MCJ 【東証スタンダード:6670】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、2025年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画(以下、「現中期経営計画」という)等において発表のとおり、既存ビジネスであるパソコンやモニタ、その他周辺機器等の事業拡大に引き続き注力しつつも、「取扱うハードウェアの多様化」に加え「ハードウェアに関連する各種サービス事業への進出」の2軸での成長を長期的な経営ビジョンとして掲げております。
そのような中、現中期経営計画においては、①既存事業の収益性強化、②将来へ向けた成長基盤の整備(各種営業体制の整備及びガバナンス体制の更なる強化、等)、そして③M&A、アライアンス強化、を掲げており、既存事業の事業基盤を強固なものとしつつ、将来成長基盤のための投資を行う期間と位置付けております。
<長期ビジョン概要>
<現中期経営計画概略>
(2)目標とする経営指標
当社は、2022年5月13日に公表した中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)において、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、営業利益率(7%以上)、ROIC及びROE(15%程度以上)、配当性向(30%以上)、DOE(4.5%程度)、総還元性向(30%~40%程度)という6つの指標を、経営上重要視する指標として位置づけております。これらの指標管理を通じて、既存及び新規事業における収益性管理、投下資本に対するリターン等、資本効率を意識した経営を行い、既存事業及び新規事業・投資に係る事業ポートフォリオ管理を行うとともに、持続的な株主還元の強化を図ってまいります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
昨今、企業を取り巻く事業環境は大きな変化を遂げております。円安基調の恒常化等により、先行き不透明感が漂っており、地政学リスクの高まりに加え、デジタル化の再加速等、多くの面で各企業は対応及び変化を求められていると認識しております。
当社グループは、既存ビジネスであるパソコンやモニタ、その他周辺機器等の事業拡大に引き続き注力しつつも、「取扱うハードウェア多様化」に加え「ハードウェアに関連する各種サービス事業への進出」の2軸での成長を長期的な経営ビジョンとして掲げております。
パソコンを含むハードウェア全般を取り巻く環境は、ユーザーニーズの多様化をはじめユーザーにとっての選択肢の充実やハードウェアに参入する企業の多様化等により、以前よりも複雑化しております。
また、生成AIを始めとする最先端技術の浸透により、ハードウェアへの要求や用途等は今後更に多様化、複雑化することが想定されます。
そのような中、当社グループとしましても、パソコン市場のみの動向にとらわれず、パソコンをハードウェアの一部として捉え、多様化・複雑化するハードウェア市場全般に如何に対応していくかを考える必要があると認識しております。
また、コンテンツやソフトウェア等の利用用途により必要とされるハードウェアの種類や形態が変化する動きもある中で、ハードとソフトの相互依存関係はこれまで以上に高まっております。そのため、当社グループはハードウェア全般の動きを注視するとともに、関連するコンテンツやソフトウェアの動向にも今まで以上に注意を払うべきであると考えております。
そのような経営環境認識に基づき、当社グループは今後の長期的な事業の方向性として、当社グループにて取扱うハードウェアの種類の拡充による既存のパソコンを中心とするハードウェア事業の強化及びハードウェアと親和性の高い新規領域であるコンテンツ等のサービス分野の強化を掲げ、ハードウェア及びサービス分野双方からの相乗効果による企業価値の最大化を目指しております。
当社グループの2023年3月期から2025年3月期を対象とする「中期経営計画」においては、2019年末より世界的に猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症による企業活動等に係る影響は徐々に緩和されてきているものの、国内においては2019年以降における一時的なパソコン及び周辺機器に対する大幅な需要増に係る反動減が2024年3月期まで継続しておりました。
調達面では目下急激な為替変動に見舞われており、また欧州においてはロシア・ウクライナ問題の長期化が想定される中、世界的にインフレ傾向が恒常化してきており、人件費をはじめとする各種コストの増加に直面するとともに、先行きに対する不透明感の高まりから、企業においては設備投資を延期や抑制する動きが、また個人においては生活コスト上昇を受けた生活防衛意識が高まる等、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化してきております。
そのような中、当社グループでは中期経営計画においては、前中期経営計画最終年度である2022年3月期において調達環境の急変に伴い、増収の一方で減益となった既存事業の収益立て直しへの注力、また将来的な事業の更なる拡大を見据えた成長基盤の整備、並びに新たな収益の柱を構築するべく既存事業関連及び新規事業の両分野におけるM&Aやアライアンスを積極的に模索するという、3つの成長戦略の方向性を掲げ、過去最高益の早期更新を目指しております。
今後につきましては、事業環境を慎重に分析しつつも、既存事業の成長基盤を強固なものとし、事業環境に関わらず着実に稼ぐ力の確立を図るとともに、将来の成長を支えるための営業網や社内システム等の各種基盤整備に加え、新たな成長軸の確立及び長期的な経営ビジョンの達成を念頭に「製品・サービス軸」の強化及び「バリューチェーン軸」の強化、並びに新規事業という3つの切り口において、日本のみならず、既に事業基盤のある欧州や東南アジア地域をはじめ、グローバルな視点でM&Aやアライアンス戦略を駆使してグループとしての成長を模索してまいります。
そのような目指す事業の方向性及び実行手段を鑑みた際に、当社グループとして重点的に取り組む課題は、以下のとおりとなります。
① 経営管理全般に係る課題
当社は、個々の事業会社の集合体としての側面と事業会社を束ねる持株会社としての側面の両方を兼ね備えており、前者においては収益性の管理を、また後者においては既存及び新規の事業ポートフォリオ管理を如何に効率的に行うかという、両側面でのバランスを取ることが求められます。そのため、当社は持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、6つの指標(営業利益率、ROIC、ROE、配当性向、総還元性向、DOE)を経営上重要視する指標(以下、「重要指標」という)として採用しております。これらの指標管理を通じて、既存及び新規事業における収益性管理、投下資本に対するリターン、資本効率を意識した経営を行い、既存事業及び新規事業・投資に係る事業ポートフォリオ管理を行うとともに、持続的な株主還元の強化を図ってまいります。
そのために、グループ各社の収益性管理の更なる強化、適切なバランスシートマネジメント、将来を見据えた資本政策に加え、今後立案・実行するM&A等においても、中期経営計画等に掲げる戦略的方向性を前提としつつ、重要指標を念頭に置いた綿密な計画に基づく実行及び管理の下に推進してまいります。
② 事業環境等に係る課題
当社グループは日本、欧州及び東南アジアにおいて事業を展開しており、日本及び展開している各国及び地域の景気や企業業績、個人消費動向等の経済環境の他、各国における自然災害等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度及び現時点においても、過度な円安の進行及び定着に伴う調達価格の上昇、ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクへの対応、頻発する自然災害への対応等、事業規模及び事業展開エリアの拡大とともに世界各国における様々な経済環境・自然災害等の影響への対処がより一層求められております。
このような事業環境の悪化を受けても、迅速な経営の意思決定を通じてその影響を最小限に抑え、尚且つその中においても将来の事業拡大の糧となりうる活動についてはできる範囲で継続し、「守り」である短期的な対処策と、「攻め」である長期的な目線の双方のバランスをとりつつ、事業運営を行ってまいります。
③ 中長期ビジョンの実現に向けたM&A・ベンチャー投資等のアライアンス戦略に係る課題
当社グループの既存事業強化又は既存事業とシナジーを見込める企業群とのアライアンス推進にあたっては、既存事業の現在の状況及び今後の方向性に基づいた注力すべき事業領域の明確な設定に加え、対象となる企業のソーシング活動の強化、案件の見極め、既存事業との連携強化の推進、収益性・採算性管理の強化等が常に求められます。そのため当社では中期経営計画等において、向かうべき方向性やそれに基づく投資方針を明確化するとともに、各事業における課題抽出や成長機会の模索を定期的に行い、中期経営計画等の方針に沿ったテーマの設定を行うとともに、上記①において掲げる重要指標を念頭に今後のアライアンス戦略の立案等を行ってまいります。
④ 事業推進にあたっての人材の確保・育成に係る課題
当社グループが現在その事業の中核に据えるハードウェアはもとより、今後の強化領域であるコンテンツ等のサービス分野においても、その事業活動は国内にとどまらず、競争環境やイノベーションの芽はグローバルレベルで考慮する必要があります。
また、前述のとおり企業を取り巻く事業環境が急変する中、変化への対応がかつてなく求められております。
そのような中、グローバルな事業展開及び情報収集を支えるためのグローバル人材の確保・育成に注力するとともに、変化への対応を念頭に多様な人材がより一層活躍できる環境と体制の整備、社員教育制度の強化や、柔軟な働き方に対応した新たな人事制度の構築等を進めてまいります。
⑤ ESG推進にあたっての課題
近年、企業には自社益の追求のみならず、社会益の追求をはじめ様々なステークホルダーとの共生がかつてなく求められております。そのような中、当社グループは2020年7月にグループとしての「ESG方針」を定め、「事業価値の向上と社会価値の向上の両立」を掲げ、そのうえで環境、社会、ガバナンスの各分野における注力方針や今後の活動方針を発表しております。以降当該方針に基づき、様々な分野における寄付や製品提供等の活動、CO2排出量の削減の取り組み、従業員や株主の皆様への還元強化、ガバナンス体制の強化等を実行してまいりました。今後も責任ある上場企業として、そして社会の中で活動する一企業としての責務を果たすべく様々な分野において積極的な役割を果たしてまいります。
⑥ 各セグメントにおける課題・取り組み
<パソコン関連事業>
パソコン関連事業においては、ユーザーニーズや技術・価格動向をいち早く察知する情報収集能力、そしてそれらの情報を瞬時に製品に反映する経営のスピード感と柔軟性が求められます。
また、パソコンのコモディティ化が進む現状においては、ユーザーニーズ等の見極めに加え、他社製品との明確な差別化が必須であり、製品面、ブランド面の双方において認知度の向上による顧客層の拡充やマーケットシェアの拡大にも、積極的に取り組む必要があると認識しております。
一方で、近年においては生成AIを始めとする最先端技術がユーザーにとって身近なものになる等、パソコン及び各種ハードウェアを取り巻く環境も日々変化しております。そのようなトレンドの中における事業機会の見極めや環境の変化への対応についても、取り組む必要があるものと認識しております。
加えまして、急激な為替の変動等に伴う価格変動が顕著となりつつあるパソコン製造に係る原材料及び関連するパーツにつきましても、タイムリーな調達や適正価格による調達に加え、販売動向を見据えた在庫管理の重要性が以前にも増して求められており、部材調達の平準化及び安定化が今後の当社グループの業績を大きく左右する要素となっており、対処するべき重要な課題であると認識しております。
(パソコン本体の製造・販売)
パソコン本体の国内販売市場は成熟化が進行し、競合他社・競合製品が依然として多いことから、パソコン製造・販売を行う子会社においては、ユーザーニーズや技術動向を常に把握するとともに、価格・性能・品質・外観に加え、顧客サポート体制の拡充といった各要素のトータルバランスを常に考慮し、競合他社・製品に対して総合的な差別化を図っていく必要があります。
当社グループのBTOメーカーとしてのメリットやこれまで培ってきた経験を最大限に活かし、調達やサプライチェーンの混乱に加え、急激なユーザーニーズの変化等にも対応し、その中で商機を掴み取るべく機動的で柔軟な原材料調達や在庫管理の強化を行いつつも、革新的な製品、ユーザーニーズにあった製品をタイムリーに投入する体制を今後も維持・強化してまいります。
(パソコンパーツの卸売・販売)
パソコンパーツは技術革新が早く、市場投入後、時間の経過とともに価値が減少していく傾向があるため、市場動向を見極め、必要な商材をタイムリーに、かつロスなく調達するとともに、各販売先とのリレーションを密にし、鮮度の高い時期により多くの数量を販売できる体制を確保する必要があります。
各種販売ツールの提供や販売イベント等、各販売先における取扱商材の訴求力向上を支援するとともに、法人顧客をはじめとする安定的な販売先の獲得、粗利率の向上に向け、営業努力を重ねてまいります。また、価格競争を避けるべく、本事業においては独自製品の開拓・販売が重要な要素となっていることから、継続して新規商材の発掘に注力してまいります。
(モニタの開発・販売)
モニタ市場においても、パソコン本体と同様に成熟化が進行していることから、価格・性能・品質・外観等のトータルバランスを考慮しつつ、競合他社・製品に対して総合的な差別化を図る必要があります。
また、欧州地域においては、欧州経済の動向や地政学的なリスクを十分に考慮し、各地域における需要動向及びトレンドを見極めながら事業を展開していく必要があります。
ブランド認知度の更なる向上を目指しつつ、汎用モニタをはじめ、産業用タッチパネルモニタ及びデジタルサイネージ製品の販売網を拡大するとともに、原材料調達の強化や適正な在庫管理の徹底を通じて引き続き収益の安定化、多様化を図ってまいります。
<総合エンターテインメント事業>
総合エンターテインメント事業においては、主に「aprecio」ブランドで、複合カフェ店舗の運営や「MIRA fitness」ブランドによる24時間フィットネスジムの運営等を中心に店舗型ビジネスの運営を行っております。
主力となるいわゆる「ネットカフェ」業界は新型コロナウイルス感染症の拡大以前より縮小傾向にあり、競合他社との差別化や、集客数の安定的確保が課題となっています。
各地域や店舗ごとに顧客の年齢層やニーズが異なるため、会員情報に基づくマーケティング活動を効果的に実施し、地域特性や店舗立地に応じたサービスの展開や顧客属性に即したコンテンツの拡充を行うこと等で顧客満足度の向上を促し、新規顧客の獲得及び会員顧客のリピート率向上につなげてまいります。
また、その一方で引き続き24時間フィットネス事業等、自社の持つ強みである会員ビジネスに係るノウハウや店舗運営能力を活かした新規事業の模索による新たな収益源の確立に加え、より一層のコスト管理の徹底にも注力してまいります。
足元においては、成長が著しい24時間フィットネス事業を本事業における注力分野と位置付け、ネットカフェからの業態転換や敷地の一部転換、並びに地域ドミナントを前提とした新規出店を行ってまいります。
上記の他、当社及び当社グループの事業運営上想定されるリスク要因を常に考慮し、迅速な意思決定に基づく効率的経営を行い、当社グループの企業価値の最大化に向けて邁進してまいります。
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