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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」ことを企業理念とし、世の中の人が幸せになるサービスや事業を創造していくことを目指しています。

(2)経営戦略等

 当社グループは、上述の企業理念に基づき「無駄のないスマートな社会の実現」というビジョン達成に向けた三つ目の通過点として、売上高1,000億円を目指す「SHIFT1000-シフトワンサウザンド-」を策定いたしました。

 創業以来、製造業における業務改善コンサルティングの知見を持って、ソフトウェア開発分野における属人化された業務のプロセスを変革し、開発エンジニアとテストエンジニアの分業を進めていくことで開発エンジニアが開発工程に集中し、開発に専念できる環境を整備するなど、ITエンジニアの働き方を変革してまいりました。

「SHIFT1000-シフトワンサウザンド-」では、将来の売上高3,000億円を見据え、以下の4つの切り口から事業の成長を進めてまいります。営業の側面では、CIO(Chief Information Officer)とのリレーション構築などを通し、徹底した顧客開拓の体制を構築し、人事・採用の側面では、IT業界ナンバー1クラスの採用力をもって経験者・未経験者、転職潜在層・顕在層を問わない人材の確保に努めます。サービス・技術の側面では、ソフトウェアテストを主力としながら上流工程から開発工程、また付随する近接のサービスの拡大を進め、M&A/PMI(Post Merger Integration)の側面では当社グループに参画したグループ会社へ標準化されたPMIにより事業の成長の加速度を上げてまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、売上高成長を伴った業績予想値を経営上の目標としております。その達成状況の検証のため、顧客単価、顧客数、エンジニア単価、エンジニア数などを定期的にモニタリングしております。

(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループでは、今後の更なる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しております。

① 営業展開について

 総務省及び経済産業省による「2021年情報通信業基本調査」によると、わが国において主としてソフトウェア業を営む企業の売上高は16兆6,618億円と試算されております。また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表する「ソフトウェア開発データ白書2018-2019」によると開発工程に占めるテスト工程の割合は、約33%とされており、当社グループの対面するソフトウェアテストの市場規模は約5.5兆円と推定されます。

 当社グループは、この潜在的な5.5兆円の市場に対して、既存の労働集約的なサービスではなく、仕組化・標準化されたソフトウェアテストサービスを提供することにより、顧客のニーズを喚起し、アウトソース市場を掘り起こしてきました。

 今後、ソフトウェアテスト市場の更なる深耕を進め、ソフトウェアテスト事業で開拓した、エンタープライズ領域からエンターテインメント領域までの多種多様な業界・業種の顧客に対し、当社グループの様々なソリューションのクロスセルを推進していくためには、営業体制の強化が必要不可欠です。そのため、当社グループでは、営業人員数の拡大、勉強会の実施などによる営業活動の量と質の向上、徹底的な営業活動の可視化によるKPI管理等により営業体制の強化に取り組んでおります。

② カスタマーサクセスに向けた取り組み

 当社グループは、当社グループの提供するサービスの提供を通してカスタマーサクセスを実現するため、サービスの付加価値の向上と適正なプロジェクト価格での受発注の実現に取り組んでおります。

 サービスの付加価値の向上に向けた取り組みとしては、スキルアップやキャリアアップを希望する従業員を対象にした、独自の従業員育成カリキュラムを展開しています。カリキュラム受講後、検定試験に合格すれば、より高付加価値なサービスを提供することができることから、顧客への提示単価やそれに連動して給与が上昇する仕組みとしており、顧客と従業員の双方にとってメリットがある制度となっております。

 また、当社がプロジェクトの上流工程において、顧客企業と直接コミュニケーションをとりながらプロジェクトを推進し、階層構造や企業規模に関わらず真に業務能力のある開発会社へ直接発注することで、「多重下請け構造」を打破し、適正なプロジェクト価格での受発注を実現しております。

 これらの取り組みを通して、サービスの付加価値とリピート率を向上させることで、カスタマーサクセスの実現に貢献してまいります。

③ 人材採用力の強化

 当社グループは、それまで開発者が行ってきた検証工程を、開発者以外であっても実行できるように、作業工程の徹底的な標準化を行うことでIT人材以外の人材を採用してまいりました。独自の検定試験を導入することで、IT未経験者であっても当社事業に素養のある人材を採用することを可能にし、積極採用と生産性の向上の両立を実現してまいりました。また、IT業界における知識や経験の豊富な人材の採用にも取り組むことで、事業規模の急成長を実現してまいりました。

 将来の売上高3,000億円企業を目指すにあたっては、各分野のスペシャリストを中心とした優秀な人材の更なる積極採用が早期に取り組むべき課題であると認識しております。

 こうした課題に対応するため、従前の採用手法だけにとどまらず、動画面接やリファラル採用の強化等のあらゆる採用手法を積極的に取り入れ、採用体制の強化を進めてまいります。

④ エンプロイーサクセス(ES)への対応

 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、ライフスタイルや価値観、そしてIT業界に変化がもたらされました。当社グループとしてそれらの変化に対応し、今後の成長をさらに加速させるためには、これまでの事業ポジショニングやブランディング、従業員の働き方などを見つめなおし、必要に応じて変化させる必要があると考えております。

 従業員の働き方としては、基本的に在宅勤務を推進する一方、コミュニケーションを目的として週1回程度の出社を奨励しています。在宅勤務を前提としたエンジニアの採用を進めつつ、従業員総会、社内広報のオンライン化、社内表彰制度の展開などにより、柔軟な働き方の提供と帰属意識の醸成の両立を実現しています。また、当社グループでは、事業活動の基本は従業員であるとの考えから、日々の成果が従業員に還元されるよう、積極的な給与の上昇に努めています。人事評価と報酬決定においては実力主義を徹底し、年功序列や男女による給与格差といった人事評価と報酬決定による差別が起こらない評価を行うことで、給与と人事評価に関する満足度を高いレベルで維持しております。

⑤ M&AとPMIの推進

 当社グループは、M&Aを積極的に推進することで、新規顧客開拓・既存顧客深耕や優秀な人材の積極採用、サービス領域の強化・拡大などに取り組んでまいりました。今後は、PMIを通じて当社水準の経営管理体制を構築する等、厳格な規律で収益力を確保する方針は堅持しつつ、M&Aの対象として検討しうる収益水準を拡大するとともに、当社グループの成長に合わせて案件の健全な大型化を推進してまいります。

 また、PMI以降のフェーズにおいては、営業、人事面の連携によりグループ会社の成長を支援するとともに、グループ会社向けの経営管理部門の体制を強化し、グループ全体での経営基盤をさらに強固にしてまいります。

⑥ 企業ブランドの醸成と新規事業展開

 当社グループは現在ソフトウェアテストを中心とした事業展開を図っており、標準化された高品質なサービス提供によって業務アプリケーション領域におけるソフトウェアテストのリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつあるものと認識しております。

 更なる成長に取り組むなかで、当社グループは、「お客様の売れるサービスづくりといえばSHIFT」を新たなブランディングスローガンとして掲げ、ソフトウェアの品質保証・テストを軸とした新たな開発サービスの提供にも取り組んでいます。こうした課題に対応するため、収益の柱としてのソフトウェアテストの事業を拡大させる一方で、企画段階からお客様と伴走し、「売れるソフトウェアサービスをつくる」上で真に必要な要素を絞り込んだうえでお客様にご提案することで、他社との差別化を図っています。

 既存事業の拡大と新規事業の創出に取り組むことで、当社グループのポジショニングを強化してまいります。

⑦ 内部管理体制の強化

 当社グループは、更なる事業拡大を推進し、企業価値を向上させるためには、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しており、コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図ってまいります。

⑧ 情報資産に関する管理体制の強化

 当社グループは、事業を通してお客様の重要な情報資産を取り扱っているほか、競争力の源泉となる、独自に標準化・仕組化されたノウハウを保有しており、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えています。現在においても、ISMS国際規格「ISO/IEC 27001:2013」の認証を取得し、情報セキュリティ方針を策定したうえで情報資産を管理しており、eラーニングを毎月実施し従業員の啓発を行う等、万全の注意を払っておりますが、今後も社内体制や管理方法の強化を図ってまいります。

⑨ グループ会社のガバナンス体制の構築

 当社グループは、グループガバナンスにおけるリスクを低減するために、適切なグループ会社のガバナンス体制を構築しております。構築に当たっては、一体的な経営と実効的なグループ会社管理等の必要性を総合的に勘案し、分権化と集権化の最適なバランスを勘案したうえで行っております。また、本社主管管理部門によるグループ会社のガバナンスについても、個別事業の特徴やリスクマネジメントの成熟度に応じて、適切な指導及び管理監督が行われるよう、グループ全体で発生したコンプライアンス違反や不正行為、内部通報等からの傾向分析を行い、各組織に対しより効果的な対応アクションを提案できるよう常に適切な体制の構築に努めております。

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