、商業施設事業では、事業承継による規模拡大を図ってまいりました。
今後もさらに領域拡大を進め、建材事業に偏らない事業構成により、市場の変化に柔軟に対応できる経営基盤を構築し、持続可能な企業を目指すため、成長領域の事業拡大と安定収益基盤の強化に取り組み、持続的成長に向けた新たな事業ポートフォリオへ変革してまいります。
各事業の具体的な方向性は以下のとおりであります。
a.建材事業について
今後、国内市場縮小が見込まれるため、市場競争力を高め、安定的な利益体質の構築を進めてまいります。
具体的には、市場変化に合わせた効率的な事業運営と、建材の中でも強い領域へ注力し、市場地位の維持向上を図ります。ビル・住宅部門においては、堅調な推移が予測される改装・リフォーム市場への対応強化に取り組み、引き続き収益改善に努めてまいります。エクステリア部門においては、事業ブランドコンセプト「ワンダーエクステリア」に基づいて、お客様に“わくわく”していただける商品提案や様々な施策を推進するなど、更なる拡販に向けて取り組んでまいります。また、既存事業の近接領域の開拓も進めてまいります。
b.マテリアル事業・国際事業について
マテリアル事業では、国際事業と連携し、国内・海外を含め輸送分野を中心としたグローバルシナジーを創出し、将来の中核事業の1つとして事業領域の拡大に努めてまいります。
具体的には、国際事業の取扱製品は海外でのマテリアル領域が主体であり、国内でのマテリアル領域と一体的な事業運営を図り、特に輸送分野における自動車のアルミ化・EV化需要の拡大に対して、自動車メーカーなどグローバルプレイヤー向けに部品・材料を供給できる体制を強化してまいります。
国際事業では、収益貢献する事業への変革を進め、欧州・タイ・中国の生産拠点を生かし、輸送分野における自動車のアルミ化・EV化需要の取り込みを中心に、事業成長を目指してまいります。
c.商業施設事業について
業界内での高いポジションを生かし、事業領域拡大を行ってまいります。
具体的には、小売業が新規出店から改装にシフトしていることや、人手不足を背景とした省人・省力化需要が高まっていることから、これらの変化によって生まれる需要の獲得を進めるとともに、小売店舗への総合提案化やサービス領域の拡大により市場拡張を図り、更なる事業成長を目指してまいります。
d.領域拡大について
植物工場事業においては、2017年4月より大和ハウス工業株式会社様と共同開発を進めてきた植物工場システム「agri-cube ID(アグリキューブ・アイディー)」を2019年10月1日より販売しております。当社は栽培技術・栽培サポートの提供を行っております。今後も企業様の新規事業創出提案、遊休不動産活用提案、自治体・農業生産法人の新たな農業事業創出提案などを行ってまいります。
植物工場市場は将来の成長が期待されていることから、引き続き事業拡大に向けた製品開発や弊社独自の営業活動も進めてまいります。
さらに、「高齢化」や「インフラ整備」などの社会的課題に対応する新規事業開拓や、既存事業の近接領域の拡大を進めてまいります。
e.全事業について
・サステナビリティ
(気候変動対応)
当社では、持続可能な社会への貢献を通じて企業の価値を高めるため、脱炭素社会の実現に向けて地球温暖化対策への継続的な活動を推進しております。自社の事業活動に伴う温室効果ガス排出量削減について、2023年に対象を当社グループ全体に拡大し、直接・間接的に排出される温室効果ガス削減の目標(Scope1・Scope2)を再設定し、2024年は、事業活動の上流及び下流のプロセスで排出される温室効果ガス削減の目標(Scope3)を設定いたしました。世界規模のリスクである気候変動問題に対し、グローバルに事業を行う当社は、温室効果ガス排出量削減の目標設定を国外に広げ、グループ全体で気候変動対策に臨んでまいります。
(アルミリサイクルの推進)
脱炭素化の流れが加速し、使用したアルミニウムを素材として再利用する循環型サプライチェーン構築へのお客様からの要望が高まっており、アルミニウムの資源循環は従来よりも重要性が増しております。加えて、経済産業省策定の「成長志向型の資源自立経済戦略」の中に、国内でのリサイクルアルミの需要拡大を目指すことが提言されております。これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の線形経済から、限られた資源の創出・利活用と価値売りを中心とする循環経済への転換が求められております。当社では、アルミニウムの資源循環に注力することにより、温室効果ガス排出量削減に貢献し、循環経済への移行を進めてまいります。
(人的資本対応)
人的資本は、当社グループにとって、サステナビリティの重要なテーマの1つとして捉えております。当社グループの持続的な成長を支え、お客様へ喜びと満足を提供するために、新しい価値を創造できる人材の育成とともに、安全で健全な働きやすい職場づくりを目指しております。また、人材の多様性は不可欠であり、女性社員の活躍推進に加え、高齢者、障がい者、外国人、キャリア採用者など、多様な人材の雇用拡大を図るとともに、それぞれの職場での活躍に向けた取り組みに注力してまいります。多様性や人権を尊重し人材育成を推進することで活力ある企業風土を創生し、豊かな暮らしを実現する原動力となる「人財」を未来につないでまいります。
・デジタル化への対応
中長期の事業環境変化に対応し、競争優位性を高めるためには、デジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデル、バリューチェーンの変革とともに、業務プロセス、組織、制度の変革をしていくことが必要であると考えており、中長期施策に応じたDX(デジタルトランスフォーメーション)構想を策定し、順次取り組みを具現化して推進しております。
②前中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)の総括
当社グループは、長期ビジョン「VISION2030」の実現に向けた第1段階として、2024年5月期を最終年度とする中期経営計画(2022年5月期~2024年5月期)を推進してまいりました。
『収益面での健全経営を確立し、安定的に成長する企業グループへ』を基本方針として、
1. 国際事業の改革完遂
2. 「強みへのフォーカス」と「効率化の追求」により、変化する国内市場へ対応
3. 長期成長への仕込み「サステナビリティの取り組み強化」・「新たな強みの創出」・「領域拡大」
を重点施策として取り組み、目標達成に向け進めてまいりましたが、コロナ禍や国際情勢の不安定さに伴う外部環境変化や予測を上回る地金価格などの高騰によって収益改善が図れず、最終年度では、
売上高3,300億円、営業利益90億円、営業利益率2.7%の目標に対して、
売上高3,530億円、営業利益38億円、営業利益率1.1%
となり、利益目標に対して大幅な未達となりました。
<施策状況>
1. 国際事業の改革完遂
施策 |
| 内容 | 結果 |
収益の安定化 | 国際事業 | STEP-G(連結子会社であるSankyo Tateyama Europe BV及びその子会社)の機能集約・高付加価値化など事業構造改革推進 | STEP-G:固定費削減、製品ミックス改善、収益改善などの事業構造改革の推進により損益分岐点が改善するも、欧州EV用部材の販売量減少などもあり、黒字転換には至らず |
タイでの生産能力増強・市場拡大による収益力強化 | タイでのアルミ押出ライン増設による生産能力増強 |
2.「強みへのフォーカス」と「効率化の追求」により、変化する国内市場へ対応
施策 |
| 内容 | 結果 |
強みへのフォーカス | 建材事業 | 収益力の高い事業分野への資源シフト | 収益性の高い事業分野での販売量減少 |
マテリアル事業 | 建材を中心とした既存領域での物量確保、お客様への価値提供によるビジネス拡大 | 建材分野、一般機械分野の需要が減少 | |
商業施設事業 | 主要顧客を通じた受注領域拡大、隣接領域へのアプローチ強化 | 店舗の新規出店や改装の需要の取り込み 省人・省力化需要に対応した商材の投入 | |
効率化の追求 | 全社 | 業務改革の推進と省人化・自動化 | 支店集約、バックオフィス拡大、生産自動化・省人化、生産・工場・物流拠点の再編を実施 |
デジタル化を活用した新たな働き方の構築 | デジタル化推進に向け、デジタル人材育成やAI活用へのトライ |
3. 長期成長への仕込み
「サステナビリティの取り組み強化」・「新たな強みの創出」・「領域拡大」
施策 |
| 内容 | 結果 |
サステナビリティの取り組み強化 | 全社 | 環境・社会的課題に関する取り組み推進 | 2050年カーボンニュートラルに向けた長期ビジョン「サステナビリティビジョン2050」の外部公表 2021年12月TCFDへの賛同表明、気候変動に関するシナリオ分析を策定し、リスクと機会を特定 アルミリサイクルの使用促進、リサイクル技術構築の取り組み |
2021年6月、サステナビリティ推進部・サステナビリティ政策委員会の設置 | 2021年6月、サステナビリティ推進部を設置、サステナビリティ政策委員会などサステナビリティ推進体制を構築 | ||
新たな強みの創出 | 建材事業 | 改装・リフォーム強化(差別化商品投入、施工体制強化、領域拡大)など | 改装・リフォームは補助金政策により需要増。リフォーム玄関ドアのラインナップ充実 |
マテリアル事業 | 優位性の確立による輸送事業の拡大、環境・リサイクルニーズに対し、置換需要・用途開拓による市場拡大 | EV市場に向けたアルミ押出ラインの増設着手 国立大学法人富山大学と共同でアルミリサイクル及び押出加工の革新研究を行うための共同研究講座を設置 | |
商業施設事業 | 直販の強みと機会を生かした新規商材の具現化 | 隣接領域への事業拡大へのチャレンジ | |
領域拡大 | 新規事業 | コア技術活用による新たな用途開発・事業展開 | 次世代事業の創出として産学連携によるテーマアップ活動を推進 |
植物工場事業での共同事業先との連携強化による実績づくり、販売体制の強化、栽培技術の構築 | 植物工場事業 栽培技術の高度化、Global GAP認証取得するも、大型案件2件、小型案件に留まる | ||
協業先との連携強化による事業化を推進 | 介護リフォーム、首都高恒久足場は事業部へ引継ぎ。事業領域拡大のため異業種企業との交流を開始 樹脂サッシ、インテリア建材の相互供給 |
<経営指標>
| 79期目標 2024/5期 | 79期実績 2024/5期 |
売上高 | 3,300億円 | 3,530億円 |
営業利益(率) | 90億円(2.7%) | 38億円(1.1%) |
自己資本比率 | 33%以上 | 33.2% |
配当 | 安定配当を基本としつつ 業績・内部留保の充実と勘案 | 1株当たり20円 |
ROA (純利益ベース) | 1.9% | △0.4% |
ROE (純利益ベース) | 5.9% | △1.1% |
(注) 2024年5月期(第79期)目標は、2021年7月公表時のVISION2030及び中期経営
計画(2022年5月期~2024年5月期)の経営指標の数値であります。
③中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)について
中期経営計画最終年度となる2024年5月期の業績結果と、2023年3月東京証券取引所より要請のあった「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」での現状分析より、当社においては『低収益事業の健全化』と『成長期待の信頼獲得』を課題認識しております。これらを踏まえ、新たな中期経営計画(2025年5月期~2027年5月期)は、「VISION2030」の実現を目指し収益基盤再構築と成長投資を優先する投資フェーズと位置づけ、「安定収益を確保し成長軌道に乗せる」を基本方針として、収益構造改革と成長への投資に取り組んでまいります。
各事業の具体的な方向性は以下のとおりであります。
a.建材事業について
今後、建築コストの上昇もあり、新設住宅着工戸数の減少は加速することが見込まれるなど国内建設市場の縮小に対し、市場縮小を見据えた抜本的な構造改革と質的変革による収益基盤を再構築するとともに、環境に配慮した商品の開発など戦略領域での積極的なチャレンジによる安定した規模での収益率改善を目指します。一方、改装・リフォーム市場は、市場成長が見込まれることから引き続き対応強化に取り組み、収益改善に努めてまいります。
b.マテリアル事業について
国内の事業環境では、一般機械の需要が回復しており、またインフラのニーズも増加していると予測されております。さらに、自動車の事業環境では、軽量でリサイクルに適したアルミ部品の需要が拡大していくと見込まれております。
そのような事業環境の中、建材、一般機械などの既存領域での収益基盤を確立するとともに、将来の成長に向けた自動車分野拡大のための体制構築と、新湊東工場への大型押出機導入などに投資してまいります。
さらに、国際事業と技術連携をはじめとしたシナジーを創出し、自動車のアルミ化・EV化におけるグローバル供給体制を構築することにより、将来の中核事業の1つとして事業領域の拡大に努めてまいります。
c.商業施設事業について
国内においては、円安によるインバウンド需要に伴う小売業販売額の増加、既存店強化の改装や人手不足とエネルギー価格高騰を背景とした省人・省力化投資が継続すると予測しております。さらに、海外においては中国経済の先行き懸念とASEAN地域の堅調な経済成長が見込まれております。
そのような環境の中で、業界トップクラスのシェア、顧客要望を具現化できる営業対応力と商品開発力、全国一律のサービスを提供できるネットワークによって時代と共に進化する小売業市場に対応したソリューション型事業を目指してまいります。また、新たな領域への展開や調達・販売を中心に海外展開にも力を入れてまいります。
d.国際事業について
経済成長率については、欧州では、エネルギー価格高騰の緩和やインフレ率の低下により回復が見込まれるものの、中国では不動産業界の不振により鈍化、タイにおいても2025年には経済成長のペースが落ちると予測をしております。自動車の事業環境は、欧州・中国・タイとも自動車生産台数が緩やかに増加する見込みではありますが、欧州については、依然として厳しい事業環境が続くと予測しております。
そのような環境の中で、欧州は、自動車・航空分野などの付加価値領域への注力や、自動車依存度を抑えたポートフォリオの変革による安定化などにより、国際事業セグメント全体で確実に収益を確保できる体質に変革し、収益貢献事業へ進化いたします。また、タイにおいては、今後、脱中国によるASEANへの生産移転が拡大すると見込まれるため、積極的な事業展開を図ってまいります。
e.領域拡大について
新規事業分野では、社会的課題をテーマに企業価値向上に取り組むため、異業種企業との関係性を構築し、潜在的価値・需要を創出してまいります。また、植物工場分野では、収益事業化を実現し、新規事業領域の構築を目指してまいります。具体的には、大和ハウス工業株式会社様と大型案件の協業を継続するとともに、植物工場市場は将来の成長が期待されていることから、引き続き事業拡大に向けて、当社独自営業による小型案件の受注を推進し、事業の収益化を図るとともに、新たな収益源を構築してまいります。
中期経営計画の目標達成には、各事業の施策だけでなく、財務戦略、サステナビリティ(気候変動対応、アルミリサイクルの推進、人的資本対応)やデジタル化への対応が不可欠であります。
f.財務戦略について
財務の健全性を確保しつつ、成長事業への積極的な投資と株主還元の充実を両立してまいります。その中で、株主還元への充実として、従来の配当方針である安定配当を継続しつつ、還元の考え方として、配当金額には年間配当1株当たり25円の下限を設け、積極的に株主還元を強化してまいります。
g.サステナビリティについて
・アルミリサイクルの推進
国内のリサイクルアルミの需要拡大に向け、アルミリサイクル技術の高度化やリサイクル向上に向けた生産体制の構築に取り組んでまいります。具体的には、スクラップの安定的確保やアップグレードリサイクル技術により、アルミリサイクル率の向上を行い、循環経済への移行を進めてまいります。
建材向けアルミリサイクル率:2022年度実績 52% → 2030年度目標 80%
・人的資本への対応
人材戦略において、人的資本経営強化への基盤整備を進めてまいります。具体的には、人的資本への投資を行い、人材育成、人材確保・定着、多様な人材の活躍、健康・安全・働き方に力を入れ、従業員のエンゲージメント向上を行います。将来的には、社員一人ひとりが自ら成長し、自らの価値を高められる環境をつくり、労働人口減少時代に選ばれる、持続的成長可能な魅力ある会社の構築に向け、人的資本経営強化への基盤整備に取り組んでまいります。
なお、詳細については、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本 ①戦略」に記載のとおりであります。
h.デジタル化への対応について
デジタル化への対応として、事業戦略から「お客様とのつながりを強化」、「事業の革新を目指していく」、「働く基盤をつくる(働き方の改善)」の3つのDX戦略を策定し、事業の革新や働き方の改善を実施し、デジタル化推進による競争優位性を高め、業務効率化を実現することを目指してまいります。
そのために、高い付加価値を生み出し、事業のビジネスを変革する人材の育成、組織の柔軟性とイノベーション力の強化、そして安定したデジタル基盤の整備に注力してまいります。
これらの取り組みにより、最終年度となる2027年5月期(82期)には、売上高3,800億円、営業利益110億円、営業利益率2.9%、ROE6.0%、1株当たり25円を下限とする安定的かつ継続的な配当を目指してまいります。
<経営指標>
|
| 79期実績 2024/5期 | 80期計画 2025/5期 | 81期目標 2026/5期 | 82期目標 2027/5期 |
業績 | 売上高 | 3,530億円 | 3,600億円 | 3,700億円 | 3,800億円 |
営業利益/率 | 38億円/1.1% | 40億円/1.1% | 75億円/2.0% | 110億円/2.9% | |
資本収益性 | 自己資本比率 | 33.2% | 30% | 30% | 30% |
ROA | △0.4% | 0.5% | 1.3% | 2.0% | |
ROE | △1.1% | 1.7% | 4.0% | 6.0% | |
D/Eレシオ | 81.3% | 100% | 115% | 115% | |
株主還元 | 配当 | 1株当たり 20円 | 1株当たり25円を下限とする 安定的かつ継続的な配当 | ||
配当性向 | ― |
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