日清製粉グループ本社 【東証プライム:2002】「食品業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是に、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」を企業理念として、1900年の創業以来、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続してまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた製品やサービスの開発と提供に努め、「信頼」を築き上げるという決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。
これらの基本的な理念のもと、当社グループは長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつ、グループ経営を展開しております。
また、企業価値を高める規律としてのガバナンス(G)を強化し、環境(E)・社会(S)への取組みを事業戦略と深く関連させたサステナビリティ経営を推進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持され続ける企業グループとして発展を目指してまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」の3点を基本方針とする5年間(2022年度から2026年度)の中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の達成に向けて取り組んでおります。最終年度である2026年度の数値目標につきましては、売上高9,000億円、営業利益480億円、EPS(1株当たり当期純利益)110円としておりますが、来期の業績進捗等を踏まえた上で、当該数値目標の修正要否を検討し、その結果を2024年度第2四半期決算時に公表する予定としております。今後もEPS成長を継続することで、株主の皆様に対して、適切なTSR(株主総利回り)の実現を目指してまいります。
「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の概要(2022年度~2026年度)
<基本方針>
①事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進
120年以上の歴史の中で築いてきた高い技術力と生産性、お客様からの信頼に裏付けされた強固な販売基盤等、当社グループの強みを活かせる事業領域において、今後も事業ポートフォリオの再構築を行い、4つの戦略(事業競争力強化戦略、研究開発戦略、新規事業開発・M&A戦略、デジタル戦略)を柱にグループ全体及び各事業の競争力を強化します。
②ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進
当社グループの第一の存在意義は、主要食糧である小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給にあることを認識し、すべてのステークホルダーを大切にし、世の中から信頼される企業を目指します。
③ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行
持株会社である当社をはじめ各事業の経営トップの責務として、企業価値の極大化を追求し、社会の動きに合わせESG課題に主体的に取り組んでまいります。とりわけ世界の持続可能性に関わるE(環境)への対応を経営の最重要事項に位置付けます。
<環境政策>
当社グループでは、2050年にグループの自社拠点におけるCO2排出量実質ゼロを目指す長期目標を設定し、その通過点として2030年度までにグループの自社拠点におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)を掲げております。目標達成に向けては、従来の取組みを超えた積極的なCO2排出量削減を行う必要があり、ロードマップに基づいて最大限の省エネ設備及び再生可能エネルギー設備の導入を行うとともに、オフサイト(当社グループ以外)の設備への投資や出資等によるエネルギー調達も検討してまいります。また、食品廃棄物、容器包装廃棄物、水使用量の削減への対応についても循環型社会形成に資する中長期目標を設定しており、目標達成に向け計画的に取組みを推進してまいります。
<資本政策>
小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。中期経営計画期間5年間で得られる営業キャッシュ・フロー及び政策保有株式売却等で得られるキャッシュについては、将来に向けた成長投資及びサステナブル投資、維持更新等の通常投資、株主還元等に適切に配分してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
国内外の食品業界では、食糧インフレ、コストインフレは落ち着きつつありますが、人件費や物流費等は引き続き上昇することが見込まれ、金融・為替市場の先行きにも不透明感があることから、今後もインフレ環境は継続するものと想定されます。また、中長期的には、世界の持続可能性に関わる地球温暖化や、人権問題等の社会課題への意識の高まり、デジタル技術やフードテック等の技術革新の急速な進展等、事業環境が大きく変化していくことも想定されます。
そのような中、当社グループでは、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続するために、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給という社会的使命を果たしていくとともに、2024年度は、事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進、豪州製粉事業・インドイースト事業の業績回復施策の推進、研究開発戦略における目に見える成果の実現、自動化省人化施策の効果発現を最優先課題として取り組んでまいります。
<2024年度の最優先課題>
①事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進
事業競争力強化戦略の重点テーマである「国内製粉、加工食品、酵母事業のコアビジネス(中核事業)としての継続、発展」、「成長事業である海外事業、中食・惣菜事業の収益拡大」、「健康・バイオ事業、エンジニアリング事業、メッシュクロス事業、新規事業の成長」に引き続き取り組んでまいります。
コアビジネス(中核事業)においては、利益成長を実現するために必要な投資を行うとともに、国内加工食品事業では商品開発体制の再構築を行い、成長が期待される市場への拡販に注力してまいります。また、成長事業においては、伸長が見込める市場への投資を加速させ、事業ポートフォリオの再構築を実行してまいります。
②豪州製粉事業・インドイースト事業の業績回復施策の推進
豪州製粉事業においては、インフレ環境における需要の停滞等が懸念されますが、4つの施策(継続的なコスト削減、強みを活かせる主力製品での売上拡大、収益性の高い市場の選択、ブランド化)を推進し収益を確保していくとともに、中期経営計画で掲げている2026年度に2021年度比で42百万豪州ドル(※)の増益目標に向けて取り組んでまいります。また、インドイースト事業においては、原材料コストの上昇等が懸念されますが、2024年度も販売シェアの拡大を図り、工場の稼働率を向上させるとともに、適正な価格改定を行うことで、目標とする中期経営計画期間中でのグループ収益への貢献を目指してまいります。
(※)約40億円(1豪州ドル=95円)。2022年度第2四半期に行った減損損失の計上に伴うのれんを含む固定資産の
償却費負担減少の影響を除く。
③研究開発戦略における目に見える成果の実現
当社グループでは、研究開発戦略を事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進のための重要な取組みと位置付け、当社と各事業会社が相互に連携し、研究開発力を磨いてまいりました。2024年度は、研究成果の実用化に向けて対応を進め、製粉事業や加工食品事業等において市場ニーズに合った新製品の創出に取り組むことで、国内・海外における競争優位性の確保に努めてまいります。
④自動化省人化施策の効果発現
当社グループでは、デジタル技術やロボット技術を活用し、従前より自動化、省人化の対応を進めてまいりました。2024年度は、各事業において、当社グループが長年にわたり培ってきた技術力と最先端技術の融合、活用を図ることで、自動化、省人化に向けた取組みのスピードをこれまで以上に加速させてまいります。
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