日本精化 【東証プライム:4362】「化学」 へ投稿
企業概要
当社は「サステナブル社会の実現と当社の持続的な成長の両立を目指す」ことを当社サステナビリティ基本方針と定めました。この基本方針を着実に実行する為に、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、具体的な取り組みとKPIを定めております。
(1)サステナビリティ
① ガバナンス
当社は代表取締役執行役員社長を委員長とし、各部門より選出された委員で構成されたサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会では、マテリアリティ(重要課題)を特定し、推進活動計画立案、活動の進捗管理を行っております。推進活動計画については年に一度、サステナビリティ推進委員会で作成し、常務会で審議された後、取締役会で承認しております。また活動の進捗については、原則四半期ごとにサステナビリティ推進委員会で状況を確認して、その結果を常務会に報告しております。取締役会では半期ごとに報告を受け、推進活動を監督しております。また、マテリアリティ(重要課題)の達成状況は、取締役及び執行役員の業績報酬に反映する仕組みとしております。
② リスク管理
リスクマネジメントシステム(以下、「RMS」といいます。)に関する最高の決議機関として、代表取締役執行役員社長が委員長を務める経営者で構成された全社RMS委員会が設置されております。リスクマネジメントの方針並びに計画、実施、RMSの改善その他、RMSに関わる全般的事項を討議し、最終決定は討議結果に基づいて委員長が行います。全社RMS委員会では、「事業活動への影響度」と「発生頻度」を評価軸としたリスクマップにより重要リスクを特定しております。サステナビリティに関する事項については、リスク管理をサステナビリティ推進委員会に付託しており、サステナビリティ推進委員会において「ステークホルダーにとっての重要度」と「当社グループにとっての重要度」からマテリアリティ(重要課題)を特定しております。リスクの影響度が大きいと評価された項目については当社としてとるべき対応策を策定し推進活動計画を作成しております。また、策定した計画及び活動の進捗管理を実施し、常務会に報告します。常務会では現在の取組み状況等を踏まえて経営計画や事業戦略が審議され取締役会で承認されます。
(2)その他の項目
当社グループは多くの製品の製造過程でエネルギー源として化石由来原材料及び燃料を使用しており気候変動によるリスク及び機会は経営上の重要課題との認識のもと、2021年12月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」といいます。)提言への賛同を表明しました。気候変動が及ぼす事業への影響についてシナリオ分析に基づいたリスクと機会を評価し、影響の重要性を認識し経営施策に反映することによって戦略のレジリエンスを強化すると共に、ステークホルダーとの信頼関係強化につなげてまいります。
a.気候変動
① ガバナンス
サステナビリティ推進委員会では、気候関連問題に関するシナリオ分析に基づいて、リスクと機会を識別し重要度評価、推進活動計画立案、活動の進捗管理を行っております。また活動の進捗については、その結果を常務会及び取締役会に報告し、取締役会においては推進活動を監督しております。気候変動に関する外部動向や情報については、TCFD提言への賛同、TCFDコンソーシアムへの入会を行い、常務会及び取締役会に情報共有しております。温室効果ガス削減を推進するため、2030年度までに二酸化炭素排出量を2013年度比で38%削減することを取締役会で承認し公表しております。また、二酸化炭素排出量削減を含むマテリアリティ(重要課題)の達成状況は、取締役及び執行役員の業績報酬に反映する仕組みとしております。
② 戦略
気候変動が事業に及ぼす影響について、グループ会社のアルボース(環境衛生製品事業)を加え、2030年及び2050年を検討の時間軸に設定し、気候変動対策が進み、パリ協定の目標が実現した「1.5℃の世界」及び新たな気候変動対策が取られず、温室効果ガスが増加した「4℃の世界」で「低炭素経済への移行に関連したリスクと機会」「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスクと機会」についてシナリオ分析を行いました。事業インパクトの評価では、1.5℃シナリオにおいて炭素税・排出削減に向けた政策・規制、天然由来原料の調達懸念によるビジネス影響が大きく、一方でペロブスカイト型太陽電池向け材料の拡販に機会があることが分かりました。4℃シナリオにおいては原油価格の高騰、天然由来原料の調達懸念のビジネス影響が大きく、一方で1.5℃シナリオと同様にペロブスカイト型太陽電池向け材料の拡販に機会があることが分かりました。当社は、2022年5月より購入電力の全てを再生可能エネルギーに切り替えることによりスコープ2の削減を行いました。今後、グループ会社にも切り替えを拡大することによりスコープ2の削減を進めてまいります。また、ボイラーの重油から都市ガスへの燃料転換を実施し、引き続き老朽化設備の更新による省エネ化や社用車のEV化等によるスコープ1の削減も検討してまいります。
■気候変動リスクと機会への対応
機:機能性製品事業 環:環境衛生製品事業 |
シナリオ | リスク及び機会項目 | 対象事業 | 事業への影響/対応策 | 財務影響度 | 期間 | |
1.5℃ | 炭素税・炭素価格 | 機・環 | ・炭素に価格を付け、炭素排出者の行動を変容させる政策手法であるカーボンプライシングの導入により、直接的な税負担の増加や、サプライヤー、輸送業者の炭素排出に対する価格上乗せによる調達コスト、輸送コストが増加する可能性がある。 [対応策] ・カーボンニュートラル天然ガスの熱源を利用する。 ・二酸化炭素を排出しないエネルギー使用熱源設備を導入する。 ・二酸化炭素回収と分離技術を導入する。 ・フローリアクター導入や酵素利用による製品生産工程改良及び新製品開発を進める。 ・調達先と販売先の整理統合により、二酸化炭素排出量を削減する。 ・社用車のEV車等への変更により、二酸化炭素排出量を削減する。 [対応済み] ・日本精化単体では、2022年購入電力の全てを再生可能エネルギーに切替えを実施し、ボイラーの重油から都市ガスへの燃料転換を実施することによりCO2を削減した。 | リスク | 大 | 長期 |
平均気温の上昇/降水・気温パターンの変化 | 機 | ・平均気温上昇に伴い、ウールの需要減少などに起因して天然由来原料(ウールグリース)の調達困難と調達コストが増加する可能性がある。 [対応策] ・バイオマスや藻類由来油脂の利用を検討する。 ・製品副生成物のリサイクル活用を拡大する。 ・製品販売数量削減により、ウールグリースの購入量を削減する。 | リスク | 大 | 長期 | |
研究開発とイノベーションによる新製品や新サービスの開発 | 機 | ・カーボンプライシング導入による再生可能エネルギーの普及が進み、太陽光発電設備需要も増加する。 [対応策] ・ペロブスカイト型太陽電池向け材料開発と拡販を実施する。 | 機会 | 大 | 中期 | |
4℃ | 機 | ・再生可能エネルギーの普及が進み、太陽光発電設備需要も増加する。 [対応策] ・ペロブスカイト型太陽電池向け材料開発と拡販を実施する。 | 機会 | 大 | 中期 | |
原材料価格の高騰 | 機・環 | ・化石エネルギー需要の拡大に伴い、原油価格の高騰による石油由来原材料の調達コストが増加する可能性がある。 [対応策] ・石油由来ではない原材料への代替を検討する。 ・バイオマスや藻類由来油脂の利用を検討する。 ・石油由来原材料であるプラスチックの3Rを促進する。 | リスク | 大 | 長期 | |
平均気温の上昇/降水・気温パターンの変化 | 機 | ・平均気温上昇に伴う干ばつが多発・長期化することにより、飼料不足と飼料価格の高騰で羊の頭数の抑制と暑さで出生率の低下が起こる。また、ウールの需要減少などに起因して天然由来原料(ウールグリース)の調達困難と調達コストが増加する可能性がある。 [対応策] ・バイオマスや藻類由来油脂の利用を検討する。 ・製品副生成物のリサイクル活用を拡大する。 ・製品販売数量削減により、ウールグリースの購入量を削減する。 | リスク | 大 | 長期 | |
・平均気温の上昇による菜種油の生産量の減少及び、労働生産性の低下により供給量が低下し、調達コストが上昇する。 [対応策] ・バイオマスや藻類由来油脂の利用を検討する。 ・供給先を複数化する。 | リスク | 中 | 長期 |
財務影響度 小:1億円未満 中:1億円~5億円未満 大:5億円以上
期間 中期:2030年度まで 長期:2050年度まで
③ リスク管理
サステナビリティに関する事項については、リスク管理をサステナビリティ推進委員会に付託されております。気候関連リスクは「環境」要素のマテリアリティ(重要課題)の1つとして特定しており、以下の評価軸を基にリスク・機会を抽出、評価し重要度を決定します。リスクと機会の影響度が大きいと評価された項目については、当社としてとるべき対応策を策定し推進活動計画を作成しております。また、策定した計画及び活動の進捗管理を実施し、常務会に報告しております。常務会では取組み状況等を踏まえて経営計画や事業戦略が審議され取締役会で承認されます。
■気候関連リスクと機会に関する評価軸
・当社グループに影響を与えると考えられる気候変動に関するリスク・機会を、TCFD最終報告書を参考に抽出
・抽出したリスク・機会を、当社グループの事業活動、顧客、サプライヤー等への影響度及び発生可能性の観点から評価
・各項目の影響度について、シナリオ分析に基づいた定性及び定量両面の視点から評価し、相対的重要度を確定
④ 指標及び目標
当社グループが排出する温室効果ガスは、エネルギー起源による二酸化炭素が主であり、スコープ1・2*については、2021年10月に政府がまとめた地球温暖化対策計画において、2030年度の我が国の温室効果ガスを2013年度から46%削減するという全体目標の内、産業部門の削減目標がエネルギー起源二酸化炭素として38%であることから、2030年度までに当社の二酸化炭素排出量を2013年度比で38%削減してまいります。2021年度二酸化炭素排出量よりグループ会社のアルボース(環境衛生製品事業)を加えましたが、2030年度までの二酸化炭素排出量削減目標に変更はありません。当社は、2022年5月より購入電力の全てを再生可能エネルギーに切り替えることによりスコープ2の削減を行いました。今後スコープ3*の算定も行い、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減に取り組んでいく予定です。2050年にはカーボンニュートラルを達成することを目指してまいります。また、二酸化炭素排出量削減を含むマテリアリティ(重要課題)の達成状況は、取締役及び執行役員の業績報酬に反映する仕組みとしております。
■二酸化炭素排出量推移
(t-CO2) |
| 2013年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
スコープ1 | 13,514 | 14,104 | 12,505 | 13,686 | 12,327 |
スコープ2 | 5,071 | 5,890 | 5,402 | 5,975 | 595 |
合計 | 18,585 | 19,994 | 17,907 | 19,661 | 12,922 |
*スコープ1:事業者自らの燃料の燃焼による温室効果ガスの直接排出
スコープ2:他社から供給された電気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出
スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
気候変動の詳細については、以下のTCFDレポート2023をご参照ください
https://www.nipponseika.co.jp/sustainability/report/
(3)人的資本
●人財育成方針
事業戦略の実現、イノベーションの創出に貢献できる人財ポートフォリオを描き、それに向けて組織における知や経験の多様性を図ります。また、従業員一人ひとりが成長を実感し、自身の自己実現に向けてチャレンジを続けるカルチャーの実現に貢献します。
①多様性
NFC VISION 2030には「多様性を活かしたイノベーションで、未来の「キレイ」をお手伝い」を掲げています。女性活躍の推進については、掲げた目標の達成に向け、さまざまな取り組みを行なっています。
尚、人事給与制度は男女の差なく全員を同じ仕組みで処遇しており、同一等級であれば同一の処遇となっています。
指標 | 目標数値 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 |
従業員に占める女性の割合 | 2027年度までに女性従業員比率20%以上 | 全社 16.6% 正社員 15.4% | 全社 15.8% 正社員 13.9% | 全社 15.6% 正社員 12.9% |
正社員に占める管理職及び管理職候補の女性の割合 | 2027年度までに管理職及び管理職候補の女性比率15%以上 | 7.0% | 6.0% | 4.4% |
管理職に占める女性の割合 | 2030年代に女性管理職比率30%以上を目安 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
男性の賃金を100としたときの女性の賃金の割合 | 2030年代に全社区分で男性の賃金に対する女性の賃金の割合を75%以上 | 全社 65.9% 正規 77.5% 非正規 90.8% | 全社 58.0% 正規 75.7% 非正規 69.4% | 全社 55.2% 正規 75.6% 非正規 74.4% |
※提出会社の状況を記載しています。
②人財育成
従業員一人ひとりの成長が、当社の持続的発展につながるとの認識に基づき、階層別集合研修や従業員自身の成長に向けた自主的な学びのサポートをはじめ、従業員一人ひとりの主体的なキャリア形成に貢献しています。
[階層別集合研修]
研修名 | 実施年月 | 2022年度受講者数 |
新任管理職研修 | 2022年8月 | 11名 |
管理職スキルアップ研修 | 2022年10月 | 13名 |
管理職候補者研修 | 2022年9月、12月 | 18名 |
中堅社員研修 | 2023年3月 | 12名 |
女性リーダー育成研修 | 2022年12月 | 12名 |
若手リーダー研修 | 2023年1月 | 16名 |
キャリア採用者集合教育 | 2022年6月、8月、10月、12月、2023年2月 | 35名 |
新入社員集合教育 | 2022年4月 | 8名 |
※提出会社の状況を記載しています。
[1人あたり教育費用]
指標 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 |
1人あたり教育費用 | 46,272円 | 34,124円 | 22,454円 |
※提出会社の状況を記載しています。
●社内環境整備方針
従業員一人ひとりが、日本精化の一員であることに誇りを持ち、働くことを通じて「笑顔」になれる会社を目指し、職場メンバーの多様な価値観に寄り添い、お互いのワークとライフの質の向上に貢献する。
①働きやすい職場環境
従業員の多様な価値観に寄り添いワークライフバランスの向上を図るため、テレワーク勤務制度、フレックスタイム制度、勤務間インターバル制度の導入など、働きやすいしくみの整備に努めています。また、従業員が、その持てる能力を最大限に発揮できるように安全・安心、快適な職場環境の整備にも努めています。
指標 | 目標数値 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 |
年間総実労働時間 | 毎年度総実労働時間2000時間以内 | 1,979.38時間 | 1,991.02時間 | 1,969.15時間 |
正社員の有給休暇取得率 | 毎年度取得率70%以上 | 80.2% | 71.9% | 68.0% |
ストレスチェック受検率 | 組織の心理的安全や高ストレス者の状況を把握し対処するため、ストレスチェック受検率(85%以上)の向上を図る | 93.3% | 78.3% | 75.3% |
※提出会社の状況を記載しています。
[働きやすい職場環境に向けた主な取り組み]
実施年 | 実施内容 |
2017年 | ・フレックスタイム制度導入 ・勤務間インターバル制度導入 |
2020年 | ・東京支店 オフィス全面改装 |
2021年 | ・本社 オフィス全面改装 ・テレワーク勤務制度導入 ・在宅勤務手当制度導入 |
2022年 | ・リピッド事業本部事務所棟新設(生産職場休憩室を併設) ・熱中症対策として生産職場へ大型換気扇導入と休憩室に給水機設置 |
※提出会社の状況を記載しています。
②両立支援
従業員のワークライフバランスの質を向上させることで、ワークエンゲージメントを高め、それが企業の発展に繋がります。そのため、育児、介護などと両立しながら働く従業員の支援に向けた取り組みを推進しています。
指標 | 目標数値 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 |
育児休業取得率 | 2025年度末までに、育児休業取得率70%以上 | 37.5% | 12.5% | 18.2% |
男性従業員の育児休業取得率 | 2025年度末までに、男性従業員の育児休業取得率50%以上 | 28.6% | 0.0% | 0.0% |
※提出会社の状況を記載しています。
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