東京エレクトロンデバイス 【東証プライム:2760】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境
今後は世界全体が低成長経済の時代へ向かう中、いわゆる高効率スマート社会(Society 5.0)の到来が予測されております。また、AIやEV向けの需要の増加とともに技術革新が進み、半導体及び半導体製造装置市場も拡大基調で成長しつつある中、顧客のDX化とともにサイバーセキュリティが重要視されております。デジタル技術を活用した新たな製品、サービスの提供やAI、自動化技術の活用など、企業はさらなる変化が求められており、今後将来に渡り企業が求められる技術要素(Digital Transformation Technology)は、次のようなものが考えられます。
・AI用ハードウエア
・AIの応用による自立進化型セキュリティやサービスインフラ
・高効率なデータストレージ及びネットワークシステム
・自動運転システム
・高度な協働型ロボットシステム
・デジタル モノづくりに向けた革新的な計測システム
・次世代型製造システム
これらに必要とされる要素の多くは、当社グループが従来から取り扱ってきた製品・サービスや独自の技術開発分野と重なっており、これまで培ってきたアドバンテージを活かすことができると考えております。
(2) 経営方針
当社グループでは社会が向かう方向性を捉え、「デジタルトランスフォーメーションを実現する製品及びサービスを提供し、高効率スマート社会の持続的発展に貢献する」ことを経営方針としております。
(3) 中期経営計画
① 中期経営計画「VISION2025」
当社グループでは、企業価値向上に向けた現行の中期経営計画「VISION2025」(対象期間:2022年3月期~2025年3月期)を策定しております。
前述の「経営方針」に基づき、当社では事業の軸足を「技術商社機能を持つメーカー」へシフトすることを目指しております。
技術商社機能はデータビジネス・サービスビジネス・ストックビジネスを利益源泉とする高収益ビジネスへ移行し、成長分野の技術進展を支える半導体の販売を通じた顧客基盤の維持・拡大により、高収益ビジネスの礎へと進化させてまいります。また、当社がイメージするメーカーとしての重点ポイントは、次のとおりとなります。
・データサイエンス・画像処理・ロボティクスを駆使した モノづくりシステムメーカー
・設計量産受託サービスで培われた技術に基づくODMメーカー
・強力なシステム開発力・提案力を有する 設計開発部門
・マスカスタマイゼーション対応の 高効率スマート工場
これらを踏まえた、各事業分野の主な取組みは次のとおりとなります。
[半導体及び電子デバイス事業]
・強固な販路を通じ、取り扱い製品をベースとした課題の解決を顧客に提供
・主力製品を核としたデザインマニュファクチャリングサービスによる収益向上
・自社開発プラットフォームをベースとしたクラウドIoTビジネスの確立
・更なる業務の高効率を追求
[プライベートブランド(PB)事業※]
・データサイエンス・画像認識・ロボティクスを駆使した「モノづくりシステム」 の開発により、産業機器における知能化の実現/提供
・豊富な開発経験と高品質な製造基盤により顧客と共に成長が続けられる「受託開発・製造サービス」 を提供
※現在のセグメント区分上、プライベートブランド事業は半導体及び電子デバイス事業に含まれております。
[コンピュータシステム関連事業]
・新しいテクノロジーを取り込み、信頼性の高いコンサルティングとエンジニアリングを提供
・セキュリティやAIプロダクトビジネスに対する継続的な投資
・サブスクリプションビジネスやプロフェッショナルサービスの実現による収益性の向上と安定化
② 中期経営計画「VISION2030」
当社グループは、現行の中期経営計画「VISION2025」に続く、新たな中期経営計画「VISION2030」(対象期間:2026年3月期~2030年3月期)を策定しており、半導体やITを中心とする最先端テクノロジーを通して社会課題に向き合い、期待を超える価値を持つ解決策を提供することで社会の持続的発展に貢献することをミッション(経営方針)に掲げ、そのVISIONとして「メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社」と制定しております。また、「VISION2030」達成に向けた全社方針といたしましては、当社グループが持つ「メーカー」と「技術商社」の力により潜在的社会課題である顧客課題の解決を図るとともに、ガバナンス体制の充実を重視した経営に取り組み、持続的な利益成長に資する行動を推進してまいります。
これらのミッション(経営方針)及びVISIONに基づく、各事業分野の主な事業戦略等は次のとおりとなります。
[半導体及び電子デバイス事業]
・産業機器、車載関連機器、クラウドサービス、OTセキュリティ分野などの成長マーケットに注力
・半導体の専門知識を生かし、ソリューション型ビジネスを展開
[プライベートブランド(PB)事業※]
・計測、検査技術を核に、ウェーハ検査装置を中心とした製品をグローバルに提供
・半導体関連技術と高品質な開発・製造基盤を生かし、医療ODM及び基板OEMのサービスを強化
※現在のセグメント区分上、プライベートブランド事業は半導体及び電子デバイス事業に含まれております。
[コンピュータシステム関連事業]
・顧客のニーズを理解し、DXを支えるソリューションとサービスを提供
・顧客のデジタル技術活用を支援し、顧客満足度を向上
なお、資本政策を含む当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容の詳細については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 中期経営計画「VISION2025」
当初の計画では増益増収による持続的成長を目指し、2025年3月期を目標年度とした「財務モデル」を次のとおり設定しております。
| 財務指標 |
| 事業構造 | ||
|
| 売上構成 | 経常利益率 | ||
売上高 | 200,000百万円 ± 10% |
| コンピュータシステム関連事業 | 20% | > 13% |
経常利益率 | > 5% |
| 半導体及び電子デバイス事業 | 70% | > 2% |
ROE | > 15% |
| プライベートブランド事業 | 10% | > 10% |
前連結会計年度の業績や今後の事業環境を勘案し、当社が現行の中期経営計画「VISION2025」で設定した「財務モデル」のうち、「財務指標」の最新の見通しを2023年4月27日に次のとおり公表しております。
| 財務指標 |
売上高 | ≧ 250,000百万円 |
経常利益率 | ≧ 5.5% |
ROE | ≧ 20% |
② 新中期経営計画「VISION2030」
新たな中期経営計画「VISION2030」(対象期間:2026年3月期~2030年3月期)における財務モデル及び事業ポートフォリオについては、次のとおり設定しております。
| VISION2030 (2030年3月期) | ||
売上高 | 300,000~350,000百万円 | ||
| (事業別構成比) | コンピュータシステム関連事業 | 15% |
半導体及び電子デバイス事業 | 75% | ||
プライベートブランド事業 | 10% | ||
経常利益率 | ≧ 8% | ||
| (事業別経常利益率) | コンピュータシステム関連事業 | 12% |
半導体及び電子デバイス事業 | 7% | ||
| プライベートブランド事業 | 10% | |
ROE(株主資本利益率) | ≧ 20% |
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、IoT・ロボット・AI・ビッグデータといった先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れて経済発展と社会的課題の解決を両立していく高効率スマート社会(Society 5.0)の到来を見据え、デジタルトランスフォーメーション(DX)、即ち「データとデジタル技術を活用した製品やサービス、ビジネスモデルの変革等」に貢献していくための製品・サービスを提供してまいります。
当社グループは、現行の中期経営計画「VISION2025」に続く、新たな中期経営計画「VISION2030」(対象期間:2026年3月期~2030年3月期)を策定しており、半導体やITを中心とする最先端テクノロジーを通して社会課題に向き合い、期待を超える価値を持つ解決策を提供することで社会の持続的発展に貢献することをミッション(経営方針)に掲げ、そのVISIONとして「メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社」と制定しております。また、「VISION2030」達成に向けた全社方針といたしましては、当社グループが持つ「メーカー」と「技術商社」の力により潜在的社会課題である顧客課題の解決を図るとともに、持続的な利益成長に資する行動を推進してまいります。
同時に「VISION2030」におけるサステナビリティへの取組みに関して、「会社が培ってきたリソースを活かしたサステナブルな社会への貢献」、「基本的人権の尊重を根幹に据えた労働環境・人事制度の構築」及び「社会と会社の持続可能な関係を継続させていくための環境負荷の軽減」の3項目をマテリアリティ(重要課題)として設定し、「サステナビリティ委員会」を主軸として取り組んでおります。
人的資本・多様性の観点では、グローバルな視点で顧客満足を追求できる人材を育成し、社員の向上意欲を支援していくために個々の能力を伸ばす環境を整備することに加え、次世代リーダーの育成に注力してまいります。
気候変動関連については、関連リスク及び機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃シナリオ及び4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な当社グループへの影響を考察し、「半導体及び電子デバイス事業」、「プライベートブランド(PB)事業」及び「コンピュータシステム関連事業」それぞれにおけるシナリオ分析を実施いたしました。また、2050年度におけるカーボンニュートラルを目指すべく、2030年度の目標を設定(2021年度対比 50%削減)しており、この取組みの一環として、2023年10月よりエンジニアリングセンター(横浜市都筑区)を対象に、実質再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを実施しております。
これらの課題の解決に取り組むことで会社の持続的な発展(企業価値の向上)を目指してまいります。当社グループにおけるサステナビリティへの方針及び取組みの詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
なお、メーカーへの進化を志向する上で必要と考えられる将来的な事業成長のための投資を実行していくためにも、まずは利益率の高いビジネスを推進して一定の内部留保を蓄積するとともに、必要な資金を資本構成も考慮した最適な調達手段により確保していくことが課題であると認識しております。
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