企業雪印メグミルク東証プライム:2270】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的と判断する一定の前提に基づいたものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

(1)目指す姿(存在意義・志)

雪印メグミルクグループの目指す姿(存在意義・志)

 当社グループは、2025年に北海道での創業から100周年を迎えます。

100周年を迎えるにあたり、2023年5月に、次の100年に向けて当社グループが進むための指針である「存在意義・志」のよりどころを「社会課題解決に向けた」創業の精神「健土健民」と定めました。


「健土健民」とは、「酪農は大地の力を豊かにし、その豊かな大地から生み出された牛乳・乳製品は最高の栄養食品として、健やかな精神と強靭な身体を育む」という、創業者のひとり、黒澤酉蔵の掲げた理想です。「健土健民」が生まれた時代、日本社会全体が貧困で満足に栄養を摂取することが出来ない社会でした。その社会課題を解決すべく「日本国内における安定的で豊かな食生活の充実」に取り組んだのが創業者たちでした。

 創業から100年が経とうとしている今、気候変動や地政学的リスク、世界の人口増などによって、「食の持続性」は危機に直面しています。食によって社会から認められ、事業活動を続けてきた私たちにとって、「食の持続性」を実現することは社会的責務であり、挑むべき最重要課題です。


 当社グループは、現在の社会課題である「食の持続性」への貢献を胸に、〈社会課題解決を目指す「健土健民」という創業の精神で、乳で培われた私たちの幅広い知見や機能(ミルクバリューチェーン)によって、「食の持続性」を実現する〉ことを新たに「存在意義・志」として掲げました。


社会的価値と経済的価値を同期化させた重要課題(マテリアリティ)


「食の持続性の実現」を「存在意義・志」として掲げたことに合わせ、事業活動と密接に結びつき、当社が優先して取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を定めています。

 当社グループは、本業を通じて「社会的価値」と「経済的価値」を同期化させ、「食の持続性」を実現することによって、企業価値を高めていきます。


サステナビリティ経営

 当社グループは、「食の持続性の実現」に向けて、コンプライアンスをベースに、「栄養を届け」、「環境に配慮し」、「人材を活かす」ことにより、「サステナビリティ経営」を推進していきます。サステナビリティ経営を進める上で、重要課題(マテリアリティ)を6項目抽出し、具体的な取組みテーマを設定しています。


※重要課題(マテリアリティ)の詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

 重要課題(マテリアリティ) https://www.meg-snow.com/csr/materiality/

「食の持続性貢献度」を基軸とした事業ポートフォリオへの転換

「食の持続性」を高め実現していくためには、強靭性の高い事業ポートフォリオへの転換が必要と考えました。そのポートフォリオの考え方は「食の持続性貢献度」による評価を基軸として据え、「市場成長性」と「当社収益性」を掛け合わせています。

「食の持続性貢献度」とは「食の持続性」を高めるための売上規模や国内酪農基盤への貢献度などを勘案した、当社グループ独自の指標です。本業を通じて、市場成長性×当社収益性で示す「経済的価値」をしっかりと高め、同時に、国内酪農基盤への貢献を目指すことで「社会的価値」を同期化させ「食の持続性貢献」を実現します。今後は、この事業ポートフォリオに基づき、「食の持続性の実現」による企業価値の最大化に向けて資源配分を行います。


中長期の環境認識

 グローバルの食料需給は、世界人口の増加や、様々な環境規制などによって、需要と供給の両面から今後引き締まっていくことが予想されています。また、食料の輸入依存度が高く、島国でもあるわが国は、食料安全保障に関しても課題が指摘されています。

 しかし、このような食料需給の変化は、将来に向けて牛乳乳製品の価値が一層高まることを示しています。今後さらに、当社グループの乳で培われた幅広い知見や機能(ミルクバリューチェーン)によって、新たな価値の提供を行なう機会が増えると想定しています。


価値創造のストーリー

 当社グループは、内部経営資源や自然資本等を使って、酪農生産者の生産する生乳を使用して商品を生産し、消費者へ届けることで価値を創造しています。また、酪農乳業を主軸に置き、当社グループの強みである乳で培った有形資産・無形資産や社会関係資本を活用し、海外市場や代替食品など新しいバリューチェーンの確立に挑戦しています。酪農乳業を原点として広がる、幅広い知見や機能「ミルクバリューチェーン」によって、乳を超えて価値を創造し、「食の持続性」を実現していきます。


(2)中期経営計画

 当社グループは、2023年5月に、「雪印メグミルクグループ 中期経営計画2025」(以下、中計2025)を策定しました。また、次期経営計画については、2025年度に発表予定です。

雪印メグミルクグループ 中期経営計画2025の全体像


 中計2025は、企業グループとして、強靭な事業構造、成長に不可欠な強靭な基盤づくりを進め、次の100年に向けた準備期間と位置付けています。中計2025では、世界的な金融引締めの影響やウクライナ紛争などの地政学リスク等に対処し、2020年度並みの営業利益200億円を目指します。その上で、中計2025期間後の早期にROE8%を目指します。


事業戦略および基盤戦略

「強靭性の獲得」のために、中計2025は、3つの柱からなる事業戦略と基盤戦略、およびそれらを支える財務戦略で構築しています。

①事業戦略

 事業戦略は“3つの柱”と“重要な6つの戦略課題”で構成しています。

1つ目の、「新たな成長のタネづくり」では、次の100年に向け新たな領域へチャレンジします。具体的には、「プラントベースフードへの参入」、「機能付加商品の育成」、「海外展開強化」を重要な戦略課題として取り組んでいます。

2つ目の、「基盤活用による物量の拡大」では、これまで設備投資を進めてきた磯分内工場や阿見工場のバター生産設備、大樹工場のナチュラルチーズ生産設備、発酵乳・デザート等の生産設備、ホクレンくみあい・雪印飼料㈱の飼料生産設備などの生産能力を最大限に活かした拡大を目指します。中でも、伸長余地の大きい「チーズの拡大」、酪農乳業の基盤である「白物拡大による市乳事業の成長」を重要な戦略課題としています。

3つ目の、「国内酪農生産基盤の強化・支援」では、国内酪農基盤の転換期(国内自給飼料指向・環境問題など)をチャンスと捉え、強靭な酪農基盤づくりへの取組み支援を行います。特に輸入飼料価格高騰で注目される「自給飼料拡大」を取組みの中心と捉えています。

②基盤戦略

 基盤戦略は、「事業を支える機能として『イノベーション』と『コミュニケーション』」を、「事業活動全ての基盤として『DX推進』と『人的資本の活用・成長』を、重点的に取り組む事項として定めました。

「イノベーション」では、成長への新しいタネづくりやそのための仕掛けの構築を行ない、「コミュニケーション」では、当社グループと社員を含む全てのステークホルダーの相互コミュニケーションやブランド価値、社員のエンゲージメント(信頼度・満足度)を高める取組みを行います。

「DXの推進」では、業務改革や新たな付加価値創造を進め、「人的資本の活用・育成」は、当社グループのすべての成長の原動力は人材であることを明確にして、多様な人材が個性や能力を発揮できる環境づくりと人材育成を進めています。


  ・DXの推進


  ・人的資本の活用・成長


財務戦略

 財務戦略では、財務の健全性を維持しつつ、営業キャッシュフローと資産圧縮を財源とし、積極的に基盤・成長への投資を行っていきます。併せて、配当性向(資産売却益を除く)40%以上を目標とした安定的な株主還元を実施していきます。

 経営指標目標は、2025年度の営業利益目標を200億円とし、中計2025期間中に2020年度並みの営業利益を達成し、最終年度のROEは6%以上を目標としています。

                                   (単位:億円)


※1 親会社株主に帰属する当期純利益

※2 投資金額は意思決定ベースであり、キャッシュアウトベースの数値とは異なります。

※3 株主還元方針の変更について、2024年5月14日付「2025年3月期配当予想(100周年記念配当)および

    株主還元方針変更に関するお知らせ」にて発表しました。

キャッシュアロケーション

3年間のキャッシュアロケーションでは、営業キャッシュフロー850億円以上を確保するとともに資産売却を進め、財務規律を維持した上で負債による調達も行い、325億円以上の資金調達を計画しています。

 資金需要としては、既存事業における基盤・成長投資に700億円以上、未来価値創造投資として新たな価値を創造する研究開発や新規事業等への投資を計画しています。株主還元は、配当性向(資産売却益を除く)40%以上を維持し、175億円以上を充当していく計画です。なお、資産売却により得られるキャッシュは、企業価値向上に資する投資へ充てる方針ですが、売却代金がその投資額を上回る場合は、株主還元も検討します。


資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

①現状認識 

 当社は、PBR1倍割れは課題であると認識しており、その要因は、低収益性と成長戦略に対する具体的な取組み状況および資本政策を示せていないことだと考えております。

ROEの向上および資本コスト低減の取組みにより早期にROE(資産売却益を除く)8%以上、PBR1倍超の達成を目指します。

②企業価値向上のための取組み

 ア.ROEの向上

 A.収益性・成長性の向上

 既存事業は、これまでに取り組んだ価格改定等の効果がコスト影響を吸収し、収益力は着実に回復してきており、コストアップに対する一定の耐性を発揮できたと捉えています。成長性の向上では、「海外事業」「プラントベースフードをはじめとする代替食品」「チーズ」「機能付加商品」の4つの事業領域を成長ドライバーとして取り組みます。

 B.資産効率改善

 政策保有株式の売却を進めており、2023年度は前年から純資産対比で1.9%減少し17.9%、銘柄数は14銘柄減少し53銘柄となりました。2025年度末までに純資産対比10%未満となるよう今後も縮減を進めていきます。また、市乳事業分野において資産効率向上のため豊橋工場と統合し生産を終了した名古屋工場の跡地を2024年4月に売却しました。

 C. 資本政策

2023年度は、1株当たり20円の増配を実施しました。また、中計2025の連結配当性向目標は30%以上としておりましたが、資産売却益を除く40%以上に変更しました。これらとは別に2024年度では100周年記念配当(1株当たり20円)を加算し、配当単価100円とする予定です。

 現在、新たな経営計画の策定に着手しており、その中で次期経営計画での資本政策と中計2025での資産売却に対する株主還元について検討し2025年5月に開示する予定です。

 イ.資本コスト低減

 株主・投資家をはじめとするステークホルダーのみなさまとの対話の強化と、情報開示の充実をはじめ、サステナビリティ向上の取組み、人的資本の活用や、DX推進の取組みを進めることで、資本コストの低減を図っていきます。


中計2025事業戦略の主な取組み

①プラントベースフード市場参入

 プラントベースフードブランド「Plant Label」(プラントラベル)を立ち上げ、2024年3月26日より全国にて、『恵 megumi ガセリ菌SP株 植物生まれ』(100g)、『Plant Label Pea Drink』(ピードリンク)(LL200ml)、『Plant Label Oat Drink』(オーツドリンク)(LL200ml)を発売しました。

 これまで「乳」で培ってきた幅広い知見や機能を活かした新たな植物性商品の発売で、プラントベースフード市場の活性化を図ります。私たちは、「食の持続性」という課題に対し、これからも新たな選択肢を提案していきます。


②機能付加商品育成

 機能付加商品は、健康寿命延伸ニーズの高まりを背景に、国内外で市場が拡大しています。

 国内では、現在発売中の商品群である「MBP」の機能認知度を高めるために、マーケティングを統合的に展開し、強化しています。

 また、2023年4月より、弘前大学と共同研究講座「ミルク栄養学研究講座(英語表記:Department of Precision Nutrition for Dairy Foods)」を開設しました。今後、産学連携による研究開発の成果を、順次発表していきます。

 海外では、アジア圏を中心に、機能性素材・乳酸菌素材の拡大推進に取り組んでいます。


③チーズ拡大

 国内では、チーズ拡大の戦略パートナーとして、株式会社ヨシダコーポレーションを子会社化することを決定しました。新規参入したプラントベースフード分野の開発・製造をはじめとするイノベーションの拠点として同社を活用し、新コンセプト商品のスピーディーな市場投入や、新たな需要開拓を進めます。同社とのシナジー効果を早期に発揮することで、中計2025の達成を目指します。

 海外では、当社グループの戦略エリアであるアジア地域(東南アジア・東アジア・オセアニア)の新たな拠点として、ベトナムに現地法人を設立し、更なる海外事業展開強化を図ります。また、ベトナム国内だけではなく、周辺国も見据えた事業展開を早期に開始することで、チーズ事業のグローバル展開を加速させます。


中計2025基盤戦略の主な取組み

①イノベーション(変革)~未来ビジョンプロジェクト発足と未来づくり部の新設~

2025年に創立100周年を迎えるにあたり、これからの新たな100年のマイルストーンとして、2050年の当社グループのビジョンを描く「未来ビジョンプロジェクト」を発足しました。さらに、未来ビジョンプロジェクトと連携して未来ビジョンの具現化を担う「未来づくり部」を新設しました。

 当社グループは、酪農乳業界全体の希望溢れる未来ビジョンを描き、力強いリーダーシップによって社会課題を解決する企業集団を目指します。

      ≪未来ビジョンプロジェクト(2023年4月1日発足)≫


②人的資本の活用・成長/DX推進

 人的資本の活用では、当社グループ従業員のワークエンゲージメント向上に関する取組みや、D&Iによる付加価値の創出等を進めています(※1)。

DX推進では、社内向け対話型AI「YuMe*ChatAI」の運用を開始しました。当社グループが長年にわたり蓄積してきた知識や知見のナレッジデータとAI技術を組み合わせ、オリジナルのプロンプト開発を進め、新たな価値を創造する取組みを行っていきます。

「YuMe*ChatAI」の中には、創業者のひとりで北海道酪農の父と呼ばれる黒澤酉蔵の考えや思いを読み込ませたChatbot「黒澤酉蔵さんbot」を搭載しています。創業者との対話を通じて創業当時の当社の使命が何であったか、改めて振り返ることが可能になりました。私たちは、DXによって創業から100年が経とうとしている現在においても、パイオニア精神を感じ・学び・継承し、日本国内のみならず世界にまたがる社会課題の解決を目指します。


※1 人的資本の活用・成長の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人的資本、

   多様性」をご参照ください。

(3)次期の経営環境及び優先的に対処すべき課題

 今後のわが国経済の見通しにつきましては、30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲等、経済に前向きな動きはみられるものの、海外景気の下振れリスクや物価動向の不確実性も依然として存在します。食品業界においては、外食需要におけるインバウンド拡大効果や健康志向の高まり、高付加価値商品の開発等で、堅調な市場環境が期待されるものの、原材料価格やオペレーションコストの上昇といった厳しい経営環境が継続することも想定されます。消費マインドは所得の改善等により上昇しつつありますが、商品購買時の選別が厳しくなる等、市場が変化していくことが想定されます。 酪農乳業界においては、乳価引き上げによる消費への影響や、バター・脱脂粉乳の需給アンバランス等による脱脂粉乳在庫の積み増しリスク等、課題への対応が求められています。生乳生産量はわずかに増加が見込まれますが、乳製品の消費動向によっては、需給は緩和にも逼迫にも振れる可能性のある不透明な状況であると想定しています。

 このような状況において当社グループは、中計2025の2年目にあたる2024年度の経営方針を「MOVE」とし、以下の重要な施策に対し積極的な取組みを進めていきます。


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