企業兼大株主島津製作所東証プライム:7701】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの研究開発活動は、主として当社が行っており、先端的および基盤的な技術の研究開発と、製品化技術の研究開発を、総合的・有機的に連携させ運営しています。すなわち、コア要素技術である先端分析、革新バイオ、脳五感、AIと、製品基盤技術である機器制御設計、システム統合の領域で研究開発に取り組むことで、基盤事業としての計測機器事業、医用機器事業、産業機器事業、航空機器事業に対する新製品開発を推進しています。

 また、子会社においては、独自に研究開発を行うほか、欧州、北米および中国の研究開発子会社において次世代の当社製品の核となる基盤要素技術の研究開発を行うなど積極的な研究開発に取り組んでいます。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、12,298百万円です。セグメントで見ますと、計測機器事業では7,834百万円、医用機器事業では1,037百万円、産業機器事業では1,438百万円、航空機器事業では330百万円であり、その他の事業では206百万円です。また、上記事業区分に配賦しない基礎的研究費等は1,450百万円です。

 当連結会計年度における主要な研究開発成果にはつぎのものがあります。

<計測機器事業>

 計測機器事業では、クロマト分析システム、質量分析システム、光分析システム、熱分析システム、ライフサイエンス関連分析システム、X線分析システム、表面分析・観察システムなどの開発に注力しています。

 クロマト分析システム用ソフトウエアとして、AI(人工知能)を用いて開発したアルゴリズムを搭載するソフトウェアを開発しました。本ソフトウェアは、味の素株式会社のLC分析データを学習させたアルゴリズムを搭載しており、熟練者と同等(一致率約90%)の解析を自動実行することで解析時間を従来と比べて約75%削減します。

 質量分析システムとして、世界で初めて脂質や天然化合物の詳細な構造解析を実現する四重極飛行時間型質量分析計「OAD-TOFシステム」を開発しました。独自のイオン解離技術「OAD」(Oxygen Attachment Dissociation、酸素付着解離)が、従来は困難だった炭素間二重結合の位置推定を可能とします。

 光分析システムとして、マイクロプラスチック自動前処理装置「MAP-100」を開発しました。本製品は海や河川、湖沼など環境水中のマイクロプラスチックの抽出・回収工程を自動化した世界初の専用前処理装置で、従来、煩雑で手作業が中心だった前処理工程を装置に置き換えることで、「業務の効率化」「前処理結果の品質向上」「安定した再現性」「安全性」の確保につながります。

  X線分析システムとして、マイクロフォーカスX線検査装置でVCT(直交CT)撮影を可能にする「VCTオプション」を開発しました。従来の透視・PCT撮影に加えVCT撮影が可能となり、基板部品や電機・電子部品などの品質管理や故障解析を幅広くサポートします。

<医用機器事業>

 医用機器事業では、X線TVシステム、X線撮影システム、血管撮影システム、PETシステム、放射線治療装置用動体追跡システム、近赤外光イメージングシステム、医療情報システムなどの開発に注力しています。

  X線撮影システムとして、操作盤(コンソール)などのユーザビリティ向上と被検者の動きを検知する光学カメラの搭載により、検査業務を効率化して診療放射線技師および被検者の負担を軽減可能なX線一般撮影システムを開発しました。

 また、連続撮影機能を新たに搭載した回診用X線撮影装置を開発しました。連続撮影機能は、高速で連続的に撮影した静止画を動画として提供するものです。患者の肺の動きなどを本体搭載の大型モニタで確認可能で、より多くの情報で診断を支援します。

 血管撮影システムとして、高い画像処理技術により低被ばくかつ高画質を実現した当社血管撮影システムのフラッグシップモデルに、複合的な動きを安全にワンタッチで操作できる「ダイレクトメモリー」機能を搭載した装置を開発しました。操作性の向上による治療時間の短縮、またバイプレーン撮影による造影剤投与量の低減を実現します。

<産業機器事業>

 産業機器事業では、ターボ分子ポンプなどの産業機器、油圧ギヤポンプなどの油圧機器などの開発に注力しています。

 電動油圧システムとして、新開発のe-Hydro専用モータと制御機器に静音油圧ポンプを組み合わせたトータルシステムで、EV(電動車両)化が進む特装車両など商用車に静音かつ効率的な作業環境を提供可能なシステムを開発しました。省スペースと最小限の電力消費でエンジン車と同等以上の作業機の操作性と作業効率をEVにて実現します。さらに、静音油圧ポンプの採用により、作業時の駆動音が際立つ夜間や街中でも、騒音を低減可能としました。

 今後も、当社の先端的および基盤的な技術と、製品化技術を用いた研究開発を活かして、社会課題の解決に役立てるよう取り組みます。

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