名古屋電機工業 【東証スタンダード:6797】「電気機器」 へ投稿
企業概要
名古屋電機工業グループは、経営理念に基づき事業活動を通じて、安全・快適で、豊かな社会の実現につながる価値の提供を行い、企業価値の向上に努めています。当社グループが提供する製品やサービスは、交通事故や交通渋滞の抑止・低減、自然災害リスクの最小化や、屋外労働環境の改善と労働力不足の解消を支援するなど、社会課題の解決に高い親和性を有しています。一方、ステークホルダーの皆様からの期待や社会の要請に対し、グループ一体となって応えていくために、気候変動への対応は優先度の高い課題として認識しています。このことから、気候変動シナリオ分析に着手しています。
(ア)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」から、最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」が2017年6月に公表されました。これに従い、2022年度に気候変動シナリオ分析の試行を開始し、TCFD提言への対応を進めています。
a.サステナビリティに関するガバナンス
重要な気候関連リスク・機会を特定し、適切にマネジメントするために、サステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、気候変動対応を含むサステナビリティに関連する重要なリスク・機会を特定し、それらの対応に係る年度計画を策定し、重点課題に関するグループ全体の取り組みを推進・サポートし、進捗をモニタリングするとともに、対応方針の立案と関連部署への展開を行っております。また、これらの結果は定期的に取締役会に報告され、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っております。
サステナビリティ推進体制
b.戦略
当社は、TCFDの「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に従い、気候変動シナリオ分析を試行しました。今回は生産関連事項を中心に試行しましたが、今後は範囲を拡大し、気候変動による市場の変化への対応など調達や商品に関する対応策にも力を入れて分析を進めてまいります。
名古屋電機工業グループのリスクと事業インパクト
名古屋電機工業グループの事業機会
リスク・機会に対する当社グループの対応策の事例
- 防災・減災関連製品開発の促進
- 低消費電力製品の開発
- BCP対応の強化
- 生産拠点や生産設備の防災対策強化
- 省エネの推進
c.リスク管理
当社では、サステナビリティ委員会、リスク管理・コンプライアンス委員会やマネジメントシステム(ISO14001)で、上記b.に記載した気候関連のリスクを管理しています。リスク管理のプロセスは、リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、委員会等で回避・軽減・移転・保有などの対策を決定し、進捗管理を行います。重要リスクについては定期的に取締役会に報告しています。
d.指標及び目標
当社は気候変動の緩和のための長期的な指標として、スコープ1、2において、2013年度対比で温室効果ガス(GHG)排出量を2030年度までに50%以上、2050年度までに100%削減することを目標としています。なお、目標につきましては、世界的なカーボンニュートラルに関する技術革新の動向等も勘案しながら、適宜見極めてまいります。
(イ)多様な人材が活躍できる風土と仕組みづくり
a.戦略
[人権の尊重]
当社グループは、すべてのステークホルダーと良好な関係を築きながら企業活動を行うために、「人権の尊重」は欠くことのできない企業経営の基本であると考えています。そのため、人権意識の啓発・向上に努めるとともに、「リスク管理・コンプライアンス行動指針」、「ハラスメントの防止に関する規程」並びに「就業規則」において人権尊重をうたい、出生、国籍、人種、民族、信条、宗教、性別、年齢、身体、趣味、学歴などに基づく非合理なあらゆる差別を一切禁止しています。
また、暴力、罵声、誹謗・中傷、威迫による業務の強制、いじめやいやがらせによる人権侵害行為についても決して容認しないことを「リスク管理・コンプライアンス行動指針」で明記しています。さらに、当社では「ハラスメントの防止に関する規程」を定め、セクシャルハラスメント・マタニティハラスメント・パワーハラスメントを容認しない方針及び防止管理体制を全役職員に周知しています。
[人材育成と多様性の確保]
当社グループは、これまで主として「道路情報板メーカー」のドメインで事業を展開してきましたが、2025年度までの中期経営計画の中で、ドメインを拡大させ、「道路交通安全を守る総合設備企業」に変容する旨を宣言しました。これは、従来からの「優れた技術に立脚したものづくり」に加え、当社グループがもつあらゆるスキル、ノウハウや経験を活用した新発想をもって、理想とする豊かな社会づくりを企画し、社会とともに発展する企業となる決意を表明したものです。メインテーマは「理想をかなえる、に ひたむき。」としました。
ビジネスモデルを大きく変化させ、持続的成長を図るためには、人材育成やIT関連投資の強化を通じた生産性の向上などによる体制強化が必要です。当社グループは、女性活躍と多用な働き方の包摂を重要なテーマの一つとして位置づけ、キャリア形成や就業環境の改善に取り組んでいます。また、働き方改革や健康経営の実践などを通じ、当社で働く人の体と心の健康への配慮にも注力しています。さらに、新たな事業領域の獲得のため、イノベーションを生み出す土壌づくりに取り組み、従業員に自由なアイデアを出しやすい場を提供しています。こうした取り組みにより、戦略的なイノベーションを実現し、競争優位性を維持しています。
リスクと機会(●リスク、○機会) | 主な取り組み内容 |
● 労働人口減少および採用市況の変化に伴う採用競争力の低下 | ・女性活躍と多用な働き方の包摂 ・当社で働く人の体と心の健康への配慮 ・イノベーションを生み出す土壌づくり |
● 多様な人材不足による競争力の低下 | |
○ モチベーション向上による企業成長 | |
○ イノベーションが起きやすい環境の醸成 | |
○ 優秀な人材確保、定着化を促進 |
b.指標及び目標
a.で記載したリスクと機会、及び主な取り組み内容を踏まえ、2030年度までに達成すべき指標を以下のとおり定めました。
女性活躍と多用な働き方の包摂
当社が携わる道路や河川をはじめとする社会インフラは性別等を問わず、全ての人が平等に利用するものである一方、製造業であり建設業でもある当社は、歴史的に男性が事業活動を主導してきた実態があります。そのため、男性が支配的な職場文化が根付いており、女性が参画しにくい環境が依然として存在していることを認識しています。職場におけるダイバーシティ・インクルージョンの重要性が増す中、また、利用者の立場に立った商品・サービス提供への意識を高めることの重要性にも着目し、性別を問わず働きやすい環境を整えるための取り組みを行っています。
KPI | 2030年度目標 | 2022年度実績 |
女性管理職比率 | 3.5% | 1.2% |
男性育児休業取得率 | 100% | 88.9% |
休業後1年以内離職率 | 0% | 11.1% |
具体的な施策例:
- 主任、管理職への計画的な育成や、登用の推進
- 育児のための諸制度に関する社内周知
- 「子ども参観日」の実施
- 子育て両立支援の取り組み
半日単位の有給休暇制度の実施
配偶者が出産する際の特別休暇の付与
小学校3年生までの短時間勤務制度
- アンコンシャス・バイアスを取り除くための社内研修の実施
社員の体と心の健康への配慮
経営理念のもとに社会に貢献できる製品づくりをスローガンに掲げ、労働安全衛生に配慮した企業活動に取り組んでいます。社会のさらなる発展に貢献していくためには、労働環境の拡充や働き方改革の推進を通じて、働きがいを向上させることが重要です。その為には一人ひとりが安全かつ健康でいきいきと働き、充実した生活を送ることが大切だと考えています。このような認識のもと安全安心な労働環境の整備と、当社で働く人の活力向上に資する取り組みを行っています。
KPI | 2030年度目標 | 2022年度実績 |
有給休暇取得日数(率) | 85.0% | 75.6% |
リモートワーク利用率 | 70.0% | 61.8% |
人間ドック受診率 | 20.0% | 14.0% |
二次検診率 | 30.0% | 24.4% |
イノベーションを生み出す土壌づくり
市場環境やニーズの変化に対応し、将来の成長を促すためには、組織の硬直化を防ぐ企業文化の醸成に取り組むとともに、若手がその力を発揮することができる環境を整えることが重要であると考えています。
2022年度は、経営者の視点から事業活動を俯瞰し、有機的に組織運営できる人材の育成を目的として、ジュニアボード育成研修を実施しました。この経験を活かし、人材アトラクション及びリテンション施策の充実化を進め、より風通しの良い職場づくりを行うとともに、将来の経営人材層の育成に努めていきます。また、若手層から管理職層に対して幅広く社外研修等の機会の提供を行い、外部の知識や人的ネットワークにアクセスしやすい環境の整備に努め、イノベーション創出につながる土壌づくりに取り組んでいきます。
- 検索
- 業種別業績ランキング