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企業概要

当社グループの当連結会計年度における研究開発活動は、「新たな技術への果敢な挑戦をし続けていくことでお客様にとって価値のあるITサービスを提供し続けられる」との考えのもと、新たな取り組みとして最近注目を集めている生成AIについての研究を開始いたしました。前年度から継続している取り組みとしては、様々な形で活用され始めたメタバースについての研究、一般的に使用されるようになったクラウド関連技術のレベルアップ、さらに当社独自技術のマイグレーションにおける機能拡大に関する研究を進めました。また、3年前に開始いたしました社内スタートアップ制度も継続し、新しいビジネスの創出を目指しております。その概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の研究開発費は179,296千円であります。 

 (1) 生成AIに関する研究

急速な広がりを見せる生成AIは、今や当たり前に利用でき、様々な場面で活用され始め、利用価値が認められつつあります。そのような中、当社でも活用に向けた取り組みを始めました。

一点目は、社内文書を学習させ、その内容に対する質問に答えるようなモデルを構築しております。AWS上の社内情報(ダミーデータ)を検索するChatアプリケーションを開発し、質問を投げかけると、関連する社内情報を効率的に取得できることなどを試行しております。当社が得意なクラウド技術を活用して環境を構築し、学習のさせ方や検索方法による回答内容の違いなど、実活用での実現可能性を研究しております。

二点目は、当社の本業でありますシステム開発作業、特にプログラミング時における品質・生産性向上に生成AIを活用できないか、という観点での研究であります。問い合わせをしながらのソース生成や設計書からのソース自動生成を試行しており、実プロジェクトでの使用も進めようとしております。

課題として情報漏洩、知的財産権の侵害、ハルシネーション(生成AIによって事実に基づかない情報が生成されることがある)等があり、技術検証とともにどのように対応すべきか検討しながら、今後も継続して社内利用とシステム開発利用などでの活用を目指した研究を進めてまいります

 (2) メタバースに関する研究

メタバースは、ゲーム・エンタメ市場が先行してきましたが、今後はメディア・広告やコマースに至るまで現実世界と同じようなビジネス領域がバーチャルへとスライドし、さらにメタバースに特化した業態も生まれると見込まれております。そのような状況を踏まえ、前年度から取り組み始めた「メタバース」について、今年度も研究を進めました、メタバース上での仮想オフィスを構築することでメタバースに対する基本的な技術を会得できた前年度の研究内容を踏まえて、今年度はさらにレベルアップした外部公開を前提とした仮想オフィスの構築により、今後のビジネス活用についても検討してまいりました。

外部へ公開できるようなクオリティのメタバース空間とするための具体的な取り組みとして、例えば、デザインや3DCGのレベルアップ、統一感を持たせることにより見栄えを向上させ、一般的な回線速度や端末スペックでもストレスなく動くように工夫し構築した仮想オフィスを使っての社内イベントを実施いたしました。その内容は、自社商品の紹介ブースやセミナールームを開設し、アバターとして参加することで実体験が可能となるようなものであり、利用者からも好評で、当社の技術力もかなり向上できたと考えております。このような取り組みから、メタバース関連の技術力を習得しビジネスへの活用を検討してまいります。

次年度以降は、この成果を踏まえて就職活動用の仮想空間を公開し、会社紹介や説明会、内定者イベントなどを開催し、会社のイメージアップに繋がればと考えております。

 (3) クラウドに関する研究

お客様がDXを推進するにあたり必須となっているクラウドの活用については、システムを素早く、低コストで導入し、柔軟に拡張できることが必要となります。そのための技術を提供できるように当社では以前からクラウドタスクチームを立ち上げ技術力習得に取り組んでまいりました。特にIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)関連技術につきましては、これまでも10,000人以上の利用者を想定した負荷分散や冗長化のクラウド構成のような大規模なものから小規模なものまで数多くの構築を実施し技術力を向上させてまいりました。しかし、クラウドで提供されるサービスは非常に多岐に渡り、その使用方法も複雑で、日々新たなサービスが提供されていく状況であります。そのような中で、お客様にクラウドをより有効に活用していただけるよう、継続してクラウドの研究と実践に注力してまいります。

当年度はIaaS/PaaSの実案件をさらに実践することで、より高いレベルの技術習得を進めております。具体的には、クラウドで構築した自社の新たなソリューションサービスの提供を開始いたしました。また、デジタル庁主導で進められているガバメントクラウドにつきましては、自社の自治体向けソリューションがガバメントクラウドで問題なく利用可能かどうかの検証や、生成AI環境構築におけるクラウドの新たなサービスのノウハウを習得いたしました。さらに、以前から取り組んでおります、仮想化技術のコンテナや、クラウド設定要素をコード化し自動的に構築するInfrastructure as Code(IaC) によるクラウド構築効率化を図る技術のレベルアップにも取り組んでおります。

次年度は、さらなる技術のレベルアップや新たなサービスの技術習得、技術の標準化、技術者の育成などに取り組む予定であり、お客様のDX推進に役立つクラウド活用を提供できるように継続してまいります。

 (4) マイグレーションに関する研究

マイグレーションとは、既存のアプリケーションを再利用して新たなプラットフォームへ移行する手法のことであり、既存のビジネスロジックを踏襲できるためシステムの完成度も既存システムと同等に保てることが最大の利点となります。当社のマイグレーションの特長は、当社独自の可視化技術により解析したリポジトリを用いることで、アプリケーション全てを対象にライン毎の命令やデータ項目から同一構文を機械的に集約できることであります。

このマイグレーションに関する研究開発活動の取り組みとして、以前から進めている「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取り組み」を継続しております。

当年度においては新たなオープン系システムの可視化・影響分析機能の研究開発を実施し、新サービスとして開発いたしました。さらに、メインフレームCOBOLからオープン系COBOLへ変換する新機能についても研究開発に取り組み、新サービスとして提供する見込みであります。

次年度以降も「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取り組み」を継続し、コストの抑制に貢献できるマイグレーションサービスをお客様に提供できるようにするとともに、お客様のニーズに対応できるようなマイグレーションの対象範囲拡大についても研究・開発を進めていく予定であります。

 (5) 社内スタートアップ制度

3年前から開始しました社内スタートアップ制度とは、社内で広く新たなビジネスの種を募集し、採否を審査して採用された場合は会社としてバックアップを行い、研究開発を進めていくものであります。

当年度は1年間で28件の申請があり、例えば、新たなソリューションサービスの調査・研究、テスト自動化などの開発・テスト支援ツール、C/SシステムからのWeb化、レガシー言語のJava変換、新たな技術要素の研究などに取り組みました。その中から実際にユーザ先での実証実験を実施したもの、製品化につなげて販売しているものなど成果はあがっております。

次年度も、さらに積極的なスタートアップ申請を促し、研究開発から新たなビジネスへと繋げる取り組みを継続していく予定であります。また、このような取り組みにより社内で新しいことを考え、チャレンジしようとする風土を根付かせ、社員の意識改革・活性化を図り、成長し続ける会社を目指してまいります。

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