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企業概要

 当社は、現時点において受託加工が主たる事業となっておりますが、ものづくり製造業としてグローバルでの成長を目指すにあたり、下記の開発にも取り組んでおり、当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は169,738千円であります。

(1) チタンアルミブレード用新材料開発

LEAPエンジン向けチタンアルミブレードの合金材料は仏SAFRAN社から無償支給されておりますが、現在その材料メーカーは海外の1社のみとなっております。当社は、新たな材料調達先に選定されるべく、材料の開発を進めております。当社が開発している新材料は、Near Net Shape(NNS)形状と呼ばれ、現在のスラグ形状(鋳塊)と異なり、最終製品により近い形状の材料となります。そのため、コストの高いチタンアルミ原料の利用の削減、及び加工段階におけるコストが高い初期工程の削減が可能となります。その結果、環境負荷低減や材料及び副資材調達の海外依存からの脱却につながるとともに、調達リードタイムの短縮や物流費の低減にも寄与することとなります。また、工法開発に加え、適用範囲の拡大につながる合金の改良にも取り組んでおります。なお、当該開発は、国立研究開発法人物質・材料研究機構と共同で進めております。当事業年度においては、当社が独自で提案する大気鋳造方法の技術妥当性を確認するため、実験炉を用いた鋳造試験を実施し、鋳造の原理確認、ブレード形状に近い形を有する材料の鋳造テスト、並びに鋳造サンプルの各種評価を実施いたしました。当該開発は、当社の主力事業であるチタンアルミブレードの材料の供給多様化等の観点において、顧客の期待も高いことから優先的に推進してまいります。

当事業年度においては、当社が独自で提案する大気鋳造方法の技術妥当性を確認し、開発を加速すべく独自の実験炉を導入し、量産を目指す上での技術課題の洗い出しを実施致しました。これらの課題に対し、対応方法を検討しながら、品質面におけるリスクアセスメントについても実施すると共に、開発進捗は顧客である仏SAFRAN社と適時共有し、認証取得に向けた必要実施項目の明確化を進めてまいりました。当該開発は、当社の主力事業であるチタンアルミブレードの材料の供給多様化等の観点において、顧客の期待も高いことから優先的に推進してまいります。

(2) AM技術開発

 当社は、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術の開発を進めております。積層造形とは、電子ビームやファイバーレーザーにより金属粉末の溶融凝固を繰り返すことにより、金属部品を製作する技術のことをいいます。積層造形技術を活用することにより、今までは加工が困難であった複雑形状のものを作り上げることが可能となります。しかしながら、積層造形は高額な設備が必要となること、また、造形には時間がかかることが量産にあたっての課題となります。保有する金属積層造形設備2台を活用した研究開発を推進するとともに、積層造形を活用した試作品の受託を行い、設計機能や当社が実績を持つ精密加工や非破壊検査技術をも取り込んだ新たなビジネスモデルの構築を検討しております。また、積層造形は、デジタル製造や分散型製造モデルとも言われており、従来のサプライチェーンや大量生産モデルと異なるビジネスモデルが可能となると考えられております。このような特徴を有する積層造形とデジタル技術を組み合わせたビジネスモデルの検討も推進しております。

当事業年度においては、社内の開発として造形技術・ノウハウの拡充を推進するとともに、顧客への積層造形による設計提案の実績を重ねております。造形材料の基礎研究につきまして、一部の成果は国際学会等や専門誌に寄稿するなど、国内外での発表も継続しております。積層造形とデジタル技術を統合した新たなビジネスモデルの検討をさらに推進するため、他社とのネットワーク構築、ビジネスモデルの検討を進めております。

(3) AMを活用したチタンアルミブレードMRO技術開発

MROとは、整備・補修・オーバーホール(Maintenance Repair Overhaul)のことをいいます。航空機エンジンはその安全性を担保するため、一定の飛行距離や時間に応じて定期的にエンジンを点検することが求められております。航空機エンジンに搭載される様々なタービンブレードもその過程で補修することが必要となりますが、LEAPエンジン向けのチタンアルミブレードについてはその素材の特徴から補修する技術が確立しておらず、不具合が見つかった場合には、現時点では全て取り換えることが必要となります。当社は、AM技術を活用し、チタンアルミブレードの補修技術を確立すべく、研究開発を進め、MRO市場に参入することを目指しております。

当事業年度においては、補修技術の課題に対する対策の妥当性検証を実施するため、海外研究機関との連携を強め、DED方式(ダイレクトエネルギーディポジション)の設備を用いて初期検証評価までを実施しております。今後さらに実験で得たサンプルの詳細解析を学術機関と共に実施し、補修条件の最適化を実施してまいります。当該開発は、まだ実現していない技術として、顧客からの期待も大きく、また、MRO市場に参入する機会となり得ることから、チタンアルミブレード用新材料開発と合わせて、優先的に推進してまいります。

(4) X線AI技術開発

 航空機ブレード生産においては、その品質要求の高さから、全ての製品についてX線(X-ray)による内部欠陥検査が求められますが、検査にあたっては、X線の資格を持った検査オペレーターが暗室の中、日々数時間に渡って目を酷使することとなります。当該検査オペレーターの負担を低減し、社内工数の削減を行うことを目的に、X線画像スクリーニング技術を開発し、AIによる自動判別検査の実現及びシステムの外販による収益拡大を目指しております。当事業年度においては、開発パートナー企業と、X線検査の工程と合否判定基準を共有し、アルゴリズムのコンセプト設計・要件定義を行い、画像解析ソフトの試作を実施いたしました。現在もアルゴリズムの妥当性を検証するため、試作ソフトの性能評価を継続しております。

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