企業兼大株主小野薬品工業東証プライム:4528】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。サステナビリティ全般のガバナンスに関する事項は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」、リスク管理に関する事項は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナブル経営方針

 当社は、1717年(享保2年)に初代伏見屋市兵衛が大阪道修町に薬種商を創業して以来300余年、社会とともに歩んできました。時代が江戸から令和へと移り行くなかで「病に苦しむ人を救いたい」という想いを実現するために、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念の実践を通じて世界中の人々の健康に貢献してきました。今後も、当社は社会の一員として当社の存在意義を改めて理解し、「社会から必要とされる企業であり続けたい」という想いを胸に、責任ある事業活動を通して持続可能な社会の実現に挑戦し続けます。


(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

 当社の事業は健全な地球環境のもとに成り立っています。事業活動に伴う地球環境や地域への負荷低減は重要な企業責任であると考えており、気候変動などの環境課題の解決に積極的に取り組んでいます。2019年6月には、2050年に向けた中長期環境ビジョン「Environment Challenging Ono Vision(ECO VISION 2050)」を策定しました。「脱炭素社会の実現」、「水循環社会の実現」および「資源循環社会の実現」の3つを重点項目と定め、それぞれの目標を設定し、取り組みを行ってきました。さらに2022年度には、世界が抱えるさまざまな環境課題にこれまで以上に真摯に向きあい、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続けるべく、中長期環境目標を見直し、新たな目標を設定しました。

 また当社は、2019年10月には「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明しています。当社ではこの提言を踏まえ、気候変動に関連するリスクと機会の評価や管理を行い、適切な情報開示を進めるとともに、国際的な目標であるパリ協定に寄与する目標を掲げ、気候変動への対応に積極的に取り組んでいます。

TCFD提言に基づく情報開示の要旨は以下の通りです。詳細は、当社サステナビリティWebページ内「TCFD提言に基づく情報開示」(https://sustainability.ono-pharma.com/ja/themes/121)をご参照下さい。

項目

当社方針や各種取り組みの概要

ガバナンス

当社は、気候変動を含む地球環境課題への対応を重要な経営課題の一つと認識しています。

代表取締役社長を環境経営の最高責任者とし、環境統括責任者として取締役専務執行役員経営戦略本部長を選任しました。気候変動対策を含むサステナビリティ戦略についての重要事項は、2022年度より新たに設置したサステナビリティ戦略会議にて討議しています。サステナビリティ戦略会議は環境統括責任者が議長となり、代表取締役社長をはじめ多くの経営会議メンバーが出席しています。サステナビリティ戦略会議での討議・決定事項は、半年に1回以上の頻度で取締役会に報告され、取締役が決定事項の遂行を監督します。

さらに、環境統括責任者は、サステナビリティ担当役員として、全社の環境の取り組みを管理、推進する環境委員会および現場レベルのサステナビリティ活動の重要課題について討議し、サステナビリティ戦略会議に提案するサステナビリティ推進委員会の委員長を務めています。

このように、気候変動への取り組みは、現場レベルから一貫して環境統括責任者が統括してマネジメントし、それを取締役会が監督する体制としています。

戦略

・1.5℃シナリオおよび4℃シナリオを用いて、短期(~3年)、中期(3~10年)、長期(10~30年)の視点で分析、評価を行っています。

・シナリオ分析に際しては、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるシナリオなどを参考にしています。

・分析の結果は(上述の「ガバナンス」記載の)各会議体に報告され、対応の要否、ならびに対応が必要な場合は緩和・適応のための対応策を討議します。なお、2022年度の分析では、いずれのシナリオ分析においても当社にとって財務上重大と認めるリスクは確認されませんでした。

リスクと機会の管理

・財務におけるリスク・機会を把握し、発生時期や発生確率、影響を及ぼす範囲を分析し、対策内容などを評価した上で、対策の優先順位を決定しています。事業への影響が大きいリスク、発生確率の高いリスクへの対応や費用対効果が高い対策に優先して取り組み、環境委員会において進捗を管理しています。

・特定したリスクについては、全社リスクマネジメント委員会にてリスクの緩和・適応のための対策を検討の上、経営会議あるいは前述のサステナビリティ戦略会議に提案し、承認を得ています。生産事業所や研究所などの責任者が、これら承認された対策の実行にあたり、洪水リスクを含め気候変動に伴うリスクを総合的に管理し、その進捗状況は環境委員会、サステナビリティ推進委員会等の各会議体に共有されます。

項目

当社方針や各種取り組みの概要

指標と目標

・気候変動に伴うリスクの最小化と機会の最大化を目指し、各種環境指標や目標を設定し、モニタリングを継続して実施しています。

・2022年度に改定した新しい中長期環境目標では、2025年に自社排出(Scope 1+2)のカーボンニュートラル(カーボンオフセットでの相殺による実質ゼロ)達成を目指すとともに、自社の温室効果ガス排出ゼロ達成を2050年から2035年に前倒ししました。

 


 

<温室効果ガス排出量推移(単体)>

 

単位:千t-CO2

 

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

Scope1+2

29.8

28.5

27.3

26.1

23.6

 

 

2021年度のScope1および2の温室効果ガス排出量は、第三者保証を受けています。保証範囲の詳細については当社サステナビリティデータ2022(https://sustainability.ono-pharma.com/ja/themes/115)

をご参照ください。2022年度の温室効果ガス排出量関連データについては2023年8月に公表を予定しています。

 

・水リスクについては、年に1回リスク分析を行い、全社リスクの一つ「災害/気候変動リスク」として取り上げ、BCP(事業継続計画)に基づき、適正な製品在庫の確保等の対策を実施しています。2022年度は、認識した洪水リスク箇所の改善(保管場所を低所から高所に移管)により、財務影響額を大幅に軽減しています。

(3)人的資本の拡充に向けた取り組み

 当社は新薬開発型医薬品企業として永続的な発展を実現するために4つの成長戦略を定めて事業活動に取り組んでいます。これらの戦略を遂行し、企業の永続的な発展を支えるのは「人財」であり、人的資本の拡充に向けた取り組みを推進しております。

項目

当社方針や各種取り組みの概要

ガバナンス

当社においては、マテリアリティ(経営の重要課題)の1つとして人的資本の拡充を取り上げており、その進捗については取締役会等にて定期的な報告を行っています。

戦略

<企業理念・Visionの実現に向けた成長戦略と人財戦略>

 


[全ての成長戦略に共通する人財プール]

・持続的な成長を実現するためには、当社の企業理念、Visionの実現に向けて、戦略を実行する人財が不可欠です。そのため、全ての成長戦略に共通し、部門横断的に経営基盤を支える横断人財と、各成長戦略を推進するためのスキルと専門性を持つ専門人財を定義しており、これら多様な人財が連携して組織/プロジェクトのメンバーを牽引することで、持続的な成長を実現するべく取り組んでおります。

・部門横断的に経営基盤を支える横断人財については、大きく4つの人財:次世代経営人財、グローバル人財、デジタル人財、イノベーション人財を掲げ、それぞれ採用・育成を進めております。

*次世代経営人財については、将来の経営幹部となりうる候補人財を4つの階層に分けて、研修や計画的なタフアサインメントなどを通じて育成しています。

*グローバル人財については、グローバルビジネスを遂行するのに必要な語学力、国際的な視野、異文化コミュニケーションといったスキルを身に着けるための育成研修(Global Skill Improvement Program:GSIP)や計画的な海外派遣などを通じて、育成を行っています。

*デジタル人財については、デジタル・IT部門以外のビジネスサイド(研究、開発、営業部門他)において、既存ビジネスのDX推進を通じてデジタルリテラシーの高い人財を育成する取り組みを行っております。

*イノベーション人財については、当社独自の取り組みである(Ono Innovation Platform:OIP)を2021年度よりスタートさせ、学習・経験・挑戦の場の3つの分野で構成するプログラムを提供し、育成を行っております。

 

項目

当社方針や各種取り組みの概要

戦略

・成長戦略に資する専門人財については、戦略ごとに必要な人財要件やスキルを下記の通り定義し、採用・育成を進めております。

*製品価値最大化:患者本位の視点でニーズを顕在化し、解決策を提案、実行できる人財

*パイプライン強化とグローバル開発の加速:グローバルでオープンイノベーション、ライセンス導入、臨床開発を推進しマネージメントできる人財

*欧米自販の実現:グローバルで活躍できる多様な人財を束ねて事業を推進できる人財

*事業ドメインの拡大:ニーズを捉え、経済合理性のある解決策を社会実装できる人財

[人財の能力底上げ]

・成長戦略を推進し、実現する横断人財、専門人財を継続して輩出するために全ての社員の能力底上げを目的として、階層別必須研修とあわせ、社員の自律的なキャリア形成を支援するために手上げ方式で主体的に参加できる研修を多数提供しています。

[高い従業員エンゲージメントを実現する組織風土・カルチャーの醸成]

・事業の継続的な成長を実現するため、人財の採用・育成・確保(リテンション)にあたっては、「社員が、異なる多様な価値観を尊重しながら安心して働き、活躍している」状態を実現することが必要です。そのための組織風土、カルチャーの醸成に向けた取り組みを通じて、従業員エンゲージメントの向上に努めております。上記を達成するために、まず個性を発揮できる仕組みや公平で透明性の高い魅力ある風土、変化に適応できる柔軟な労働環境など、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進に取り組んでいます。当社はDE&I推進のテーマとして、「異なり」×「一体感」を掲げています。異なるバックグラウンドや考え方を持つ人財が一緒に働くことで新たな気づき、アイディアが生まれます。それら多様性を受け入れる風土を醸成することで一体感のある企業となり、外部からも魅力があり、かつ当社で長く活躍したいと思う人財のあふれる組織を目指します。また、人々の健康に貢献する企業の社員として、まず自身が健康でなければならないことから、健康経営にも積極的に取り組んでいます。

 

リスクと機会の管理

・人的資本に関するリスクとしては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(5)人財の採用・育成・確保(リテンション)について」の記載通り、持続的成長のために多様かつ優秀な人財の採用・育成・確保に努めています。

指標と目標

<人財戦略の実現に向けたKPI>


 

項目

当社方針や各種取り組みの概要

指標と目標

[全ての成長戦略に共通する人財プール]

・部門横断的に経営基盤を支える横断人財では、今後4年間で次世代経営人財≧250人、グローバル人財≧300人、デジタル人財≧500人、イノベーション人財≧180人、成長戦略に資する専門人財では、今後5年間で700人規模を採用・育成していきます。

[人財の能力底上げ]

・従業員が主体的に学び、キャリアの自律を計れるような研修体制としては、複数の研修コンテンツをそろえ、正社員一人当たりの研修時間は、単体35.5時間(2018年)→30.7時間(2019年)→34.1時間(2020年)→53.8時間(2021年)と年度によりばらつきはあるものの、コロナ禍で一時減少した研修時間へは、オンライン研修を充実させることで対応しました。今後もよりスキル向上、キャリアの幅出しを支援する研修を充実させ、事業へ貢献する人財育成を継続していきます。

・研修の質としては、7つある階層別必須研修(*)後の平均行動変容率は85%(上司による評価)でした。今後もより質の高い研修を提供し、社員の能力底上げとキャリア自律を図っていきます。

*昇格者研修、フォローアップ研修、3年次・5年次研修

[高い従業員エンゲージメントを実現する組織風土・カルチャーの醸成]

・2022年度より、全社あるいは各部門の組織状況を“見える化“し、企業理念の体現に向けた課題抽出、仮説設定、施策立案・実行の一助とすることを目的に従業員エンゲージメント調査を実施しております。本調査では、自身が所属する組織が成功するために、自らの力を注ぎ、努力をしたいと考えているかをスコア化しています。このスコア(エンゲージメント指数)を今後グローバルライフサイエンス企業の平均値をベンチマークとして改善を進めております。

・当社の多様性の向上における取り組みとして、「管理職」と「個の経験と視点」の二つを中心に多様化を推進しています。

・管理職の多様化については、当社のこれまでの常識にとらわれず様々な提案が受け入れられることで意思決定の質を向上させる必要があります。特に若手・キャリア入社・女性の3つを柱に管理職の多様化を進めており、具体的には、2022年度に一部の等級で昇格における条件であった滞留年数を撤廃することで昇格制度において年功序列の要素を緩和し、若手の管理職への早期抜擢を可能としました。またキャリア入社の管理職も徐々に増え、現在では管理職の16%、100名近くの方が活躍しています。また女性の管理職においては、これまで女性がライフイベントを経験しても働き続けられる環境を目指し両立支援等を実施してきており、2016年には0%であった男性の育児休業取得率は、2022年度では65.2%まで拡大いたしました。しかしながら女性管理職比率は4.1%(2022年度)にとどまっており、当社の課題の1つとなっております。今後は2026年度までに女性管理職比率10%、2031年度までに20%を目標とし、ジェンダーに関わらず公平に人財を採用・育成・確保できる仕組み・環境を整備していきます。

・女性活躍推進法に基づき、2023年4月から4年間で「女性管理職比率10%以上、男性の育児休業もしくは短時間勤務どちらかの取得率80%以上」の目標を設定し、ジェンダーに関わらず活躍できる仕組みや働き方に取り組んでいきます。

・個の経験や視点の多様化に向けては、社内にて公募制度や社内チャレンジジョブ制度(他部署を兼務する制度)を導入し、公募に関しては2022年度134名の方が応募、これまで4年間で51名の方が公募により他部署にチャレンジしています。また社内チャレンジジョブ制度においても、営業本部のみのパイロット導入ではありますが、2022年度は87名が応募し、20名の方が他部署と兼務するなど経験と視点の多様化を進めています。

・成長戦略の実現、人的資本の拡充に向けた取組みの数々を円滑に進めていくには、社員が健康で安心して働ける環境づくりが重要です。ヘルスアップ宣言2018のもと、社員自らが健康保持・増進に取り組むことができる仕組み・環境を整備し、2022年度は▲1.8歳であった社員の健康年齢と実年齢との差を、2026年度には▲3.0歳にすることを目標としております。今後も、「健康経営優良法人2024 ~ホワイト 500~」(大規模法人部門)への6年連続での認定および2020年以来の「健康経営銘柄」への再選定に向け、様々な活動を通じて健康経営を推進していきます。

 

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