企業兼大株主関電工東証プライム:1942】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、経営会議等で合理的な検討を行っている。

 当社グループは、経営ビジョン『社会を支える“100年企業”へ』のもと、主力事業である建築設備と社会インフラ事業の融合を通して安全で快適なまちづくりに貢献し、社会やお客様にとって高い価値を提供することのできる『グリーンイノベーション企業』を目指している。

2021年度から3ヵ年の中期経営計画を策定し、生産性革新、収益基盤の再構築、将来の成長基盤強化、健全な経営活動の推進、ひといち力の向上という5つの重点方針を推進している。これに加え2022年度からは、サステナビリティを事業戦略に組み入れた経営を推進するため、さらに広い社会課題の中から当社グループが特に注力すべき課題としてマテリアリティを特定し、重点方針への落とし込みを行った。

 当社グループは、「脱炭素」と「レジリエンス(防災+BCP)」の領域に注力し、その先にある持続可能な都市や地域の形成に貢献するための基盤形成に努めている。

 なお、「サステナビリティ基本方針」、「マテリアリティ(重要課題)」の全文は、当社ホームページに掲載している。

https://www.kandenko.co.jp/

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①ガバナンス

 当社グループは、当社主管部門から構成される「ESG推進委員会」を設置し、サステナビリティ全般に関わる課題の抽出・検討、及び重要な方針や施策を立案し、経営会議、取締役会において審議・検討している。

 決定された方針や施策を経営計画、事業計画に組み込み実施するとともに、その進捗や成果をフォローし、更なる改善や新たな取り組みにつなげている。

②リスク管理

 主管部門と経営企画部が連動してリスクを抽出し、取り組み状況や事業環境を踏まえ、リスク対策を含む方針と施策を立案し、経営会議、取締役会への報告を行っている。

 また、このプロセスで特定したリスクと機会については、マテリアリティ(重要課題)にも照らし、中期経営計画、さらにはアクションプランに落とし込み、毎年度見直しを行っている。

(2)気候変動問題

 当社グループは、気候変動問題を、上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目として捉え、社内外の温室効果ガス排出量削減等に取り組んでいる。また、2022年6月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明している。

①ガバナンス

 環境関連課題に取り組むため、「ESG推進委員会」において、気候変動への対応を含む環境問題全体に係る重要な方針や施策を立案し、重要な方針については経営会議、取締役会において審議・検討している。

 決定された方針や施策を経営計画、事業計画に組み込み実施するとともに、その進捗や成果をフォローし、更なる改善や新たな取り組みにつなげている。

②リスク管理

 主管部門と経営企画部が連動して行っており、取り組み状況や事業環境を踏まえて方針や施策を立案し、重要な方針については経営会議、取締役会への報告を行っている。

 また、TCFD提言に沿って特定したリスクと機会については、マテリアリティ(重要課題)にも照らし、中期経営計画、さらにはアクションプランに落とし込み、毎年度見直しを行っている。

 具体的には、確からしさが高く影響の大きなリスクに対しては、財務影響を試算、経営戦略や財務計画に反映し、確からしさが低く影響の大きなリスクに対しては、今後の情報収集を徹底している。また、確からしさが高く影響が小さいリスクに対しては、財務影響の監視を継続している。

③戦略

 気候変動に伴い将来生じる可能性があるリスク・機会について、TCFD提言に沿ったリスク・機会を特定し、マテリアリティにも照らした上で、重要度の評価を行った。

 また、このうち炭素税導入と洪水・高潮被害に対して、公的機関の将来予測結果をもとに1.5℃・2℃・4℃上昇を想定したシナリオ分析を行い、当社が100周年を迎える2044年を見据え、2040年時点での財務影響を算定した。

 なお、TCFD提言に沿ったリスク・機会の特定及びシナリオ分析を用いた財務影響の算定にあたっては、外部専門家の支援を受けている。

a.気候変動に伴う重要なリスクと機会

 当社グループは、建築設備、情報通信設備、電力設備分野における企画から設計、施工、メンテナンス及びその後のリニューアルまで、一貫したエンジニアリングを提供している。

 気候変動に伴うリスクについては、1.5℃シナリオ、2℃シナリオの途上に影響が顕著となる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオへ至った場合に影響が顕著となる「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」の3つのシナリオを分析した。

 これに基づき当社への影響とその対応策をマテリアリティ(重要課題)にも照らして検討した結果、リスクについては一部未算出であるものの、短期から長期にわたり想定された。シナリオによってその影響は異なるものの、2030年時点で最大で当社単体の2021年度売上の約0.5%と算出した。

 機会については化石燃料から非化石燃料へのエネルギー転換、省エネルギー、再生可能エネルギー需要の増加、災害対策など重要な社会課題に直結し、短中期の対応が求められるという結論に至った。

 これらのことも踏まえ、当社グループは「社会インフラの維持・構築」という使命を果たすとともに、「脱炭素社会への貢献」という課題に対しても、「脱炭素」と「レジリエンス(防災+BCP)」のソリューションで応えていく。

「脱炭素社会への移行」と「自然災害の激甚化」に関するリスクと機会を検討するにあたっては、以下のシナリオを採用している。

 

・脱炭素社会への移行のシナリオ

国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5℃(NZE)、2℃(APS)相当となるシナリオ

 

・自然災害の激甚化のシナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5℃(SSP1、RCP1.9)、2℃(SSP1、RCP2.6)、4℃(SSP5、RCP8.5)相当となるシナリオ

 

 使用するシナリオ群

温度上昇帯

(2100年)

IEA

WEO

IPCC

RCP

IPCC

SSP

4℃上昇

RCP8.5

SSP5-8.5

(化石燃料依存)

2℃上昇

APS

(ネットゼロ宣言国は

全て達成)

RCP2.6

SSP1-2.6

(持続可能性重視)

1.5℃上昇

NZE(ネットゼロ達成)

SSP1-1.9

(持続可能性重視)

使用する

財務影響算定

炭素税導入

洪水

高潮

b.気候関連リスクの財務影響

 重要なリスクのうち、財務的影響が予測可能な炭素税導入と、影響が大きいと考えられる洪水・高潮の発生について、売上及び経常利益へのインパクトを算定した。財務影響は個別に想定したリスクの全てが同時に発生したものとして算定しており、当社単体の2021年度売上・利益に対する割合である。今後も算定の結果を踏まえたアクションプランを実践する一方、算定方法の精緻化と対象範囲の拡大に取り組む。

 イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト

重要なリスク

財務影響(2040年)

炭素税等の導入

1.5℃:売上の約0.2%(経常利益の約2.5%)

2℃  :売上の約0.1%(経常利益の約2.1%)

4℃  :影響なし

 ロ.自然災害による被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)

重要なリスク

財務影響(2040年)

洪水・高潮による

拠点の浸水

1.5℃:売上の約0.3%(経常利益の約4.8%)

2℃  :売上の約0.5%(経常利益の約7.8%)

4℃  :売上の約0.5%(経常利益の約7.8%)

c.気候関連リスクの財務影響・算定方法

 イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト

[算定方法]

 現在の二酸化炭素排出量×将来の炭素税価格

[使用した炭素税価格の将来シナリオ]

IEA(国際エネルギー機関)が提供するWorld Energy Outlook2021に記載される下記シナリオを採用

・1.5℃上昇:NZE2050(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)

・2℃上昇:APS(Announced Pledges Scenario)

財務影響

2030年(短期)

2040年

2050年(中期)

売上

経常利益

売上

経常利益

売上

経常利益

1.5℃上昇

約0.1%

約1.7%

約0.2%

約2.5%

約0.2%

約3.0%

2℃上昇

約0.1%

約1.6%

約0.1%

約2.1%

約0.2%

約2.4%

4℃上昇

(注)財務影響は当社単体の2021年度売上・利益に対する割合である。

 ロ.自然災害による追加コスト・被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)

[算定方法]

 自然災害による追加コスト・被害額(将来-現在)を計算

 追加コスト・被害額は、公的機関が公表するデータを用いて洪水・高潮発生時の各拠点の浸水深(現在と将来)を判定し、浸水被害実績に基づく国の算定方法に準拠して、拠点別にオフィス代替費用、売上減少額、資産毀損額を算定

[使用した浸水深の将来シナリオ]

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する下記シナリオを採用

・洪水:AR5(第5次評価報告書)のRCPシナリオ(2℃、4℃上昇相当)

・高潮:AR6(第6次評価報告書)のSSPシナリオ(1.5℃、2℃、4℃上昇相当)

財務影響

2030年(短期)

2040年

2100年(長期)

売上

経常利益

売上

経常利益

売上

経常利益

1.5℃上昇

(高潮)

約0.2%

約2.5%

約0.3%

約4.8%

約0.4%

約6.1%

2℃上昇

(洪水・高潮)

約0.3%

約5.6%

約0.5%

約7.8%

約1.0%

約16.8%

4℃上昇

(洪水・高潮)

約0.4%

約6.1%

約0.5%

約7.8%

約1.3%

約20.5%

(注)財務影響は当社単体の2021年度売上・利益に対する割合である。

④指標及び目標

 当社グループでは、温室効果ガス排出量の算定対象範囲を事業(単体)のScope1、Scope2、Scope3(現場の仮設事務所など共益費等にて支払われている電気使用量を除く)としており、算定の結果、当社単体の2021年度温室効果ガス排出量は、673,249t-CO2(ロケーション基準)、673,618t-CO2(マーケット基準)であった。今後Scope3を含む対象範囲の拡充に向けて取り組んでいく。

2022年7月に『2050年 温室効果ガス排出量実質ゼロ』を掲げたが、2023年度には、目標達成の実効性を高めるため、2030年再エネ導入100%により、『2030年 温室効果ガス排出量△50%(2020年度比)』(いずれもScope1、Scope2対象)にも取り組むこととしている。

 

・目標

『2050年 温室効果ガス排出量実質ゼロ』

 

・中間目標

『2030年 温室効果ガス排出量△50%(2020年度比)』

 

 算定対象範囲

2021年度温室効果ガス排出量

 

対  象 :当社単体(2021年度)

算定基準 :GHGプロトコルに基づく算定方法(注1)

算定範囲 :Scope1(燃料の燃焼)、Scope2(電気・熱の使用)、

Scope3(サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量)

※Scope1:CO2以外の温室効果ガス(SF6等)の使用実態について確認中

※Scope2:現場の仮設事務所など共益費等にて支払われている電気使用量を除く

 

区分

排出量(t-CO2)

Scope1(燃料の燃焼)(注2)

10,351

Scope2(電気の使用)

ロケーション基準(注3)

12,681

マーケット基準(注4)

13,050

Scope2(熱の使用)

746

Scope3

 

649,471

計(Scope1+2+3)

(ロケーション基準)

673,249

(マーケット基準)

673,618

(注)1  算定にあたっては、外部専門家の支援を受けている。

2  各燃料について、年間使用量×単位発熱量×CO2排出係数を計算し、これを合計したものである。各燃料の単位発熱量、各燃料のCO2排出係数は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」に基づく値を採用している。

3  平均的な排出係数に基づき算定している。(発電所から消費事業所までの距離を考慮した係数を用いる)

4  「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められた電気事業者別の調整後排出係数(2021年度報告用)に基づき算定している。(小売電気事業者と事業所間の契約で決定した排出係数を用いる)

(3)人的資本

 当社グループは、グリーンイノベーション企業の実現に向けた人材力・組織力を「ひといち力(人的資本・知的資本・心的資本)」と定義し、その向上に取り組んでいる。

「ひといち力」とは、社員はもとより、株主、お客様、地域社会など全てのステークホルダーの“豊かさと幸福”を実現するための人材力と組織力の融合であり、人的資本、知的資本、心的資本から構成されている。なお、心的資本とは、当社グループが創立時より体現してきた『社会やお客様のニーズに向き合い、最後までやり遂げる姿勢』や、『災害などの緊急時に発揮される行動力』を支える使命感などを示している。

①戦略

「ひといち力」を向上するため、人事・人材・調達システムの運用、人づくり、パートナーシップの維持・向上、職場環境づくりを一体で行っている。

 具体的には、要員計画、人材育成計画、調達方針を策定し、KPIとアクションプランによる進捗管理のもと、課題抽出と改善、方針・計画へのフィードバックを行っている。

a.人材育成方針

 イ.人材育成方針

 当社グループは、持続的成長に必要な「社会やお客様から信頼されるプロフェッショナル人材、並びにマネジメント人材」を継続して育成するとともに、従業員一人ひとりの能力の開発に取り組んでいる。

 ロ.人材育成の取組骨子

 当社グループは、継続して優れた人材を育成するための仕組みの構築に継続して取り組んでおり、具体的な取組骨子は次のとおりである。

 

・人づくり

OJT:職場での仕事を通じた指導・教育

研修:専門知識・スキルの教育

自己啓発:資格取得等、社員のスキルアップ支援

 

・人を育てる職場風土・環境づくり

 

・人材育成システムづくり(育成方法の標準化)

b.目指す人材の姿

c.働き方・休み方改革

 当社グループは、全ての職場において、社員一人ひとりが活き生きと働くことができる会社を目指すため、多様な働き方と休み方を推進するとともに、健康管理施策の充実を図っていく。

 基本方針

・経営層を含めた管理者による改革の主導・実践

・ワーク・ライフ・バランスへの意識転換

・産業保健体制の強化と自己保健義務の励行

d.ダイバーシティ推進

 当社グループは、2018年10月、「ダイバーシティ推進チーム」を設置した。性別、国籍、年齢、身体的特徴などにかかわらず、社員一人ひとりがそれぞれの能力を発揮できるよう「働き方・休み方改革」「人材育成施策」と合わせて活き生きとした職場環境づくりに努めている。

 また、従業員の多様な考え方を尊重することで、企業価値を高め、信頼され続ける企業を目指している。

e.女性活躍推進

 当社グループは、多様な人材がお互いの価値観や違いを尊重しながら活躍し、誰もが安心して働き続けられる魅力的な職場づくりを目指し、行動計画を策定している。

②指標及び目標

 当社は、以下に掲げるKPIを設定し、当社グループの「ひといち力」向上に取り組んでいる。

取り組みの方向性

KPI

目標年度

目標値

2021年度実績

若年層社員の育成

ビジネススキル研修受講者数

(業務職35歳以下対象)

2023

延べ450人

302人

グループ会社・協力会社の教育支援

合同研修受講者数

2023

延べ12,800人

4,967人

ダイバーシティ&インクルージョン

女性管理職数

2024

36人

(2019年度比2倍)

28人

(2022年度実績)

男性の育児休業取得率(注1)

2024

30%以上

10.9%

(2022年度実績)

コミュニケーション促進

アサーティブコミュニケーション研修受講者数(注2)

2023

延べ13,000人

8,312人

健康管理・健康サポートの充実

管理職の労務管理教育実施回数

2023

66回

22回

ハイリスク者(血圧、血糖値等が基準範囲外)に対する産業保健指導率

2023

80%以上

78.9%

(注)1  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。

2  風通しの良い職場環境をつくることを目的に「K.アサーション活動」を推進しており、「自分と相手を大事にし、気づきや疑問、意見を素直に声に出す」ことを習慣化することを目指している。

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