企業兼大株主東洋製罐グループホールディングス東証プライム:5901】「金属製品 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、1917年の創業以来100年以上にわたり、金属・プラスチック・紙・ガラス等、それぞれが持つ特性を活かし、人々のライフスタイルや社会の変化に応じて、さまざまな素材の容器を世の中に送り出してまいりました。

 当社グループは、2016年4月に制定した東洋製罐グループの経営思想のもと、次の100年に向けて、素材の開発と加工の技術を軸に、人々の暮らしをより豊かにし、環境にやさしいしくみを拡げ、さらなる発展と進化を目指しております。

〔東洋製罐グループの経営思想〕

 経営理念

 常に新しい価値を創造し、持続可能な社会の実現を希求して、人類の幸福に貢献します。

 信条

・品格を重んじ、あらゆる事に日々公明正大に努めます。

・一人ひとりの力を最大限に発揮し、自己の成長と共に社会の繁栄に努めます。

 ビジョン

・世界中の人に必要とされる斬新で革新的な技術と商品を提供するグループを目指します。

(2)目標とする経営指標

2021年度から5ヶ年の「中期経営計画2025」では、最終年度である2025年度に、売上高8,500億円、営業利益500億円、EBITDA1,100億円、ROE5%の達成等を数値目標として掲げております。また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、成長戦略と資本・財務戦略を両輪で進めるための取り組みとして定めた「資本収益性向上に向けた取り組み2027」では、「中期経営計画2025」の延長上の営業利益目標を設定するとともに自己資本の圧縮を進めることで、2027年度に株主資本コストを上回るROE8%以上の達成を目指します。「中期経営計画2025」および「資本収益性向上に向けた取り組み2027」の詳細につきましては、「(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題」をご参照ください。

< 進捗状況 >

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く外部環境は、物価の上昇や為替相場の急激な変動などにより、厳しい状況が続きました。

 当社グループの当連結会計年度の業績は、機能材料関連事業において磁気ディスク用アルミ基板の販売が需要低迷の影響により減少したものの、包装容器事業を中心とした売価転嫁の推進や、エンジニアリング・充填・物流事業における海外での飲料充填事業が好調に推移したほか、鋼板関連事業における車載用二次電池材の拡販により、売上高は9,506億63百万円となり、営業利益は338億50百万円となりました。

 経常利益は、持分法投資利益が減少したものの、為替差益を計上したことにより387億40百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失を計上したことにより、230億83百万円となりました。

 自己資本は、200億1百万円の自己株式の取得および162億36百万円の配当の実施をしたものの、保有上場有価証券の時価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加などにより、6,651億56百万円となりました。

 この結果、EBITDAは892億円、ROEは3.5%となりました。

 当社グループは、「中期経営計画2025」および「資本収益性向上に向けた取り組み2027」で掲げた経営数値目標の達成に向けて「収益性向上」を最優先と捉え、売価転嫁を引き続き重要経営課題とした上で、環境負荷低減や自動化・省人化等のコストダウンを進めると同時に、成長分野への積極的な投資を進めてまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

 当社グループは、創業以来100年以上にわたり、包装容器を中心として、人びとの生活に欠かせない製品・サービスを提供し、社会に貢献してまいりました。

 近年、当社グループを取り巻く事業環境は想定を超えて変化し、解決すべき様々な社会課題が顕在化しております。

 このような事業環境下において、当社グループは、2021年5月に、社会や地球環境について長期的な視点で考え、すべてのステークホルダーの皆様に提供する価値の最大化を図るべく、2050年を見据えた「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」を策定し、その実現に向けて、2030年に達成を目指す定量的・定性的な経営目標である「中長期経営目標2030」を設定いたしました。当社グループは、「中長期経営目標2030」を達成するためのアクションプランとして、2021年度から5ヶ年の「中期経営計画2025」を策定いたしました。また、成長戦略と資本・財務戦略を両輪で進めるための取り組みとして、2023年5月に「資本収益性向上に向けた取り組み2027」を策定いたしました。

 概要は次のとおりです。

①長期経営ビジョン2050「未来をつつむ」

 当社グループの目指す姿・ありたい姿を「世界中のあらゆる人びとを安心・安全・豊かさでつつむ『くらしのプラットフォーム』」と位置づけ、「多様性が受け入れられ、一人ひとりがより自分らしく生活できる社会の実現」「地球環境に負荷を与えずに、人々の幸せなくらしがずっと未来へ受け継がれる社会の実現」を目指します。

 そのために「食と健康」「快適な生活」「環境・資源・エネルギー」の3つの分野で、グループが一体となって、これまで培ってきた素材開発、成形加工、エンジニアリング等の技術・ノウハウを活用し、オープンイノベーション、IoT・DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するとともに、お客様やお取引先等をはじめとした志を同じくするパートナーと連携し、包装容器メーカーの枠を超え、社会を変える新たな価値を創造してまいります。

②中長期経営目標2030

「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」の実現に向けて、2030年に達成を目指す定量的・定性的な経営目標として設定した「中長期経営目標2030」の概要は次のとおりです。

(注)国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)イニシアチブの新基準「1.5℃目標」の認定取得を目指すため、2021年11月に、Eco Action Plan 2030の主要目標を以下のとおり上方修正し、2023年3月に「1.5℃目標」の認定を取得いたしました。

・事業活動でのCO2排出量(Scope1・2)35%削減 ⇒ 50%削減

・サプライチェーンでのCO2排出量(Scope3)20%削減 ⇒ 30%削減

※ SBTイニシアチブ…企業のGHG(温室効果ガス)削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する国際的なイニシアチブ

③中期経営計画2025

 「中長期経営目標2030」を達成するためのアクションプランである2021年度から5ヶ年の「中期経営計画2025」(以下、「本中期経営計画」といいます。)の概要は次のとおりです。

<基本方針>

 本中期経営計画では、“「くらしのプラットフォーム」へ向けた持続的な成長”を基本方針とし、「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」で掲げた目指す社会の実現に向け、3つの主要課題に取り組みます。

<3つの主要課題と施策>

a)既存事業領域の持続的成長

「多様性への対応」と「持続可能な社会の実現」の2つの軸と持続的成長の観点から、これまでの事業構造にとらわれず、果断に事業ポートフォリオの見直しを行うことで、既存事業領域の持続的な成長を目指します。

b)新たな成長領域の探索・事業化・収益化

 人びとのライフスタイルの変化や環境負荷の低減など、社会の多様なニーズや新たな課題を捉え、当社グループが培ってきた「素材開発」「成形加工」「エンジニアリング」などの保有技術をもとに、「食と健康」「快適な生活」「環境・資源・エネルギー」の領域において、新規事業を創出することで、新たな社会基盤を創造します。

c)成長を支える経営基盤の強化

 持続的成長のための経営資源の充実とガバナンスの強化を行います。

ⅰ)技術・開発

 パートナーとの共創や新技術の探索を通じ、事業創出のための研究開発を推進

ⅱ)IoT・DX

 デジタル技術の活用を通じたバリューチェーンの変革と事業領域の拡大

ⅲ)人材

 新たな価値創造につながる人材プラットフォームの整備

ⅳ)組織

 社会からの信頼に応えるためのコーポレート・ガバナンスの強化

<持続的成長のためのロードマップ>

 包装容器領域を基盤として、エンジニアリング・充填・物流領域におけるバリューチェーンの拡大と、鋼板関連事業・機能材料関連事業における光学用・電池向け部材等での成長を図るとともに、新規事業領域において社会課題解決の新しい仕組みを創出し、2030年度に連結売上高1兆円を目指します。

<投資・財務方針>

 事業活動と資産圧縮で創出したキャッシュを原資として、将来の成長や基盤強化等の投資を実施いたします。

a)投資

「くらしのプラットフォーム」へ向け、3,300億円規模の投資(M&A含む)を実施

目的

目安額

(億円)

備考

新たな成長分野・

領域の拡大

主な投資目的

■環境負荷低減・環境価値拡大のための投資

■包装容器製造の枠を超えたバリューチェーン全体でのシステム構築

■「食と健康」・「快適な生活」・「環境・資源・エネルギー」領域を中心とするビジネスパートナーやスタートアップ企業との共創による事業創出と育成

1,600

既存事業領域

の持続的成長

注力すべき既存事業領域における基盤強化

1,500

設備更新において、環境負荷低減や省人化・省力化を伴う形で極力行う

経営基盤強化

IoT・DXの推進、新技術開発、人材開発など

200

合計

3,300

※上記は計画時の目安であり、進捗状況・事業機会タイミング等の要因により、内訳を随時見直し、投資判断・実施

b)原資

・本中期経営計画期間において営業キャッシュ・フロー約3,800億円を創出

・政策保有株式を400億円規模売却し、成長分野への投資に活用

<株主還元方針>

 本中期経営計画期間中は、総還元性向80%を目安に株主還元を行います。

a)配当金

 連結配当性向50%以上を目安とする

1株当たり46円を下限とし、段階的に引き上げる

b)自己株式取得

 機動的に実施する

※資産売却等による特別損益は、原則として、総還元性向および連結配当性向を算定するうえでは考慮いたしません

④資本収益性向上に向けた取り組み2027

 資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、2023年度から2027年度までに成長戦略と資本・財務戦略を両輪で進めるための取り組みとして定めた「資本収益性向上に向けた取り組み2027」の概要は次のとおりです。

<取り組み方針>

 成長戦略と資本・財務戦略を両輪で進め、資本収益性の向上を図ります。

a)成長戦略:事業ポートフォリオの最適化

・エンジニアリング・充填・物流事業、鋼板関連事業、機能材料関連事業等における成長分野への経営資源投入

・国内包装容器事業を中心とした適正な売価転嫁、不採算事業領域・拠点の再構築

b)資本・財務戦略:資産効率向上

・段階的に拡充してきた配当および自己株式取得による株主還元を大幅に強化

・政策保有株式の一層の縮減

・不採算事業領域の資産圧縮、不動産の売却および価値向上

<KPIの設定>

 中期経営計画2025の延長上の営業利益目標をベースに自己資本の圧縮を進め、2027年度に株主資本コストを上回るROE8%以上の達成を目指します。

 

 

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

予想

2025年度

目標

2027年度

目標

2030年度

目標

業績

売上高

9,060億円

9,506億円

9,500億円

8,500億円※1

(参考:約 10,500億円)

10,000億円※1

営業利益

73億円

338億円

360億円

500億円

650億円

800億円

EBITDA

603億円

892億円

930億円

1,100億円

1,200億円

純利益

103億円

230億円

275億円

350億円

480億円

資本

収益性等

ROE

1.6%

3.5%

4.2%

5.0%

8.0%以上

 

自己資本

6,430億円

6,651億円

6,450億円

6,000億円

 

 

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

予想

2021~

2025年度目標

2023~

2027年度目標

 

株主還元

連結配当性向

(1株当たり配当金)

156.4%

(89円)

68.8%

(90円)

57.6%

(91円)

50%以上を目安

(46円を下限とし、段階的に引き上げ)

同左※25年間で

約800億円見込み

 

総還元性向

(自己株式取得)

156.4%

(-)

155.4%

(200億円)

166.7%

(300億円)

80%以上を目安

5年間で

約1,000億円

1 足元の売上高増加は、為替変動やエネルギー価格高騰に伴う売価転嫁等の影響も含まれることから、2025年度・2030年度の売上高目標は据え置きとしています。

※2 2026~2027年度の配当については2025年度水準を延長した試算としておりますが、実際の利益に合わせて配当方針を勘案のうえ決定いたします。

<ROE8%以上達成に向けた施策>

 利益(R)の増加および自己資本(E)の圧縮によってROE8%以上を目指します。

※ 2026~2027年度の配当については2025年度水準を延長した試算としておりますが、実際の利益に合わせて配当方針を勘案のうえ決定いたします。

a)事業ポートフォリオの最適化

 国内包装容器事業を中心に売価転嫁、不採算事業領域・拠点の再構築を早急に行い、成長分野での事業成長を着実に成し遂げ、2027年度での営業利益目標の達成を目指します。

<2023年度の進捗状況>

・包装容器事業を中心に、原材料価格高騰分の売価転嫁を実施したほか、不採算事業領域・拠点の検証を行い、成長領域へ経営資源をシフトいたしました。

・成長分野であるアジアでの飲料充填事業を拡大するため、タイのToyo Seikan (Thailand) Co., Ltd.において飲料充填設備を増設しました(投資額約55億円、2023年12月稼働)。

・鋼板関連事業において、大幅に伸長している車載用二次電池材への設備投資を行い、製造設備の新設・増設を行いました(投資額約155億円、2023年11月~2024年1月稼働)。

・今後の成長が見込まれるアジアでの充填事業を拡大するため、マレーシアにおいてホームケア製品、パーソナルケア製品などのOEM・ODMを行うPremier Centre Group Sdn. Bhd.の子会社化に向けた株式譲渡契約を締結いたしました。

<今後の施策>

・包装容器事業を中心に、過去のコストアップ分を含めたエネルギー費や、今後の増加が見込まれる物流費、人件費など、さらなる売価転嫁を行います。

・成長分野への経営資源のシフトをさらに進めるとともに、省人化によるコストダウンを実施いたします。

・引き続き伸長が見込まれる車載用二次電池材や飲料充填事業に対する設備投資を強化いたします。

・機能材料関連事業における光学用機能フィルムについて、中国市場における拡販を目指します。

b)株主還元の大幅な強化

ROE8%以上の実現に向け、新たに5期累計約1,000億円の自己株式取得を計画し、段階的に拡充してきた株主還元を大幅に強化いたします。

<2023年度の進捗状況>

200億円の自己株式取得を行いました。年間配当金90円と合わせ、2023年度における総還元性向は155.4%となる見込みです。

<今後の施策>

2024年度は300億円の自己株式取得を行い、年間配当金は1株につき91円とさせていただく予定です。

c)キャッシュアロケーション

 営業キャッシュ・フローおよび資産売却・資金調達を原資として投資・株主還元に戦略的に配分し、事業成長および資本収益性の向上を目指します。

<2023年度の進捗状況>

・有利子負債により資金調達・財務効率を改善するため、当社初の社債(グリーンボンド)を発行し、100億円の資金調達を行いました。

・保有不動産について、物件毎の利回り等を重視しながら売却、追加投資による用途の変更、現状維持の検討を行いました。

<今後の施策>

・2021年度から2027年度までに600億円の政策保有株式を売却する方針としており、2023年度までに約250億円を売却いたしました。残額は、2024年度から早期に売却してまいります。

・保有不動産について、2024年度以降、上記検討結果に応じた対応を行ってまいります。

 当社グループを取り巻く事業環境は、より一層厳しさを増すことが想定されますが、中期経営計画2025および資本収益性向上に向けた取り組み2027の諸施策を着実に遂行することで、持続的な成長を目指してまいります。

PR
検索