企業明星工業東証プライム:1976】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、近年「エネルギー」と「エコロジー」の豊かな共存こそが企業に課せられた重要なテーマといわれるなかで、「顧客の創造と信頼の確保」、「社会への貢献」、「未来への挑戦」の3つの経営理念に基づき、コア事業である断熱工事・技術を通じてエネルギーの有効利用に貢献するとともに、事業領域の拡大を図り、燃焼技術を基礎としたボイラの製造・据付、クリーンルーム内装工事、冷凍冷蔵低温設備工事及び環境関連等に取組んでおります。

 こうしたなかで、当社グループの技術力は多業種にわたるユーザーから高い信頼を得るとともに、地球規模の課題である省エネルギーや環境保全を推進することで、企業としての社会的責任を果たすために尽力しております。

(2)経営戦略等

 当社グループは、企業が国内労働人口の減少に伴うビジネスモデルの変革や地球温暖化への対応を進めるなか、将来の当社としてのあるべき姿を見据えて、2024年4月から中期経営計画(2024年度~2026年度)を新たにスタートさせました。本計画は、「未来の躍進に繋げる投資」を基本方針として、サステナビリティ経営の確立を目指す一方、企業風土の醸成、当社グループ内の意識改革を図り、脱炭素社会に向けた新たなビジネスチャンスを創出するため、三つの重点施策を掲げております。

①収益基盤の持続的な強化

 既存事業であるプラントのメンテナンス工事と新規建設案件のさらなる受注拡大のためには新規顧客の開拓およびシェアアップは必要不可欠であり、営業・工事・技術部門が顧客からの信頼を得ることで既存事業の深化・進化を図り、収益基盤の強化に努めてまいります。

②持続的な成長戦略の展開

 当社グループの主要顧客であるわが国の素材産業は、設備の運転最適化と保全効率化ならびに再生可能エネルギーやカーボンニュートラルへの対応を進めており、当社が将来に亘って持続的な成長を遂げていくため、これらに対応するとともに事業ポートフォリオの再構築を行ってまいります。同時に、断熱以外の業際分野にも取り組んでいくことで事業の多角化を図ってまいります。また、世界的なエネルギー需要の高まりを背景とした海外市場においても積極的な受注活動を展開してまいります。

③経営基盤の強化

 事業環境が劇的に変化していくなか、経営基盤を強化するためにはデジタル化やグローバル化、顧客ニーズの多様化などに適応できるよう、タイムリーな経営戦略の策定、組織体制の整備と人材育成、財務・リスク管理を恒常的に見直していくことが必要となります。引き続き、経営の透明化・効率化・最適化を推進してまいります。

 当社グループは、新たな事業環境下においても常に一歩先をリードするべく挑戦し、経営環境の変化が厳しい中でも持続的に成長できる収益基盤を確立できるように取り組んでまいります。

(3)経営環境

 当社グループの事業を取り巻く経営環境は、建設工事事業におきましては、老朽化設備の維持・更新を中心とした設備投資をはじめ、再生可能エネルギー、CCS(二酸化炭素回収・貯留)、合成メタン、既存設備の温室効果ガス削減に向けての投資が期待されます。また、海外領域では、エネルギー需要の増大によって中長期的にプラント市場が拡大していくことが見込まれることから、今後も顧客の受注動向を注視していく必要があります。

 ボイラ事業におきましては、設備増強投資や既存ボイラの更新投資は継続しており、バイオマス発電も地産地消型の小規模発電設備の需要は増加してくるものと思われます。

 今後の経営環境につきましては、資源価格の高騰による世界的なインフレが小康状態となり、堅調な企業業績による設備投資の進捗および原材料コストや人件費増を価格転嫁することで国内経済の下支え要因となる可能性があるものの、一方では日銀が従来の金融政策を維持する方針を示したことによる円安・ドル高進行の懸念と、長期化するウクライナ情勢と中東問題、米国大統領選挙の結果によるグローバル経済への影響など、先行き不透明感が長期化するものと思われます。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、2024年度開始の中期経営計画(2024年度~2026年度)の目標達成に向けて、「未来の躍進に繋げる投資」の基本方針のもと、「改革、スピード&チャレンジ」の行動指針をグループ全体に浸透させ、脱炭素案件の獲得に向けた情報の収集及び情報の共有を図り、将来的なエネルギー源となる水素・アンモニアに係る防熱技術・工法の開発等、未来に向けた持続的成長戦略を展開してまいります。また、ESG課題に取り組みながらサステナビリティ経営を実践するとともに、より強固なコーポレート・ガバナンス体制の構築ならびにコンプライアンスを徹底し、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えできるよう企業価値の向上に邁進する所存です。

 セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。

①建設工事事業

 主要な事業対象である石油・石油化学分野における設備投資の伸び悩みや国内マーケットの縮小、価格競争の熾烈化などにより、引き続き厳しい事業環境となるものと予想されます。海外では環境負荷が比較的少ないエネルギー源である天然ガスの需要が引き続き高いと想定され、産油・産ガス諸国におけるプラントの新設や既設プラントの増設・改造計画の進展が期待されます。

 当社グループでは、海外工事の受注獲得に注力し、国内においても顧客企業の設備投資動向が不透明な中、メンテナンス工事等を基礎にして周辺事業と合わせて着実な積み上げにより収益の確保を図ってまいります。

②ボイラ事業

 近年増加している自然災害による事故等により、社会が求めるエネルギーのニーズが安定供給と安全確保にシフトしており、特に自然エネルギーを活用した再生可能エネルギー発電事業に注目が高まっております。その中でも、バイオマス発電については、原燃料の需給バランス不均衡が懸念されるものの、低炭素化や未利用資源の有効活用、地域産業の振興等への寄与が期待され、その需要は当面根強くあると考えられます。

 当社グループでは、バイオマス発電や産業用ボイラの新設工事受注に注力するとともに、業績の基盤を補完するメンテナンス工事を安定的継続的に確保するとともに、調達チャネルを多様化し、コスト競争力の強化を図ってまいります。

 なお、現在、三重県亀山市において、2025年3月期中の稼働を目指して、主力製造拠点である京都工場に代わる新工場(中部事業所)を建設中であります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として用いており、各指標等の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度

 

(単位:百万円)

指標

2023年5月公表

年度計画

実績

増減

対予想比増減

売上高

55,000

60,377

5,377

9.8%

営業利益

6,600

8,061

1,461

22.2%

経常利益

6,700

8,548

1,848

27.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

4,670

6,243

1,573

33.7%

 なお、経営指標については各種のものがあり、それぞれが企業の健全性、収益性、効率性等の一面を示すものとして有効であることは承知しておりますが、経営に当たっては特定の指標に限定せず、総合的な判断が必要であると考えております。

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループを取り巻く主要関連市場におきましては、熾烈な受注競争に加えて2024年問題に見られる労働力不足の問題や調達価格の上昇など、今後も厳しい事業環境は続くものと思われますが、世界的に脱炭素社会に向けた取り組みが本格化しており、関連投資の需要により、新たな収益確保の機会が期待されます。

 このような情勢に対処するため、中期経営計画に基づき脱炭素社会に向けた技術力・施工能力の向上、企業として持続的に成長していくための事業戦略の構築及び業界におけるシェアアップや新規顧客の創出に努めてまいります。

 また、持続的にコーポレート・ガバナンス体制を強化し、サステナビリティ課題に対して取り組みながらコンプライアンスの浸透ならびにリスク・マネジメントを徹底し、経営諸施策を着実に遂行し企業価値をより高めるために取り組んでまいります。

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