日立建機 【東証プライム:6305】「機械」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営方針
当連結グループは、「豊かな大地、豊かな街を未来へ 安全で持続可能な社会の実現に貢献します」というビジョンを掲げ、全従業員がグループ共通の行動規範であるスピリット「Challenge Customer Communication」の下、「お客さまの課題をともに解決する、身近で頼りになるパートナー」として、お客さまの期待に応え、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、ともに新たな価値を創造し続けます。
これにより事業競争力とグループ経営力の強化を追求し、収益性の向上とキャッシュの創出力を高め、また、SDGsやESG等を経営課題として、持続可能な社会の構築と事業成長を実現することにより、企業価値の増大と更なる株主価値向上をめざします。
(2) 中期経営計画の進捗
当社は、2023年を初年度とする新中期経営計画(BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ)を推進しています。2025年度までに着実な成長を実現し、成果へ結びつけることができるよう、事業環境の変化に対応しながら、中期経営計画の目標達成をめざします。
事業環境の変化 企業を取り巻く社会・技術・経済環境の変化に伴い、競争環境も大きく変化しています。電動化を含む、脱炭素技術開発の加速や、施工現場のデジタル化、自動運転等、異業種との競争・連携が活発化しています。 |
日立建機のグループアイデンティティ 当社グループは、2022年、米州の独自展開、資本関係の変化といった事業環境の変化を受け、独自のグループアイデンティティを策定しました。 ミッションに掲げているように、お客さまの期待や課題に迅速にお応えして、卓越した技術をベースに、革新的な製品・サービス・ソリューションを、お客さまや連携パートナーと協創していきます。 そして、この取り組みを通じて、ビジョンである豊かな大地、豊かな街を未来へつなげるための新たな価値を創造し、安全で持続可能な社会の実現に貢献していきます。 |
中期経営計画の経営戦略の柱
今中期経営計画では、4つの経営戦略の柱を掲げており、中でも「革新的ソリューション」に最大限注力することで、日立建機グループは真のソリューションプロバイダーになることをめざしています。それこそが、我々のグループアイデンティティの中のミッション「お客さまの期待に応え、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、ともに新たな価値を創造し続ける」ということになります。
以下の図は、経営戦略の柱にもとづく中期経営計画の主要な重点施策です。2023年度の取り組み成果を5件紹介します。
1.1)顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供
~コンストラクション・コンパクト事業でのお客さま・異業種パートナーと協創してエコシステムを構築~
当社グループは電動ショベルの開発・販売を始めていますが、建設土木業界全体としての普及率は高くありません。それは、実際の建設現場には、ハードだけを提供したとしても解決ができない課題が、依然として多く存在しているためです。
こうした課題に対してソリューションを提供するためには、日立建機単独では対応が難しく、異業種のパートナー企業との協業が不可欠です。
具体的な事例として、電動の建設機械に欠かせないインフラである可搬式充電設備での協業について紹介します。
日本市場向けには、九州電力(株)との共同開発を開始しました。また、欧州市場向けには伊藤忠商事(株)からファイナンスの支援や協力を受けて、オランダアルフェン社の可搬式充電設備の販売・レンタルを開始します。次に、パートナー企業との協創を実現する場として、新たな研究拠点「ZERO EMISSION EV-LAB」を千葉県市川市に開設しました。電動の建設機械・機材が稼働する現場を再現したデモエリアや、来場者と意見交換し、新たなアイデアを生み出すコミュニケーションエリアを設け、お客さまや異業種のパートナーと建設現場のゼロ・エミッション実現に向けての課題や可能性について探索できる場にしていきます。
1.1)顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供
~マイニング事業での、デジタルプラットフォームによるサイトソリューションを構築~
当社グループの事業領域である、採掘(Pit)から選鉱(Plant)領域の多様なタッチポイントにおいて、日本、カナダ、オーストラリアの3拠点から複数の鉱山現場での稼働状況をモニタリングしています。
鉱山機械・鉱山運営・ソフトウエアなどの専門分野に精通した人財が、先進的デジタル技術を駆使して、複数の鉱山現場からリアルタイムに取得したあらゆるデータを蓄積・分析・解析し、それぞれのお客さまが直面している課題に対して、ソリューションを提供しています。
現時点では、掘削、運搬工程が主なモニタリング範囲ですが、順次範囲を拡大し、鉱山全体の効率化・最適化に貢献する取り組みをめざしています。
2)バリューチェーン事業の拡充
~再生品生産能力を拡張、グローバル最適生産体制を確立~
国内では、現在、土浦工場と常陸那珂工場に分散している再生工場を、2024年度中に兵庫県にある播州工場に集約・統合し、再生のマザー工場として、グローバル連携を強化します。
集約・統合によってスペース制約を改善し、再生部品の取り扱い量を増やすことで、2030年度には再生事業の売上収益を約800億円まで伸ばす計画です。
海外では、米州の再生事業を強化しています。これまでは、各代理店が対応できる範囲で再生事業を行っていましたが、2023年度以降は、日立建機アメリカInc.が米州全域の再生事業を統括し、日立建機トラックLtd.が超大型油圧ショベル、ダンプトラック向け部品の再生を行います。さらに、H-E Parts社は、得意とする鉱山機械のクーリングシステムやエンジンの再生を担います。
このように国内外の生産能力を拡張し、資源循環型ビジネスの実現をめざします。
3)米州事業の拡大
~販売チャネルを多様化およびファイナンス事業を拡充~
2023年8月より、北米市場で高付加価値製品のZAXIS-7シリーズを納入開始しています。
さらに、北米全土から販売サービス員を約100人を集めて、ZAXIS-7シリーズの操作性や特長を説明する講習会を実施し、順調に販売台数を拡大しています。
代理店にとって従来製品のZAXIS-6シリーズだけでなく、高付加価値製品のZAXIS-7シリーズを提供することにより、お客さまのニーズに対応した製品やサービスを提供し、販売チャネルの多様化にもつなげていきます。
また、ファイナンス事業を拡充することも進めています。伊藤忠商事(株)、東京センチュリー(株)、日立建機の各米国法人が出資しているファイナンス合弁会社「ZAXIS Finance」が2023年5月から米国お客さま向け、9月からは米国代理店向けファイナンスを提供開始しました。ZAXIS Financeのオペレーション開始により、日立建機アメリカの売掛債権の増加を抑えながら販売を加速することができます。
引き続き重点市場である米州の体制強化を推進し、さらなる成長をめざします。
4)人・企業力の強化
~人財がグローバルに活躍できる育成の場や機会の提供~
当社グループは、人財戦略を中長期的な成長をめざす上での最重要課題として認識しています。この度、人的資本に関する情報開示の国際的なガイドラインであるISO30414の認証を取得しました。これに合わせ、Human Capital Reportを初めて発行しました。機械メーカーでは初めての認証取得となり、今後はガイドラインに基づいて様々な情報発信を積極的に行います。
情報開示を強化し、ステークホルダーの皆さまとの対話をより深めていくことで、人財戦略の継続的な改善につなげます。
次に、開発リソースの集約と、イノベーション推進に関する取り組みについてです。
2023年5月より、土浦工場にて、新棟「Orange Innovation Plaza」が稼働開始しました。研究・開発部門を中心に、約3,000人が一堂に会して、次世代に向けた開発に取り組んでいます。
若手社員の意見をもとに、さまざまなコミュニケーションスペースを用意し、部門を越えたコラボレーションの活性化につなげます。
さらに、新規事業を継続的に創出できる企業文化をめざす取り組みを開始しています。
2023年から、「KENKI βUSINESSCHALLENGE」、略してKβC と称し、価値創造のノウハウを学び新規事業の事業化をめざしています。
こちらの取り組みは、毎年継続的に開催することで、社員の持続的な挑戦を奨励し、企業文化の変革を促進します。
中期経営計画の定量的目標
2025年度の目標については、財務目標及びESG関連目標とも、当初の中期経営計画で定めた数値に変更はありません。
収益性としては、調整後営業利益率13%以上と定め、売上に対しての稼ぐ力である“キャッシュ創出の能力指標”としてEBITDAマージン率18%以上をめざします。
効率性では、ROIC目標9%以上を安定的に維持し、投下資本の運用効率を意識して事業を展開し、資本収益性の向上を図ります。
また、獲得した収益を株主の皆さまへ還元を行うため、配当性向は“30%〜40%を目安に安定的かつ継続的に実施”とし、株主利益の最大化を図ります。
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