NECキャピタルソリューション 【東証プライム:8793】「その他金融業」 へ投稿
企業概要
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは2023年4月、当社経営の基本方針として、新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定いたしました。これまで掲げてきたCSV経営(Creating Shared Value=共通価値の創造)は継続しながら、気候変動対応をはじめとする社会課題の多様化、デジタル技術(IoT、AI、ロボット)等の先端技術の発展、それらによる将来の産業や社会生活の大きな変化に対応するべく、CSV経営と親和性の高いSDGsに同期する2030年を新たなグループビジョンのゴールとしました。
これまで私たちはリース事業を通して、環境に配慮した製品の導入、高度な3R処理による資源循環により循環型社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。一方で、2030年以降を見据えた「次世代循環型社会」は、資源効率の向上による環境負荷の低減のみならず、資源を循環利用し続ける世界、そこから発展し、新たな付加価値を生み出し続ける循環型の経済社会となることを想定しています。
この想定する社会において、当社グループはキャピタルソリューションの革新により、モノの循環利用に繋がるサービス、地域経済・社会の好循環に繋がるサービス、企業成長の好循環に繋がるサービスを提供し、環境と成長の好循環を実現すると共に、多様化するお客様と社会の課題解決を通して、「次世代循環型社会」の実現を目指してまいります。
また、新たなグループビジョンに含まれる「Solution Company」の「Company」には、一般的な「会社」という意味に加え、「価値観を共有する集団(仲間)」という意味も含めています。社会課題解決に向けた付加価値の提供による収益力の向上と共に、このグループビジョンには価値観を共有する従業員が誇りに思える会社作り(エンゲージメントの向上)に向けた思いを込めたものとなっています。
なお、グループビジョンの策定に併せて、事業活動を通じた社会課題の解決とその活動を支える経営基盤に関し、当社グループのマテリアリティを以下のように再特定しております。
・ 脱炭素社会・循環型経済の推進
・ 社会・ICTインフラ整備の推進
・ 社会課題解決に向けた新たなサービスや事業の創出
・ 人的資本への投資
・ 企業価値向上を支えるコーポレートガバナンスの追求
(2) 中長期的な会社の経営戦略
グループビジョン2030「次世代循環型社会をリードするSolution Company」には以下に記載の3つの段階があり、その第一段階の実現を目指す計画として「中期計画2025」を策定しております。
第一段階 当社らしい循環型サービスを創出
第二段階 当社らしい循環型サービスを発展
第三段階 当社らしい循環型サービスの収益確立
① 「中期計画2025」策定の前提
新型コロナウイルスの影響が世界的に鎮静化するなか、グローバルなテーマとして改めてサステナビリティが議論されるようになりました。SDGsをはじめサステナビリティについてはこれまでもその必要性、重要性について多くが語られてきましたが、企業経営に直接的にアプローチするものではありませんでした。しかしながら、昨今の異常気象による世界的な経済損失の拡大が無視できない規模となってきたことから、企業経営者に直接サステナビリティ経営の推進を促す国際的なフレームワークが確立されました。その代表的なものがTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)であり、東証の市場再編に合わせプライム市場上場企業については2023年3月期以降、その枠組みに沿った取り組みの開示が義務化されることとなりました。
このような足元の環境変化を踏まえ、当社は、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、新たなグループビジョンの策定とマテリアリティの特定を行いました。「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を策定いたしました。
② 「中期計画2025」の概要
グループビジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。お客様、社会、株主、自社の観点から「中期計画2025」のねらいを以下のとおり定め、各戦略で施策を具体化しています。
お客様:サービスの提供によりお客様の経営課題を解決
社会 :事業を通じて社会の課題を解決
株主 :CSV経営の実践による企業価値向上
自社 :ビジョン実現のための事業戦略実行
「中期計画2025」は3つの事業戦略と、それを支える経営基盤強化戦略で構成しています。
事業戦略① サービス事業の拡大、新たな循環型サービスを創出
■ 再生可能エネルギー発電、ウェアハウジング、ITアセットマネジメント、観光の各事業におけるサ
ービス拡大
■ ICT製品のサブスクリプションサービスの推進や不動産の活性化促進等によるモノの循環利用に繋が
るサービス創出
■ PFI・PPP事業の拡大、地域金融の循環モデル構築支援、地域ベンダーが提供する自治体DXサービス
との連携強化による地域経済・社会の好循環に繋がるサービス創出
■ 企業のライフサイクルに応じたサービスやファンド投資事業、M&A等アドバイザリーの拡大による企
業成長の好循環に繋がるサービス創出
事業戦略② 注力事業への戦略的投資による成長加速
■ お客様・ベンダーとのシステム連携や企画機能強化を通したICT関連サービスの高付加価値化による
事業規模拡大
■ 国内外における金融プロダクトの領域拡大・高度化による高収益の獲得
事業戦略③ ベンダーファイナンスの強化および顧客基盤拡充
■ 新規ベンダー、パートナーの開拓や既存ベンダーとの連携強化による収益性向上および収益機会創
出
■ ベンダーファイナンス起点のお客様に対するダイレクト営業の強化をはじめとしたお客様の課題に
対するソリューション開発・提供による取引深耕
経営基盤強化戦略
■ 業務プロセスのデジタル化やデジタル情報の活用を踏まえた基盤整備等による業務の標準化、品
質・効率の向上および「三つの防衛線」機能の高度化
■ DX基盤となるコアシステムの立ち上げと安定稼働やワークスタイル変革を支えるIT環境の構築を
はじめとしたデジタル技術の活用促進・DX活動の推進
■ 経営戦略に連動した組織作り・人材マネジメント制度導入と挑戦・革新し続ける風土作り、カル
チャー変革
■ 自律的なコンプライアンス風土の実現と、コーポレートガバナンスの実効性向上に加え、経営管理
の高度化、事業変革するための経営戦略および計画立案・推進機能の強化等によるスタフ機能の強
化並びに営業サポート機能の向上
■ カーボンニュートラルの実現(2040年度(2041年3月期)までに連結ベースのScope1+2を実質ゼ
ロとする)に向けた諸施策の実行
(3) セグメント別経営方針
上記「中期計画2025」について、事業セグメント別の経営方針を整理すると以下の通りとなります。
① リース事業
官公庁及び民間企業領域において、ベンダーファイナンスをはじめ高付加価値なリースおよびレンタルを提供すると共に、ベンダーソリューションの拡大による新規ベンダーやパートナーの開拓により高収益で良質なアセットを積み上げていきます。また、国内外においてベンダーとのリレーション強化を図り、サービス基盤の共同開発等を通じて共同サービスを確立することで新たな収益機会の獲得を目指します。
② ファイナンス事業
既存顧客を維持しつつ、お客様やベンダーの様々なファイナンスニーズを捉え、課題に対するソリューション開発・提供による取引を拡大し、顧客基盤拡充と収益性向上を図ります。また、国内外における金融プロダクトの領域拡大・高度化により収益性の高い戦略アセットの積み上げにより収益規模の拡大を目指します。
③ インベストメント事業
リサ・パートナーズはファンドビジネスやアドバイザリー機能を通して、地域金融機関との連携強化を更に進化・加速させると共に、海外案件にも取り組むことで持続的な成長を目指します。並行して、安定的なインカムゲインを得るための中長期保有資産を積み上げ、収益基盤の再構築を図ります。ベンチャー企業向けファンドビジネスは出口戦略を明確化し収益拡大を図ります。
④ その他の事業
これまでも取り組んできたヘルスケアウェアハウジング事業や再生可能エネルギー事業、PFI・PPP事業の強化拡大に加え、ICT製品のアセットマネジメントのノウハウを活用したサービスの拡充を図り、加えて新たな循環型サービスを創出してまいります。
(4) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から抜け出し、本格的な経済活動の再開が進んだ一年となりました。年度末の3月には連合の集計結果において平均賃上げ率が5%を上回り、日銀がマイナス金利の解除、長短金利操作、ETF等リスク資産の買入を終了する決定を行うなど、経済活動の正常化に向けた状況が一段と進展することとなりました。日経平均株価も史上初めて4万円の大台を超えて資本市場の活況にも繋がる状況となっています。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や2023年10月に勃発したイスラエルとパレスチナの紛争、また国内では2024年1月に能登半島地震が発生するなど、当社を取り巻く事業環境の先行きについて懸念される事象も増加しています。このような国内外の環境変化を踏まえ、今後の経済活動の見通しについては引き続き注視していく必要があると考えています。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2023年4月から2024年3月累計のリース取扱高は、前期比7.4%増の4兆6,299億円となっています。(出典:2024年5月29日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
(5) 会社の対処すべき課題
2024年度のわが国経済は、2024年3月の日銀のマイナス金利解除に伴い再び金利のある世界へ移行すると共に、経済活動の正常化に向けた動きが一段と加速するものと想定されます。一方で、長期化の様相を呈するロシアによるウクライナ侵攻や、2023年10月に勃発したイスラエルとパレスチナの紛争、更には中国と台湾の緊張関係の高まりなど、世界情勢の先行きにはこれまで以上に注視が必要な状況となっています。加えて2024年11月の米国の大統領選挙の行方は足元の世界情勢に大きな影響を与えるものと想定されます。
このような状況において、グローバルなテーマとして議論が重ねられてきたサステナビリティについて、当社グループはその重要性を不動のものであると考えています。昨年度から有価証券報告書に記載を始めた通り、気候変動リスクについてはTCFD ( Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく取り組みを進めており、エンゲージメントの向上や人材の多様性確保などをはじめとした人的資本、人材の多様性に関する取り組みについても積極的に推進しています。
当社グループは、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、2023年4月、SDGsのゴールでもある2030年に向けた新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を公表すると共に、「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を公表いたしました。グループビジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。
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