企業兼大株主電源開発東証プライム:9513】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営の基本方針 

 当社グループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」というミッション達成のため、2050年に向けて発電事業のカーボンニュートラル実現に挑んでいくこと、そのマイルストーンとする2030年までのCO2排出削減目標の達成に一定の見通しを得て、2030年以降の世界も見据えたカーボンニュートラル化の加速に向けて、資本効率も意識しつつ国内外においてカーボンニュートラルアセット中心となる事業ポートフォリオへの変換を目指します。また、電力安定供給やレジリエンス(強靭性)強化の要請に応えつつカーボンニュートラル実現に取り組んでいくために、それを支える強固な事業基盤の構築を図っていきます。

 当社グループは、サステナブルな成長を実現し、その成果を全てのステークホルダーと共に分かち合い、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

(2) 当社グループを取り巻く経営環境と対処すべき課題

 世界的に低炭素化・脱炭素化が求められる中、電力については、発展途上国を中心とした安価で安定した電力への需要増大を満たしつついかにカーボンニュートラルにシフトしていくか、その現実的な解が求められています。また、流動的になりつつある世界情勢の中、電力の安定供給の重要性が増しています。

 わが国の電気事業に関しては、国レベルではS+3E(安全性を前提に、安定供給、経済効率性の向上、環境への適合を図る)という基本的視点に沿って、電力取引市場や温室効果ガス削減、送電網など、電力供給に関する制度・インフラについて様々な検討がなされ、実行に移されています。また、現実の電力需給においては、再生可能エネルギーの増加、需給構造の分散化・デジタル化、省エネの進展、資源価格の変動や物価上昇などにより需給構造が変化しつつあります。

 当社グループは、カーボンニュートラル実現による企業価値向上を目指す2050年に向けた長期ビジョンとしてJ-POWER“BLUE MISSION 2050”を策定しています。また、その実現に向けたより具体的な中期の計画として中期経営計画を策定しています。2024年5月9日には、前中期経営計画(2021-2023)の成果と課題を踏まえ、新たな中期経営計画(2024-2026)を公表しました。この新中期経営計画で示した5つの重点項目に注力することで、上述のように変化する環境の中で、電力安定供給と気候変動対応の両立を図り、企業価値の向上を目指します。


※1 電源開発送変電ネットワーク㈱(J-POWER送変電)の取組み

① 持続可能な収益源の確立と成長

a.国内再生可能エネルギー事業

 当社グループではカーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーの開発を加速してきましたが、競争が増す中、規模拡大だけでなく収益性を向上させる必要性もますます高まっています。このため、新規開発に加え、既存の発電所をより効率的な発電所に更新する取組みや稼働率の向上など既存資産を最大限に活用する取組みにより再生可能エネルギーの発電電力量を増大しつつ、コーポレートPPA※2など新たな販売方法の導入により環境価値の実現を目指します。

※2 企業や自治体などの需要家が、発電事業者から再生可能エネルギーの電力・環境価値を長期に亘って購入する契約


b.海外事業

 世界では今後も多くの事業機会が見込まれるため、それを取り込むことにより当社グループの成長につなげてまいります。発電事業のみならず、再生可能エネルギーなどの開発者利益の獲得を軸に、資本効率を改善しながら事業セグメントと事業エリアを拡大し、多様な時間軸で利益創出できるビジネスモデルへのトランジションを目指します。


② 2030年代事業ポートフォリオへの布石

 当社グループは2030年以降のカーボンニュートラル化の加速に向けて国内火力のトランジションを進め、資本効率も意識しながら、2030年代に国内外でカーボンニュートラルアセットが事業ポートフォリオの中心となるよう、変換を目指します。

a.CO2フリー水素・アンモニア戦略

 日本において電力を安定供給しつつカーボンニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーや原子力などのCO2フリー電源に加えて、火力発電も低炭素化・脱炭素化しつつ利用し続ける必要があります。当社グループはこれまでに火力発電資産を構築し、その運営経験・ノウハウ、脱炭素技術を保有しているため、これらを活用して低炭素化・脱炭素化を図ることで引き続き火力発電を収益源と位置付けることが可能になります。当社グループは将来的なCO2フリー水素発電を実現するための石炭ガス化発電(IGCC)技術※3を商用化するGENESIS松島計画※4の推進に加え、水素やアンモニア、CCS※5などサプライチェーンの上流から下流にわたる多様な可能性を追求することで、脱炭素技術の確保を図り、確実な火力トランジションを目指します。

※3 ガス化炉で石炭から水素や一酸化炭素などのガスを生成し、発電に利用する技術

※4 経年化した松島火力発電所に新技術の石炭ガス化設備を付加

※5 Carbon dioxide Capture and Storage、CO2の分離・回収・貯留

[参考]国内火力トランジションの方向性

 非効率石炭火力をフェードアウト※6するとともに、高効率火力も地点の特性を踏まえて最適な技術を選択し、電力安定供給に貢献しながら低炭素化・脱炭素化を図ります。

※6 発電所の休廃止や予備電源化


b.電力ネットワーク増強への貢献※7

 これからの再生可能エネルギーの大量導入に向けて、再生可能エネルギーの適地(北海道、東北、九州など)で発電された電気を消費地まで届けるための電力ネットワークの増強が要請されています。

 当社グループは、保有する佐久間周波数変換所の保守を通じて東西日本を結ぶ電力運用に貢献していますが、この増強計画を推進することで、電力系統の広域的運用に貢献します。また、これまでの実績を基に電力ネットワーク増強に貢献する事業機会を追求し、収益への貢献を図ります。

※7 電源開発送変電ネットワーク㈱(J-POWER送変電)の取組み

c.安全を大前提とした大間原子力発電所計画の推進

 当社グループは、青森県下北郡大間町にて、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する大間原子力発電所の建設を進めています。同発電所は、エネルギー安定供給を支えるベースロード電源であり、気候変動問題対応の社会的要請に応えるCO2フリー電源としての役割に加えて、日本政府がプルトニウムの保有量減少を求める中でフルMOX運転により多くのプルトニウム消費が可能となる原子燃料サイクルの中核を担う発電所として重要性が高まっています。

 現在は原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査中ですが、引き続き必要な安全対策などを着実に実施することで早期の建設工事本格化を目指し、長期脱炭素電源オークション制度※8の活用も念頭に置きながら大間原子力発電所計画を着実に推進します。

※8 カーボンニュートラル実現に資する新規電源投資を促すため、原則20年間にわたり落札価格が交付される入札制度

d.新たな事業領域の創造

 カーボンニュートラルへの移行やデジタル技術をはじめとするイノベーションの進展により、社会・経済構造の大きな変革が想定されています。当社グループはスタートアップなどへの投資と連携を通じ、当社グループが有する技術・ノウハウとの融合による価値創造を目指します。また、2024年4月に新たに立ち上げたイノベーションの実装を加速するための新組織により、価値創造の成果を新たな収益事業へと発展・加速させます。

③ 収益力・投資効率の向上

 企業価値の向上にあたっては、資本効率を高めることが必要です。当社グループはROIC(投下資本利益率)の導入を通じて、事業部門別の自律的な事業運営や、それぞれの事業特性を踏まえた資本効率向上策の検討・実践を促し、全社ROICの向上を目指します。

④ グループ競争力の強化

 個人を尊重し、多様な業務経験機会を確保し、従業員のチャレンジを支援する人財制度を整備・充実し、知恵と技術のさきがけとなる多彩な人財を育成し続けることで、日本と世界が直面する様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の向上を目指します。また、当社グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進ビジョン“DX 3S+D”※9の実現に向けた具体的施策の推進により人財の「よりょく」(余力(ゆとりの力)、与力(創意工夫の力)、予力(予測・予見の力)を表す造語)を創出し、グループ競争力の強化を目指します。

※9 「Strength 稼ぐ力+D データドリブン」「Smartness 効率性+D データドリブン」「Safety 安心・安全+D データドリブン」

⑤ ESG経営の深化

 当社グループはESG経営推進体制を整備し、また5つのマテリアリティを特定してESG経営を推進してきました。今後もPDCAサイクルを回しながらESG経営の深化を図ります。


(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、新中期経営計画において、2030年代に実現を目指す財務目標として「ROE8%以上」を設定しています。当財務目標の実現に向けては、ROIC(投下資本利益率)の導入を通じて、資本効率を高めることを意識しつつ、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として2026年度「連結経常利益900億円」を採用しています。

項目

経営目標

連結経常利益

 2026年度   900億円

項目

経営目標達成時の主な経営指標水準

親会社株主に帰属する当期純利益

 2026年度   620億円

ROE

 2026年度  5.0%程度

稼働資産ROIC※10

 2026年度  3.5%程度

(注)上記財務目標は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において予測できる事情等を基礎とした当社グループの合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

項目

非財務の目標

国内発電事業CO2排出量(2013年度実績比)

2025年度       △920万t

2030年  △2,250万t(△46%)

国内再生可能エネルギー発電電力量(2022年度比)

 2030年度までに年間+40億kWh

※10 (NOPAT+持分法投資損益)/(有利子負債+株主資本−非稼働資産)、NOPAT(税引後営業利益)には事業部門に直課可能な営業外損益・特別損益を含む

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