企業兼大株主日本空港ビルデング東証プライム:9706】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 (サステナビリティ共通関連)

 当社グループは、公共性の高い旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う民間企業としての社会的役割を十分認識し、「公共性と企業性の調和」のとれた経営を目指しています。そのため、サステナビリティを戦略推進の中核と位置づけ、ESG関連の取組みの着実な実行と実効性を強化するためのガバナンス体制を構築しています。

 2022年7月に、経営トップのリーダーシップを発揮するため代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しました。また、新設された社長直轄の「サステナビリティ推進室」が各部署と連携し、サステナビリティ計画の立案、実施状況のモニタリングなどを担当しています。さらに、サステナビリティに関する専門的な視点を持つ社外の有識者との対話を実施することで外部視点を計画の策定に役立てています。

 「サステナビリティ委員会」では、サステナビリティを推進する基盤としての方針類・計画の策定や、2023年5月に公表した「サステナビリティ中期計画」に定めるマテリアリティ(重要課題)、KPI(重要業績評価指標)など、気候変動や人財育成をはじめとした課題に対する取り組みの進捗について審議をしています。同委員会における審議内容については、経営会議において経営戦略との関係性・整合性を踏まえた審議がなされた後、取締役会に報告、決議されています。

 これら経営トップのリーダーシップ、専門部門の設置、社外有識者との連携を通じて、サステナビリティに対するガバナンス体制を構築しています。

 図1 サステナビリティ推進体制の全体像

(2)戦略

 (サステナビリティ共通関連)

 サステナビリティ中期計画を策定し(2023年5月公表)、以下の戦略を展開しています。

 (詳細)https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/sustainability/medium_term_plan/

a)サステナビリティ基本方針の策定

 顧客、株主、従業員、地域社会、パートナーなど、当社が関係するステークホルダーについて、経済社会の発展に貢献しながら持続可能な事業活動を推進するための方針を策定しています。

b)マテリアリティの特定

 中期経営計画との整合性を図りつつ、8つのマテリアリティを特定しています。特定にあたっては、

  ①中長期的な視点で当社事業に影響を及ぼす可能性のある社会課題や事業環境について、業界団体(ACI)や

 国際的なガイドライン(GRI、SASB等)の重要項目や事業戦略を踏まえリストアップした候補を、

  ②自社事業にとっての重要性(企業性)と社会にとっての重要性(公共性)の2軸での評価を実施、

  ③社外有識者とのダイアローグによる外部からの期待及び要請を反映しています。

c)取り組み及びKPIの策定

 「指標及び目標」記載欄参照

(気候変動関連)

 異常気象の頻発化など気候変動が当社グループに及ぼす影響は大きい一方、当社グループは、ターミナル運営における電力消費など多くの温室効果ガスを排出し環境に負荷を与えています。社会の持続可能性と両立する環境にやさしい空港を目指して事業を継続していく上で、気候変動への対策は重要な課題であると認識しており、マテリアリティとして「気候変動への対策」を掲げています。2022年9月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、2023年5月にはTCFD提言に基づき情報を開示しています。

(詳細)TCFD提言に基づく情報開示(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/sustainability/tcfd.pdf)

 当社グループの事業に気候変動が与える影響を評価するため、下記の2つのシナリオ(「1.5℃シナリオ」及び「4.0℃シナリオ」)を用いて分析を実施しました。シナリオの設定にあたっては、IEA(International Energy Agency, 国際エネルギー機関)やIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change, 気候変動に関する政府間パネル)が公表するシナリオを参照しています。

 表1 シナリオ分析の概要

名称

1.5シナリオ

4.0シナリオ

シナリオの概要

・ 抜本的な施策が機能することにより脱炭素

  社会が実現、産業革命時期比で気温上昇

  が約1.5℃未満に留まる。

・ 脱炭素社会移行に関するリスクが主に

  顕在化。

 

・ 現状を上回る施策を取らないことにより地球温暖化が進展、産業革命時期比で気温が約4

   上昇。

・ 気候変動による物理リスクが主に顕在化。

世界観

・ カーボンプライシングや航空事業者のSAF使用規制等により、空港・航空業界はカーボンオフセットや再エネ・省エネ投資等の対応が必須となる。

・ 代替移動手段へのシフトも想定されるが、SAFの普及につれ、空港ではサプライチェーンを含めたGHG排出削減が着実に進む。

・ 低炭素化社会への移行のための政策や規制導入は限定的。

・ 気候変動の進行に伴い、気候パターンの変化や海面上昇、異常気象の激甚化・頻発化等により空港運営への悪影響が生じる。サプライチェーンリスク管理やBCPの見直しの重要性が高まる。

 表2 気候変動に関わるリスク・機会及び影響度 ※一部抜粋

リスク・機会の種類

概要

セグメント

時間軸

主に

関連する

シナリオ

影響度

施設

物販

飲食

移行

リスク

GHG排出量

削減施策

(政策と法律/技術)

カーボンプライシング導入にともなう、ターミナル運営コストや原材料仕入・物流コストの増加

短期~中期

1.5℃

気候変動関連法規制によるコストの増加(環境関連規制にともなう建設コストの増加等)

 

短期~長期

1.5℃

気候変動関連法規制によるコストの増加(プラスチック等の資源循環や自然資本に配慮した調達等)

 

短期~中期

1.5℃

再生可能エネルギー及び新エネルギーの導入等による気候変動対策投資コストの増加

 

短期~中期

1.5℃

/4.0℃

その他

(市場/評判)

 

航空需要にネガティブに影響する政策措置による、空港利用者数の伸びの鈍化

短期~長期

1.5℃

環境対応の遅れによる、テナント・パートナー・顧客・取引先・従業員からの評判低下

短期~中期

1.5℃

/4.0℃

物理

リスク

慢性

海面上昇による、空港アクセス交通への影響

中期~長期

4.0℃

気候パターンの変化にともなう、感染症発生等による影響

長期

4.0℃

急性

異常気象の激甚化・頻発化による利用者数への影響

短期~中期

4.0℃

異常気象の激甚化・頻発化による設備損壊、浸水被害等

中期~長期

4.0℃

異常気象の激甚化・頻発化によるサプライチェーン分断

 

短期~中期

4.0℃

機会

GHG排出量削減施策(エネルギー源)

高効率なエネルギー利用や新技術等の普及によるコストの低減

 

長期

1.5℃

脱炭素への貢献と新しい収益源の確保

 

中期~長期

1.5℃

/4.0℃

その他

(資源効率性/製品・サービス/市場)

脱炭素取組を通じたブランド価値向上

中期~長期

1.5℃

低炭素を実現する企業への政策支援の活用

 

中期~長期

1.5℃

当社を中心とした循環型システムの構築

 

短期~中期

1.5℃

/4.0℃

物理リスク

ステークホルダーや地域との連携によるレジリエンス強化

 

中期

1.5℃

/4.0℃

(注1) 時間軸について:短期:2025年まで、中期:2030年まで、長期:2050年まで

(注2) 影響度について:当社事業への影響を総合的に勘案し、大、中、小の3段階で評価

 表3 対応策 ※一部抜粋

リスク・機会の種類

概要

移行リスク

関連

GHG排出量

削減施策

照明のLED化、空調機器更新、AI空調の導入を含めた省エネ施策

メガソーラー等の再生可能エネルギー導入、調達電源構成の見直し及び熱源使用効率化の推進

施設のZEB化、建物の木造木質化、放射冷却素材「ラディクール」の使用等による環境配慮性能向上

新エネルギーの利活用に向けた調査及び検討

その他

資源の有効活用(羽田空港の資材設備を地方空港や運営参画空港へ提供等)及び廃棄物抑制の事業化(廃油の回収とバイオ燃料への活用等)

物理リスク関連

東京国際空港A2-BCPへの対応強化、BCP体制構築と定期訓練の実施

感染症対策の徹底、ロボットやデジタル技術を活用した非接触販売の実施

サプライチェーンの冗長化等、調達生産物流の全体最適化

 (人的資本・多様性関連)

 長期ビジョン"To Be a World Best Airport"を実現し、空港のリーディングカンパニーを目指す中では、「人財」が最重要資本であると認識しており、中期経営計画においても、空港事業の成長と、その実現に向けた再成長土台の確立、収益基盤の拡大を、高度かつ効率的に推進するための経営基盤の強化として、「人財のプロ集団化・組織力の最大化」を掲げており、サステナビリティ中期計画でも、重要な経営課題として「人財育成」及び「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」をマテリアリティに掲げています。

 当社グループでは、公共性の高い旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う企業グループとして、「公共性と企業性の調和」のとれた経営を目指し、空港ターミナルにおいて、施設管理運営業、物品販売業、飲食業など、多様な事業を展開しております。そのため、「人財育成」については、経営戦略の達成に向け、「自ら考え挑戦する人財」を人材育成方針として掲げ、これまでの幅広い専門知識や技術に加えて、ハード・ソフト両面における羽田空港の機能強化の実現に向け、進化を追求し続ける組織とそれを支える「人財」の育成に向けた研修体制と自律的な“学び”をサポートする制度を導入しています。また、多様なスキルを持つ中核人財の採用を進めることで、一層の組織力の強化を図ります。

 「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」については、世界各国・日本全国から多くのお客さまを迎え入れる国際空港を運営する企業として、従業員に対して、多様な文化や考え方を受容する包摂性を涵養することは必要不可欠であり、「多様な人財が互いを高め合う企業風土」を社内環境整備方針として、ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフバランスの推進を支える研修体制と制度、環境づくりに取り組んでいます。女性管理職比率の維持、外国人、障がい者採用の推進なども含め、多様な人財が能力を発揮し、活躍できる制度・環境を整備するとともに、働き方改革の推進など、従業員の生産性向上やエンゲージメントの向上にも取り組んでまいります。これら各方針に基づき人的資本への適切な投資を実行することで、長期ビジョン達成に向けた2030年のあるべき姿として「人財のプロ集団化・組織力の最大化」を目指してまいります。

(3)リスク管理

(サステナビリティ共通関連)

 公共性の高い旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う当社グループにとり、事業の継続性確保は社会的使命であり、新たなリスクが顕在化する不確実な社会において、事業を取り巻くリスクを把握し、対策を講じることは組織のレジリエンス確保において重要な課題であると認識しております。

 グループ全体でのリスク管理体制の高度化を図るため、2023年4月に、代表取締役社長を委員長とし、副社長以下の全役員から構成される「リスク管理委員会」を設置しました。委員会では、重要性が高いと評価されたリスク(優先リスク)とその対応を決定し、対応状況の確認と効果検証を繰り返し見直す体制としています。

 気候変動や人的資本を含むサステナビリティ関連のリスクのうち、「サステナビリティ委員会」において、当社の事業や業績に与える影響が大きいと判断されたものは、優先リスクとして「リスク管理委員会」による全社的リスク管理体制において統合管理されています。

 「リスク管理委員会」での審議内容については、適宜取締役会へ報告され、リスク管理に関する監督を受ける体制となっています。

(4)指標及び目標

 (サステナビリティ共通関連)

 サステナビリティ中期計画において「環境」、「社会及び人」、「ガバナンス」の3領域における各マテリアリティについて、指標と目標を設定し、27項目を開示しています。

(詳細)サステナビリティ中期計画

(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/sustainability/medium_term_plan/)

(気候変動関連)

GHG排出量スコープ1及びスコープ2(注)に関し、2030年までに2013年対比で46%削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを長期目標に掲げています。

(注)対象範囲:羽田空港内における当社グループのCO排出量

(羽田空港内の当社グループ保有の空港内車両による排出を除く)

 排出範囲:事業の運営により自家で消費したエネルギー起源のCO

(詳細) TCFD提言に基づく情報開示

(https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/files/sustainability/tcfd.pdf)

 (人的資本・多様性関連)

人財育成方針「自ら考え挑戦する人財の育成」に関する指標

指標

目標年

実績

産産・産学連携等プロジェクト参加者数

毎年向上

2022年度:延べ20名

外部出向者数

毎年向上

2022年度:18名

社内アカデミー「学びROOM」参加者数

毎年向上

2022年度:延べ30名(7講座)

社内知識習得セミナー参加者数

毎年向上

2022年度:延べ220名

ITパスポート取得率100%

2024年度

9.6%(累計取得者数:26名)

インナーブランディング活動「プラスワンプロモーション」参加者数(連結)

毎年向上

175名参加 ※グループ若手社員対象

社内環境整備方針「多様な人財が互いを高め合う企業風土の醸成」に関する指標

指標

目標年

実績

女性管理職比率40%の維持

2027年度

2022年度実績:41.6%

男性育児休業取得率100%

2027年度

2022年度実績:71.4%

男女間賃金格差(全労働者)

毎年削減

2022年度実績:80.8%

男女間賃金格差(正規雇用労働者)

毎年削減

2022年度実績:84.4%

男女間賃金格差(非正規雇用労働者※)

毎年削減

2022年度実績:51.1%

障がい者雇用率6.6%

2025年度

2022年度実績:5.1%

外国人社員比率

2022年度実績:2.7%

中途社員の管理職登用率

2022年度実績:32.5%

 集計対象:日本空港ビルデング株式会社単体(※一部記載のあるものについては連結)

※部長級の嘱託社員、審議役、障がい者採用等

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