不二製油グループ本社 【東証プライム:2607】「食品業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが入手可能な情報に基づき作成したものです。実際の成果や業績は、今後様々な要因によって、記載されている内容とは異なる可能性があります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を希求することを会社運営の基本方針としており、ミッションを希求していくための具体的に目指す姿をビジョンと位置付けております。
近年の激変する市場環境下において、自ら課題を乗り越え、継続して成長していくためには、どのような方向に向かうべきかを示すべく、2023年4月1日より「不二製油グループ憲法」のビジョンとして「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します。」を掲げております。社員一人一人が本憲法に示されているバリュー(価値観)を共有し、プリンシプル(行動原則)を実践することで、ビジョンを実現し、全てのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。
「不二製油グループ憲法」(2023年4月1日付改定)
(2)ビジョン実現に向けた考え方
食が消費者に届くまでには、複雑なサプライチェーンと多くのステークホルダーが関与しています。食の社会課題の解決には、一社のみならず消費者も含めたバリューチェーン全体で価値向上に取り組むことが重要です。不二製油グループは食のバリューチェーンにおける川中の機能を担い、研究開発や生産活動を通して、顧客とその先の消費者の困りごとに対するソリューションの提供に努めています。
当社グループは心身の健康・地球環境問題・人権等、食のバリューチェーン上の社会課題を機敏に捉え、当社の提供価値につながるESGマテリアリティを特定し、経営戦略の立案・推進に活用しています。
経営戦略に基づき、財務資本、製造資本、人的資本等、当社グループが有する経営資本を活用し、4つの事業が持つ強みを組み合わせて、当社グループならではの製品を生み出し、提供価値の創出につなげています。
そして、当社グループの提供価値が顧客価値=消費者価値となり、獲得した利益やキャッシュ・フローは食のバリューチェーン全体のサステナビリティ向上に寄与する当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資しています。
不二製油グループは価値創造プロセスの循環を通じ、持続的な成長を果たし、「サステナブルな食の未来」の実現を目指しています。
当社グループの経営資本は以下のとおりです。
“財務資本”とは、当社グループの事業活動により獲得した利益やキャッシュ・フローを持続的な企業価値向上へ向けて再投資することで構築される財務基盤です。2023年度において株主資本は1,898億28百万円、有利子負債は1,302億86百万円、営業キャッシュ・フローは482億42百万円になりました。
詳細は「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「第5 経理の状況」に記載のとおりです。
“製造資本”とは、当社グループの安全・安心で安定した品質の製品を生産、顧客に提供するための製造拠点・製造能力です。2024年3月末時点においては、連結子会社39社、持分法適用会社3社がグループの生産を支えています。また、2023年度の設備投資額は151億19百万円となりました。
詳細は「第1 企業の概況 3事業の内容」、「第1 企業の概況 4関係会社の状況」及び「第3 設備の状況」に記載のとおりです。
“人的資本”とは、当社グループの企業活動を支え、持続的な成長を支える人材です。2024年3月末時点で連結従業員5,731名となり、うち約7割が海外エリアの従業員となりました。詳細は「第1 企業の概況 5従業員の状況」及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(6)人的資本・多様性」に記載の、人的資本に関する当社の考え方及び取組をご覧ください。
“知的資本”とは、当社グループの技術革新と社会課題に貢献する製品の創出を支える研究成果と技術力です。2023年度の研究開発費は58億78百万円となりました。特許ポートフォリオ等の研究開発活動に関する情報は「6研究開発活動」に記載のとおりです。
“社会・関係資本”とは、食のバリューチェーンの川中に位置する存在として構築してきた、ステークホルダーとの共創関係です。ステークホルダーとの共創の詳細は「(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題 ① 中期経営計画「Reborn 2024」の基本方針c.サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)」に記載のとおりです。
“自然資本”とは、エネルギーや水、生態系サービス(注)に依拠した農産物であるパーム、カカオ、大豆、シアカーネル等の原料であり、当社グループの事業活動はこうした自然や生態系サービスの恩恵を受けると同時に負の影響を与える可能性があります。当社グループは環境負荷の低減や、持続可能な調達等の取組により、自然資本の保全と回復に努めています。
詳細は、「2サステナビリティに関する考え方及び取組(5)指標及び目標」に記載のとおりです。
(注)生態系サービス:食料や水の供給、気候の安定等、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵み
① 不二製油グループの強み
当社グループは創業当初から、南方系油脂と大豆たん白を中核に「植物性素材」にこだわり、技術の深掘りと横展開で植物性油脂事業、業務用チョコレート事業、乳化・発酵素材事業、大豆加工素材事業を発展させてきました。当社グループは、その歴史の中で培った各事業固有の技術で製品を創出するのみならず、各事業の持つ技術の融合により事業の垣根を越えた新しい、安全・安心な品質の製品を生み出しています。
また、創業の精神「挑戦と革新」の下、BtoBの食品素材メーカーとして、顧客の課題、困りごとに共に挑み、当社グループの製品・取組による解決策を提案するとともに、多様化する消費者の食シーンに貢献する‘食’を顧客と共に創造し、社会課題解決に取り組んでいます。
さらには、当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決するべく、事業活動全体を通じて、環境や人権等を尊重するサプライヤー等との信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める取組を進めるとともに、これらサプライヤーから主要な原料を調達するサステナブル調達を進めています。
主要事業で培ってきた「技術の融合」、「顧客との課題解決力」、「サステナブル調達」は当社グループの歴史の中で育んできた、大きな強みであり、当社グループビジネスモデルの核となっています。
② ビジネスモデル
当社グループのビジネスモデルは、「植物性油脂事業」、「業務用チョコレート事業」、「乳化・発酵素材事業」、「大豆加工素材事業」から構成されています。
a.植物性油脂事業
―南方系油脂を軸とした高度な利用技術(注1)・サステナブル原料のサプライチェーン―
当社グループは創業当初から、南方系油脂の加工、チョコレート用油脂(CBE:注2)に活路を見出し、南方系油脂を軸として、様々な油脂の高度な利用技術の革新を進め、植物性油脂事業を基盤事業として展開してきました。また、限りある資源の中で、自然との共生によるサステナブルな社会・事業活動を指向しており、サプライチェーン上での環境、人権等の社会課題を解決すべく、早くから農園・農家との協働に取り組み、信頼関係を構築しています。このような取組で構築してきた‘サステナブル原料のサプライチェーン’も植物性油脂事業の差別化戦略につながる強みとなっています。
(注)1.高度な利用技術:多様なニーズに合わせて、油脂加工技術と様々な油脂種の組み合わせにより油脂原料を余すことなく利用し、製品化する技術。
2.CBE:Cocoa Butter Equivalentの略。ココアバターと同等の物性を持ったチョコレート用油脂。
b.業務用チョコレート事業
―油脂技術の融合により「おいしさと使いやすさ」を提供―
業務用チョコレート事業は、技術革新を進めてきた当社グループのチョコレート用油脂技術に支えられています。顧客の商品製造過程での良好な作業性や流通過程での耐熱性等の‘使いやすさ’と、口溶けのよさや豊かな風味といった消費者が求める‘おいしさ’を兼ね備えた高品質なコンパウンドチョコレートに強みを有しています。
c.乳化・発酵素材事業
―乳化・発酵技術により「おいしさと使いやすさ」を提供―
乳化・発酵素材事業は、顧客の商品製造過程における加工安定性や流通過程での保形性等の‘使いやすさ’を実現できる油脂を使用した乳化技術と、消費者にとっての‘おいしさ’につながる風味を生む発酵技術の融合により、製菓・製パン・調理用途等にクリーム、マーガリン、フィリングといった幅広い素材を提供しています。
d.大豆加工素材事業
―大豆のおいしさと栄養を活用した多様な製品群―
当社グループでは創業時から油脂とともに、大豆の豊富な栄養と大豆たん白の特性に着目し、研究を進め、用途拡大と技術革新を進めてきました。また大豆本来の‘おいしさ’を引き出す研究開発とともに、大豆たん白に含まれる機能性成分の研究により製品を創出し、多様な製品群を展開しています。大豆に含まれる植物性のタンパク質は食の未来を見据える中で、重要な食資源の一つです。大豆加工素材事業において社会課題の解決と消費者の要望に応える多様な高付加価値製品を創出、提供することで、社会貢献を果たしてまいります。
③ 不二製油グループの提供価値
持続可能な社会の実現に向けて、また食と健康への意識の高まりに伴い、消費者からはウェルビーイングにつながるおいしくて心と身体に良いものを食べること、つまり「おいしさと健康」の両立と「サステナブルな食のバリューチェーン」への貢献が求められています。当社グループは4つの事業の強みを活かした事業活動を通じ、「社会価値」と「経済価値」を創出し、ステークホルダーへの貢献を果たしてまいります。
「社会価値」
当社グループの事業活動では、創業以来培ってきた技術、顧客の課題や困りごとを解決する課題解決力、環境や人権等に配慮した原料の調達、そしてそれらを元に、様々なステークホルダーとの共創によって付加価値の高い製品を生み出しています。
当社グループは、事業活動を通じ、自然環境への負荷低減に取り組むとともにサステナブルな食資源の供給により、消費者の食の歓び、健康増進、雇用、人権尊重等のウェルビーイングの実現に貢献してまいります。
「経済価値」
当社グループの事業活動により得られた利益やキャッシュ・フローは当社グループの持続的な成長を支える財務基盤の強化に資するとともに、提供価値の拡大及び新たな価値の創出のために再投資してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
近年、当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレや金融引き締めによる景況感の悪化、エネルギーコストや原材料価格の高騰等に直面し、依然として先行き不透明となっています。
このような激変する環境下において、不二製油グループが価値創造を果たしていくためには、まずは確実に現有資産、事業からの収益力の回復と財務体質を強固にすることを優先事項として基盤の強化を果たさなければならないと認識しています。
当社グループは2022年度から2024年度までの3年間を新しい価値を生み出す企業グループへと生まれ変わるための経営基盤を強化する期間と定め、中期経営計画「Reborn 2024」を実行しています。
① 中期経営計画「Reborn 2024」の基本方針
中期経営計画「Reborn 2024」において、基本方針を「事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造)」、「グローバル経営管理の強化」、「サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)」として、成長戦略を推進しています。
a.事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造)
「事業基盤の強化」では、「基礎収益力の復元」、「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入替え」、「成長・戦略分野への経営資源の集中」、「挑戦領域への展開」を進めております
「基礎収益力の復元」においては、販売価格政策や原価管理において、運営・管理体制の両面から事業別に強化を進めています。また、適正な価格政策の実施と原価管理の強化に加え、グループ全体の生産性指標管理により効率的な生産性向上、コストダウンを進めることで、基礎収益力の復元を図っています。
「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入替え」においては、コモディティ製品から差別化された付加価値の高い製品への展開を行うことで、競争優位性の確立に取り組んでいます。近年の欧州・米州等での需要の高まりへの対応として、東南アジアでのサステナブル認証油の供給体制を強化し、グループ全体での拡販を進めております。
「成長・戦略分野への経営資源の集中」においては、業務用チョコレート事業や植物性油脂事業を成長分野として優先的に経営資源を再配分することで、グループの収益拡大及び安定成長を図っています。
高付加価値製品へのポートフォリオの強化に向けた対応の一環として2023年4月には米州連結子会社Fuji Oil New Orleans, LLCの固定資産の譲渡を実施しました。米州の植物性油脂事業は引き続き重要市場として、CBEを含めた機能性のある製菓用油脂の供給体制の強化等により高付加価値化を進め、新たな成長戦略の展開に取り組んでいます。
また、東南アジアにおいては、マレーシアのパーム油・パーム核油の製造会社 Johor Plantations Group Berhadと持続可能なパーム油を原料とした高付加価値な油脂製品を製造・販売する合弁会社を設立することを決定しました。欧州市場をはじめとする今後需要の増加が見込まれる市場にもトレーサブルで持続可能なパーム油製品の提供を通じ、社会課題解決に取り組んでまいります。
業務用チョコレート事業においては、ブラジルのHARALD INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS LTDAで2023年4月に新工場の稼働を開始しました。ブラジルで高まるチョコレート需要への対応に加え、工場内にお客様と共創でアプリケーションを開発・提案する施設を新設し、グループの技術と知見を活かした高付加価値製品をブラジル市場に新たに提供するとともに、それらを活用した更なる新製品創出、新市場の開拓を進めています。
一方、2019年1月に連結子会社化した北米のBlommer Chocolate Companyは、買収後に生じたコロナ禍の影響、原材料価格や金利の上昇及びインフレに伴う固定費増加等により、収益性が低下し、当第3四半期連結会計期間において特別損失を計上いたしました。しかしながら、米国市場において80年以上かけて築き上げたBlommer Chocolate Companyのブランド力や各食品市場におけるリーディングカンパニーとの取引関係、幅広い顧客網に基づく競争力は健在であること、世界最大の業務用チョコレート市場である米国市場の成長は今後も継続すると見込まれることから、Blommer Chocolate Companyは当社グループの業務用チョコレート事業の成長ドライバーとして、グループの長期的な成長に大きく寄与するものと考えております。そのためにはBlommer Chocolate Companyの構造改革による同社の収益力の早期復元が喫緊の課題であると認識しています。Blommer Chocolate Companyが保有する経営資源配分の適正化、カカオ加工事業の適正化、差別化戦略の推進等の構造改革を果たし、グループシナジーの創出をより一層進め、Blommer Chocolate Companyをグループの価値創造の中核を担う企業に成長させてまいります。
また、当社グループは、EU森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation:EU-DR)が2023年6月に発効、2024年12月30日から適用開始されることに伴い、当社グループの拠点がある欧州市場のみならず、グローバルに展開する大手取引先とのビジネスにおいても、その対応が必須となります。欧州グループ会社と連携強化のもと、パーム油やチョコレートの安定供給、サステナブル調達の更なる強化を図っていきます。
さらに、業務用チョコレート事業を主力事業とする当社グループにおいては、カカオ豆の価格高騰への対応が必須です。グループでの対応・取組体制の整備によるリスク低減のみならず、当社グループのサステナブル調達、CBE等の油脂技術、さらにそれら原料調達力・油脂技術・チョコレート製造技術の融合によりおいしさと機能性を兼ね備えたコンパウンドチョコレートを創出・展開し、付加価値や競争優位性の向上に結び付く対応を進めてまいります。
「挑戦領域への展開」においては、当社グループの技術と各事業製品の組み合わせを行い、新たな市場アプローチにより、消費者視点での時代に合った製品を提供しています。また、市場・顧客開拓を行うことにより新しい価値を創造し、コモディティ製品から高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替えを図っています。
日本においては、挑戦領域を牽引するフラッグシップとしてGOODNOONを掲げ、植物性に特化した製品の展開活動を進めており、代表商品の一つとして当社独自の大豆加工と油脂技術を融合した豆乳クリームバター(ソイレブール)の拡販を進めています。
また、当社が開発したMIRACORE®(注)技術を使用した植物性ダシ製品等の上市による新たなビジネスへの取組を加速しています。さらには、新しい販売チャネルとして、ECメディア「cotta tomorrow」を立ち上げ、プラントベースフードを始めとする製品のデジタル販売を強化し、アプローチの変革に挑戦しています。
(注)MIRACORE®:当社研究所が開発した動物性食品ならではのおいしさを植物性素材で実現する技術。
b.グローバル経営管理の強化
「グローバル経営管理の強化」では、事業収益の向上策として、事業別ROIC管理の導入による資本効率の高い経営体制の構築及び事業軸の管理を強化することで、各エリアの課題に事業軸でも横断的に対応し、グループ内の連携を強化しました。それにより、経営課題への対応スピードの更なる向上に取り組んでいます。また、研究技術開発において、戦略目標と一体となった運営体制を推進し、グローバルで求められる社会課題への対応、製品開発のスピードの向上を図っています。これらの体制をより有効なものとするために、経営管理の高度化とDXを推進しています。
c.サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)
「Reborn 2024」では、当社グループとして特定したESGマテリアリティに基づき、各グループ会社のサステナビリティへの取組を加速させ、グループ全従業員による自律的な活動へ深化させています。当社グループではパーム油やカカオ等の主原料のサステナブル調達、並びにグループ全体のCO2排出量・水使用量・廃棄物量の削減に取り組んでいます。また、将来懸念される食資源やタンパク質の不足を解消する食資源の創造、並びに心身の健康課題の解消等、健康と栄養の課題解決に寄与する研究及び製品開発に注力しています。これらの取組は、バリューチェーン上の様々なステークホルダーと共創しています。当社製品の付加価値や競争優位性を高めると同時に事業活動のコストダウンにもつなげ、社会価値と当社の企業価値を共に向上させていきます。
不二製油グループの持続的成長を支えるのは人材です。当社グループと従業員の双方が持続的に成長するため、「Reborn 2024」におけるサステナビリティの深化のテーマの一つを「人材活用」とし、「グローバル経営を支える人材の確保・育成・適正配置」、「DE&Iの推進」、「コミュニケーションの強化」について取組を進めております。
② 財務戦略について
成長によるキャッシュ・フローの創出と資本効率の向上及び財務ガバナンスの強化を通じて、グローバルで強固な財務体質への改革を図ります。
経営効率向上のために、キャッシュ・フローを重視し、優先的な経営資源の配分を行い、事業別ROICによる事業評価、グループ投資基準による投資の厳選を進め、グループ全体の事業ポートフォリオの最適化を図ります。事業別ROIC評価の導入で、従前より進めているバリューチェーン分析による在庫の圧縮等、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善をさらに推進してまいります。
また、グローバル資金管理によるグループ資金の可視化・流動性の確保、資産のスリム化による総資産回転率の向上を図ります。財務レバレッジにおいても資本コストを意識し最適化を図ります。
株主還元については、配当性向30%~40%を方針とし、安定的かつ継続的な配当を実施してまいります。
当社グループは刷新した「不二製油グループ憲法」のビジョン実現に向け、当中期経営計画「Reborn 2024」を達成することで、企業価値向上を図り、全てのステークホルダーから信頼される企業グループとなることを目指してまいります。
(4)目標とする経営指標
当社グループは、収益性の改善、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「ROE(株主資本利益率)」を重要な指標として位置付けております。加えて、当社グループ中期経営計画「Reborn 2024」より「ROIC(投下資本利益率)」を新たな指標として導入し、資本効率、資本コストを意識した事業ポートフォリオマネジメントを推進しています。
中期経営計画「Reborn 2024」における経営目標
① 財務KPI
| 目標(2024年度) | 実績(2023年度) |
連結営業利益 | 235億円 | 182億円 |
ROE(株主資本利益率) | 8.0% | 3.0% |
ROIC(投下資本利益率)(注) | 5.0% | 3.5% |
株主還元 配当性向 | 30.0%-40.0% | 68.5% |
(注)ROIC=税引後営業利益÷(運転資本+固定資産)
当社グループでは本指標を各事業で把握・管理可能な項目とすべく、分母となる投下資本を運転資本と固定資産に置き換えて使用しております。
② 非財務KPI
| 目標(2024年度) | 実績(2022年度)(注3) |
CO2排出量の削減(Scope1+2) | 総量23%(注1) | 総量26%削減(注1) |
サステナブル調達(パーム油) | パーム油TTP比率(注2)85% | パーム油TTP(注2)比率93% |
(注)1.基準年:2016年度(全連結子会社)
2.パーム油TTP:パーム油の農園までのトレーサビリティ(Traceability to Plantation)
3.2023年度実績は2024年9月発行予定のサステナビリティレポートにて開示予定。
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