日本碍子 【東証プライム:5333】「ガラス・土石製品」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する基本方針は以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、別途記載がある場合を除き当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(基本的な考え方)
日本ガイシ株式会社(NGK)及びそのグループ会社は、NGKグループ理念「社会に新しい価値を そして、幸せを」に基づき、独自のセラミック技術で新しい価値を提供することで持続可能な社会の実現に貢献し、社会の皆さまからの期待に応え、信頼を得たいと考えています。これをNGKグループのサステナビリティに係わる基本的な考え方とし、NGKグループ理念の実現に向けて策定した「NGKグループビジョン Road to 2050」の下で、ESG(環境・社会・ガバナンス)及びSDGs(持続可能な開発目標・Sustainable Development Goals)を念頭に置きつつ、カーボンニュートラルとデジタル社会の実現に貢献し、持続的な企業価値の向上を目指します。
(重要な課題(マテリアリティ)の特定と取組みの推進)
NGKグループ理念の実現、また社会とNGKグループの持続的な発展のために、NGKグループ及びステークホルダーの双方にとって重要な課題をマテリアリティとして特定します。特定されたマテリアリティに対応し、課題解決を目指すと共に、企業行動指針など各種の行動の基本となる方針を整備し実践します。
(取締役会の責務)
取締役会は、ESG要素を始めとするNGKグループのサステナビリティ課題を正しく認識し、サステナビリティ課題への取組みを適切に監督し対応を進めることで中長期的な企業価値の向上に結びつけることを目指します。また、取締役会は、適切に情報を開示し、様々なステークホルダーとの対話を重視してその意見を取締役会にフィードバックすることで、経営の改善に努め、社会からの信頼と期待に応えます。
(1) ガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティ課題を含む全社的なリスクについては、取締役会決議による「業務の適正を確保するための体制等の整備」において損失の危険の管理に関する規程その他の体制を策定し、重大なリスクに関しては関係する各種の委員会を設置してリスク管理を行っています。各委員会で審議された個別の事項のうち重要なものは経営会議及び取締役会で審議、または報告され、各委員会の活動内容は年1回以上取締役会に報告されます。
危機管理に関わる体制については、「NGKグループサステナビリティウェブサイトデータ2022」のP128、リスクマネジメントのページをご覧ください。
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/2022/ngk2022data.pdf
なお、2023年4月以降はリスク統括委員会を新たに設置し、グループのリスク課題を包括的に取り扱い、それらの活動内容を同様に年1回以上取締役会に報告することを決定しています。リスク統括委員会及びESG統括委員会の委員長は取締役社長が務め、その他の委員会は部門を所管する取締役、ないしは担当する執行役員が委員長を務めることとしております。全ての委員会について、本社部門、事業部門など主要な部門を担当する執行役員がその構成員となっています。
② リスク管理
当社グループの全社横断的なリスクに関しては、危機管理基本規程に基づき日々のリスク管理を関係職制によって行うとともに、重大なリスクに関してはESG統括委員会を始めとする各委員会の活動によってリスクの発生を回避、予防します。サステナビリティ関連のリスクと機会については、ESG統括委員会がグループ横断的に取り扱うこととしており、重要な項目をマテリアリティとして特定する議論を行った上で、経営会議及び取締役会で審議、決定します。
マテリアリティの特定については、当連結会計年度において社内各部門の代表からなるワーキンググループによる検討を重ね、マテリアリティ候補となる環境・社会に関する課題を事業への影響度、ステークホルダーの要請・期待の2軸で評価し、マテリアリティ・マップの作成を行いました。これを基に、ESG統括委員会においてマテリアリティ候補を抽出し、ワーキンググループと共にそれらに対するリスクと機会、主な取組みの検討を行いました。
この過程を経てマテリアリティとして特定した項目のうち、ステークホルダーの要請・期待(インパクトマテリアリティ)、及び事業への影響度(財務マテリアリティ)のいずれかにおいて最も高い影響を有するとされたESG課題に関わる項目を特に重要視し、以下の4項目を抽出しました。これらの項目は、各々に関係する委員会で取り扱われ、これらの委員会の活動、及び経営会議・取締役会への報告等を通じて、リスクと機会の監視・管理(ガバナンス)、識別・評価(リスク管理)を行っています。
イ. 気候変動への対応
気候変動対応は、地球の持続可能性において最重要課題の1つであると認識し、「NGKグループビジョン」を踏まえ併せて策定した「NGKグループ環境ビジョン」及び「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」に基づき、事業活動を通じての2050年までのCO2排出ネットゼロを目指しています。具体的な活動として「環境行動5カ年計画」によって管理指標と年度ごとの達成目標を定めています。これらは、社長を委員長とするESG統括委員会で審議され、年1回以上、取締役会に報告されます。
ロ. 品質と製品の安全性の追求
お客様視点に立った信頼される品質を追求し、期待を超えた安心・信頼のある製品・サービスを安定的に供給することで、より良い社会づくりに貢献します。
このために、品質委員会において品質方針及び品質目標の決定改廃、市場における重大な品質不良の発生防止と万が一発生した場合の技術的対応等を取り扱い、委員会の審議を経て決定した事項のうち重要と判断されるもの、また年度の品質実績については、年1回以上取締役会に報告されます。
ハ. 人権の尊重
自社及びバリューチェーンにおける人権を尊重する取組みを展開することで、事業活動が影響を及ぼす全ての人々の人権が侵害されることのない社会づくりに貢献します。
このために、HR委員会において人権に関する基本方針の決定改廃、グループ会社を含めた人権に対する啓発活動や人権デュー・ディリジェンスの実施、苦情処理と救済対応等を取り扱い、委員会の審議を経て決定した事項のうち重要と判断されるもの、また年度の実績については、年1回以上取締役会に報告されます。
ニ. 人材価値の向上
多様な経験・価値観を持った人材が活躍する豊かで活気ある職場環境を整備し、従業員一人ひとりが自律的に挑戦し高めあうことで、社会に新しい価値を提供していきます。
このために、HR委員会においてNGKグループ人的資本経営方針を策定し、これに基づく各種の人事施策を展開するとともに、長時間労働等の労働に関わる問題の把握を行います。委員会の審議を経て決定した事項のうち重要と判断されるもの、また年度の実績については、年1回以上取締役会に報告されます。
その他の当社がリスクと認識する項目全般については、「第2 事業の概況 3〔事業等のリスク〕」をご覧ください。
マテリアリティについては、当社ウェブサイトをご覧ください。
https://www.ngk.co.jp/sustainability/pdf/materiality_r0.pdf
(2) 戦略並びに指標及び目標
マテリアリティのうち特に重要なものとして抽出された項目については、各々以下の取組みを行っています。
① 気候変動への対応
バリューチェーン全体にカーボンニュートラルを働きかけ、CO2排出ネットゼロの事業活動を目指します。
データとデジタル技術の活用を通じてカーボンニュートラル関連製品の開発スピードを加速し、独自のセラミック技術を中核とした製品・サービスの開発・提供により、2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
NGKグループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しており、その枠組みに基づく開示のうち、戦略、並びに指標及び目標に関する部分は以下の通りです。
〔戦略〕
イ. 気候変動のリスクと機会
NGKグループの事業に関連する気候変動のリスクと機会及びその影響の大きさについて、時間軸とシナリオを設定して分析をしています。シナリオ分析は、複数の将来シナリオを想定した上で、各シナリオ下で気候関連のリスクと機会がNGKグループに与えうる影響を把握し、今後の戦略や対応の検討に活かすことを目的とした手法です。
(イ) 前提条件
(a) 時間軸 リスクと機会を検討するための時間軸として、短期・中期・長期を設定しました。
| 時間軸 | 設定理由 |
短期 | 2025年度 | 第5期環境行動5カ年計画の最終年度であるため |
中期 | 2030年度 | NGKグループ環境ビジョンの中間目標年であるため |
長期 | 2050年度 | NGKグループビジョン及びNGKグループ環境ビジョンの目標年であるため |
(b) シナリオ
カーボンニュートラルへの移行によるリスクと機会、物理的なリスクと機会がそれぞれ最大化すると考えられるシナリオとして、1.5℃シナリオと4℃シナリオを設定しました。
シナリオ | 概要 | 参照した主な外部シナリオ |
1.5℃ | 2050年カーボンニュートラルに向けて、政策・規制導入や市場変化が急速に進行することで、地球の平均気温上昇が産業革命前の水準に比べ1.5℃に抑えられる。 | ・IEA(国際エネルギー機関)Net Zero by 2050シナリオ ・SSP1-2.6シナリオ など |
4℃ シナリオ | CO2排出量削減に向けた政策・規制や社会の取組みが進まず、地球の平均気温上昇が産業革命前の水準に比べ4℃となる。災害などの気候変動による影響が甚大化する。 | ・SSP5-8.5シナリオ など |
(ロ) 特に重要度の高いリスクと機会
各時間軸とシナリオにおいて、TCFDの分類に沿ってリスクと機会を特定しました。リスクと機会各々の財務影響の大きさは、全社のリスク評価基準を参考に定性的に評価を行った上で、一定の影響があると考えられ、シナリオに基づく定量的な検討が可能な一部の項目については、財務影響の定量化を実施しました。
なお、本シナリオ分析はNGKグループの業績の将来見通しではなく、各シナリオ下で気候変動によるリスクと機会がNGKグループに将来与えうる影響を分析し、今後の戦略や対応の検討に活かすためのものです。また、財務影響の試算において使用している情報は検討時点のものであり、不確実な要素や仮定を含んでいます。
(a) カーボンニュートラル社会への移行リスクと機会(1.5℃シナリオ)(主な項目のみ)
分類 | 事業における | リスク・機会の内容 | 時間軸 | 対応戦略 (抜粋) | 財務影響 | |
政策 法規制 | 温室効果ガス排出削減強化による対応コストの増加 | リスク | 省エネ、再生可能エネルギーの調達、エネルギー源の電化、焼成用燃料の天然ガスから水素・アンモニアなどへのエネルギー転換に向けた設備入替・導入などの対応コストが発生 | 短期 ~ | ・各国の規制や炭素価格制度の動向や予測のモニタリング ・NGKグループ環境ビジョン、カーボンニュートラル戦略ロードマップに沿った省エネ強化、技術イノベーション推進、再生可能エネルギー利用拡大の取組み ・CSR調達ガイドラインによる温室効果ガス排出削減の推進 | エネルギー転換/炭素価格の財務影響額(経費増) ※1 2025年: △20億円 2030年: △58億円 2050年: △123億円 (参考:削減しない場合の炭素価格影響:△59~△177億円) |
炭素価格の導入によるコスト増加 | リスク | 自社での排出、およびサプライチェーン上流での排出への炭素価格の導入によりコストが増加 |
分類 | 事業における | リスク・機会の内容 | 時間軸 | 対応戦略 (抜粋) | 財務影響 | |
技術 | バッテリーの技術革新/新技術の登場・普及によるリスク・機会 | 機会 | ・自社の技術開発が進む場合、競争力の強化 ・蓄電池ニーズが増加 | 中期 ~ | ・技術革新の動向に関するモニタリング ・研究開発の推進 | 定量化のための指標が不足しているため現時点では定性的に検討 |
リスク | 競合製品の技術革新が進む場合、自社技術の競争力低下 | |||||
CCU/CCS (CO2の回収・利用・貯留)の普及による市場拡大 | 機会 | CCU/CCS市場拡大により当社のセラミック製品(サブナノセラミック膜など)の事業機会の増加 | 中期 ~ | CCU/CCS市場における事業拡大、新製品開発の推進マーケティング、ビジネススキーム、新製品開発を加速するNew Value 1000の推進 | CCUS関連製品での財務影響額 ※2 2025年: + 0億円 2030年: +140億円 2050年: +2,700億円 | |
市場 | 自動車関連製品の需要増減 | 機会 | ・短期的には排ガス規制強化により、自動車排ガス浄化用部品、NOxセンサーの需要が増加 ・中長期的には、EV向けに窒化ガリウム(GaN)ウエハー「FGAN®」や絶縁放熱回路基板、ベリリウム銅部材等の需要が増加 | 短期 ~ | ・排ガス規制の強化に伴う新製品や高機能品の増加で内燃機関自動車向け需要低下をカバー ・窒化ガリウムウエハーやベリリウム銅、絶縁放熱回路基板の、EV・プラグインハイブリッド自動車向け採用拡大 ・EV用熱マネジメント向け製品、合成燃料向け新製品等の開発・提供 | 自動車関連製品での財務影響額 ※2 2025年: +650億円 2030年: △500億円 2050年: △2,440億円 |
リスク | 中長期的には内燃機関自動車向け製品の需要が減少 | |||||
蓄電池需要の拡大 | 機会 | ・「NAS®電池」や亜鉛二次電池「ZNB®」の需要増加 ・リチウムイオン二次電池向け加熱・耐火物事業のビジネス機会拡大 | 短期 ~ | ・ソリューションサービスを通じての新しい価値の提供 ・亜鉛二次電池「ZNB®」の事業化 | 蓄電池関連製品での財務影響額 ※2 2025年: +230億円 2030年: +330億円 2050年: +680億円 | |
半導体関連製品の需要拡大 | 機会 | 半導体製造装置用部品や、エレクトロニクス事業における電子部品・金属関連の需要が増加 | 短期 ~ | 半導体製造装置メーカーと連携し、設備能力や人員・設備体制等の都度増強 | 定量化のための指標が不足しているため現時点では定性的に検討 |
※1:IEA(国際エネルギー機関)のNet Zero by 2050(2021年版)シナリオ等のパラメーター(炭素価格、エネルギー単価、電源構成など)に基づき、将来の事業拡大等について一定の前提や仮定を置いた上で、エネルギー転換や省エネにかかるコストと、温室効果ガスに対する炭素価格を合わせて利益に対する影響額を概算し、財務影響としています。
※2:IEAのNet Zero by 2050(2021年版)シナリオ等に基づく、自動車市場、CCU/CCS市場、電力向け蓄電池市場の変化に基づき、当社シェア等について一定の前提や仮定を置いた上で、一部の製品を対象に現在と比較した売上高への影響額を概算し、財務影響としています。
(b) 気候変動の顕在化に伴う物理的リスクと機会(主に4℃シナリオ)
分類 | シナリオの 概要 | 事業における | リスク・機会の内容 | 時間軸 | 対応戦略 | 財務影響 | |
急性 | ・日本やアジア等の地域で洪水頻度が増大する ・猛烈な台風の頻度が増大する | 風水害による工場・サプライチェーンへの影響 | リスク | ・風水災により、施設、機械などのプロパティ損害、事業停止による利益損害、従業員の出社困難などの影響が増加 ・風水害の増加によりサプライチェーンが途絶 | 短期 ~ 長期 | ・主要拠点における将来気候も含めた水災リスクの評価 ・サプライチェーンも含むBCP(事業継続計画)の構築・推進 •拠点の分散により、グローバルに代替可能な体制の構築 •サプライチェーン途絶に備え、災害リスクの高い産地を中心に、予め代替の調達方法の検討 •主要サプライヤーにおける水災リスク評価の検討 | 当社工場及びサプライヤーにおける洪水・高潮による当社損失額(期待値)の変化 ※3
2025年: △0.7億円 2030年: △1.0億円 2050年: △5.4億円 |
慢性 | 海面上昇が進行する | 沿岸部工場における高潮等の影響 | リスク | ・高潮リスクが高まり、浸水被害によるプロパティ損害、利益損害が増加 ・かさ上げ、防壁等の対策や移転費用の発生 | 中期 ~ 長期 |
※3:米国Jupiter Intelligence社が開発したClimate Score Global(CSG)モデルでのシミュレーションにより、工場及び主要サプライヤーの位置情報に基づき、90mの解像度で河川洪水・高潮による浸水深の評価を行いました。評価から当社工場における資産の損失額・操業停止による損失額と主要サプライヤーの操業停止による当社の損失額を集計し、利益に与える影響額の期待値を算出しました。期待値は、水災による損失額と年当たりの水災発生確率から算出した指標です。
なお、損失額は浸水深に応じた一律の被害率に基づき概算したものであり、各拠点がある地域の防災対策等の詳細状況は反映しておりません。
ロ. 気候変動のリスクと機会を踏まえた戦略
シナリオ分析を通じて特定したリスクと機会に対して各々の影響度を認識した上で、社会や市場の動向を注視しながら、各項目について設定した対応戦略に沿って行動していきます。
移行リスクのうち、CO2排出に伴うリスクについては、「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」に基づきCO2排出量ネットゼロに向けた取組みを推進することでリスクを低減していきます。
水災害リスクについては、比較的発生頻度の高い降雨に対してBCP(事業継続計画)の観点から土地の嵩上げ等の対応策をすでに講じています。それ以上の災害についても、人命を守ることを第一優先として壊滅的な被害が発生しないように対応策を取っています。今後も気候変動によるリスク低減のために、4℃シナリオのような最悪の事態の可能性も認識した上でリスク評価を継続するとともに、BCP等の対応策の強化に取り組んでいきます。
NGKグループは「NGKグループビジョン」において、「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」ことをありたい姿として定め、2050年にこれらの分野における関連製品が売上高の80%を占めることを目指しています。
カーボンニュートラル社会の実現による事業機会について、今回のシナリオ分析では現在想定しうる一部の事業に対する定量的な財務影響を算定しました。「NGKグループビジョン」の実現に向けて今後もカーボンニュートラル及びデジタル社会関連の新製品の開発に努め、新たな価値を社会に提供し持続的な成長を目指します。
シナリオ分析については、参照した外部シナリオや各種のパラメーター等の追加や更新、新製品の開発状況に応じて適宜充実、深化させ、気候変動のリスクと機会が経営にもたらす影響を継続的に分析し、対応を検討していきます。
〔指標及び目標〕
「NGKグループ環境ビジョン」の達成に向けて、目標実現のための「カーボンニュートラル戦略ロードマップ」を策定しました。2050年の目標をグループ全体のCO2排出量ネットゼロとし、そこに至るまでのマイルストーンとして、2025年度に排出量55万トン(基準年2013年度比25%削減)、2030年度に同37万トン(同50%削減)を設定しています。
また「NGKグループ環境ビジョン」の実現に向け、2021~2025年度における環境活動の目標として、「第5期環境行動5カ年計画」を策定しました。2050年ネットゼロ、及びマイルストーンである2030年度の2013年度比50%削減の達成への進捗をわかりやすくすることが狙いです。また、再生可能エネルギーの利用拡大への取組みとして、グループ全体の電力使用量に対し、再生可能エネルギー利用率の目標を新たに設定したほか、カーボンニュートラル関連製品での登録数を増やす目標も定めました。
GHG排出量及びCO2排出量(Scope1、Scope2及びScope3)については、当社ウェブサイトで開示しております。2023年3月期のデータについては2023年9月頃に公表を予定しております。
https://www.ngk.co.jp/sustainability/environment-performance.html
なお、(2) 戦略並びに指標及び目標 ① 気候変動への対応に記載された将来情報は、気候変動によるリスク及び機会への当社グループの戦略のレジリエンスを担保するため、信頼できる外部機関が策定したシナリオ及び将来予測数値を用いて想定値として算出し、ESG統括委員会の審議を経て経営会議・取締役会で報告されたものです。あくまでもシナリオに基づく想定値であり、実際の企業業績とは一致しません。
② 品質と製品の安全性の追求
〔戦略〕
当社グループは、エネルギー・エコロジー・エレクトロニクスの分野でグローバルにセラミックス製品を生産・販売しており、リスクとして、品質と製品の安全性に関わる重大な市場クレームや契約違反など業務の不備によるブランド・レピュテーションの毀損、訴訟の提起等、一方で機会として、品質と製品の安全性を追求することによるブランド・レピュテーションや競争力の向上、及びビジネス機会の拡大と認識しております。そのため、経営トップの直接指導の下、
品質方針「品質を大切にし、お客様と世の中に信頼され役に立つ製品とサービスを提供する」
品質目標「一人ひとりが自律して業務品質の改善に取り組む」
を掲げて、品質経営統括部が各事業本部の品質活動をモニタリングするとともに、重要課題については品質会議を開催して迅速な解決を図るなど品質リスク低減を図っております。
業務品質(お客様との約束を遵守するための仕組み)の改善については、全社品質コンプライアンスプログラムを設定し、経営層による意思表明、規程・ルールの整備、教育の実施、監査及びモニタリング、防止活動、の各項目を進めています。
また、品質向上とリスク排除を強化し製品の安全性を確保するため、4つの品質活動をルール化するとともに守るべき6つの品質を定め、その考え方・やり方をQRE-P(Quality Risk Elimination - Process、製品の企画から量産に至る商品化プロセスで、より効果的に品質リスクを排除するための手順)に示して全社展開する活動を推進しています。
〔指標及び目標〕
全社品質コンプライアンスプログラムに関する実施目標は以下の通りです。
経営層による意思表明 | :取締役社長によるトップメッセージの発信、社内各階層での周知とグループ会社展開 |
規程・ルールの整備 | :全社のコンプライアンス規程への反映 |
教育の実施 | :品質経営教育(対象者、対象グループ会社の拡大) |
監査及びモニタリング | :監査計画の策定と部門、グループ会社監査の実施 |
防止活動 | :品質コンプライアンスの理解の促進 |
③ 人権の尊重
〔戦略〕
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、グループの事業活動が影響を及ぼすすべての人々の人権が侵害されることのないように「NGKグループ人権方針」を定めたほか、「英国現代奴隷法に関する声明」を開示、また「子どもの権利とビジネス原則」を支持し事業活動において子どもの権利を尊重し、子どもの権利の推進に向けた社会貢献活動等に取り組むことを宣言しています。
この「NGKグループ人権方針」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、事業活動が人権に対して及ぼす負の影響を特定し防止・軽減する取組みを進めること、また事業活動が人権に対して負の影響を及ぼしたことが明らかになった場合や、及ぼしたことが疑われる場合は、関係者と誠実に対話し、適切かつ効果的な救済に取り組むこととしております。
〔指標及び目標〕
人権の尊重に向けた取組みについての行動計画は以下の通りです。
・人権デュー・ディリジェンスプロセス
-当社及びグループ会社に対するセルフチェックの実施(レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範に準拠)
-国内外取引先に対する、「CSR調達ガイドライン」遵守についての同意書提出要請、及びCSR調達に対する理解度や活動状況を把握するためのセルフアセスメント調査の実施
・役員及び全従業員に対する人権教育の実施
・「NGKグループ人権方針」及び「英国現代奴隷法に関する声明」の必要に応じた適切な改定
④ 人材価値の向上
人材価値の向上に関わる戦略並びに指標及び目標については、(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標をご覧ください。
(3) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
① 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
(NGKグループ人的資本経営方針)
当社グループは、NGKグループ理念の中で、挑戦し高めあう人材を私たちが目指すものの1つと位置付け、「社会に新しい価値を そして、幸せを」という私たちの使命の実現に取り組んでいます。また当社グループは、NGKグループビジョンの実現に向けて、「5つの変革」に取り組んでいます。5つの変革を成し遂げるためには、人材一人ひとりの活躍が不可欠です。採用や育成を通じて5つの変革に取り組む人材の充実を図ること、その人材が持てる力を十分に発揮できる環境を整えることを、当社グループの人的資本経営の基本とし、次の通り「人材育成方針」ならびに「社内環境整備方針」を定めます。
(イ) 人材育成方針
NGKグループは、5つの変革を実現するため、以下のような能力、マインドを持つ人材を育成していきます。
・高度な知識、技術、能力を身につけ、主体的に問題に取り組む人材 |
・チームワークを発揮し、粘り強く成果につなげる人材 |
・自律的に成長し、自身と会社を変革し続ける人材 |
(ロ) 社内環境整備方針
NGKグループは、人材が持てる力を十分に発揮できる舞台として、以下のような職場環境をつくり上げていきます。
・多様性を尊重し、さまざまな人が活躍できる職場 -人種、国籍、性別、年齢や信念、経験、価値観などにかかわらず、誰もが認められ、尊重される職場。 |
・豊かで活気あふれる職場 -多様な人材が、やりがいをもって、尊敬できる仲間と楽しく働くことができ、こころと体の健康、仕事と生活の調和が保てる職場。 |
・挑戦を後押しするオープンな職場 -果敢な挑戦を後押しする、風通しよく心理的安全性が守られた職場。 |
② 方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社では、当社グループが求める人材を育成し、その人材が持てる力を発揮できるように、人材育成及び社内環境整備の達成状況を把握すべく、それぞれ目標を設定しておりますが、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
| 指標 | 目標 | 実績 (当事業年度) |
人材育成方針に 関わるもの | 組織活性度調査における キャリア自律項目スコア | 3.5以上 | 3.6 |
社内環境 整備方針に 関わるもの | 組織活性度調査における 女性活躍推進スコア | 3.5以上 | 3.45 |
組織活性度調査における 多様性の活用にかかわるスコア | 3.5以上 | 3.34 | |
組織活性度調査における 挑戦にかかわるスコア | 3.5以上 | 3.26 | |
組織活性度調査における 心理的安全性にかかわるスコア | 3.5以上 | 3.71 | |
組織活性度調査における 仕事のやりがいにかかわるスコア | 3.5以上 | 3.49 | |
組織活性度調査における 仕事と生活のバランスにかかわるスコア | 3.5以上 | 3.52 |
(注)1.当社は、組織や所属社員の活性度状態を「仕事」「職場」「上司」など様々な要素から可視化しているサーベイである組織活性度調査を現在は年次で実施しております。50問から成る設問ごとに、スコアが1点~5点で示され、5点に近づくほど、その設問に対する社員の満足度が高いことを意味しております。目標の3.5以上とは所属社員の過半数が満足度4点以上である状態であります。
2.管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金差異についての実績は、「第1 企業の概況 5〔従業員の状況〕(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
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