企業兼大株主紀陽銀行東証プライム:8370】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般に関する事項

①サステナビリティ基本方針

・経営理念である「地域社会の繁栄に貢献し、地域とともに歩む」の実現に向け、あらゆる企業活動において地域経済の成長と社会課題の解決に貢献します。

・ステークホルダー(地域社会・顧客・株主・従業員等)と当行グループ双方にとって重要な課題をマテリアリティ(重要課題)として設定し、中長期的な観点から経営と一体化した取組を推進します。

②マテリアリティ(重要課題)の特定プロセス

(ア)巨大な社会変化の潮流(メガトレンド)の整理

(イ)メガトレンドから地域社会を取り巻く社会課題を抽出

(ウ)当行グループの重要性とステークホルダーの重要性の2軸よりマテリアリティを特定

③マテリアリティおよび主な取組

 マテリアリティ
(重要課題)

背景と取組方針

主な取組

1 地域経済の発展

地域経済の持続的な発展なくして、当行グループのサステナビリティ経営は成立しないものと認識しております。経営理念における「地域とともに歩む」の実現のため、お客さまとの価値共創を通じて、地域経済の発展に貢献してまいります。

・適切なリスクテイクによる地域企業に対
 するファイナンス

・多様化する地域企業の経営課題に対する
 コンサルティング機能の発揮

・資産形成や資産承継に向けた個人資産運
 用の提案

・デジタルサービスやITコンサルティン
 グによる個人・事業者・地域のDX推進

2 人的資本の最大化と
  持続性向上

人材獲得競争や人材ポートフォリオの変化による人材不足は、スキル・ノウハウの伝承が円滑に進まず、適切な金融サービスが提供できなくなるリスクがあると認識しております。価値共創を支える人的資本の最大化と持続性向上に向け、人材育成及び社内環境整備を行ってまいります。

・人的資本経営の実践

・人材育成方針に基づくOJTとOff-
 JTによるスキル・ノウハウの承継

・社内環境整備によるワークエンゲージメ
 ント及びウェルビーイングの向上

・あらゆるAIツールを活用したボーダレ
 スなコミュニケーションの推進
・ダイバーシティ&インクルージョンの企
 業文化への浸透

・学びなおし(リスキリング)の浸透

3 ガバナンスとコンプ
  ライアンスの強化

社会課題が多様化する中、法令及び社会規範を遵守するだけでなく、地域金融グループとして自律的に社会的責任と公共的使命を果たしていくことが求められております。従業員一人ひとりの自律的なコンプライアンス意識の醸成を図るとともに、コーポレート・ガバナンスの充実に向けた取り組みを行ってまいります。

・コーポレート・ガバナンスの充実

・適切な情報開示によるステークホルダー
 との建設的な対話

・内部管理体制の強化と実効性の向上

・グループ役職員における行動憲章及び役
 職員行動規範の浸透

・顧客本位の業務運営及びクレジットポリ
 シーの遵守

・反社会的勢力、マネーローンダリング等
 管理体制の強化

4 気候変動への対応

気候変動への対応は、持続可能な地域社会の実現のため、優先して取り組むべき地域及び地球規模の課題であると認識しております。気候変動への対応において、地域企業としてリーダーシップを発揮してまいります。

・サステナブルファイナンスによる地域企
 業支援

・TCFD提言の枠組みを活用した気候変
 動対応

・責任ある投融資に向けた取組方針の浸透

・環境関連の各種イニシアチブとの連携

・当行グループにおける電気使用量の削減

5 オペレーショナル・
  レジリエンスの確保

高まるサイバーリスクや頻発する自然災害、激甚災害などが想定される中、当行グループには、地域金融グループとして業務の強靭性が求められております。業務の強靭性の確保に向け、グループ一体となり体制強化に取り組んでまいります。

・自然災害や激甚災害に対するBCPの強
 化

・サイバーセキュリティの強化

・業務中断から回復への体制整備及び訓練
 の実施

・リスク統制自己評価の活用によるリスク
 顕在化の防止

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

近年、世界中で異常気象や自然災害による被害が甚大化しており、気候変動への対応は、重要な社会課題となっております。当行は2021年11月にTCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)提言に賛同いたしました。気候変動がお客さまや当行に与える影響を把握し、リスクや機会に関して情報開示するとともに、脱炭素社会の実現に向けた施策に積極的に取り組んでまいります。

①ガバナンス

当行グループは、「気候変動への対応」をマテリアリティ(重要課題)として設定しております。サステナビリティ推進体制としては、取締役頭取を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しており、持続可能な環境・社会・企業統治(ESG)の実現に向けた気候変動や脱炭素社会への対応について、協議・検討を行っております。原則として年2回開催するサステナビリティ委員会において、具体的施策の決定や各目標額の策定、取組進捗の報告等を議題として上程し、都度取締役会へも報告しております。また、各本部・営業店一体となったサステナビリティ推進体制の強化を図ることを目的に、経営企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置しております。 

なお、2022年度においては、サステナビリティ委員会は6回開催されております。

②戦略

当行における気候変動に伴う「リスク(移行リスクならびに物理的リスク)」と「機会」は以下の通りであります。それぞれの「リスク」、「機会」に関して、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で定性的に分析しております。

リスク

物理的

リスク

オペレーショナルリスク

豪雨・台風、河川氾濫等の被害による当行営業拠点の毀損、事業停止、対策・復旧コストの増加

短期~長期

信用リスク

豪雨・台風、河川氾濫等の被害による取引先の資産(不動産担保等)の毀損、および取引先の操業停止に伴う財務状況悪化

短期~長期

移行

リスク

信用リスク

環境規制強化の影響を受ける取引先の財務状況悪化

中期~長期

技術転換・技術革新への対応による影響、および消費者ニーズの変化に伴う需要減少による影響を受ける取引先の資産価値毀損や財務状況悪化

中期~長期

機会

脱炭素社会へ向けたプロジェクトファイナンス推進や防災のためのインフラ投資による資金需要増加、取引先を支援するコンサルティング提供

短期~長期

<シナリオ分析>

今年度はTCFD提言に沿い、物理的リスクと移行リスクについて、一定のシナリオに基づき与信費用の増加額の試算を行いました。

物理的リスク

気候変動の影響により洪水等の発生が増加した場合の、当行不動産担保の毀損および当行取引先の業務停止による与信費用の増加額を算定しております。試算結果は以下の通りであります。

シナリオ

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のRCP8.5シナリオ

(4℃シナリオ)

対象地域

和歌山県、大阪府、奈良県、兵庫県

分析対象

事業性融資先

分析内容

事業性融資先の業務停止による売上高減少を受けた債務者区分の悪化、および不動産担保の毀損による与信費用に与える影響を算定

分析期間

2050年まで

分析結果

与信費用の増加額 最大30億円程度

移行リスク

各セクターを対象に定性的な分析を行った結果、移行リスクの影響が大きいセクターとしてエネルギーセクター(電力、ガス、石油小売)を選定し、分析対象としております。試算結果は以下の通りであります。

シナリオ

IEA Net Zero Emission2050シナリオ(NZE2050)(1.5℃シナリオ)

IEA Sustainable Developmentシナリオ(SDS)(2℃未満シナリオ)

分析対象

エネルギーセクター(電力、ガス、石油小売)

分析内容

シナリオに基づき、対象セクターについて「炭素税」や「電源構成の変化」等の影響を考慮した将来の業績変化を予想し、与信費用に与える影響を算定

分析期間

2050年まで

分析結果

与信費用の増加額 最大60~70億円程度

引き続き、シナリオ分析の高度化に努めてまいります。

③リスク管理

当行グループでは、気候変動リスクについて、中長期的に財務に影響を与える可能性がある「重要なリスク」と認識しております。2023年度のリスク管理方針にて、気候変動リスクの対応について明記しており、定量的な影響把握に努めるとともに、TCFD提言に基づき段階的に開示内容の充実を図ってまいります。

また、「責任ある投融資に向けた取組方針」を策定しており、環境や社会問題に真摯に向き合っている取引先に対しては、地域金融機関として適切な知見の提供や積極的な支援を行い、一方で、環境や社会に対してリスク・負の影響を与える投融資については慎重に判断し、その影響を低減・回避するよう努めてまいります。

④指標と目標

(ア)CO排出量(Scope1・Scope2)削減目標

当行グループでは、「2030年度に2013年度比70%以上削減、2050年度にカーボンニュートラル」をめざすこととしております。2022年度における当行グループでのCO排出量の削減実績は2013年度比65.0%となっております。

なお、2022年2月より、「本店」「向芝オフィス」「研修センタービル」において、再生可能エネルギー由来の電力を導入しております。

(イ)Scope3

銀行業にとって重要であるカテゴリ15「投資(株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用)」における排出について、エネルギーセクターへの融資を計測対象として算出いたしました。

(t-CO

 

2022年度

カテゴリー15(エネルギーセクター)

423,240※

その他カテゴリを含め、Scope3の開示強化に向けて情報収集、分析の強化に努めてまいります。

※環境省「金融機関向けポートフォリオ・カーボン分析を起点とした脱炭素化実践ガイダンス」に基づき、GHG排出量データが取得可能な先に対しては、ボトムアップ分析を、GHG排出量データが取得できない先に対しては、トップダウン分析を実施し算出。

(ウ)サステナブルファイナンス実行目標

サステナブルファイナンス(SDGs関連投融資やサステナビリティ・リンク・ローン等)の実行目標として7,000億円としております。(2022年4月~2030年3月)

2022年度の実行実績は、1,338億円となっております。引き続き、環境課題の解決や地域の持続的発展に寄与するファイナンスを強化してまいります。

(エ)炭素関連資産の与信割合

2021年のTCFD改訂を踏まえた4セクター(エネルギー、運輸、素材・建築物、農業・食料・林産物)の2023年3月末時点の炭素関連資産の与信割合は、30.3%となっております。

※日銀業種分類をベースに上記4セクターに該当する業種を選定し集計。

(3)人的資本の最大化と持続性向上

①人材育成方針

 多様な学びの機会を提供し、挑戦と成長を後押しする環境を整備することで、従業員一人ひとりの自律的な思考・行動を促し、求める人材像に向けた人材育成をめざす。

項目

主な施策

指標

 

2020年度
実績

2021年度
実績

2022年度
実績

2023年度
計画

学びの
機会の
提供

・行内研修及び動画コンテン
 ツの充実

・外部研修への派遣拡充

・自己啓発コンテンツの活用

・研修センタービルの自習室
 解放

・ポイント制度による学びの
 見える化

行内研修年間受講時間
(従業員1人あたり平均)

6.3時間

8.0時間

13.0時間

13時間
以上

KIYO Learning

年間動画視聴時間※

(従業員1人あたり平均)

3.0時間

3.5時間以上

外部研修派遣者数

44人

55人

69人

80人
以上

挑戦と
成長を
後押し
する
環境整備

・キャリアチャレンジ制度

・キャリア教育の拡充

・未経験業務に関する学びの
 機会

・公的資格取得の奨励

・タレントマネジメントシス
 テムの活用

・1on1ミーティングの実施

キャリアチャレンジ制度

(本部トレーニー)

利用者数

34人

107人

204人

250人

以上

ITパスポート取得者数

57人

372人

700人

以上

※ 「KIYO Learning」とは、2022年4月に導入した動画配信機能等を備えた行員向け教育システム

②社内環境整備方針

 従業員の心身の健康の保持・増進に向けた取り組みを推進するとともに、多様な価値観や働き方を受容する組織風土を醸成することで、従業員の働きがいの向上を図り、従業員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境を整備する。

 なお、従業員エンゲージメントの現状把握を目的として、全従業員を対象にエンゲージメント組織サーベイ(Wevox)を開始しました。<2022年度総合スコア:68.7>

 従業員エンゲージメントの状態を継続的に分析することで課題を明確化し、人的資本の最大化に向けた社内体制整備を進め、当行が掲げる長期ビジョンの実現を目指してまいります。

項目

主な施策

指標

 

2020年度
実績

2021年度
実績

2022年度
実績

2023年度
計画

従業員の
心身の健康の
保持・増進

・健康管理体制の充実

・多様な休暇制度

・メンタルヘルス研修
 の実施

人間ドック受診率

89.5%

87.0%

90.7%

90%以上

年間休暇取得日数※1

(従業員1人あたり平均)

15.7日

15.7日

15.9日

16日以上

多様な価値観や働き方を
受容する組織風土醸成

・多様な働き方の推進

・中途採用の強化

・女性のキャリア形成
 支援

育児・介護短時間勤務者数

82人

87人

102人

100人以上

中途採用者数

4人

12人

21人

30人以上

 うちキャリア採用

2人

7人

17人

 

 うちウェルカムバック制度

2人

5人

4人

 

女性役席者数※2

151人

153人

168人

175人以上

従業員の
働きがいの
向上

・従業員エンゲージメ
 ントの現状把握

・行内兼業の導入

・従業員持株会への加
 入促進

・人事考課ミーティン
 グの導入

行内兼業者数

20人以上

従業員持株会加入率

95.8%

95.3%

95.5%

前年度水準を維持

※1 産休・育休・欠勤等は含んでおりません。

※2 チーフ含む

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