企業兼大株主栗本鐵工所東証プライム:5602】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社は、今から114年前に「世の人々にあまねく衛生的で綺麗な水を届けたい」という栗本勇之助の想いから創業いたしました。以来、当社グループはその想いを継承し、世界の人々が安全・安心な生活を過ごせることを目指して事業活動を行ってまいりました。それらの取組を一層強化するため、2023年4月、「サステナビリティ基本方針」を制定いたしました。これからも、独自の技術、製品、サービス、最適システムの提供により、長期的な企業価値の向上を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

~サステナビリティ基本方針~

『継承と革新』で未来を創る!

 クリモトグループは社是及び企業理念に基づき、創業より培った技術と経験(=継承)、

 大きな壁を乗り越えるチャレンジ精神と創造力(=革新)で、

 すべての人々を幸福にするモノづくりを通じて、

 長期的な企業価値の向上を目指すとともに、

 社会と地球の持続的な発展に貢献してまいります。

(2) 気候変動に対する取組(TCFD提言に基づく情報開示)

 当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスクと機会に関して、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標の観点から情報を開示します。

① ガバナンス

 当社は、社会および企業の持続可能な発展を追求するために、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会を設置し、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進しています。

 本委員会は年2回の頻度で開催されており、重要議題の一つとして気候変動について議論をしています。決定した内容は取締役会に報告され、グループ全体の経営に反映されます。

2021年度には、カーボンフリー電力への切り換えやバイオ燃料の使用に関する件、GHG排出量削減に寄与する生産体制の件が取締役会にて議論され、当社は2030年度に温室効果ガス(GHG)排出量を50%削減(2013年度比)するという目標が決議されました。

 図1:サステナビリティ推進体制図


② 戦略

 気候変動によって生じるリスクと機会の影響を把握するために、シナリオ分析を実施しました。

・シナリオ分析方法

 気候変動による事業への影響を明らかにするために、以下の2つのシナリオを用いてシナリオ分析を実施しました。気候変動対応への積極的な政策・法規制により気温上昇が抑えられる1.5℃シナリオと、消極的な対応により気候変動が進む4℃シナリオを採用しました。各シナリオで分析のために参考にしたシナリオは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオと、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオです。RCPシナリオは、気候変動による物理リスク(物理的な影響)の分析のために使用し、IEAのシナリオは移行リスク(脱炭素経済への移行に伴う影響)の分析に使用しました(表1)。また、対象の時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するために重要な時点とされている2030年を設定しました。

 さらに、従来の財務項目と比較する際に、気候変動がもたらす影響度を把握するために、試算可能な項目については財務的影響額を試算しました(図2)。

 表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ

 

政策により気温上昇が抑えられる世界

気温上昇・気候変動が進む世界

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

概要

19世紀後半からの気温上昇が1.5℃に抑えられるシナリオ(2100年時点)。カーボンプライシング導入など脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。

19世紀後半からの気温上昇が4℃上昇するシナリオ(2100年時点)。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。

参考シナリオ

移行
リスク

IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)
IEA Sustainable Development Scenario(SDS)

IEA Stated Polices Scenario(STEPS)

物理
リスク

IPCC RCP 2.6

IPCC RCP 8.5

※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用

・シナリオ分析結果(表2)

<1.5℃シナリオ>

1.5℃シナリオでは、炭素税の導入や再エネ・省エネに関する政策・法規制の推進など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されます。当社事業へのリスクとしては、炭素価格(炭素税・排出量制度)に係る制度や再エネ・省エネ政策の導入、原材料コストの増加が挙げられます。そのため、再生可能エネルギー由来のカーボンフリー電力の導入や、生産設備の最適化によるエネルギー効率の見直しといった対応に取り組んでいます。今後は製品の軽量化や代替材料の導入なども検討していきます。一方で、機会としては、再生可能エネルギーの普及、お客様で使用される生産設備のさらなる省エネ化、自動車のEV化に伴う二次電池需要の世界的増加等が見込まれるため、再エネ・省エネ関連製品や二次電池製造プロセスの関連製品の売上増加が挙げられます。そのため、発電施設用バルブや発電用プラント機器などといった再エネ関連製品や、二次電池製造プロセスで利用される連続式二軸混練機といった省エネ関連製品・システムの戦略的拡販に取り組んでおります。

<4℃シナリオ>

4℃シナリオでは、気候変動によってもたらされる異常気象の激甚化などの物理的な影響が発生することが予想されます。当社事業へのリスクとしては、異常気象がもたらす風水災害による自社設備の被災や、それに伴う製品販売の遅延や停止が挙げられます。そのため、自社だけでなくサプライヤーを巻き込んだBCP対応の整備や、リスク低減を目的とした分散型調達を進めております。一方で、機会としては、異常気象の激甚化により、ライフラインシステムである送水網の拡張に伴う鉄管需要の増加が挙げられます。今後は、社会インフラに携わる企業グループとして、災害対応に係る製品の販売により一層注力していきます。

 表2:シナリオ分析結果

気候関連問題による影響

(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

自社の取組

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

脱炭素経済への移行に伴う影響

リスク

炭素価格の導入

[全社]炭素税や排出量取引など、炭素価格メカニズムが導入されることによって、企業の温室効果ガス(GHG)の排出量に応じて、支払う税金や排出枠購入などのコストが生じる。

・カーボンフリー電力の導入

・工場の設備最適化による生産性向上

・低炭素自動車への切り替え

(営業車)

化石燃料の使用に関する規制

[ライフライン]鉄管製造における化石燃料の使用が規制され、代替燃料の切り替えに伴うコストが発生する。

[機械システム]石油化学・鉄鋼業の顧客の売上が低迷し、関連製品の需要が減少する。

・バイオコークスの導入試験

 

プラスチック規制

[機械システム]プラスチック製造を事業とする顧客の売上が低迷し、関連製品の需要が減少する。

 

再エネ・省エネ政策の導入

[全社]再エネ導入により、電力コストが増加する。

[全社]企業の省エネ性が求められることで、設備の更新などが必要となり設備コストが増加する。

・工場の設備最適化による生産性向上

・ICP導入による設備導入の促進

情報開示義務

[機械システム]

・自動車や電池業界などを中心に製品あたりのCO2排出量の算定(CFP算定)が要請され、対応費用が発生する。

 ・CFP算定未対応の場合に、顧客の商品選好から除外される。

 

エネルギーミックスの変化

[機械システム]

石炭火力発電関連の製品の需要が低下する。

 

原材料コストの変化

[全社]

・製品の製造に使用する化石燃料の価格が変動する。

・原材料となる、鋼材や金属価格の高騰が生じる。

・原材料調達ルートの多様化

・代替品の検討

機会

リサイクル規制

[機械システム]

リサイクルに関する規制が強化され、リサイクル事業関連製品の需要が増加する。

 

再エネ政策の導入

[機械システム・ライフライン]

再エネの普及に伴い、再エネ関連製品の売上が増加する。

・再エネ関連製品の拡販

(発電施設用バルブや発電用プラント機器など)

省エネ政策の導入

[機械システム]

EVの普及に伴い、二次電池関連製品の需要が増加する。

・省エネ関連製品の拡販

(二次電池製造プロセス製品など

顧客・投資家の評判変化

[全社]環境に対する積極的な取り組みを開示することで、新たな顧客獲得や投融資機会が増加する。

・TCFD提言による情報開示

・CSRレポートによる環境情報開示

・グリーン調達の検討

気候変動による物理的な影響

リスク

異常気象の激甚化

[全社]

・納期遅延・代替品確保等の対応が発生する。

・自社設備が被災する可能性が増加する。

・顧客の被災による購買力の低下により売上が減少する。

・自社のBCP対応の整備

平均気温の上昇

[全社]

気温上昇により、夏季における空調費が増加する。

・適切な温度設定

労働条件の悪化
労働法制の強化

[全社]

・屋外での作業を伴う場合、夏季の猛暑により労働生産性が低下し、収益性が低下する。

・労働法制が強化される場合、労働環境改善が必要となる。

 ・職場環境の改善に資する設備投資

・健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定取得

機会

異常気象の激甚化

[ライフライン]
 送水網の拡張による鉄管需要の増加

・災害対応に係る製品の販売注力

 図2:財務的影響の試算結果 


③ リスク管理

 当社は、事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践を可能にすることを目的とし、リスクマネジメント体制を築いております(図1)。 気候変動がもたらすリスクに関しては、CSR委員会と連携しながら、全社的なリスクマネジメント体制に統合されています。当社のリスクマネジメント規定に則り、各事業部および関係会社に関連するリスクを3年毎の頻度で特定を行い、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会の専門部会であるリスクマネジメント部会にて棚卸しリスク一覧表を作成します。特定されたリスクは、リスクの種類・重大性・発生頻度または可能性・経営への影響度から評価されています。具体的には、リスクの種類を人的・物的・賠償・信用の4つに区分し、リスクの重大性(経営への影響度を含む)を4段階、リスクの発生頻度または可能性を4段階で評価したリスクマトリクス一覧表を作成(毎年4月または大幅な事業環境変化が生じた時に見直し)し、その結果をコンプライアンス・リスクマネジメント委員会が検討・承認を行っています。評価されたリスクを管理するために、対応策を検討し実行する専門部会を設置するとともに、委員会・専門部会での検討事項を従業員へ周知し、取り組みを推進・実行しています。以上のリスクマネジメント体制により、当社の事業に重大な影響を与えうるリスクが発見・特定され、経営計画に反映されています。

④ 指標及び目標

 当社は、自社のサステナビリティ経営の進捗および気候変動に対する政策等の影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2013年度比で50%以上削減することを目標として掲げています。今後は、目標達成にむけて、自社工場の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていきます。

表3:温室効果ガス(GHG)排出量[t-CO2]

 

 

          2013年度

          2021年度

自社の活動によるGHG排出(Scope1+Scope2)

76,134

62,823

(内訳)

Scope1(燃料の使用による排出)

50,015

44,600

Scope2(電力の使用による排出)

26,119

18,223

対象範囲:株式会社栗本鐵工所単体

 

 

(3)人的資本

① ガバナンス

 代表取締役社長を委員長とし、取締役を委員とする「人材開発委員会」を中心に、人材の活用(採用、配置、評価、育成)に資する全社的な方針・取り組みについて審議し、当社の人的資本経営を牽引する仕組みを設けております。

② 戦略

 イ.人事方針

 クリモトグループでは、「人は企業にとって最も重要な財産である」という視点に立ち、持続的な成長を実現するために、人事の考え方を次のとおり定めています。

◇組織風土の改革、社員の意識改革・行動改革をおこします

・社員全員に自らがチャレンジする機会を与え、それを支える体制をつくります。

・自己責任、自己完結型の組織づくりを推進します。

・組織に属する者のすべての能力を結集、発揮させ創造的・独創的な価値を生み出す組織風土をめざします。

◇働きがいのある職場づくりをおこないます

・ワーク・ライフ・バランスを推進し、また多様な人材が活躍できる柔軟な仕組みを作ります。

・年齢に関係なく、行動し成果をあげた者が公正に報われる制度を確立し、やりがい、働きがい、幸福感を感じられるような仕組みを作り、エンゲージメント向上を目指します。

◇ダイバーシティの取り組みを推進します

・「英知を育て、衆知を集める」との社是に則り、女性、外国人、障がい者、様々な職歴をもつキャリア採用者など、多様な人材が活躍することができる職場環境や必要な能力開発の機会を整備します。

・多様な価値観を結集し、最大限に活かすことにより、変化の激しい市場環境に対応し、持続的成長を実現することを目指します。

 ロ.人材育成方針

 企業理念の一文にある「私達はモノづくりを通じて、社員の幸せと人間社会の幸せを目指します」を受け、以下の基本方針を掲げその実現に努めております。

◇社員の能力開発と組織の活性化を通じて、付加価値ある製品やサービスを生み出し、顧客価値創造と社会貢献を実現します。

◇社員のキャリア形成と能力開発を支援し、社会人・組織人として社会に貢献できる能力と豊かな人間性の形成を図ります。

 具体的に取り組むテーマとして、主に以下の5項目に重点を置いて研修等の教育施策を展開し、社員の能力開発と組織力向上を推進しております。

・学習する組織風土の醸成

・企業経営の中核を担う基幹職層の組織マネジメント力の強化

・若手、中堅社員からの計画的なコンセプチュアルスキル(論理的思考力、問題解決力)強化

・次期経営幹部候補者、およびイノベーション人材の発掘・育成

・働き方改革、ダイバーシティ推進および持続可能な社会の実現に向けてのCSR教育

 ハ.社内環境整備方針

 前記の方針に基づき、現中期3ヵ年経営計画(2021~2023年度)にて人材に関する戦略を次のとおり掲げ、社内環境の整備に取り組んでおります。

◇変革・改革を奨励する企業風土づくり

・変革行動プロセスの評価

 失敗をおそれず挑戦する行動を高く評価し、その結果を能力開発に活用するために目標管理制度を見直します。

・働き方の多様化促進

 変化の起こりやすい環境を整備するため、「働き方」(ワークスタイル)の変革・多様化をはかるための業務プロセスを見直します。

・ダイバーシティの推進

 人材の多様化をはかるため、女性、障がい者、キャリア採用者の採用にかかる目標を設けて採用活動をおこなうとともに、その活躍を後押しする環境整備を進めます。

◇個人の挑戦や成長を促進し、強みを生かす人材マネジメントの仕組みの整備

・基幹人材の早期育成(経営人材・海外人材・リーダー等)

 将来の事業構想を踏まえて人材ポートフォリオの策定と分析をおこない、かつ基幹人材となる経営人材・海外事業人材・リーダー人材の早期育成をはかります。

・自発的なキャリア志向の醸成とキャリア開発に向けた体制の構築

 社員の一人ひとりが自身の強点・啓発点を認識することができる仕組みを設けると共に、リスキリングを含めた自主・自発的な能力開発・強化を支援するための仕組みやツール(研修プログラムや教育材料)を拡充します。

◇エンゲージメント(働きがい)の向上

・社員エンゲージメント向上への取り組み

 個人と会社の関係が対等に変化しつつあることを踏まえ、「期待度」と「満足度」のギャップを見ることで現状の職場状態の把握と組織課題を解決することにより、社員のエンゲージメント向上をはかります。

・魅力ある(特色ある)人事制度への改定

 「人生100年時代」の到来に備え、長期にわたって働きがいを持続できる基盤として「定年延長」を含め、社員が「成長」を実感できる人事制度を構築します。

③ 指標及び目標

 人的資本に関して、「多様性」と「働きやすさ」の観点から次の目標を掲げ、モニタリングしております。

指標

目標
(%)

2022年度実績
 (%)

備考

管理職に占める女性比率

3

0.3

2030年度目標

定期採用者の採用10年前後の継続雇用率

80

62.8

 

   対象範囲:株式会社栗本鐵工所単体

PR
検索