企業兼大株主太平電業東証プライム:1968】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループの研究開発は、工事施工の能率および安全性の向上を目的とした機械・工具等の開発・改良と、受注領域拡大のための新分野技術の研究・習得を主体として行っております。開発品および開発工法を通じ、社員指導教育も併せて実施することで社員の専門知識の向上、技術レベルの向上を目指し活動を行っております。

当連結会計年度における各種プラント設備の建設、補修、維持関連の研究開発費はグループ全体で181百万円であり、その主なものは次のとおりであります。なお、当社グループの研究開発活動においては、各セグメントに関連したものが非常に多いため、セグメント別の記載はしておりません。

(1) 電線管曲げ作業の業務改善に向けた取り組み

 原子力発電設備の早期再稼働に必要な安全対策工事案件の増加に伴い、当社は顧客より協力を期待されております。そのなかで、電線管工事において、電線管の曲げ加工をする熟練作業員(電気工事士)が不足しているため、顧客の期待に応えられない懸念があります。

 そこで、人員不足の課題を解消し顧客の期待に応えるために、電線管曲げ加工作業の標準化に向けた開発を進めております。

 通常、熟練作業員の経験値等が必要であった電線管曲げ加工作業を、電気工事士以外の作業員でも簡単に施工できる環境整備を目指し、当連結会計年度は、曲げ加工機(付属部品)および支援アプリケーションの開発、曲げ加工作業の標準化の実証試験、改良等を進め確立いたしました。

 次年度は実際の運用に向け、現場へ展開し、今後の工事案件に導入することで人員不足解消に取り組んでまいります。

(2) 林業における新工法(集材システム)の開発

 当社は、バイオマス発電所を中心に林業・農業の活性化、さらには、新たな産業と雇用を創出する地域循環型社会の実現を目指し「グリーンプロジェクト」を進めております。そのうち林業については、増加するバイオマス発電に使用する燃料チップの不足や、放置された森林における老木の倒木等が災害を助長させているという課題があります。その解決のために、現在利用されていない奥地の劣化林の伐採・集材による森林整備が必要であると考えます。

 奥地の森林を整備できない理由は、林業作業に必要な作業道が開設できない(採算が合わない)ことにあります。そこで、奥地林や急傾斜地での集材が可能な架線集材に着目しました。

 架線集材作業においては、当社開発品のセーフティーステージを改良した支柱を用いた集材システム(太平式架線集材システム)を導入することで、架線設置・撤去等の準備作業を簡略化し、一度の架設で広範囲の集材を行える新工法の開発を進めております。当連結会計年度は、実際に集材作業をしている現場に持ち込み太平式架線集材システムを実施し、支柱の健全性と架線の運用に問題が無いことを確認しました。 

 次年度は妥当性の確認として、実機による集材を実施し、生産量の確認を行います。

(3) CO2利活用・基礎試験(生育環境が作物へ与える影響について)

 国際連合が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の達成に貢献するため、上記(2)「林業における新工法(集材システム)の開発」に記載のとおり、当社ではバイオマス発電所を中心に地域循環型社会の実現に向けた活動を進めております。

 バイオマス発電とは、植物(木材)などを燃焼して、その熱を利用する発電のことを指します。植物を燃焼した際、CO2が排出されますが、成長過程では光合成によりCO2を吸収するため、これによりCO2の排出と吸収がプラスマイナスゼロになり、カーボンニュートラルを実現できます。当社では、さらに発展させ、バイオマス発電所から排出されたCO2を農業ハウスへ送り、農作物へ与える活動を行っております。この活動により、大気中にCO2を還さずに利活用して、カーボンネガティブを実現します。

 この活動の基礎となるデータ収集のため、2022年度から広島大学と共同で研究を行っております。今年度は、以下の項目について研究を行いました。

1.広島大学内でのトマトの栽培試験

 広島大学内にチャンバ(小型の実験ハウス)を2つ設け、CO2濃度をそれぞれ変えたチャンバ内でトマトを栽培し、CO2の吸収量とその成長具合について比較試験を行いました。その結果、CO2濃度が高い環境の方が、トマトの収穫量が増えることが分かりました。

2.西風新都バイオマス発電所の農業ハウスを使用した多品種栽培試験

 当社所有の「西風新都バイオマス発電所」から排出される排ガスから純度の高いクリーンなCO2を回収しております。そのCO2を敷地内にある農業ハウスに送り、実際の栽培環境で様々な品種の農作物のCO2吸収量を測定する比較試験を行っております。CO2を与えられた農作物は、収量増加および風味向上が期待できます。

 本研究の成果を先に述べた「グリーンプロジェクト」に展開できるよう、今後も基礎試験を進めてまいります。

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