信和 【東証スタンダード:3447】「金属製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループでは、経営上の重要な基本理念、目標等を「パーパス」及び「私たちの信条(Our Credo)」として取りまとめております。
パーパス
「いのちを守り、未来を支える」
経営理念(Our Mission)
(a) 私たちは、製品・サービスを通じて大切な「命」を守ります。
私たちがご提供する製品やサービスは、これらを利用する方々の安全、ひいては命に直結しています。
私たちはそれをいつも心にとどめて活動し、全ての品質に対して決して妥協することはありません。
(b) 私たちは、社員のやる気を応援し、「夢と未来」の実現を支えます。
社員が夢を描き、その実現に向かって、持てる力を存分に発揮できることが重要と考えています。
私たちは、社員が誇りとやりがいをもって仕事に臨み、成果を分かち合い、さらなる成長を目指していくことを全力で支えます。
経営目標(Our Vision)
(a) 私たちは、お客様から信頼される企業を目指します。
私たちの『品質方針』である「安全性」・「品質向上」・「納期厳守」・「価格競争力」のレベルを高めるべく、お客様との対話を大切に、一切の妥協なく努力を続けます。
(b) 私たちは、お客様とともに成長を続けます。
社員の一人ひとりが、日々の活動を通じて人間として成長できるよう、一歩ずつでも前進していきます。
やがて、社員が自分の人生を託すにふさわしい、素晴らしく夢のある企業を自ら創りだせるよう、努力と工夫を怠らない組織となることを目指します。
(2) 経営上の重要な指標
当社グループは、売上収益、営業利益のほか、EBITDA(※)を経営上の重要な指標としております。
※EBITDA=営業利益(損失) + その他の費用 - その他の収益 + 減価償却費及び償却費
(3) 中長期的な会社の経営戦略
(a) 事業環境
当社グループが属する建設業界において、我が国の建設投資の状況は、2010年度の41.9兆円を底に下げ止まり、2023年度は前年対比2.2%増の70.3兆円の見通しとなっております。(注1)
住宅においては、国土交通省ウェブページ「令和5年度 住宅経済関連データ」によると、居住世帯のある住宅数5,362万戸のうち、1990年以前に建築された住宅が全体の約38%(2,055万戸)を占めており、今後は住宅の改築・リフォーム・耐震工事などの需要が高まるものと認識しております。
また、道路橋などの社会的インフラは、高度経済成長期等に集中的に整備されたため、今後急速に老朽化することが懸念される中、2014年に策定された国土交通省インフラ長寿計画により、インフラの戦略的な維持管理・更新等が推進されております。
建設現場の環境に目を転じると、2015年には厚生労働省「安全衛生規則」が改正され、足場からの転落事故を防止する「手すり先行工法」の推奨など、より一層、安全に配慮した製品が求められております。
また、慢性的な建設技能者の不足問題(注2)や、労務単価の上昇(注3)、労働時間の適正化といった問題が顕在化しており、より一層、工期短縮に資する施工効率の高い製品や、軽量で作業負担の少ない製品、コスト削減に資する保管効率や運搬効率が高い製品が求められております。
(注1)国土交通省(2023年8月発表)「令和5年度(2023年度)建設投資見通し」より
(注2)国土交通省(2024年5月発表)「建設労働需給調査結果」より
(注3)国土交通省プレスリリース(2024年2月発表)「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について」より
(b) 当社グループの特徴
当社が調査依頼した仮設資材市場調査報告書(2021年12月調査実施・非公表)によると、当社が提供する「システム足場」は、2020年度の出荷金額ベースで市場シェア1位となっております。
これは当社グループが、仮設資材のリーディングカンパニーとして「製造力」「マーケティング力」「営業力」の三位一体の総合力で競争力のある製品を開発し、製造・販売することでシェアの拡大に努めた結果であると考えております。例えば、2015年7月の安全衛生規則の改正に対応した「先行手すり」を迅速に開発・販売したところ、多くの顧客より価格と扱いやすさを高く評価いただいております。
また、市場シェア1位を支える当社の土倉工場(岐阜県海津市、敷地面積40,642㎡)では、その生産能力を活かし、顧客の求める仕様に柔軟に対応した多品種対応を行うとともに、原材料の調達コストや外注コストの低減を図ることにより、国内生産でありながら競争力の高い製造原価を目指しております。
当社グループは、これらの「より高く売れるもの」を「より安く作り」「より多く売る」取組みにより、高い収益性の獲得を目指しております。
また、様々な顧客ニーズに対応した製品開発のノウハウを培う中で、自動車産業で使用される特殊パレットなど、顧客の課題解決に特化した特注型の製品開発を実現する技術力とノウハウが蓄積された結果、物流機器部門が仮設資材部門に次ぐ新たな柱として成長しております。
(c) 成長戦略
当社グループは、2024年5月9日に、2029年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表いたしました。2029年3月期の売上収益目標として200億円、営業利益として24億円を目標としております。今後、その実現のため、仮設資材部門、物流機器部門において、以下の注力分野を中心とし、事業活動に取り組んでまいります。
橋梁向けシステム吊り足場の拡販(仮設資材部門)
老朽化が進行している社会インフラのうち、特に「道路橋」の老朽化ペースは他を上回る速度で進行しており、その対策は喫緊の課題であります。この状況を背景に、国土交通省やNEXCOでは「システム吊り足場」の採用促進にとどまらず、「システム吊り足場」が指定工法とされるなど、一歩踏み込んだ対応が見られます。当社は2023年に、橋梁補修分野向け製品として、国内大手の仮設資材リース企業、橋梁施工企業と業務提携し、最新式のシステム吊り足場「ラピッドフロア」を共同開発いたしました。当社の製造力、業務提携先の商流・ノウハウを活用し、高い安全性と効率性を誇る本製品の速やかな普及と拡販に注力してまいります。
仮設施工サービスの拡大(仮設資材部門)
建設投資の堅調な推移に対し、その担い手不足が社会問題となっているほか、近年の資源高騰を背景に、顧客の仮設資材調達マインドには大きな変化が生じております。そのような中、当社は2024年4月に、全国有数の仮設施工企業である「ヤグミグループ」を子会社化しました。仮設資材のトップメーカーである当社とのグループ化により「製造から施工まで」強固なバリューチェーンを構築することが可能になりました。国内全体では約4,636億円、東海3県だけでも470億円あるとみられる巨大な「軽仮設工事市場」において、このグループ化は大きな価値とアドバンテージをもたらします。グループ内でシナジーを創出し、販売・施工共にシェアアップを図りつつ、新たな仮設・建設関連サービスを創出してまいります。
物流事業の領域拡大と強化(物流機器部門)
物流はすべての産業・業界に関連しており、ニーズも一様ではありません。顧客それぞれの課題に対し、開発力、営業力、製造力、そして蓄積してきたノウハウを活かし、「新領域への進出」と「既存領域の強化」に取り組んでまいります。新領域では、省人化分野、海外展開、未経験分野への積極的挑戦など、柔軟な対応力で、製品のみならず付帯サービスまで、事業領域を拡大してまいります。また既存領域については、さらなる低コスト・短納期の追求、レンタル事業の拡大による利便性の向上など、今ある製品・サービスに一層の磨きをかけ、収益の基盤をより強固にしてまいります。
(4) 対処すべき課題
当社グループは、2024年5月に2025年3月期から2029年3月期までの5カ年を実行期間とする「中期経営計画」を策定・公表いたしました。今後、強固なバリューチェーンの構築と新たな仮設・建設関連サービスを創出することを通じて、以下の課題にも対応してまいります。
①当社グループ全社員の活力の創出
当社グループは、経営理念(Our Mission)として『私たちは、社員のやる気を応援し、「夢と未来」の実現を支えます。』を掲げております。また、当社グループが持続的な成長を果たすためには、社員が夢を描き、その実現に向かって、持てる力を存分に発揮できることが重要だと考えております。
その実現のために、当社グループは社員の働き甲斐を高め、社員の活力の創出に資するよう、人事評価の透明性を図り、成果や情報の共有を図るインフラの整備を行うとともに、業務の効率化やコミュニケーションの活性化を推進するIT投資、ブランディングを通じた意識・意欲の高揚など、多様な人材が能力を最大限に発揮できる職場環境の整備等を推進してまいります。
②優秀な人材の確保と育成
当社グループが持続的な成長を果たすためには、優秀な人材を確保し育成することが不可欠であると考えております。
当社グループでは、積極的な採用活動を推進し、製品開発力の強化や営業力の強化、内部管理体制の強化等に資する優秀な人材を確保してまいります。
また、成長を促す仕組みづくりに取り組み、社内外の研修体制の整備、人材管理体制の構築、外部ノウハウの活用等を推進してまいります。
③コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、コンプライアンスの方針・体制・運営方法を定め、企業の社会的責任を深く自覚するとともに日常の業務遂行において関係諸法令を遵守し、社会倫理に適合した行動を実践することが、継続的な企業価値の向上につながると考えております。
全てのステークホルダーを尊重し、企業の健全性、透明性を高めるとともに、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努めるため、迅速で合理的な意思決定体制及び業務執行の効率化を可能とする社内体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
また、子会社においても管理体制を強化し、グループ全体でのガバナンスの強化を推進してまいります。
④製品品質の更なる向上
当社製品が顧客に選ばれ続けるための基盤は、製品品質の維持・向上にあるものと考えております。
製造人員、製造設備、製造方法等の変更時などの変化点における特に重点的な品質確認を実施するほか、過去に発生した品質問題を毎日のミーティング時に振り返り、対応策の継続確認や更なる対策の検討を行うことで、同じ問題を繰り返さない体制をさらに強化してまいります。
また、製品自体の品質確認のみならず、製造設備の造り込みやメンテナンスの定期化等の確認、検出された不具合の速やかな情報展開・情報共有を通じ、品質に問題のある個体を造らせない活動も行ってまいります。
⑤コストダウンの推進
当社グループの製造・調達部門においては、従来からの手法をそのまま踏襲し続けるのではなく、常に改善点を模索し、コストダウンを実践しております。
その範囲は、工程短縮だけにとどまらず、設備のランニングコスト、検査コストなど幅広い視点から、様々なコストダウン活動の積み重ねにより大きな効果を目指すものであります。材料調達においても、歩留まり向上を意図した適切なサイズの材料発注や複数社購買の推進などに注力することで、仕入れコスト低減に努めてまいります。
これらの活動は定期的にレビューし、取り組みの効果や方向性などを確認しつつ、コストダウンに対する不変的な姿勢としての定着を図ってまいります。
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