企業UACJ東証プライム:5741】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており実際の結果とは様な要因により大きく異なる可能性があります

(1)サステナビリティに関する考え方

「100年後の軽やかな社会のために」

 当社グループは、「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。」という企業理念を掲げています。この理念を実践していくために、「アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ。」を目指す姿として掲げ、アルミニウムの製造・加工という本業を通じて、また、アルミニウムの特性を活かした製品とサービスの提供を通じて環境負荷削減などに努めています。

 環境問題をはじめ、現代社会が抱えるさまざまな課題を将来に残さず、子どもたちの世代が、今より軽やかで楽しい未来を過ごすことができるように。当社グループは、これからも、120年以上にわたり受け継いできた叡智と情熱、そして社員一人ひとりの多様な個性を活かしながら、ステークホルダーの皆さまとともに、さまざまサステナビリティ活動を推進していきます。

 サステナビリティ基本方針

1.受け継いできた叡智と情熱で

創業以来の探求心と、技術と知恵を結集したイノベーションでより便利な社会、持続可能な地球環境を追求します。

2.すべてのステークホルダーの皆さまとともに

事業を通じて向かい合う関係者はもとより、いろいろな形で関わりあう社会を思い、グループ内外の人々と協調・協働して持続可能な世界への貢献を実現します。

3.一人ひとりの多様な個性で

国籍、性別、年齢、障がいの有無などの違いに関わらずさまざまな人材を尊重し、その考えやスキルを活かすことで、既成概念にとらわれない自由な発想で課題解決に取り組みます。

サステナビリティガバナンス(サステナビリティ推進体制)

 当社グループは、サステナビリティ活動の責任を明確にするとともに意思決定の迅速化を図り、各種の取組みを着実に推進するために、2022年度より、新たなサステナビリティ推進体制を構築しました。

 具体的には当社グループが社会とともに持続的に成長していく上で優先的に取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)ごとに責任者及び管掌部署を定め、それぞれが予め設定されたKPIに基づいて進捗状況を把握します。さらにこれらの進捗状況を、定期的に開催する分野ごとの報告会議体で報告及び討議を行うことで、取組みの実行性を高めています。

サステナビリティ活動の推進体制

 当社グループのあらゆる事業活動を支える基盤であるコーポレートガバナンスの詳細については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」を参照ください。

戦略

 当社グループは、サステナビリティ活動を企業経営の存在意義が問われる中核要素として捉え、グループ一体となって推進していく必要があると考えています。そのために、当社グループが社会とともに持続的に成長していく上で優先的に取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)として「気候変動への対応」「製品の品質と責任」「労働安全衛生」「人権への配慮」「多様性と機会均等」「人材育成」を特定しています。また、現在進めている第3次中期経営計画においても、重点方針の一つにサステナビリティ推進を位置づけています。

6つのマテリアリティとともに関連するSDGsを特定し、マテリアリティごとに「2030年のありたい姿」と「アクションプラン/KPI(指標及び目標)」の設定をするとともに、当社グループだからこそ貢献できること、社会へ提供できる価値についても定めています。

6つのマテリアリティ・SDGs優先課題とステークホルダーとの関連

 すべてのサステナビリティ活動は「企業理念」の実践に向けた活動であること、その活動の主体となる従業員が、当社グループを取り巻く社会のさまざまなステークホルダーと協働して、軽やかな社会を目指していく、という考え方を表しています。

リスク管理

 当社グループは、「企業理念の実現を不確実にするすべての事象」(損害・損失に直結しかねない事象のみならず、将来の収益・成長への機会も含む)を「リスク」として管理しています。そして、リスク管理のあるべき姿を「全員参加のリスクマネジメント」とし、役員や幹部だけではなく全従業員が常日頃からリスクの所在を意識し、自らリスクを発見・共有し、進んで管理に参画する状態と定義して、その実現にグループ全体で取り組んでいます。

 当社グループのリスク管理体制の詳細は、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」を参照ください。

指標及び目標

 当社グループは、6つのマテリアリティごとに定めた「2030年のありたい姿」の実現を目指し、短中長期の達成目標を定め、2021年度よりPDCAサイクルを活用した継続的な活動を推進しています。

 上記①サステナビリティガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取組みに反映しています。

マテリアリティ

評価指標

2022年度

目 標

2022年度

実 績

2023年度

目 標

気候変動への対応

サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減量

2050年を見据えた目標設定、

具体的施策の立案及び推進

Scope1・2において、2050年カーボンニュートラルへの挑戦を宣言

17.3%削減

(Scope1・2、2019年度比・原単位)

製品の品質と安全

重大品質不具合件数

20%減

(前年比)

25%増

(前年比)

ゼロ(注2)

客先クレーム件数

(素材有責)

10%減

(前年比)

31.4%減

(前年比)

10%減

(前年比)

労働安全衛生

重篤災害発生件数

ゼロ

ゼロ

ゼロ

総合度数率(注1)

0.28

0.25

0.25

人権への配慮

人権デューディリジェンス(人権DD)の実施と、結果を踏まえた目標づくり、アクションプランの実行

人権DDの仕組みの構築

人権DDの仕組みの構築完了、

押出加工名古屋の安城製作所(UEXN安城)にて人権DD実施

4事業所以上で実施(福井・UATH(注3)・UEXN安城に加えて、他1事業所以上)

行動規範、人権、ハラスメント関連の教育実施率

行動規範教育実施率90%

ハラスメント教育実施率100%

行動規範教育実施率92%

ハラスメント教育実施率100%

行動規範教育実施率96%

ハラスメント教育実施率100%

多様性と機会均等

管理職(役員含む)に占める女性比率(注4)

2%

3%

4%

人材育成

後継候補者計画の実施率

当社における

課長職以上100%

当社における

課長職以上100%

国内グループ会社に展開

重点分野に関する教育支援活動の受益者数

650人/年

882人/年

800人/年

(注)1.統計期間中の延べ労働時間あたりの労働災害による死傷者数(不休業災害を含む)を100万時間で換算した労働災害の発生状況(頻度)を評価する指標

2.2022年度実績を踏まえ、より実効性の高い取組みとすべく、2023年度より評価指標を「重大品質事故件数」に見直しております。

3.UACJ (Thailand) Co., Ltd.

4.当社及び国内グループ会社における比率

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組み)

 当社グループは、総合アルミニウムメーカーとして、気候変動対策及び脱炭素社会への移行に積極的に取り組むことが重要な社会的責務であるとの認識を有しており、TCFDにも賛同しております。その上で、事業活動により排出される温室効果ガス(GHG)が、地球の気候変動に影響を及ぼしているという科学的知見に基づき、下記の「行動指針」に則った取組みを進めています。これにより、今世紀末時点での世界の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べ2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えるというパリ協定の目標達成への貢献を図ります。

[行動指針]

事業活動によるCO等のGHG排出量の削減活動を継続・拡大・深化して、2050年Scope1・2におけるカーボンニュートラルへの挑戦、その過程である2030年度は30%の削減(2019年度比・原単位)を目指します。

Scope3においてはサプライチェーンの様々なパートナーとの協業に取り組み、リサイクル最大化、かつ、サプライチェーン全体でのGHG排出最小化を目指します。

従前より取り組んできた省エネルギーをますます加速するとともに、GHG排出量のより少ない燃料に転換、さらに、再生可能エネルギーの使用を推進します。

アルミニウムはLCA(注1)で見た時の軽量化やその何度でもリサイクルできるという特性で、GHG排出量削減に貢献できます。環境配慮型製品ブランドである「UACJ SMART」をはじめとして、GHG排出量削減に貢献する製品・サービスの提供に努めます。

GHG排出量削減に貢献する技術開発を推進します。

GHG排出量削減に関するイニシアチブ活動に自主的、積極的に取り組むとともに、積極的な情報開示に努めます。

(注)1.Life Cycle Assessment。ある製品やサービスの一生(資源の採掘から、製品の製造、使用、廃棄まで)の各段階で生じる環境影響を定量化する手法

ガバナンス

 気候変動対策の取組み体制として、社長執行役員を委員長とする「気候変動対策推進委員会」を設置しています。当委員会のもとに、「カーボンニュートラル対応」「原料調達」「リサイクル推進」「アルミ化推進」の各ワーキング・グループ(以下、WG)を設置しています。また、WGの検討結果や活動成果は、必要に応じて気候変動対策推進委員会から経営会議又は取締役会へ報告し、決議を得ることとしておりおり、経営層が直接ガバナンスを効かせています。

 当社グループのあらゆる事業活動を支える基盤であるコーポレートガバナンスの詳細については、「第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」を参照ください。

戦略

 当社は気候変動対策のシナリオ分析として、4℃シナリオ及び1.5℃シナリオの2つのシナリオについて実施しました。対象は当社の事業を代表する分野であること、またポートフォリオ上でも重要度が高いことを考慮して「アルミ圧延品事業」の「板事業」とし、原材料調達から廃棄・リサイクルに至るすべてのバリューチェーン上のリスクと機会を検討しました。

 

 

4℃

1.5℃

当社グループの戦略

移行リスク・機会

炭素価格

各国の炭素排出目標/政策

(日本やタイにおける)炭素税導入は想定されない

炭素税が導入され、負担コストが上昇

(2050年カーボンニュートラル達成が不可欠)

Scope1・2のGHG排出削減目標の設定

(2050年カーボンニュートラルへの挑戦宣言)

各国のリサイクル規制/政策

スクラップ利用率は成り行きで推移

スクラップ需要増によるスクラップ価格上昇、アルミのリサイクル性を武器にした販売促進

製品におけるリサイクル率向上の推進

川上・川下顧客とのスクラップ回収スキームの確立

エネルギーミックスの変化

エネルギーコスト(原油等)の上昇

アルミニウム地金製錬国でのエネルギー転換が進み、アルミニウム製錬工程のCO2排出量が低減され、他素材に対する競争力が向上

省エネ改善や燃料転換の実施

自社敷地内での太陽光発電の導入

再生エネルギー電力の当社グループ全体での導入(再エネ電力100%工場の誕生)

次世代技術の進展

リサイクル原料の分別技術は進展しない

リサイクル技術開発や設備投資の増加、低CO2排出量の製錬法開発によるアルミ需要底上げ

顧客の行動変化

運輸・包材・電気機器分野の売上増

(脱炭素化の世界的潮流による)運輸・包材・電気機器分野の売上増

(4℃シナリオより大きい)

環境配慮型製品ブランド「UACJ SMART」の拡大

当社独自のGHG排出量保証「UACJ SMARTマスバランス」の提供開始

物理的リスク・機会

平均気温の上昇

高温化に伴う作業環境悪化による生産性低下、灼熱対策コスト増

缶材・飲料用アルミパック・クロージャ―材の売上増、空調用フィン材の売上増

異常気象の激甚化

洪水による被害増

洪水による被害増

(4℃シナリオより小さい)

事業ごと・拠点ごとのBCP策定推進とレベルアップ

 詳細につきましては、今後発行予定の統合報告書を参照ください。

リスク管理

 当社グループは、気候変動に関する主なリスクを含めた「企業理念の実現を不確実にするすべての事象」(損害・損失に直結しかねない事象のみならず、将来の収益・成長への機会も含む)を「リスク」として管理しています。当社グループのリスク管理体制の詳細は、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」を参照ください。

指標と目標

2022年6月、Scope1・2における2050年カーボンニュートラルへの挑戦を宣言し、2030年度のCO2排出量削減目標を更新しました。

・Scope1・2 CO2排出量削減率(原単位)    △30%(2019年度比)

 当社グループのCO₂排出量の推移は、以下のとおりです。2021年度のCO2排出量原単位は、前年度と比較して約10.3%の削減を達成しました。また、2022年度の実績につきましては、第三者保証報告書を取得した後、開示を予定しております。

UACJグループCO排出量の推移(国内+海外)

 また、Scope3におけるCO排出量(サプライチェーンにおけるCO2排出量)の算定結果は以下のとおりです。

2021年度UACJグループのCO排出量の(Scope3 国内+海外)

(注)Scope3基準及び基本ガイドラインにおけるカテゴリーにて分類しております。なお、カテゴリー5~15については影響が僅少なことから、算定の対象外としております。

(3)人的資本

 当社グループでは、2013年の経営統合以来、多くの事業再編等を実施してきました。企業グループとして統合から大きく変化したことを踏まえて、当社グループの社会的な意義、パーパスを見直し、2020年2月にグループ理念の再定義を行いました。また、様々なバックグラウンドを持つ社員が、新しい企業理念である「素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」に向かうための羅針盤として、「UACJウェイ」を定めました。

 当社グループでは、人的資本への投資により、UACJウェイに沿った行動ができる人材、すなわち「基盤人材」の充実を図り確固たる人的基盤を構築していくとともに、外部環境の変化を踏まえた中長期的な戦略の達成を牽引できる「戦略的人材」を増強していくことで、企業理念の実現を目指していきます。

ガバナンス

 経営戦略と人材戦略の連動を図るため、2022年度に社長執行役員の諮問機関として社長執行役員を委員長、副社長執行役員、本部長、事業責任者、その他執行役員を委員とする人材委員会を新設しました。本委員会で人材戦略の進捗状況を人事部長から報告、共有し、各委員からのフィードバックに基づき、必要な改善策を検討・実施していきます。

戦略

a.基盤人材の充実に向けた戦略

 当社グループが永続的に社会や生活を支える企業であり続けるために、グループ社員が共通で持つべき行動指針がUACJウェイです。UACJウェイでは、「安全とコンプライアンス」を行動原則とし、「相互の理解と尊重」「誠実さと未来志向」「好奇心と挑戦心」という3つの価値観に沿って行動することを定めています。UACJウェイに沿った行動ができる人材、すなわち「基盤人材」の獲得、育成、活躍促進をしていくために、以下の施策に取り組んでいます。

・人材育成

 当社グループでは、変化する事業環境に対応しながら、UACJウェイをベースに、主体的な意思決定や問題解決を主導できる人材の育成が、将来のグループの発展に不可欠なものと位置づけ、従業員一人ひとりが成長を実感し、働きがいを感じることを目指して人材育成に取り組んでいます。具体的には、「従業員一人ひとりの学びによる成長」、「仕事を通して部下を育てる」、「組織で人を育てる」の3つを基本的な考え方とし、「階層別研修」、「ものづくり学園」、「U-KI活動」、「セミナー実施」、「自己啓発プログラム」等の提供の他、「次世代ビジネスリーダー」や「DX人材」等の育成を推進してきました。

 その他、UACJウェイに沿って行動できる人材を育成していく観点から、以下の人事諸施策にも取り組んでいます。

コミュニケーション面談

年1回、当社の従業員を対象として、本人及びその上司が中長期のキャリアプランや能力開発等について話し合う制度

360度評価

年1回、当社グループの役員・管理職を対象として、UACJウェイに沿った行動の実践度に関する上司・同僚・部下からの評価を対象者にフィードバックする制度

評価フィードバック

年1回、当社の従業員を対象として、上司から本人に人事評価、評価理由、来期に関する期待等をフィードバックする制度

人事ローテーションガイドライン

当社の従業員を対象として、人材育成の観点から、人事ローテーションを適切に行っていくために、人事ローテーションの頻度の目安等を定めたガイドラインを策定

・エンゲージメントの向上

 当社グループでは、従業員一人ひとりの働きがい・やりがいを高めて、組織力を向上させ、企業理念の実現を図っていく観点から、2019年度からエンゲージメント調査を実施しています。2022年度は、国内グループ会社、一部海外グループ会社も含めて23社を対象に実施しました。調査では、従業員の総合的な働きがい・やりがいを示す指標や、それら指標を左右する因子(個人のモチベーション、職場の活気、人事諸制度やトップマネジメントへの評価)の把握を行っています。本データについては、外部専門家と連携して、社長執行役員以下経営層及び各部門長にフィードバックしています。その後、各部門内でエンゲージメント調査の結果について対話を実施するとともに、エンゲージメント向上に向けた自主改革の取組みを毎年度、各部門で策定・実施しています。その他、エンゲージメント調査の結果を踏まえて、UACJウェイの価値観の一つである「好奇心と挑戦心」の実践を後押しする人事諸制度の改善を次のとおり実施してきました。

グループ公募制度

意欲を有する従業員のキャリア開発や適材適所の機会の提供として、自ら手を挙げることによって、新規事業、新規部門、新規プロジェクト等で働くことができるチャンスを提供

キャリアカウンセリング

従業員が自らのキャリアを自律的に構築する機会の提供として、外部キャリアカウンセリング窓口を設置

副業制度

従業員の主体的なキャリア形成、能力開発・スキル向上の機会の提供として、当社業務を本業とすること等を条件に、副業を許可

選択型Eラーニング

従業員の自律的な学びの機会の提供として、従業員の多種多様なニーズに対応した幅広いメニュー数を有するプログラムを提供

・採用、リテンション施策の実施

 当社では、当社グループの企業理念に共感いただき、UACJウェイの価値観に沿った行動ができる素養を持った方の獲得に向けて、新卒採用のほか、キャリア採用、第二新卒採用、リファラル採用等にも積極的に取り組んでいます。また、2022年度からは、当社を退職された方をアルムナイ(卒業生)と位置づけ、再雇用に向けたネットワークを構築しました。2023年度は、このネットワークを活用し、ご本人と会社の意向がマッチした場合は再入社を可能とする「カムバック雇用制度」を導入しました。本制度はUACJウェイの一つの価値観である「相互の理解と尊重」の文化の醸成にも繋がるものと考えています。また、当社に入社された一定の若年層の方を対象に、UACJウェイに沿って独り立ちして行動できるまでの期間、外部のコミュニケーションツールを利用して、毎月コンディションを把握し、人事部門担当がメンターとして、必要に応じ対象者の仕事の悩みや相談に対応し、将来の活躍に向けた支援を行う取組みも行っています。

[参考]UACJの求める人物像

●自分自身の意見を持ちつつ、お互いの考え方、価値観を認めポジティブな人間関係が構築できる方

●誠実に仕事や人に向き合って粘り強く取り組み、最後までやり切ることができる方

●好奇心と挑戦心をもって、様々な課題に楽しみながらチャレンジし、未来に向かって変革を起こそうとすることができる方

・後継者計画の実行

 当社では、UACJウェイに定める3つの価値観を体現した将来の経営幹部候補人材を計画的に育成・拡充していくために、優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つに「後継者計画の策定」を特定しています。2020年度までは、当社の部長クラス以上を対象に後継者計画を策定し、2021年度からは課長クラスに拡大して後継者候補を選出しています。当該後継者計画に基づき、対象者には経営幹部候補人材として必要な経験を積むためのローテーションを実施しているほか、必要な経営知識やスキルを学ぶためのビジネスリーダー育成プログラムの提供を進めています。

・ダイバーシティの推進

 当社グループは、従業員が多様であること(人種、性、国籍、宗教、年齢、障がいの有無等)が、さらなる改善やイノベーションを生み出す競争力の源泉であると考え、優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つに「多様性と機会均等」を特定しています。従業員一人ひとりが、UACJウェイの「相互の理解と尊重」に則り、お互いの考え方や価値観の違いを認め合う組織文化を醸成するとともに、ビジネスにおける変化への高い適応力と柔軟性を生み出すことを目指していきます。具体的には、当社では、女性活躍については、一般事業主行動計画において2023年度までに採用者に占める女性割合を20%以上とするほか、管理職における女性割合を4%以上とすることを目標に取り組んでいます。キャリア採用についても多様性と競争力強化を目的に積極的に実施しています。外国籍人材については、新規学卒者全体の10%を確保することを目標に毎年度、採用活動を継続しています。高齢者については労働力人口が減少していく中で、今後、さらに活躍を推進していく観点から、2023年度は定年退職者再雇用制度の処遇を大幅に改善するともに、65歳超雇用の制度についても整備しました。最後に、障がい者雇用については、特例子会社(株式会社UACJグリーンネット)の活用により法定雇用率を超える雇用を実現しています。2023年4月には福井製造所にも新たに拠点を設置しており、さらに障がい者雇用の場を拡充しています。

[参考]当社の採用実績(単位:名)

 

新卒採用

 

キャリア採用

 

採用全体

 

小計

小計

合計

2021年度

47

10

57

117

6

123

164

16

180

2022年度

54

12

66

120

11

131

174

23

197

・ワークライフバランスの推進

 当社では、従業員一人ひとりが仕事と生活のバランスをうまくとりながら、UACJウェイに沿って、働きがい・やりがいを持ちながら働くことができるように、「時間外労働の削減」、「有給休暇の取得推進」、「育児休業の取得推進」、「多様な勤務制度の整備」、「効率的な業務実施に向けた環境整備」に取り組んでいます。「時間外労働の削減」については月45時間超過者の削減を目標に計画人員の確保等に取り組んでいるほか、「有給休暇の取得推進」については、労働基準法を超える年6日又は年7日を最低限の必達目標に定めて、人事部門から取得状況のフォロー等を行っています。こうした取組みの結果、経営統合以降、ピーク時の2017年度には2,174時間であった年間総実労働時間は2021年度には2,062時間まで削減されています。「育児休業の取得推進」については、特に男性の育児休業の取得に関して、「取得率30%以上、平均取得期間2週間以上」を目標に、子供が生まれた男性従業員に対して人事部門から取得状況のフォローを行っています。その結果、2022年度には対象となる男性従業員の69%が平均17日間の育児休業を取得しました。「多様な勤務制度の整備」については、生産性の高い働き方の実現に向けて、専門型・企画業務型裁量労働制、コアレスフレックス勤務制度、短時間コアレスフレックス勤務制度、時間単位有給休暇制度、半日単位有給休暇制度等を導入しており、多くの従業員が有効に活用しています。また、新型コロナウイルス感染防止対策として2020年度から暫定的に取り組んできた在宅勤務については、2021年度より制度化し、出社と在宅勤務をハイブリッドで組み合わせて勤務することを可能としました(部門長の判断により、完全在宅勤務も可)。さらに2023年度からは、在宅勤務制度を活用して、一定条件のもと、遠隔地での勤務を可能とする制度を導入しました。本制度により結婚、配偶者の転勤、介護、単身赴任等の事情により、現事業所での継続勤務が困難となった場合でも、転勤を伴わずに、自宅での継続勤務が可能となり、ワークライフバランスの実現に寄与していくものです。また、「効率的な業務実施に向けた環境整備」については、RPA((Robotic Process Automation)やチャットボットの活用による定型業務、問い合わせ業務の削減や効率化を進めています。

・労働安全衛生

 当社グループでは、UACJウェイにて「安全第一とコンプライアンス」を企業活動の基盤とし、「従業員の安全・衛生・健康は全てに優先する」という考えのもと、優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つに「労働安全衛生」を特定して、全員参加の安全衛生活動を実施しています。具体的には、労働に関する法令や社内規則を遵守するとともに労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、適切な管理を行うことにより安全で衛生的・健康的な職場環境づくりに取り組んでいます。

・健康経営の推進

 当社グループでは、UACJウェイにて「安全第一とコンプライアンス」を企業活動の基盤とし、「従業員の安全・衛生・健康は全てに優先する」という考えのもと、2021年9月にUACJグループ健康経営宣言を発表しました。当社グループでは、健康経営宣言に基づき、以下の推進体制のもと社員の健康の維持・増進に努めています。社長執行役員を委員長とする安全衛生委員会には、全執行役員が参加し、活動内容・課題の共有と対策についての討議を行っています。2023年3月には、健康づくりに積極的に取り組んでいる企業として、2022年度に引き続き「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を受けました。

・魅力ある処遇の実現

 当社グループではサステナビリティ経営の推進、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力しています。その上で、生み出した収益・成果を踏まえて、「UACJウェイ」に沿った行動ができる人材を獲得・育成・充実していくことを目的に、賃金の引上げをはじめとした、総合的な処遇改善に取り組むことを通じて、従業員への持続的な還元を目指していきます。2023年度については、足元の物価高騰に伴う生活面への配慮や採用競争力の維持・向上の観点から、当社グループ誕生以来、過去最大規模の賃金の引き上げを実施しました。また、当社グループとしての一体感を高めていく観点から、グループ共通の福利厚生パッケージサービスの導入も進めています。

・健全な労使関係の継続

 当社の従業員はUACJ労働組合に、その他のグループ会社従業員においては、それぞれの会社における労働組合に属しています。各社と各労働組合とは、UACJウェイに定めた「相互の理解と尊重」の価値観のもと、健全な労使関係を持続しています。

・コンプライアンスの取組み

 当社グループでは、UACJウェイにて「安全第一とコンプライアンス」を企業活動の基盤としており、コンプライアンスの徹底に向けた啓発活動を強化しています。当社グループが企業としての社会的責任を果たし、社会から信頼される企業グループとなるために、役員及び従業員が遵守すべき事項を「UACJグループ行動規範」に定めるとともに、部単位で定期的かつ継続的に勉強会を行うことでコンプライアンス意識の浸透や法令知識の向上に努めています。また、コンプライアンス違反事案の未然防止、早期発見・早期解決を目的に内部通報制度を運用しています。

・人権への配慮

 当社グループは、UACJウェイにおける「相互の理解と尊重」という価値観を実践していくために、「人権への配慮」を優先的に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しています。具体的には、UACJグループ人権基本方針を定め、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、国別行動計画である「ビジネスと人権に関する行動計画」に沿った活動を推進しています。また、「UACJグループ行動規範」において、「人権の尊重」、「ハラスメントの禁止」、「児童労働・強制労働の禁止」、「労働基本権の尊重」などを定め、階層別教育や行動規範に関する部内教育の場などにおいて、周知徹底に取り組んでいます。

[理念対話会の継続とUACJグループウェイ賞の創設]

2020年4月から理念の浸透とエンゲージメント向上を目的に、社長執行役員及びグループ会社社長、製造所長などの幹部層の社員による従業員との「理念対話会」を継続して実施しています。また、2021年度には、UACJグループ理念に沿う活動・案件を社内より募集し、理念をより体現している活動・案件について、社長執行役員が職場・チーム・個人に対して表彰する「UACJグループウェイ賞」を創設しました。人事諸施策も含めた様々な活動を通じて、UACJウェイの浸透を図っています。

b.戦略的人材の増強に向けた戦略

2022年度より、経営戦略達成に向けた人材戦略プロジェクトをスタートしています。経営戦略と人材戦略の連携を強化していく観点から、経営戦略の重要な目標である「UACJ VISION 2030」の実現を担う戦略的な人材の要件を定義しました。また、そうした人材を獲得・育成していくための新たな人事制度・施策の設計へ着手しています。

リスク管理

 当社グループでは、企業理念の実現を不確実にする全ての事象を「リスク」と認識し、「UACJグループリスクマネジメント基本方針」もと、リスクマネジメント最高責任者を社長執行役員として、グループ全体で平時と有事のリスク管理に取り組んでいます。人材領域においては、労働力人口の減少に伴う採用環境の激化や人材流動化に伴い、計画通りに人材が充足できなくなることを、グループ全体で取り組むべき重要リスクと考えています。人事担当役員をリスクオーナーとして、様々な採用諸施策の検討や製造現場における省人化の検討等をグループ横断的に行うことで、リスクの低減に努めています。

 当社グループのリスク管理体制の詳細は、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」を参照ください。

④指標と目標

[総合目標]

 

 

 

人材戦略実現に向けた要素

KPI

2022年度実績(注2)

目標値(注3、4)

UACJウェイに沿った行動ができる人材「基盤人材」の充実

エンゲージメント調査(注1)における従業員のUACJウェイ実践度

3.42点

3.50点以上

エンゲージメント調査における職場のUACJウェイ実践度

3.34点

3.50点以上

 

 

 

 

[施策ごとの個別目標]

 

 

 

人材育成の推進

エンゲージメント調査における職場マネジメントへの評価

3.25点

3.05点以上

エンゲージメントの向上

エンゲージメント調査における働きがい・やりがい度

3.22点

3.34点以上

採用・リテンション施策

エンゲージメント調査における職場の人的充足度

3.01点

3.09点以上

エンゲージメント調査における継続勤務希望度

3.40点

3.55点以上

後継者計画の実行

後継候補者計画の実施率

当社における課長職

以上100%

国内グループ会社に展開(2023年度)

ダイバーシティの推進

管理職(役員含む)に占める女性比率

3.03%

4%

(2023年度)

ワークライフバランスの推進

エンゲージメント調査における仕事と生活の調和度

3.29点

3.33点以上

労働安全衛生

重大災害発生件数

ゼロ

 

ゼロ

(2023年度)

総合度数率

0.25

 

0.25

(2023年度)

健康経営の推進

健康経営度調査における

総合評価(偏差値)

59.5

61.0以上

(2023年度)

魅力ある処遇の実現

エンゲージメント調査における報酬、処遇、福利厚生の魅力度

2.68点

2.85点以上

健全な労使関係の構築

(特に指標は設定せず)

コンプライアンスの取組み

エンゲージメント調査におけるコンプライアンス経営の実践度

3.54点

3.42点以上

人権への配慮

人権DD実施と、結果を踏まえた目標づくり、アクションプランの実行

人権DDの仕組み構築

4事業所実施

(2023年度)

行動規範、人権、ハラスメント関連の教育実施率

行動規範教育

92%

ハラスメント教育

100%

 

行動規範教育

96%

ハラスメント教育

100%

(2023年度)

(注)1.エンゲージメント調査は外部機関の調査ツールを使用しております。5点満点で点数が高いほど肯定的な回答を示しております。

2.2022年度実績の各項目について「後継者計画の展開」「健康経営の推進」は当社の数値、「労働安全衛生」「人権への配慮」は当社及び海外を含む一部のグループ会社の数値、その他は当社及び国内グループ会社の数値を記載しております。

3.エンゲージメント調査結果を指標としている項目は、従業員数3,000~4,999人の企業の平均値(外部機関調査)を目標値とし、継続的に取り組むものです。但し、「UACJウェイの実践度」の目標値については独自に設定した値としております。

4.目標値欄に(2023年度)と記載した項目は、2023年度における目標値を示しております。

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