住友ファーマ 【東証プライム:4506】「医薬品」 へ投稿
企業概要
当社は、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念として掲げ、事業活動を進めています。
少子高齢化社会の進展、パンデミックなどの社会課題を背景に、精神神経領域およびがん領域の医療ニーズは拡大していくことが予想されます。また、医療ニーズはますます高度化しており、多様なモダリティを駆使し、デジタルとリアルが融合した生活と人々の価値観に寄り添うヘルスケア課題の解決が社会から期待されています。
かかる環境において、当社グループは、変わりゆくヘルスケア課題の解決に貢献するため、2019年4月に策定したビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」に基づき、精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。また、その他領域においても、保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けてまいります。これにより、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位を確立することを目指します。
当社は、このビジョンのもと、2023年度を起点とする5か年の「中期経営計画2027」を2023年4月に策定しましたが、当社グループが目標として掲げる、2033年における「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立の方針に変更はないものの、当社グループが直面する経営環境を受け、「中期経営計画2027」については、見直しの必要があると考えています。新たな中期経営計画については、可能な限り早期に公表できるよう取り組んでまいります。
なお、当社は、グループ一体経営を推進するため、米国グループ会社の再編を契機に、2023年7月1日付けで理念体系を再構成し、理念、バリューおよび行動宣言をグループ全体で共有するフィロソフィとして、グループ内への浸透を進めています。
併せて、当社の理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを「サステナビリティ経営」と定義しています。
理念(当社の存在意義、社会に対する約束・使命)
人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する
バリュー(全役員・従業員が共有すべき価値観)
Patient First
Always with Integrity
One Diverse Team
行動宣言(日々の業務において守るべき行動規範)
1."Innovation today, healthier tomorrows" の実現に取り組みます
2.誠実な企業活動を行います
3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います
4.自らの能力を高め、協働します
5.人権を尊重します
6.地球環境問題に積極的に取り組みます
7.社会との調和を図ります
活動方針
2023年4月における「中期経営計画2027」の発表以降、重要マイルストンの未達により厳しい事業環境が続いています。2023年7月には、「中期経営計画2027」に基づいて米国グループ会社の再編を行い、大幅な人員削減を実施しました。しかしながら、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の2023年度の売上収益は、前期比で大きく伸長したものの、「中期経営計画2027」の目標を大幅に下回る結果となり、2024年度以降の売上収益の計画達成も遅れる見込みです。そのため、今後予想される収益規模に即した事業運営を行うべく、2024年3月に米国グループ会社において、再度人員削減を行いました。研究開発活動においては、現在の財務状況を踏まえ、「中期経営計画2027」の期間での上市が期待できるがん領域の2つの開発プログラムおよび中長期の成長ドライバーとなることが期待できる精神神経領域の再生・細胞医薬開発プログラムに注力することとしました。
また、フロンティア事業については、新設子会社であるFrontAct株式会社が承継し、新たな体制の下で、自己資本だけではなく、他社資本も取り込む可能性も追求し、当該事業分野における確固たる地位を築くことを目指してまいります。
2024年度を当社グループの再成長への転換点とすべく、コア営業利益の黒字化を必達目標とし、以下の方針に従い、事業を運営してまいります。
① 売上収益の拡大
北米において基幹3製品の早期価値最大化に最注力してまいります。「オルゴビクス」については、がん標準治療ガイドラインの改訂やインフレ抑制法による患者負担軽減策等が事業の追い風となることを期待しており、本剤の前立腺がん治療におけるアンドロゲン除去療法の標準治療薬としての位置付け獲得を目指し、さらなるシェアの拡大に努めてまいります。「マイフェンブリー」については、患者さんおよび医療関係者への認知浸透を通じて、経口GnRH市場の拡大および市場内での製品シェア拡大に注力してまいります。Pfizer Inc.との共同販促活動により、引き続き両剤の市場浸透および販売拡大を図ってまいります。「ジェムテサ」については、2024年度中に前立腺肥大症を伴う過活動膀胱に対する適応追加承認を見込むほか、営業体制の刷新等の施策を通して、さらなる販売拡大に取り組んでまいります。
② コスト削減
2023年度に実施した米国グループ会社の構造改革に加え、グループをあげて、効率的な組織運営および徹底的なコスト削減による合理化を加速してまいります。研究開発活動においても、北米での人員削減とともに、徹底したコスト管理のもと、各領域におけるパイプラインの選択と集中に取り組み、当社グループの将来を担うパイプラインに経営資源を投下してまいります。
③ 将来の成長シーズの確保
がん領域のDSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。DSP-5336については、急性白血病を対象としたフェーズ1/2試験において単剤療法の承認申請に向けたデータ収集を開始し、併用療法に関する試験についても実施を検討してまいります。TP-3654については、骨髄線維症を対象としたフェーズ1/2試験においてJAK阻害剤との併用療法に関するデータ収集を開始します。両剤のうち少なくとも1剤は「中期経営計画2027」の期間での承認取得・上市を目指します。
精神神経領域では、世界初のiPS細胞の実用化とゲームチェンジャーとなる治療の実現に向け、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞のパーキンソン病を適応症とした日本での承認申請対応および米国でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞について、網膜色素上皮裂孔を対象とした日本でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。特長ある低分子の初期臨床開発品目群については、2030年代のグループ収益を支える優先品目を選抜し、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。
その他領域では、「ジェムテサ」について、中国での過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験の推進および承認申請に向けた対応を着実に推進してまいります。また、ユニバーサルインフルエンザワクチンのベルギーでのフェーズ1試験およびKSP-1007のアジア地域への展開を見据えた日本でのフェーズ1試験を着実に推進してまいります。なお、ユニバーサルインフルエンザワクチンおよびKSP-1007の研究開発は、日本医療研究開発機構(AMED)からの委託研究開発費を活用しています。
今後とも患者さん、ご家族および介護者の皆さんへ貢献できる新しい価値を一日も早く提供するために、私たちはスピード感をもって全力を尽くします。
株主還元
当社は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを配当の基本方針としています。
「中期経営計画2027」において、「コア営業損失を見込む2024年3月期は無配の方針、コア営業利益を見込む2025年3月期は復配の方針とし、その後は安定配当を目指す」としています。こうした中、2025年3月期の連結業績見通しでは、コア営業利益10億円を見込んでいますが、「中期経営計画2027」で想定したコア営業利益を大きく下回っていることから、2025年3月期の配当については、誠に遺憾ながら無配を予定しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
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