企業兼大株主杏林製薬東証プライム:4569】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、時代とともに変化する社会の動き・課題を捉えながら、企業理念「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します。」のもと、企業行動憲章に基づく事業活動を通じてサステナビリティ課題(社会と企業の持続的発展)に積極的に対応することが、企業価値の中長期的な向上に結び付くものと考えています。この考え方に沿って、長期ビジョン、中期経営計画において、自社の強固な財務基盤や人的資源など様々なリソースを有効に活用し、コーポレート・ガバナンスを向上し事業を展開します。

(1)マテリアリティの抽出

 当社グループは、サステナビリティを巡る様々な課題から、中長期的な事業活動において解決に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を「価値創造(事業活動に直結する課題)」、「価値創造を支える基盤(事業活動の基盤に関する課題)」の観点で10項目抽出し、長期ビジョン「Vision 110」及び中期経営計画「Vision 110 -Stage1-」のもと、重点的に取り組むこととしました。

 詳細は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の優先的に対処すべき課題」をご覧ください。

<「価値創造」マテリアリティ>

マテリアリティ

関連する事業戦略

主な指標

1.医療ニーズに応える価値の高い製品の創出

⒜⒝⒟

 

臨床開発マイルストン

導入件数

2.製品価値の最大化

⒞⒟

 

新薬比率

主力製品の売上

3.高品質な医薬品の安定供給

⒞⒟

欠品、製品回収件数

<「価値創造を支える基盤」マテリアリティ>

マテリアリティ

関連する事業戦略

主な指標

4.人的資本の充実

働きがいアンケート主要スコア

5.多様な価値観を尊重した働き方改革の推進

女性管理職比率

男性育休取得率

障がい者雇用比率

6.健康経営の推進

健康診断/ストレスチェック受診率

7.環境に配慮した事業活動

CO2排出量削減率

8.コンプライアンスの徹底

重大な違反件数

9.コーポレート ガバナンスの強化

 

10.ステークホルダーとの関係強化

 

(2)気候変動への対応

 当社グループは、気候変動への対応を含む環境に配慮した事業活動をマテリアリティの一つとしています。サステナビリティを巡る取り組みの基本方針に基づき、地球環境・地域社会の環境への影響に常に配慮した事業活動を行います。

 このような基本的な考え方のもと、事業活動のあらゆる場面で、省エネルギー・省資源・廃棄物の削減、化学物質の管理強化など環境負荷物質の削減と限りある資源の有効利用を推進し、目的・目標の設定と見直しを常に行うことによって、環境保全及び汚染予防に主体的、かつ積極的に取り組んでいます。

<ガバナンス>

 気候変動対応を含む環境対策の実行・推進については、総務部の執行役員を委員長とする「環境委員会」を2023年4月に設置し、環境対策等を検討する体制の整備を行いました。総務部を統括部署とする同委員会には、地域社会の環境に関係する事業活動を行う工場、研究所及び経営戦略の担当役員/執行役員が参加し、環境問題に関する対応(ビジョン、目標、ロードマップ等)の検討・見直しを行います。環境対策の実行・推進等を役割とするEHS(環境、健康・衛生、安全)委員会とも連携し、気候変動におけるリスク、機会の特定、評価、更なる対応等を含めて総合的に取りまとめた上で、経営会議に上程、意思決定の後に、取締役会に報告されます。

<戦略>

 環境保全については、「地球温暖化防止」「資源保護」「自然環境との調和」を重点テーマとして目標値を設定し、限りある資源の有効利用を推進します。また当社グループの全ての工場は環境マネジメントシテムの国際基準であるISO14001の認証を取得しており、今後も維持・継続します。

 気候変動については、地球温暖化防止に向け、本社・事業所・研究所・工場のCO2排出量の削減を推進します。なお、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークを参考に、気候変動に関わるリスク及び収益機会を評価し対応するとともに、気候変動による事業への影響について、開示の拡充を進めています。

<リスクと収益機会の分析>

 地球温暖化や気候変動そのものの影響、及び気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化が当社グループの事業や経営に及ぼしうる影響について、脱炭素社会への移行リスク・気候変動に起因する物理的リスク・収益機会に分け、シナリオ分析を行っています。

 シナリオ分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書のRCP2.6(2℃シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)等を参考にしています。

■2℃シナリオ 移行リスク

分類

事象

リスク

対応方針

政策・法規制

環境税(炭素税)の導入

・環境税(炭素税)が導入され、研究・生産・営業に関わる温室効果ガスの排出に課税された場合、環境税の導入により、コスト増加となる可能性がある。

・CO2排出量削減活動の更なる推進

・再生可能エネルギー電力の移行

・営業車両削減及びHV車・EV車へ切替

・EHSマネジメントシステムの効率的運用

設備・機器の導入

・新たな法規制により、既存の設備を再生可能エネルギーに対応した設備に更新する場合、新規設置によるコストが増加する可能性がある。

・省エネルギー設備・機器の計画的設備更新

市場

調達・操業コストの変化

・電力の再生可能エネルギー比率を上げた場合、電力調達コストが増加する可能性がある。

・調達先・物流委託先の移行リスクへの対応により、生産原価・物流コストが増加する可能性もある。

・再生可能エネルギー電力の確保

・高効率機器の導入

・調達先・物流委託先等との協働による物流コストの削減

評判

投資家からの評価

当社の気候変動対策への遅れにより、投資家の信頼を失い株価へ影響する可能性がある。

・情報開示不足により、株価が下落する可能性がある。

・気候変動対策の実施状況等の適時・適切な開示

・外部調査への参加

■4℃シナリオ 物理的リスク

分類

事象

リスク

対応方針

急性リスク

異常気象(台風・大雨等)による直接的な被害

・局地的豪雨・台風の大型化等により、研究・生産・物流拠点が浸水し、操業停止及び修復費用が発生する可能性がある。

・自社拠点だけではなく、サプライチェーン(原料調達・出荷物流)が寸断される可能性がある。

・水害対策等を想定した設備計画の検討・実施

・緊急事態発生を想定した訓練の実施

・適切な在庫管理

・複数の原料調達先確保

慢性リスク

気象パターンの変化・気温上昇・海面上昇等による拠点・調達・操業の変化

・複数の研究・生産拠点が河川に近く、気温上昇による海面上昇、気象パターン変化による河川氾濫への対策、または拠点見直しによりコスト増加となる可能性がある。

・調達先・物流委託先の物理的リスクへの対応により、市場価格が上昇し、生産原価・物流コストが増加する可能性がある。

・気温上昇により、製造・保管・物流における空調の温度管理におけるコスト増加となる可能性がある。

・水害対策等を想定した設備計画の検討・実施

・適切な在庫管理

・BCP(事業継続計画)の観点から拠点の最適化の検討

・複数の原料調達先確保

・エネルギー効率の改善

 収益機会

分類

事象

リスク

対応方針

市場の変化

疾病動向の変化

・気温の上昇により感染症が増加し、当社のビジネスチャンスが拡大する可能性がある。

・感染症に関わる診断・予防・治療における当社製品の需要や適応範囲が拡大する可能性がある。

・ソリューション提供型への変貌

・FC(フランチャイズ・カスタマー)領域でのプレゼンス確立

・パイプライン拡充への積極投資

<指標及び目標>

 環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の活動と存続に必須の要件として主体的に行動し、「2050年カーボンニュートラル」の実現に挑戦します。具体的には、CO2排出量を2030年度に2015年度比46%削減することを目標値に掲げています。

(3)人的資本

 当社グループは、事業は人にありという創業者の思いから、人材の成長こそ事業の強化を支える原動力と考え、人的資本の充実に取り組んでいます。また、全社員が全ての人々の人権を尊重し、高い倫理観を持って行動することが重要だと考えています。そのために社員一人ひとりの多様性・人格・個性を尊重し、健康への配慮や安全で働きやすい社内環境を整備します。

<戦略>

①人権尊重

 当社グループは、コンプライアンス・ガイドラインに明記した「世界的に認められた人権に関する国際規範を理解するとともに、一人ひとりの価値観や人格を尊重し、あらゆる場面において差別的な行為を一切せず、立場や役割が異なっていても互いに一人の人として対等に接します」に沿って、全ての人々の人権を尊重する経営を行います。またセクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休暇・介護休暇に関するハラスメント、パワーハラスメント防止等の取り扱いを定め、社員の人格を尊重し、働きやすく快適な職場環境を整備していきます。

②人材マネジメント

 人的資本の充実においては、社員を大切にし、人と組織を活性化することが、事業戦略を遂行し成果を具現するための重要課題であると認識しています。当社グループは、社員と会社は、双方から期待される責務を、長期にわたって継続的に果たすことを通じて、相互の利益(社員は会社の発展に、会社は社員の生活の充実・自己実現に貢献する)を実現するパートナーであるという、人材マネジメントシステムの基本的な考え方のもと、採用、配属、成長(育成)、評価、異動、報酬、福利厚生等の仕組み(制度・基準・規程など)の構築と適正な運用を推進します。

<指標及び目標>

①働き方改革

 働き方改革関連法に基づく長時間労働是正への取り組みを進めるとともに、多様な働き方への対応を進めます。その一環として、子育て/介護にあたる社員の支援:育児や介護等のライフサイクルに応じた生活支援を行うことにより、仕事と家庭を両立しやすい環境づくりとともに、社員が健全な家庭生活を背景に充実した生活を送ることができる環境の整備を進めます。男性育児休暇取得率も50%以上(2025年度)を目指します。

②女性活躍の推進

 女性活躍推進に関する取り組みを通じて、女性社員が自らの能力をいかんなく発揮し、活躍できる環境の整備を進めます。2030年までに管理職の女性比率15%の達成を目指します。

 当該指標及び目標に対する実績は、「第1 企業の概況 5.従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

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