E・Jホールディングス 【東証プライム:2153】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当連結グループの研究開発は、株式会社エイト日本技術開発が主体的に実施しています。
当連結グループでは、多様化・高度化・複雑化する顧客ニーズに対し、質の高い技術サービス及び成果品を提供するため、新技術の習得・導入及び品質・生産性の向上を目指して外部の公的機関等との共同研究も積極的に取り入れながら、多面的な研究開発に取り組んでいます。
株式会社エイト日本技術開発の研究開発はデータサイエンス、インフラ技術、災害リスクの3分野からなりEJイノベーション技術センターおよび各事業部で実施しています。
当連結会計年度は、主として以下の活動を実施しています。なお、(完了)と付したものは当連結会計年度中に完了したものです。
①データサイエンス分野
・UAV(Unmanned Aerial Vehicle 通称ドローン)グリーンレーザーが有効な水質・底質に関する研究
・UAV用レーザーを用いた地上計測およびSLAMの精度検証
・AUV(自律型無人潜水機)で取得した地形・水質データの高度利用に関する研究
・波・流れと環境分析結果の見える化に関する研究
・IoT・AIの業務への適用方法の研究開発(関西大学等との共同研究)(完了)
・AIカメラ・IoTの活用に関する技術開発(完了)
・魚類調査におけるAI技術の活用
・オオタカ営巣における挙動把握(完了)
・駐車場実態調査の業務効率化と高度分析(完了)
②インフラ技術分野
・構造物維持管理におけるDX開発
・交通解析に関する支援技術の開発(完了)
・AIを活用した道路橋メンテナンスの効率化に関する共同研究(国立研究開発法人土木研究所等との共同研究)(完了)
③災害リスク分野
・被害推定手法の高度化等に関する技術開発(完了)
・STIV解析(時空間画像(動画)による流速解析)を用いた流量観測高度化
・水槽模型実験を用いたため池堤体の降雨浸透に対する研究
・動的な破壊解析手法の検証~地盤材料への弾塑性理論の適用~
・土質定数データベースの構築とAIを用いた設計用土質定数設定プログラムの開発
・火山ハザードに関する研究開発
・火山・土砂防災ソフト対策に関する研究開発
・地すべり機構解析CIMモデル(3次元地形モデルを「バーチャル現場」として活用し、地すべり災害の状況をカラー点群データで再現したモデル)の作成及び活用の検討
・干渉SAR(人工衛星合成開口レーダー画像を使った観測技術)によるインフラメンテ・災害監視システムに関する研究(完了)
研究成果
当連結会計年度に完了した主な研究開発活動の成果の概要を以下に示します。
・AIカメラ・IoTの活用に関する技術開発:農業IoTを活用の場として、AIカメラ・IoT活用の技術開発を実施した。いちご栽培の効率化を目的とし、IoTセンサによるハウス環境計測(温度、湿度、CO₂、日射)とその可視化システムを開発し、実際の農園に実装し効果をあげた。さらにそのシステムの簡易版を開発した。また、このシステム開発の経験を活かし社内のデータ基盤構築を行った。
・オオタカ営巣における挙動把握:猛禽類調査は目視観察による定点観察調査が一般的であり、膨大な時間や労力を要する作業である。本研究開発ではオオタカ営巣における挙動把握の監視カメラを活用した調査を実施する際に、カメラ映像の確認にAI技術を導入し作業の効率化・省力化を図った。オオタカを判定(在巣)するAIモデル、オオタカの行動(抱卵、給餌)を判定するAIモデルを構築し、監視カメラ映像からオオタカの行動の把握を試み良好な結果を得た。また、本研究開発の成果を対外的にアピールするため、土木学会シンポジウム、建設コンサルタンツ協会業務研究発表会等で発表した。今後は、毎年、環境グループの総受注業務件数の20%近くを占める猛禽類調査業務に、同業他社との技術の差別化を図り活用していく。
・駐車場実態調査の業務効率化と高度分析:実態調査は作業員が現地に拘束され、内業も大量のデータを人力で入力・整理・解析するため労力が大きい作業であり、AIの活用により作業の効率化、高度化、精度向上を図れることが期待されている。本研究は駐車場の監視カメラ映像から駐車台数および駐車時間をAIにより把握することを試みたものある。バッテリーや通信環境、天候等の条件がクリアーできれば精度よく実態把握は可能であること、外業・内業の労力を大幅に軽減可能であることが確認できた。今後は解析結果レポート、グラフの自動作成化等の改良を加え、実業務に活用する。
・交通解析に関する支援技術の開発:AIやビッグデータによる解析技術など交通解析に関する支援技術の開発・改良を行い、省力化・差別化を図った。具体的には、①動画データ解析による物流車両等の自動特定技術の開発、②携帯電話位置情報を活用した小規模実態調査による人流予測技術の開発、③ストリートビューを活用した道路幅員自動分析のユーザビリティの向上に取り組んだ。①については明るさ、画角等の条件が整えば動画データより物流車両の事業者名の判読が可能であることが確認でき、今後は営業ツールとして活用する。②については小規模実態調査の調査仕様案、実態調査と人流データを用いた行動モデルの提案を行った。③についてはストリートビューでの精度向上策の整理、クラウドへの移行を行った。
・被害推定手法の高度化等に関する技術開発:昨今、被害想定のニーズや着眼点が多様化している。そこで、最新の動向・事例を踏まえて、手法開発や推定精度の高度化を行い、他社との差別化を図り被害想定関連業務の受注拡大を図ることを目的とし、本研究を実施した。具体の項目は「地盤増幅度の高密度化」、「低体温症要対処者の推定手法の開発」、「3D都市モデルやWebGIS(Webをベースとした地理空間情報システム)を活用した結果の可視化」等である。また、災害発生後の被害情報等の情報収集・共有の効率化・迅速化を図るための社内向けプラットフォームの構築検討も行った。今後はこれらの成果を対外的にアピールし、関連業務の受注拡大に繋げる。
・干渉SARによるインフラメンテ・災害監視システムに関する研究:干渉SARによる解析は、大規模災害発生時の状況把握等に活用される技術であり、これまではJAXAや国総研により実施されてきたが、数年先には災害協定を結んでいる航測会社やコンサルが実施することになる。このような状況のもと当社では本研究を通して干渉SAR技術の習熟を行った。具体的には、2時期の干渉解析を実施し干渉SARの基礎技術を習得した後に、多時期の画像を用いた時系列変位解析の試行を行った。成果については社内に周知し、対外的には地すべり学会研究発表会、建設技術展等で公表した。
当連結会計年度における研究開発費用の総額は75百万円であります。なお、当連結グループのセグメントは「総合建設コンサルタント事業」のみであります。
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