日本国土開発 【東証プライム:1887】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の環境変化など様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、経営理念である「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現するために、新たに当社と社会の持続可能な存続と成長の実現を目指してサステナビリティ経営方針を策定しました。当社グループは、経済的価値と社会的価値において、それぞれの財務・非財務目標の達成に取り組み、その相互作用によって、企業価値の向上に努めていくことを改めて経営方針とします。
(1)サステナビリティ共通
<ガバナンス>
今年6月にサステナビリティ経営本部を設置しました。同本部が当社グループにおける経済的価値と社会的価値を同時に高めるという観点から、戦略立案などを行い、経営会議にて協議し、取締役会での決議を行う体制を構築しました。具体的なガバナンス体制は下記のとおりです。
①取締役会
・経営会議(執行役員会議)から上申されたサステナビリティ課題に関する戦略、マテリアリティ、KPIなどの項目に関して決議し、年2回報告を受け、取り組み状況を監督し、必要な改善指示を行う
②経営会議
・サステナビリティ課題に関する戦略、マテリアリティ、KPIなどの項目に関して協議し、インシデントについても取締役会へ上申する
・四半期ごとに計画、活動、指標及び目標をレビューする
・上記項目について取締役会へ報告し、監督を受ける
③サステナビリティ経営本部
・サステナビリティ課題について、方針や目標、計画策定、各施策の進捗状況のモニタリング、実績評価や改善指示など、サステナビリティに関する戦略全般を管理する
・各担当部門及びグループ会社に提言を行い、グループ全体での取り組みを推進する
・ステークホルダーとの対話を実施し、最新の知見を共有して各種方針や計画に反映する
・戦略部は財務目標、サステナビリティ推進室は非財務目標の戦略立案・進捗管理を担う
④各担当部門
・各施策の進捗状況をサステナビリティ経営本部へ年4回報告し、管理・評価を受ける
・サステナビリティ課題について、各担当部門に関する方針や目標、計画の策定、各施策の進捗状況のモニタリング、実績評価や改善指示などを実施し、管理する
・サステナビリティ経営本部が設定した計画や目標に基づき、具体的な活動を推進する
<リスク管理>
当社のサステナビリティ経営本部が主体となり、各事業本部と連携してサステナビリティ関連のリスクと機会を網羅的に抽出し評価・識別します。評価・識別は、事業への影響度の観点で実施し、重要なリスクと機会を特定しており、特定したリスクについては、当社リスク管理規程に基づき管理しています。
(2)個別テーマ
(2)-1 人的資本・多様性
当社グループは、目標とする『先端の建設企業』を実現するため、従業員が持つ個性や能力が十分に発揮され、働きがいを持ち、社員が主体的に業務に取り組むエンゲージメントを向上させることで、人的資本の最大化を目指します。
エンゲージメントの向上については、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、人材育成、健康経営、働き方改革、女性活躍を中心とした人財戦略の各種施策の中で醸成を促します。
<人財戦略>
①人財育成体系の概要 ・仕事を通じて技術・マネジメント能力を取得する ・30歳の所長やプロジェクトリーダーを育成し、 ・キャリア支援制度の充実 ・次世代の経営幹部の育成 |
②ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と受容)
ダイバーシティ基本方針『Diversity Evolution』を掲げ、バックグラウンドやライフスタイル、考え方が異なる人の意見を柔軟に認め合いながら、社員一人一人がパフォーマンスを最大限に発揮し自己実現を果たすための環境を整備し、多様性のある優秀な人材の獲得・確保・育成に取り組んでいます。
③健康経営
経営トップ自らが健康管理最高責任者(CHO)となり、2018年9月に「健康経営宣言」を制定しました。従業員のさらなる心と体の健康づくりを推進し、安全で働きやすく、働きがいのある職場づくりを強力に進め、生産性の向上を図っています。そして、新しい価値の実現に挑戦し、多様な個性といきいきとした社風をつくり上げ、「もっと豊かな社会づくり」に貢献していきます。なお、健康経営推進組織体制は下図のとおりです。
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※健康経営サポーターとは、毎年各自が健康に関する目標を掲げて積極的に取り組む社員(2023年5月末現在472名)
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④働き方改革
現場を含む従業員全員の週休二日(4週8休)の実現や従業員の健康増進、プライベートにおける時間の創出などに向け、働き方改革を推進しています。ハード面では、全社員へモバイルPC、スマートフォンを貸与し、在宅勤務を含むテレワーク勤務を推奨し、育児や介護などの事情を抱える従業員が安心して働き続けられる環境づくりに力を入れています。制度面では、フレックスタイム制度、時間単位の有給休暇制度、勤務間インターバル制度などを整備し、個々の事情や業務の繁閑期に応じて働き方を柔軟に選択できる環境づくりを進めています。また、ITツールを活用した業務効率化、時間外労働状況の見える化や目標設定、働き方改革に積極的に取り組む部署を表彰する働き方改革表彰や特別インセンティブの支給など、多角的な取り組みを推進しています。
また、当社においては「場所にとらわれない 新しい働き方の実現」を目的の一つとして2023年6月に本社を移転しました。関東を中心にサテライトオフィスの活用を進めるとともに、新本社の席数は現本社の6割以下として、社員のリモートワーク(週2回)を推奨しています。
⑤女性活躍推進
女性が生き生きと働き続け、より活躍できる組織を目指しています。具体的な取り組みとして、育児休業時間の延長、育児・介護フレックスタイム制度(短時間勤務を含む)、時間単位の有給休暇制度の導入、女性の意見を取り入れたユニフォームの採用などを実施しています。今年度から、産育休のより円滑な取得と復職を目的として、休職・復職前に上司、人事部、保健師を交えた面談、休職期間中の情報提供、交流会などの一連の支援プログラムを実施いたします。また、女性のキャリアアップを支援する施策として、ワークライフバランス研修、キャリア研修、スキル&リーダーシップ研修、女性キャリア支援会議なども行っています。
<指標及び目標>
当社は2024年の法改正、いわゆる「2024年問題」について、前倒しで対応を進めており、社内目標は改正後の数値に合わせたものになっております。「健康経営」「働き方改革」「女性活躍推進」の各種指標の実績は概ね向上しています。
■各種指標の実績と目標
(2)-2 気候変動問題への取組(TCFD提言に沿った気候変動問題の情報開示)
当社グループは、2022年7月に策定した2030年までの長期ビジョンの中で、立ち向かう社会課題に「気候変動問題」を挙げています。また、「地球環境保全」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しており、2021年10月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同を表明しました。脱炭素社会の実現に向けて取組みを推進し、情報開示の充実を図っていきます。
<戦略>
①シナリオ分析
気候変動対応の具体的な検討は、脱炭素社会の実現を目指す2050年までを想定したシナリオに基づき、リスクと機会を特定し、具体的な戦略立案・対応策策定へと進めています。
今回実施した分析は、脱炭素トレンドが強まり移行リスク・機会の影響が大きくなる「1.5℃/2℃上昇シナリオ」と、気候変動が大きく進み物理的リスクの影響が強まる「4℃上昇シナリオ」の2つの気候変動シナリオに基づいています。
詳細は「TCFD開示に沿った気候変動問題の情報開示」を当社ホームページに掲載しておりますのでご参照下さい。
②リスクと機会
当社グループにおいて想定されるリスクと機会は下記のとおりです。
■想定されるリスク(影響度大のみ記載)
■想定される機会(影響度大のみ記載)
③移行計画
当社グループでは、Scope1,2に比べてScope3の排出量が非常に大きく、その大半はカテゴリー1とカテゴリー11が占めています。カテゴリー1は調達する建設資材の製造における排出、カテゴリー11は施工した建物の使用時における排出が該当します。当社グループのScope1,2の排出源は、土木事業・建築事業における施工時の排出及びオフィスからの排出が大半を占めています。Scope1,2は「重機の低炭素化」「生産性の向上」「協力会社との協働」「省エネ推進や再エネ導入」により、Scope3は「建材の低炭素化」「原材料の使用料削減」「ZEBや再エネの推進」「地域脱炭素推進」などにより、バリューチェーン全体の排出量削減に取り組んでいきます。
■事業活動におけるScope1,2,3の推移と割合
※Scope3は削減計画を大きく上回るペースで削減が進んでいるが、これは以下の理由であり、完工物件の状況により変動する。
・2020年はごみ焼却場の建設があり、焼却時のCO2排出量を算入しているが、2021年、2022年はごみ焼却場の建設がなかったこと
・平均BEIは2020年の1.0から2022年は0.72まで低下したこと
・2022年は完工物件の面積が2021年に比べ約半分であったこと
<指標及び目標>
2023年2月に当社グループの2030年度までのCO2排出量削減目標が、SBTイニシアチブ※から「パリ協定における『産業革命前と比較して気温上昇を1.5℃未満に抑える水準と整合した目標』」の認定を取得しました。
この削減目標の達成に向けて、自社の脱炭素に向けた取り組みを進めていくとともに、世界的な脱炭素ビジネスの拡大を機会と捉え、当社が保有する再生可能エネルギー事業の拡大や、カーボンプライシング対策サービスを展開し、脱炭素ビジネスの担い手として事業を展開するために脱炭素ビジョンを策定しました。
※SBTイニシアチブ:CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)が設立した共同イニシアチブ。企業に対してSBTの設定を推進している。
■脱炭素ビジョン
脱炭素ビジョンは、短期・中期・長期の視点に立ち、気候変動問題に対し当社グループがどのような存在になるのかを示した「定性ビジョン」とSBT目標の実現を目指す「定量ビジョン」に分けています。
定性ビジョンでは、2025年までに脱炭素に係わる独自の強みづくりに取り組み、2030年に「脱炭素ビジネスの担い手」になること、2050年には、気候変動問題の解決に寄与し続け、経営理念である「もっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現します。
定量ビジョンは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2030年までに2020年度比でScope1,2において1.5℃水準である42%削減、Scope3ではWell Below2℃水準である25%削減を設定し、全社を挙げて脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させていきます。なお、これらの目標はSBTイニシアチブの認定を受けています。
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