企業日本道路東証プライム:1884】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営方針

 当社グループは、道づくりのエキスパートとして歩んできた90余年にわたる建設技術をベースに、時代の変化や環境の変化に速やかに対応するため、「社是・社訓」「経営理念」のもと、「経営ビジョン」「経営基本方針」を掲げ、顧客満足度向上のための「道づくり」に誠実に取り組んでまいります。

《社是》

「創意研鑽」「協調親和」「信用高揚」

『論語と算盤』(清水建設㈱社是)

《社訓》

一、

創意を活かし

技術の向上と業務の改善に努めよう

一、

責任を自覚し

緻密な計画と果断な実行に徹しよう

一、

誠意を尽くし

相互の協調と秩序の確立に努めよう

一、

身心を健全にし

明朗な職場と幸福な家庭を築こう

一、

社業に専念し

会社の繁栄を通じて社会に貢献しよう

《経営理念》

ESG経営を推進することによって、社会から信頼され、存続を望まれる企業になるとともに、持続可能な社会づくりに貢献する

 

《経営ビジョン》

「従業員を大切にする会社」

「道路建設を通じて社会に貢献する」

「コーポレートガバナンスの充実」

 

《経営基本方針》

(安全衛生方針)

人命尊重を最優先した安全第一主義を徹底し、労働安全衛生マネジメントシステムを継続的に改善、「安全文化」を定着させる

 

(品質方針)

全てのステークホルダーから高い信頼と評価を得る企業として持続的な発展を目指すよう品質マネジメントシステムを実行し継続的に改善する

 

(環境方針)

環境ビジョン「Nichido Blue & Green Vision 2050」に則り、地球環境負荷低減に向け環境マネジメントシステムを推進し、持続可能な地球環境の実現に貢献する

(2) 経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

①目標とする経営指標

 当社グループは2024年5月に、当面3年間の基本方針と重点戦略を取り纏めた「中期経営計画2024(2024~2026年度)」を策定しました。

(経営戦略)

 当社グループの主要事業は舗装工事を中心とした建設事業であり、経営環境の変化が激しい中、揺るぎない技術力をもって、都市型・地方型等各地域の実状に即したエリア戦略を策定し、市場競争力の強化を図っていくことが重要課題であると認識しております。また、地域舗装会社の体制をさらに強化することで相乗効果を発揮するとともに、成長戦略としてM&Aへの積極的な取組み、PPP/PFI事業への参画を推進してまいります。

(事業環境)

 国土交通省については、国土強靭化実施中期計画が早期に策定され事業量が確保されるとともに、WISENET2050に基づくシームレスネットワークの構築、10年後が目標とされる高速道路を活用した自動物流道路の整備なども期待されると考えております。

 また、防衛省については、防衛力抜本的強化において施設の強靭化が計画され、複数年に亘って事業が推進されると想定しております。

 高速道路各社については、災害時の代替道路としての高速道路車線拡幅事業、また高速道路としての乗り心地維持のための舗装補修工事が今後も一定量が発注されると考えております。

 民間市場については、今後も企業による建設投資が一定程度期待され、物流ネットワーク強化を目的とした拠点開発事業等、都市部を中心に成長が望めると考えております。

(中期経営計画2024における重要課題)

・コンプライアンスの徹底(法令等順守)

・提供サービスの品質と収益性の向上

・働き方改革から働きがい改革へ

・DE&Iの推進

(中期経営計画2024における成長投資方針)

 手元資金をベースに、安定的な経営基盤構築のため、成長分野に対し優先順位をつけ、スピード感を持って設備投資を実行してまいります。

2024~2026年(3カ年累計) 135億円

(内訳)

 

①建設事業投資

15億円

②製造・販売事業拠点整備投資

70

③営業拠点環境整備投資

44

④システム等情報投資

6

(中期経営計画2024の目標(連結))

 

 

 

(単位:億円)

 

2023年度

実績

2024年度

計画

2026年度

目標

建設事業受注高

1,435

1,380

1,390

建設事業売上高

1,315

1,350

1,370

製造・販売事業売上高

219

230

240

共創事業売上高(注)

69

70

80

総売上高

1,605

1,650

1,690

営業利益

78

85

100

親会社株主に帰属する当期純利益

50

52

66

(注)従来の「賃貸事業」及び「その他」について、マルチステークホルダーと新たな事業展開を推進する「共創事業」に2024年度から統一しました。なお、2023年度実績については「賃貸事業」及び「その他」の売上高合計を記載しております。

(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応)

・現状認識

 株主資本コスト(CAPM)は概ね5~6%程度と認識しております。

・評価

 当社グループの自己資本利益率(ROE)は5.1%(2023年度)で資本コストを超える資本収益性を達成できているとは言えない状況にあります。主な要因は製造・販売事業の収益性悪化、自己資本比率の増加と考えております。また、PBRは1倍を下回る位置で推移しており、ROEの向上を含めた改善が必要であると認識しており、中期的にROE7%以上を目指してまいります。

②設備投資計画

「中期経営計画2024」の成長投資方針に則り、建設事業投資、製造・販売事業拠点整備投資、営業拠点環境整備投資、システム等情報投資を実行してまいります。

(2024年度実施ベースでは連結41億円を投資予定)

③技術研究開発

 技術研究開発は、2050年のカーボンニュートラルの実現や資源循環などの環境問題解消技術のほか、少子高齢化による担い手不足を解消する生産性向上ICT、IoT技術、膨大な舗装ストックに対応した調査診断技術、モビリティーイノベーションへの対応技術、工事の安全対策技術、ライフサイクルコスト低減に資する高耐久舗装技術の充実等、幅広いニーズに的確に対応した研究開発を進めてまいります。

(3) 経営環境

 当社グループの主要事業は舗装工事を中心とした建設事業であり、経営環境の変化が激しい中、揺るぎない技術力をもって、都市型・地方型等各地域の実状に即したエリア戦略を策定し、市場競争力の強化を図っていくことが重要課題であると認識しております。また、地域舗装会社の体制をさらに強化することで相乗効果を発揮するとともに、成長戦略としてのM&Aにも積極的に取り組んでおります。

 親会社である清水建設㈱との連携強化については、大型プロジェクトへの協働での取組みは、新たな領域への挑戦として当社の事業規模の拡大と技術者のさらなるスキルアップに繋がると考えております。次に、同社の民間営業網を活用し、質の高い直接受注を増やすことが、当社の事業運営に貢献すると考えております。また、同社の最新のDXのノウハウと人財を活用することにより、当社グループの新技術の開発・導入、新工法開発、基幹システム・情報セキュリティの強化に繋がると考えております。これらの取組みは、環境負荷低減やコスト削減に繋がるとともに、両社の技術研究所、機械部門、管理部門での人財交流や連携を通じて、働き方改革による職場環境改善、コンプライアンス・ガバナンス強化といったESG経営の推進に繋がるものと考えております。

 創業以来、90余年にわたって培った「技術の日本道路」というDNAを継承しながら同社との連携強化を図り、両社で事業領域の拡大に繋がるシナジー効果を発揮しながら、社会の発展に寄与してまいります。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、企業が中長期的な成長を遂げるために必要である3つの要素、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の観点からESG経営を実践しております。

(E)気候変動リスクへの対応として、循環型社会の形成、生物多様性への配慮など環境に対する長期的な目標の達成に向け、当社グループの環境ビジョン「Nichido Blue & Green Vision 2050」及び「エコ・ファーストの約束」の取組みを引き続き進めてまいります。

(S)社会課題として、働き方改革を全社で推進するとともに女性が活躍できる職場環境の実現、ダイバーシティ・マネジメントの実践など人的資本への投資による企業価値向上に努めてまいります。

(G)ガバナンスに関しては、清水建設㈱の連結子会社化に伴い、少数株主の利益保護の観点から取締役会の諮問機関として「特別委員会」を設置しており、同社又はその完全子会社との利益が相反する重要な取引・行為の有無について審議・検討を継続してまいります。

 当社グループは、創立95年を迎えた本年、飛躍的成長を遂げる準備段階としての『成長基盤の強化期間』と位置付けて、「中期経営計画2024(2024~2026年度)」を策定しました。「コンプライアンスの徹底」「提供サービスの品質と収益性の向上」「働き方改革から働きがい改革へ」「DE&Iの推進」を重要課題として取組みを推進し、マルチステークホルダーとの価値創造を図って次世代につながる発展を目指してまいります。

①コンプライアンスの徹底(法令等順守)について

 当社グループは、「中期経営計画2024」の重要課題の1つに「コンプライアンスの徹底(法令等順守)」を掲げ、「コンプライアンス基本理念」及び「コンプライアンス指針」を制定して役職員の行動規範としております。また、毎年7月30日を当社グループの「コンプライアンスの日」と定め、経営幹部を対象にした研修や職場での啓蒙活動を実施することにより、役職員の意識向上に努めております。

(コンプライアンスの強化等のための体制整備)

 当社は、コンプライアンスの強化と業務上のリスクの未然防止を図るため、本社に「業務リスク管理委員会」を設け、所管部署として業務リスク管理部を置いております。また、支店に「支店業務リスク管理委員会」、事業所に「業務リスク連絡会」を設け、現業部門のコンプライアンス教育及びリスク管理を実施しております。

(内部通報制度)

 当社グループの内部通報の受付窓口として、社内に「コンプライアンス相談窓口」、社外に「日本道路企業倫理の窓口」を設け、公益通報者保護法に対応した体制を整備しているほか、監査役が役職員からの通報を受け付ける「監査役直通窓口」を設けております。

(独占禁止法順守)

 当社は、独占禁止法を順守するため、同業者との接触に係る事前審査及び結果報告、営業職員の行動記録の確認、工事の入札に係る役員・従業員の行動規則順守の確認等、公共入札のモニタリングシステムの運用等の施策を継続し、第三者による独占禁止法の順守状況の監査を定期的に実施しております。また、独占禁止法違反を懲戒事由として就業規則に明記し、違反に対する処分を厳格化しております。

(役員巡回会議の実施)

 当社グループでは、従来から社長及び役員が各支店を回り、「役員巡回会議」を開催し、独占禁止法違反に関して法令順守やコンプライアンスの徹底、労働環境改善など全社で取り組むべき課題について説明を行ってきました。

 経営者の声を直接届けると同時に、従業員との対話を継続することで、従業員エンゲージメント、組織エンゲージメントの向上を目指してまいります。

②提供サービスの品質と収益性の向上

(建設事業)

 人命尊重を最優先に安全第一主義のもと、適正な工期を確保し、「質の高い仕事」をすることに徹して、企業価値を高める施策を確実に推進してまいります。大規模工事はもとより、中・小規模工事においても情報化施工、ICTの活用度を高め、災害や事故の発生を抑止するとともに品質向上、コストダウンによる収益率の向上を目指しております。

 また、当社グループの重点実施事項として掲げております「エリア環境に適合した戦略的営業を実行し、質の高い受注を拡大する」という目標達成に向け、スピードと攻めの姿勢に徹した提案営業を強化するとともに、清水建設㈱と連携した新たな領域での民間営業を展開してまいります。

 さらに、人財育成については4月に開設した土浦テクノBASEを活用して技術者のスキルアップのための教育を強化し、技術の伝承に取り組むとともに、次世代の担い手づくりも進めてまいります。

(製造・販売事業)

 原材料価格や燃料、電力価格の高騰が続いている中、利益の確保に向け、コストに見合う価格改定を実施するとともに、引き続きコスト削減に取り組んでまいります。

 また、リサイクル事業の拡大、営業力の強化と製造・販売拠点の効率化のための拠点再配置を進めることにより、シェアの拡大を図ってまいります。

 さらに、安全環境対策についても、効果的な技術開発と環境に配慮した設備投資を実施するとともに、グリーン電力への切り替えや、化石燃料に代えて廃食油を始めとする代替燃料の導入も進めてまいります。

(海外事業)

 海外現地法人を有しているマレーシア、タイにおいては、これまでの事業基盤を基に日系企業を中心としたさらなる新規営業先の拡充により、安定した事業量の確保に努めるとともに、日本企業ならではの高品質な建設サービス提供を目指してまいります。

 また、新たな収益源となる事業として、高機能舗装材の販売促進や再生合材事業を推進するとともに、清水建設㈱との連携強化を通じて海外事業の拡大に取り組んでまいります。

 さらに、将来を見据えた海外事業遂行に必要な人財育成も継続して実施し、収益体制の強化を目指してまいります。

(グループ事業)

 当社との連携強化やM&A、PPP/PFI事業を含め、経営環境に応じたエリア戦略の実行による事業領域拡大、収益力強化と成長力底上げを実現するため、営業所・合材センター・地域舗装会社の連携をさらに深めるとともに、内部統制体制・コンプライアンス強化とICT環境の整備による効率化を進め、グループ支援体制の強化を図ってまいります。

③働き方改革から働きがい改革へ

 当社は、「従業員を大切にする会社」を経営ビジョンとして掲げ、従業員一人ひとりが「自身の人生を豊かに楽しく!」を実感できるよう、ワークライフバランスを充実させる取組みを続けております。

 働き方改革については、従来から、2024年問題をターゲットとして、従業員の労働状況の適切な把握と併せ、休日取得目標の設定、特定月に時間外労働45時間以内を必達するための活動を全支店で実施しており、上司と部下による「1on1ミーティング」を積極的に活用して課題解決に取り組んでいるところです。AI活用等DXによる業務のさらなる効率化などの施策を推進し「働きがい」を実感できる企業を目指してまいります。

④DE&Iの推進

「人財確保・育成に引き続き取り組むとともに、多様な属性を尊重し、公平な活躍の場を提供する」というDE&Iの行動指針に基づき、女性活躍、外国人の受入れ及び障がい者雇用を積極的に進めるとともに、人事制度の見直しなどの施策により、多様な社員がそれぞれの能力を真に発揮できる環境を整備し企業価値向上を実現してまいります。

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