四電工 【東証プライム:1939】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、事業活動全般を通じ、環境負荷の低減や様々なステークホルダーの皆さまとの共存共栄を実現するなど、進化する総合設備企業としてESG経営を指向している。なお、以下に記載する「戦略」並びに「指標と目標」については、当社が特に重要と考える「気候変動」及び「人的資本」について記載する。また、当社グループでは「四電工グループ サステナビリティ方針」をもとに、持続可能な社会の実現に向けての理念を共有し、事業活動全般を通じてグループ大で取り組みを行っているが、連結グループに属する各企業によって実施内容が異なっていることに加え、その取り組みがグループ全体に与える影響は軽微であることから、以下のサステナビリティに関する情報は提出会社のみの記載としている。
(1) ガバナンス
当社は、環境・社会との調和のもと、持続的な企業成長を目的としたESG経営を推進するために、代表取締役社長を委員長とする「ESG推進会議」を設置している。本会議では、「四電工グループ サステナビリティ方針」に則り、持続的な社会を実現するためのESGアクションプランを推進している。審議結果は年1回の頻度で取締役会に付議し、経営計画に反映している。
(2) 戦略
①気候変動関連
当社では、気候変動対策は、持続可能な社会の実現のために取り組むべき重要課題の一つであると認識しており、社内外の温室効果ガスの排出量削減に向けて、多様な取り組みを進めている。その一環として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、TCFDの提言に基づき、気候変動が当社にもたらすリスクと機会を把握するために、シナリオ分析を実施し、開示を行っている。(TCFD提言に基づく開示の全文は、当社ウェブサイトに掲載 https://www.yondenko.co.jp/sustainability/tcfd.php)
・シナリオ分析方法
2030年における気候変動による事業への影響を明らかにするために、下表の参考シナリオを用いてシナリオ分析を実施した。
| 政策により気温上昇が抑えられる世界 | 気温上昇・気候変動が進む世界 | |
1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | ||
概要 | 2100年の気温上昇が19世紀後半から1.5℃に抑えられるシナリオ。 炭素税など移行リスクの影響を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。 | 2100年の気温上昇が19世紀後半から4℃上昇するシナリオ。 災害など物理リスクの影響を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。 | |
参 考 シ ナ リ オ | 移 行 | IEA Net Zero Emission by 2050(NZE) IEA Sustainable Development Scenario(SDS) | IEA Stated Polices Scenario(STEPS) |
物 理 | IPCC RCP 2.6 | IPCC RCP 8.5 |
・シナリオ分析結果
<1.5℃シナリオ>
1.5℃シナリオでは、炭素税や自然エネルギー活用に関する政策・法規制の強化によって、脱炭素社会への移
行に伴った社会変容が起きると想定される。
当社事業へのリスクとしては、炭素税や排出量取引制度の導入、電力の再生可能エネルギーへの切り替えが挙
げられる。さらに、脱炭素技術の開発の一環として、建設業でのDX化が進み、当社において導入が遅れた場
合、他社に対する優位性が低下することが考えられる。これらリスクに対して当社では、自社設備の省エネ化に
向けて空調の高効率化・LEDの導入・エコカーへの切り替え、並びにDXや新技術導入による省力化の検討な
どを進めている。
一方、機会としては再生可能エネルギーに関連する工事やZEB(※)をはじめとする建物の省エネ化に関連す
る工事の需要が増加することが予想される。そのため、現時点で当社としては太陽光発電システムの設置、風
力・太陽光発電の送電線工事の営業活動を強化している。さらに、ESG対応ニーズの高い法人向けに脱炭素化
サービス(太陽光システム・蓄電池・EVなど)を提供する新規サービスを検討している。
(※)ZEB(Net Zero Energy Building):建物で消費する年間の一次エネルギーの収支
をゼロにすることを目指した建物
<4℃シナリオ>
4℃シナリオでは、気候変動が進むことで異常気象の激甚化などの物理的な影響が拡大することが予想され
る。
当社へのリスクとしては、拠点の被災による損害や事業停止だけでなく、社会インフラや顧客設備の被災によ
る緊急対応の増加などが挙げられる。当社としては、自社の事業活動への影響を最小限に抑えるために、自社の
事業継続計画(BCP)の策定だけでなく、調達先へも協力を要請している。
一方、機会としては、防災意識の高まりにより、防災に対応した設備への更新工事や、非常用電源設備などの
防災対策設備の新規導入工事における需要増が見込まれる。また、より安全な地域への建物の移転・新築ニーズ
の高まりに伴う設備工事の増加も予想される。当社では、顧客施設の防災・減災に資する、災害に強い設備の導
入を促すソリューション営業をさらに強化・維持していくことを検討している。
②人的資本関連
当社は、経営理念に掲げているとおり、総合設備企業としての持続的な成長を目指している。設備工事業の担
い手は「ヒト」、とりわけ専門技術者であり、人材こそが当社収益の源泉となる最も重要な資本であると考えて
いる。当社では「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を定め、会社と従業員が共に成長し、持続可能な社
会の実現に貢献できるよう努めている。なお、両方針の当社における位置付けは下図のとおりである。(人材育成
方針及び社内環境整備方針の全文は、当社ウェブサイトに掲載 https://www.yondenko.co.jp/sustainability/
hr.php)
Ⅰ.人材育成方針
当社は、以下の方針に則り、持続可能性と多様性を基軸として、首尾一貫した人事施策を推進するとともに、
人材投資を惜しまず、その効果を検証し、制度的枠組みや運用方法を継続して改善していく。
<採用>
長期的な従業員数の動向や年齢構成を踏まえ、戦略課題に即して持続的かつ安定的に社員の採用を行う。
<教育>
専門技術の区分等に応じて、基本技能の習得と実践経験を融合しつつ、必要かつ効果的なタイミングで教育
プログラムを実践する。
<育成配置>
「現場主義」を基本に据え、業務の特性や個人の資質等を踏まえた計画的かつ多様な育成配置を実践する。
<評価・処遇>
公正・透明な評価を指向し、安定・安心とインセンティブのバランスを考慮した処遇制度を構築する。
Ⅱ.社内環境整備方針
<人的資本管理に関するガバナンス>
人材は当社経営の要であるため、取締役会の決議により、『中期経営指針』において経営の戦略課題と合わ
せてその実現に向けた中期の要員計画を定める。要員計画を踏まえた毎年の採用計画についても同様に取締役
会で承認する。これらの計画は、人事部門が中心となって、各事業部門等と協議・調整のうえで策定する。な
お、採用実績については、翌年の採用計画の付議に合わせて取締役会で報告する。
採用後の人材マネジメントについては、人事部門が事業部門と連携して基本的な制度的枠組みを整備し、こ
れに従って各部門がマネジメント行為を実践する。人事部門は企画部門とも連携してその状況をモニタリング
し、改善に繋げる。
また、経営幹部層のサクセションプランに関しては、経年的な評価データ等から候補者を選抜し、指名・報
酬委員会での審議を経て、適切なタイミングで経営・部門管理に関わる重要ポストへ配置し、適性を多面的に
見極める。また、バランスの取れた経営幹部構成を指向し、必要に応じて外部人材の活用についても検討す
る。
さらに、経営に多様な知見を取り込み、環境変化へのレジリエンスを高めていく観点から、女性を含めた多
様な人材に自らの可能性を切り拓く機会を積極的に提供する。
<経営戦略と人事施策の連動のための環境整備>
経営戦略の実現に向け、最も重要な資本である人材を計画的に確保・育成し、持てる能力を十分に発揮でき
る環境をととのえ、その成果を適正に分配するため、人的生産性向上の好循環をもたらす人事施策を整備す
る。
<人材マネジメントの前提条件とリスク管理>
人的資本価値の最大化に向けた人材マネジメントを推進するにあたっては、多様性、共感性、健康・安全の
確保に加え、良好な労使関係の維持や法令・倫理の遵守等の前提条件に留意し、リスクを適切に管理しなが
ら、企業価値を持続的に高めるものとする。
(3) リスク管理
当社は、事業活動に伴うリスクを未然に把握し、適切に対処するために「リスク管理要領」により、リスク管
理方法を定めており、気候変動などのサステナビリティに関するリスクも同様に取り扱っている。
当該リスクは事業部ごとに年1回以上見直すこととしており、特定されたリスクは、影響度と発生可能性から
分類・評価することとしている。このうち特に重要なリスクについては、統括執行役員会にて審議の後、取締役
会に付議し、翌年の経営計画に反映することとしている。
(4) 指標及び目標
①気候変動関連
当社は、上記「(2)戦略」において記載した、自社のESG経営の進捗及び気候変動に対する政策等の影響を
評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2013年度比で46%以上削
減※することを目標として掲げている(下表)。今後は、目標達成にむけて、ZEB化をはじめとした自社設備
の省エネ化や再生可能エネルギーの導入を進めていく。
※対象:四電工単体のScope1,2
(単位:t-CO2)
| 2013年度 実績 | 2021年度 実績 | 2030年度 目標 | |
自社の活動によるGHG排出 (Scope1+Scope2) | 9,040 | 7,073 | 4,882 | |
(内訳) | Scope1(燃料の使用による排出) | 5,216 | 3,395 | (2013年度比 46%以上削減) |
Scope2(電力の購入による排出) | 3,824 | 3,572 | ||
建設現場におけるGHG排出※ | - | 106 |
※当社の元請け工事のScope1,Scope2が対象
②人的資本関連
当社は、上記「(2)戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針のもと、次の指標を用いて
おり、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりである。
指標 | 目標 | 実績 (当事業年度) |
新卒採用計画数充足率 | 100% | 100% |
女性新入社員数 | 毎年3名以上 | 7名 |
障がい者雇用率 | 2026年3月末までに 2.5%以上 | 2.3% |
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