企業兼大株主日立建機東証プライム:6305】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものです

(1)はじめに

 日立建機グループは、私たちのありたい姿、ミッション等を定めた「日立建機グループアイデンティティ」を策定しています。

 サステナビリティ経営を推進していく際にも、「日立建機グループアイデンティティ」の視点を導入し、さまざまな取り組みを行っています。

(2)サステナビリティ基本方針

 日立建機グループは、マテリアリティ(重要課題)を実践することで、サステナビリティを推進し、持続的な社会の発展に貢献していくことをめざして、サステナビリティ基本方針を策定しています。建設機械を通じて社会の持続的発展に貢献し、企業価値向上に努めてまいります。「サステナビリティ基本方針」は当社ホームページをご覧ください。 https://www.hitachicm.com/global/ja/sustainability/management/

※日立建機グループは2023年4月より国連グローバル・コンパクトに参加しました。

 国連グローバル・コンパクトの10原則をグループ、グローバルで推進していきます。

(3)ガバナンス

 サステナビリティに関わる重要事項は、CSR推進責任者会議、環境推進責任者会議で議論した上で、執行役、主要グループ会社社長からなるサステナビリティ推進委員会(年2回開催)に報告されます。執行役社長兼COOは、サステナビリティ推進委員会の議長を務めており、気候変動、サーキュラーエコノミーなど経営に関わる重要事項の審議・承認を行っています。重要事項に関しては、執行役会および取締役会にて審議・承認され、適切に監視・監督が行われています。また、審議・承認された内容は、海外グループ会社からなるグローバルサステナビリティ推進責任者会議、およびその下部組織であるグローバルサステナビリティワーキンググループにも共有されています。

<ガバナンス体制図>

(4)戦略

①マテリアリティの特定

 日立建機グループでは、社会情勢や各国の政策・規制等の変化を踏まえ、2021年度にマテリアリティを刷新しました。特定プロセスにおいては、SDGsやESGといった社会課題の視点と、自社の企業価値の向上および毀損につながる外部環境の視点の両面で、中長期的なリスクと機会を検討し、4つのテーマを抽出しました。社内外のステークホルダーの意見を取り入れながら議論を重ね、2021年7月の執行役会にて承認を受け、取締役会にて報告しました。マテリアリティごとにKPI(重要業績評価指標)を設定し、サステナビリティ・ガバナンス体制のもとで進捗管理を行っています。なおマテリアリティは、外部環境の変化等を踏まえ、今後も随時見直しを行っていきます。

 

 4つのマテリアリティに基づき、サステナビリティ課題に対応する「環境戦略」「技術戦略」「人財戦略」について報告します。

②環境戦略

-カーボンニュートラルに達成に向けてー

 2050年までにバリューチェーン全体を通じてのカーボンニュートラルをめざすべく、製品開発および生産工程の両面で

CO₂削減に取り組んでいます。
建設機械のライフサイクル全体でのCO₂排出量をみると、お客さまの直接排出(Scope1)にあたる製品の稼働時の排出量が90%を占めており、これを下げていくことが、ライフサイクル全体のCO₂排出量の削減には重要です。私たちは、カーボンニュートラル達成を見据え、よりCO₂を排出しない環境配慮製品をお客さまや社会に提供するための指標として、2030年度にCO₂排出量を2010年度比で33%削減する目標を設定し、推進しています。

 本目標達成に向け、コンパクトからマイニングの超大型機まで全製品レンジの開発を進め、燃費低減に加えて電動化建機の早期市場投入、水素燃料製品の技術面での見極め、さらにはお客さまの使用段階でのCO₂削減を実現するソリューションの提供を進めています。また、大手鉱山各社のお客さまは、2050年までのネット・ゼロ・エミッションの実現を目標に掲げており、なかでも台数の多いダンプトラックのゼロエミッション化の要望が高く、その要望に応えるため、当社はスイスABB社と連携してフル電動化に取り組み、鉱山現場全体のネット・ゼロ・エミッションをめざしています。当社が既に持っている電動走行可能なトロリー式ダンプトラックのエンジンをバッテリーに置き換えることで、トロリー給電とバッテリー給電を併用してフル電動化を実現します。当社のリジッドダンプトラック「EH3500AC-3」をフル電動駆動にした場合、1日20時間稼働で6.8トンのCO₂排出量の削減につながります。

 一方、生産工程においては、省エネ、再生可能エネルギーへの転換(設備投資による自家発電、再生可能エネルギー電力導入)、電化、燃料転換などの面でCO₂排出量の削減を推進しています。特に省エネは、エネルギーコストの削減、再エネクレジットの購入費用の削減、さらに将来想定される炭素税軽減において効果を発揮します。また、インターナルカーボンプライシング(ICP)を活用した新設備投資基準を導入し、CO₂削減量が大きい設備に優先的に投資していきます。これは国内外の生産拠点とグループ会社のすべてに適用して推進しています。

<環境配慮製品を拡充し、オープンイノベーションでスピード加速>

-TCFD提言への対応-

 2020年7月に全社のコーポレート部門と事業部門の部門長およびキーマンによる社内タスクフォースを設立し、同年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。2022年には、1.5℃と4℃を想定したシナリオ分析、気候変動リスクの発生可能性や財務影響について評価を行っています。TCFDフレームワーク*1に基づき、気候変動がもたらすリスクと機会および対応する戦略についての開示を行い、持続可能な事業展開をめざして、本提言に沿った推進強化に努めています。

 また2022年度には経済産業省の主導するGX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本方針に賛同し、2023年5月よりGXリーグ*2に参画しています。

*1 TCFDフレームワーク …TCFD提言の取り組みの詳細については、「日立建機グループ統合報告書2022」 P41-46を参照ください。

*2 GXリーグ …GX(グリーントランスフォーメーション)リーグは、経済産業省主導で立ち上げられた、2050年カーボンニュートラルに向けて「産・学・官・金」が連携し、経済社会システム全体の変革に取り組む協働の場です。

-資源循環型ビジネスへの転換について-

 当社は「資源循環型ビジネス」をめざします。

 再生・中古車・レンタル・サービスといったバリューチェーン事業を通じて、廃棄量をさまざまな角度から減らす取り組みを4つのR(Reduce・Reuse・Renewable・Recycle)として日立建機グループ全体で取り組んでいます。

 製品の利用過程における取り組みにおいては、当社の強みであるConSiteや部品再生、本体再製造を活用することで、車体稼働年数を10年から15年に長期化をしていきます。このことにより、廃棄物の削減、投入資源の抑制に貢献し、最終的にはCO₂削減につながります。本取り組みにより、製品ライフサイクル1.5倍をめざしてバリューチェーン事業を拡大し、顧客価値の最大化と資源消費の最小化を両立し、当社がめざす、資源循環型ビジネスを実現します。

③技術戦略

―DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進―

 日立建機グループは、バリューチェーンの深化やデジタル活用によって、お客さまの課題解決に貢献することをめざしています。2020年4月より全社DXをリードする組織としてDX推進本部を立ち上げ、さまざまな施策を展開しています。

2022年1月には株式会社日立製作所と共同で、建設機械の稼働状況や生産・販売・在庫などのデータを活用するためのプラットフォーム「DX基盤」を構築しました。従来、これらのデータを活用するシステムを個別に構築していましたが、DX 基盤を活用することでデータの収集・分析・利活用が格段に効率化されます。DX基盤を用いた取り組みの第一弾として、2022年度より「営業支援アプリ」を国内で運用を開始しました。国内で建設機械の販売や部品・サービス事業を担う日立建機日本株式会社の各担当者(全国243拠点、約1,000名)が対象となります。お客さまが保有する機械の稼働状況やメンテナンス計画、取引履歴などの情報をまとめて閲覧でき、これらのビッグデータをもとにAIによって判断した複数パターンの提案内容を瞬時に表示できるようになります。本アプリを活用し、新たな価値の創出につなげていきます。

-DX人財の育成-

 DXの基盤を活用するには、これらを駆使できる人財の育成が必要となります。

 日立建機グループでは、デジタルソリューション事業や業務プロセス改革をより強化するため、2つのプログラムを実施しています。

「デジタル基礎研修」では、リテラシーの向上を図ってデジタル人財の裾野を広げ、さらに、「デジタルチャレンジプログラム」では、顧客価値を起点とするDX事業を創出できるようにフロント業務とモノづくり現場のそれぞれに必要なデジタルスキルを考慮した上で、実践的なスキルを身に付けるように取り組んでいます。2023年度までにこれらのプログラム受講者の目標を1,000人とし、今後さらに求めれるデジタル化へ向けて、迅速に対応できるよう人財を育成していきます。

④人財戦略

 人的資本に関する戦略

 「第2の創業期」にある現在、日立建機グループは、既存事業の拡大に加え、デジタルソリューションを中心とした成長事業の深化と、今後の柱となる新規事業の探索をしてまいります。

 上記のような事業構造の大きな変革局面においても、日立建機グループにとって人とは財産・資本、すなわち「人財」であり、会社の成長に欠かせない「人的資本」です。それを「Kenkijin」と称しております。そして、変革が必要な今こそ、Kenkijinが個性・強みを最大限に発揮できるよう、育成の強化や変革に臨む組織・風土の醸成等、数々の取組みが不可欠と考えます。こうした取組みにより会社と事業を変革し、顧客に対する新たな価値を創造して企業価値の向上に努めることが、日立建機グループにおける「人的資本経営」です。

 そして、人的資本経営を進める上での基本思想として、2つの思いを特に大切にしております。

 第一は、「会社と個人は、対等の関係」です。基礎を成す考え方として従業員と会社は双方にとって「選び・選ばれる関係」と捉えた上で、会社は従業員のキャリア形成や成長を支援することを通じて、新たな価値創造や企業価値の向上につなげていくことをめざします。

 第二は、「チームで勝つ」です。成長事業の深化や新規事業の探索等の新たな取組みに、チームで挑んでまいります。特にソリューション・サービスにおいて、現場の従業員がお客さまに寄り添って最適なサービスに気付き提供するには、組織や立場に関係なく一体となったチームが不可欠です。そこで、誰もが個性や強みを発揮できる環境を整えることで、多様な個人の組合せにより「チームで勝つ」ことをめざします。

(5)リスク管理

 情報通信技術の発展や地政学的リスク、経済情勢の変化など、社会を取り巻く事業環境は日々変化しています。日立建機グループでは、このような事業環境を日頃から把握・分析し、社会的課題や当社の競争優位性、経営資源などを踏まえ、備えるべきリスクと、さらなる成長機会の両面からリスクマネジメントを実施し、リスクをコントロールしながら経営戦略へと反映しています。2022年4月には、全社的リスクマネジメントを担うERM(Enterprise Risk Management)委員会を発足しました。

 事業運営を踏まえ全社的な対応方針、経営判断が必要なリスク、グローバルに展開している事業の根幹を揺るがすようなリスクについて、CSO(最高戦略責任者)をはじめとする経営メンバー主導のもと、全体管理・対策を迅速に対応する体制をとっています。基本的に期1回の開催とし、突発的な全社的リスク対応への要請や、委員長あるいは各委員会・関連部門の要請に応じて、臨時開催も実施します。なお、倫理・法令違反については、コンプライアンス管理委員会で議論し、事案 発生防止に向けた啓発、再発防止策の実施を行っています。

 2022年度は、ロシア・ウクライナ情勢についてリスク対策本部を立ち上げ、グループ会社を含む方針や対応について迅速に決定し、対応しました。

<ERM委員会を設置>

(6)指標と目標

 日立建機グループが特定したマテリアリティに対する目標値(2030年度)は、以下のとおりです。

※2022年度の各種実績につきましては、提出会社ウェブサイト、統合報告書等で開示していく予定です。

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