企業兼大株主三菱化工機東証プライム:6331】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティについての取組

 当社は、これまで培ってきた技術とノウハウを活かし、SDGsの取組みも含め社会課題に対応する企業グループを目指し、「持続可能な発展に挑戦し、快適な社会を実現(MORE Sustainable, KEEP Innovating for a KINDHEARTED Society)」をビジョン・ステートメントに掲げた「三菱化工機グループ2050 経営ビジョン」を策定いたしました。

 その中で、CO2・気候変動対策を解決すべき社会課題の1つとして設定し、「循環型社会推進」「クリーンエネルギー」「省力・省エネ」「次世代技術」を中核とした戦略的事業領域の取組みを進めております。

また、この経営ビジョンの実現に向けて、2022年度から3ヵ年の中期経営計画において、戦略的事業領域から特に「循環型社会推進」に関連する有機性廃棄物リサイクル等、及び「クリーンエネルギー」に関連するカーボンリサイクル、ブルー・グリーン水素製造等の分野への取り組みを積極展開しております。それにより、企業価値の向上をはかり、全てのステークホルダーの皆様に信頼される企業を目指し、本計画の達成に全力で取り組んでおります。

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組)

当社は、2022年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD, Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しております。中期経営計画の達成への取組みと相まって、気候変動への取り組みを積極的に推進し、同提言に則って、気候変動に関わるガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示を行ってまいります。

①ガバナンス

 当社取締役会は、気候変動問題への対応を経営上の重要課題の1つであると認識しており、リスク管理の観点だけでなく事業創出の観点からも重要な施策の意思決定をするとともに執行状況を監督しています。

重要課題に対する進捗を測る経営指標と目標を定め、当社取締役社長を統括責任者として気候変動問題への対応を含むサステナビリティに関する活動を全社的・継続的に推進する常設委員会である「サステナビリティ委員会」を中心とした推進体制のもと、進捗モニタリングをしていきます。また、当社取締役会が定期的に当委員会から当社グループの気候変動問題への対応を含むサステナビリティへの取組状況に関する報告を受ける体制を構築しています。


②戦略

 当社は、2100年時点の世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して、1.5℃以下に抑制しながら経済成長を目指すシナリオ(以下「1.5℃シナリオ」)と現状ベースで化石燃料をエネルギーの主体として経済成長を目指し同4.0℃上昇することが想定されるシナリオ(以下「4℃シナリオ」)の2つの気候変動シナリオを設定し、分析を実施しています。

1.5℃シナリオでは、移行リスクとして、例えば炭素税の導入による資材・エネルギーコストの上昇、それによるエネルギー効率の低い設備需要の減少、並びに化石資源関連産業及び化石燃料を使用する設備向けの製品の需要減少などが想定される一方で、脱炭素化に対応した製品・技術へのニーズが一層高まることが想定されます。当社は水質汚濁防止・大気汚染防止などの環境分野をはじめとして社会課題に対応した装置・設備の設計・製作・建設で多くの実績を有しております。これらの要素技術は脱炭素化に対応する水素に係る製品・技術や藻類の培養・活用にも応用できる当社の強みと考えており、事業機会も十分に存在するものと考えております。

4℃シナリオでは、気候変動による自然災害の激甚化によるリスクに対応するレジリエントな装置・設備ニーズに対して当社の既存製品・技術を提供する機会が生ずるものと考えておりますが、洪水・海面上昇等による調達先や輸送網といったサプライチェーンへの影響や工程の遅延、及び平均気温上昇による作業効率の低下などによる物理的リスクの方が大きいものと考えております。

 

(影響度の評価)

大:売上高50億円以上 中:売上高10~50億円未満 

小:売上高10億円未満

(時間軸の評価)

長期:2050年までに影響あり 中期:2030年までに影響あり 短期:2025年までに影響あり

気候変動がもたらすリスク

区分

分類

項目

内容

影響度

評価軸

当社の対応

移行リスク

政策・

法規制

CO2排出削減に係る

税・規制の導入・強化(※1)

炭素税の導入(資材)

中~長期

・製品設計の工夫による資材使用料の削減、低CO2排出材料への代替(調達先への働きかけを含む。)

・エネルギー使用プロセスの効率化、省エネ設備の更なる導入

・再生可能エネルギー設備の設置

・デジタルを活用したE&M(※2)等による省力・省エネ促進

再生可能エネルギーの普及に伴う電力コスト増

中~長期

製品と

サービス

社会的な要請の変化

エネルギー効率の低い設備需要減少

短~中期

・エネルギー効率の高い製品の開発・販売を継続

化石燃料関連設備の需要減

短~中期

・CCUS設備の開発・販売を推進

油清浄機・部品を代表とする単体機械の需要減

短~中期

・再生可能エネルギー向け等の固液分離技術の新たな用途の開発を推進

物理的リスク

急性

風水害

激甚化

自然災害の激甚化による工程遅延やサプライチェーンへの影響発生

中~長期

・リスクを考慮した工期の設定

・作業空間における温度管理設備の整備

・BCPの強化

慢性

気候変動

平均気温の上昇により、プラント建設・機器製造等の作業効率が低下

中~長期

海水面の上昇、降雨パターン(豪雨と干ばつ)の長期的変化によって、自社事業所や取引先の事業継続リスクの増加や防災・適地移動コストの発生

短~長期

※1 資材・電力の調達コスト増(利益減)は、利益率10%と仮定し、影響額÷10%=売上額の換算で影響度を評価

※2 エンジニアリング&マニュファクチャリング

気候変動がもたらす機会

区分

分類

項目

内容

影響度

評価軸

当社の対応

移行機会

製品と

サービス

社会的な要請の変化

レジリエント/省エネルギーなプラント・設備の需要増

中~長期

(戦略的事業領域:水・食・自然災害等の課題解決に向けた次世代技術開発事業の取組み)

・プラント・設備に関する研究開発の推進

バイオガスの需要増

短~長期

(戦略的事業領域:持続可能な循環型社会推進事業の取組み)

・バイオガス発電への取組みを継続

・廃プラリサイクルに関わる新規事業参入

・CCUS関連事業に係わる新規事業参入(エンジニアリング・水素製造からの回収等)

 

(戦略的事業領域:水素を核としたクリーンエネルギー事業の取組み)

・水素事業の強化

・藻類由来のSAFの技術開発

③リスク管理

 気候変動問題に関連するリスクの管理については、ガバナンスの項の図で示した通り既存の「リスク管理委員会」と相互連携しています。その役割分担は、常設委員会である「(仮称)サステナビリティ委員会」においてリスクの抽出・特定を管掌するとともに、「リスク管理委員会」においてリスク対応方針の決定・進捗管理を管掌しています。

「リスク管理委員会」においては、全社リスク管理において対象とするリスクの類型に気候変動問題に関連するリスクがあることを明示するとともに、「サステナビリティ委員会」で重要と判断されたリスクを全社重要リスクとして管理し、その対応状況を定期的に取締役会に報告しています。

これらの活動を通じて、全社的な短期・中期・長期のリスクを抽出し、評価及び対応策の検討を行い、取締役会にて監督を行っています。

④指標と目標

 当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、バリューチェーンでの温室効果ガス(GHG)排出量を算 定・把握し、2つの目標を設定し取り組みを進めてまいります。

ⅰ)当社グループのGHG排出量(Scope1,2)を2050年までにNet Zeroへ

 当社グループは、工場・オフィスからのGHG排出量を2050年までに排出量実質ゼロとしてまいります。この長  期目標の達成に向けて、再生エネルギー由来の非化石証書付きの電力供給契約のほか主力工場における太陽光PPAモデルによる使用電力の一部再生エネルギー化を実施する等により、2030年までに2021年度比で50%以上の削減を図ってまいります。

ⅱ)社会課題への貢献に寄与する新規事業領域の成長を加速

 当社は、「三菱化工機グループ2050 経営ビジョン」を掲げ、CO2・気候変動や資源循環などの5つの社会課題  を抽出し、持続可能な発展に挑戦し、快適な社会の実現に向けて4つの戦略的事業領域を設定しております。

 戦略的事業領域のうち、①持続可能な循環型社会推進事業、②水素を核としたクリーンエネルギー事業、③デジタル技術を活用した省力・省エネ事業の3つは、当社グループのバリューチェーン全体のCO2排出量削減につながるものであり、2035年までの中核事業と位置づけて取り組みを進めています。

①持続可能な循環型社会推進事業

 産業や一般家庭から排出されるCO2を含む廃棄物を再資源化する事業であり、有機性廃棄物のリサイクルにおけるバイオガス事業、有価物リサイクルにおける廃プラスチックリサイクル事業、カーボンリサイクルにおけるCO2回収事業などに代表されるものです。可溶化技術、バイオガス化技術、膜・吸着等分離技術など当社技術の活用・深化により展開をはかってまいります。

②水素を核としたクリーンエネルギー事業

CO2排出低減に貢献する水素を核としたクリーンエネルギーの生成・利活用事業であり、水素製造におけるグリーン水素・ブルー水素事業、水素サプライチェーンにおける水素輸送・貯蔵・供給関連事業、創エネルギーにおけるバイオ関連事業などに代表されるものです。再生可能エネルギー創生技術、水素製造技術、高効率水電解技術、吸蔵合金技術、培養・抽出技術など当社技術の活用・深化により展開をはかってまいります。

③デジタルを活用した省力・省エネ事業

 デジタルを活用し、工場のエネルギーや廃棄物の極小化に貢献するE&M(エンジニアリング&マニュファクチャリング)及びO&M(オペレーション&メンテナンス)事業であり、EPCの自動化・高効率化技術、3Dエンジニアリング、RPAなど全社横断的に当社技術を活用・深化することにより機能を発揮すべく、新たに設置した「技術開発・生産統括本部」と「DX推進部」を中心に全社協働して省力・省エネ事業の基盤強化に努めてまいります。

戦略的事業領域は、当社グループのバリューチェーン全体のCO2排出量削減につながるものであることから、これら事業を中核事業に据えるとともに新たな事業ポートフォリオの確立をはかり、2035年までに既存事業領域と合わせて売上高1,000億円を達成すべく、取り組みを進めてまいります。

(3)人的資本

『モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理に基づく高品質な製品・設備を提供し社会の発展に貢献する』ことを企業理念としている当社グループにおいては、「人」は最大の経営資本です。従業員一人ひとりが心身ともに健康に、働きがい(働きやすさとやりがい)を感じながらイキイキと活動することにより、個人と企業がともに成長・発展することのできる職場環境と風土づくりを推進しています。

①ガバナンス

 取締役社長を含む経営陣幹部の任命は、すべてのステークホルダーにとって企業の中長期的発展・サステナビリティに関わる最も重要な問題のひとつであることから、当社においては指名報酬委員会を設置し、経営陣幹部の選解任・人材育成状況のモニタリング等を行っております。また、従業員は事業活動を支える最も重要な経営資本であることから、職業能力を伸長・発揮することができるよう、経営陣幹部を構成員とする人事管理委員会を設置し、人事評価・昇降格その他人事管理に関する適正な運用の確保に努めるとともに、当該委員会に設けた分科会において主要役職の人材プールを設定し、計画的な人材育成に努めています。

②戦略

 当社は、高い技術とプロ意識を持ち、人の和とルールの遵守を大切にした人材を育成することを人材理念としております。その理念に基づき、①各部門において日常業務を通じて継続的に行われるOJT、②階層別教育訓練・職能別専門教育訓練等のOff-JT、③自己啓発及び④業務を通じての能力発揮機会の提供を組み合わせて継続的に実施していくこととしております。

 今後の経営戦略に照らすと、事業領域のシフトと拡大を推進するとの観点から、行動力・実行力、自律性、高い技術力及び倫理観等の能力を備える人材を育成することが必要と考えており、自らの役割を主体的にとらえて創造性を発揮する自律型人材の育成を進めるべく、各人の役割から具体的に導かれる遂行実績(成果)とそれを創出するための行動を評価する人事制度、及び、自律的な教育訓練を支援する研修制度を導入しています。

 また、働き方改革や職場風土改革の活動を通じて自由闊達で一体感のある職場風土を醸成し、社内に異なる経験・技能・属性を有する多様な人材を確保することのできる職場環境を整備し、会社の持続的な成長がはかれるように努めています。

 具体的な取り組みについては、以下のとおりです。

ⅰ)働き方改革・ワークライフバランス

2019年度に働き方改革PJチームを設置し、ダイバーシティと生産性向上の取り組みを推進してまいりました。従来から実施しているフレックスタイム制度に加えて、テレワーク勤務制度、電子化の促進、Web会議システムの導入等、柔軟かつ多様な働き方を実現できる環境整備を行っております。また、新しい働き方に対応する事務所の集約・移転を実施いたしました。

ⅱ)育児休業等取得のための環境づくり

 次世代育成支援の取り組みとして、仕事と育児を両立させることのできる働きやすい職場環境づくりを進めております。法定の育児休業等に加えて、産前産後の配偶者の特別休暇制度、失効年休積立による看護・介護休暇の有給化、小学校3年生までの育児短時間勤務制度、ジョブリターン制度等を実施しております。特に男性従業員の育児休業取得率の向上を目標に施策を実施しており、2022年度の実績では 男性育児休業の取得率は70%以上となっています。

ⅲ)職場風土改革の実践

2014年度より風土改革推進委員会を設置し、全従業員に意識調査(エンゲージメント調査)を実施し、その結果に基づいた風土改革活動を継続しております。従業員一人ひとりが当社の従業員として誇りと責任を持ち、イキイキと働き、仕事を通して更なる自己実現ができる企業風土へと変革させ、そうした多様な人材の活躍を価値創造につなげることができるよう、今後もこの活動を継続してまいります。

ⅳ)社内公募制度

 従業員が当社における自らのキャリアイメージを明確化することにより自己研鑽や早期育成の促進をはかるとともに、本人希望や適性をマッチングさせたジョブローテーションや育成等に資するため、キャリアデザインシートによる自己申告を実施し、従業員のキャリア開発を支援し、組織及び従業員の活性化並びに長期的な発展に努めてまいりました。これに加えて2022年度からは、社内公募制度を開始し、従業員がより自律的にキャリアを形成し、キャリアオーナーシップを持って働くことのできる環境を整備しております。

③リスク管理

 会社の事業活動においては、多様な人材が集まり、一人ひとりが職業能力を最大限発揮できることが重要と考えています。人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画した人材獲得ができなくなることや、従業員の離職により組織の総合力が低下することは、当社にとって重要なリスクであると考えていることから、雇用・人事・人材流出をリスク管理委員会において対象とするリスクとして管理し、定期的にリスクアセスメントの状況をモニタリングして必要な対応に努めています。

④指標と目標

上記の②戦略に係る指標につきましては、当社においてはこれらに係る具体的取り組み及び関連する指標のデータ管理が行われているものの、当社連結グループに属する全ての会社で一律には行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

(1)女性の採用促進と管理職への登用

 当社は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性が職業生活において一層活躍することのできる雇用環境の整備に努めてまいりました。もともと当社では、女性従業員の割合が低いこと、女性管理職がいないことが課題でありましたが、正社員の採用者における女性比率の向上等に努め、2023年3月末現在、従業員に占める女性の割合は約15%であり女性の管理職3名の登用に至っております。現状、組織・事業の状況に応じて属性を問わない適材適所の柔軟な人材登用を進めるため、女性の管理職の登用自体に関する目標は設定しておりませんが、管理職の一つ下位である係長級の女性割合を10%以上とし、これを維持することを目標として取り組んでおります。

(2)中途採用者の管理職への登用

 当社は、上記の多様性の確保についての考え方に基づき、中途採用者の人材の確保に取り組んでまいりました。2023年3月末現在、管理職の約48%を中途採用者が占めており、今後も現状以上を維持することを目標としております。

(3)外国人の管理職への登用

当社は、上記の多様性の確保についての考え方に基づき、外国人の人材の確保に取り組んでまいりました。2023年3月末現在、外国人管理職1名の登用に至っており、今後も現状以上を維持することを目標としております。

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