企業リボミック東証グロース:4591】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、RNA(リボ核酸)を成分とする医薬品(「アプタマー医薬」)の開発を通じて、「Unmet Medical Needs(未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医療ニーズ)に応える」を企業理念に掲げ、それを実現するために、

・人の生命、健康に関連する医薬品の研究開発に関わる企業として、高い倫理性を持ち、最新の科学・技術に基づく研究活動を推進する

・コーポレート・ガバナンス体制の強化と充実を図り、業務執行の適法性や妥当性の維持に努めることにより企業価値の最大化を図り、社会に貢献できる企業としての責任を果たす

・会社経営の透明性を確保するために、会社情報の開示を一層充実させるとともに、説明責任を果たし、株主、取引先、地域社会等のステークホルダーとの良好な関係の維持、発展に努める

 ことを基本ポリシーに掲げ、当社のプラットフォーム技術である「RiboARTシステム」を活用した研究開発を推進しております。

(2)経営戦略等

 一般に、医薬品事業は一つの製品を創出し上市するまで莫大な費用と年数を要します。このような中、当社はアプタマーの医薬品としての研究開発を行い、ライセンス・アウトした時に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤルティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業を展開しております。

 当社の事業の特徴は、比較的早期の研究開発段階においてライセンス・アウトを実施し、早期に一定の収入を獲得すること、並びに、ライセンス・アウトで得られる収益の拡大も経営においては重要であるため、適切な自社創薬品については自社で臨床開発に取り組むことを重要な戦略としております。

 当社は、共同研究並びに自社パイプラインの研究開発や臨床開発を推進するとともに、製薬企業との協力関係構築の一層の強化を図りながら、今後継続的なライセンス・アウトを実現することで収益規模の拡大とその安定化に努めてまいります。

 中長期的な成長のための事業目標として、①探索から臨床ステージへの脱皮、②次世代アプタマー・テクノロジーの開発、③社会に対する企業価値の創出を念頭に、研究開発・臨床開発・事業開発活動に取り組んでおります。これの具体的進捗状況については、「第1企業の概況 3事業の内容 (1)当事業年度の主要なトピックス」、並びに「第1企業の概況 3事業の内容 (3)事業戦略」に記載しております。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、研究開発型の創薬ベンチャーであり、研究開発への投資から、その収益化まで長期間を要すること、また、収益はライセンス・アウトなどの成果に委ねられるという事業特性からROEやROAなどを目標とする経営指標は設けておりません。

 ライセンス・アウト時の契約一時金、その後のマイルストーン、ロイヤルティー、共同研究による共同研究収入を計上するための前提となる研究成果(新規技術開発、非臨床POCや臨床POCの取得)や、各種開発イベント(当局への治験開始申請許可など)などが、当社における重要な経営イベントとなり、2025年までに自社創薬品の中から優先度の高いパイプラインを臨床ステージへ移行させる臨床試験プログラム目標(VISION 2025)を設けております。

(4)経営環境

 医薬品業界では、未だに満足すべき治療法のない疾患領域の医薬品開発が求められており、この分野での新薬開発競争が激化しております。製薬企業においては、従来の低分子医薬品だけでは、この分野の新薬を開発することが困難となっており、核酸医薬品をはじめとした新規医薬品の開発が進められております。このような取り組みにおいて、製薬企業は単独で開発を進めるのではなく、新規医薬品を手掛けるバイオベンチャー等と提携し、新規技術の導入や、バイオベンチャーが開発したパイプラインを導入するなどにより開発を進めております。近年、核酸医薬品の上市が顕在化しつつありますが、このような環境のもと、当社はアプタマー創薬のプラットフォーム技術である「RiboARTシステム」により、特定の疾患や標的タンパク質に限定されない新薬シーズを創製し、製薬企業に提供していくとともに、当社ビジネスモデルの発展に注力してまいります。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、アプタマーの医薬品としての研究開発を行い、製薬企業にライセンス・アウトした際に受け取る契約一時金、開発進行に伴ってその節目に受領するマイルストーン収入、製品上市後に受け取るロイヤリティー及び共同研究に伴って得られる共同研究収入などにより収益を獲得する創薬事業を展開しております。このようなビジネスモデルにおいて、継続的かつ安定的な収益の確保の実現と、今後の飛躍に向けた中長期の経営課題として、Clinical(臨床)ステージ挑戦、次世代アプタマー・テクノロジーの開発、社会に対する企業価値の創出を掲げ、これにより「世界のアプタマー医薬品開発における主要な地位確立」を目標としております。

 世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向(「第1 企業の概況 3 事業の内容(4)医薬品市場におけるアプタマー医薬②世界におけるアプタマー医薬品の臨床開発動向」の項の記載を参照)等も踏まえ、当社の経営課題の実現に向けて、以下の項目について、特に重点的に取り組んでまいります。

①自社での治験の実施

 当社は、今後当社が大きく飛躍するためにも、自社で臨床試験を実施することが必要であると考えております。具体的には、umedaptanib pegolによる滲出型加齢黄斑変性を対象とした第2相臨床試験を米国で実施し、2021年12月までに試験を完了いたしました。また、軟骨無形成症(ACH)を対象とした第1相臨床試験を国内で実施いたしました(2020年7月~2021年5月)。さらに、ACHに関する、国内での前期第2相試験の被検者選定を目的とした観察試験、ACHの小児患者でのumedaptanib pegolの有効性と安全性を調べる前期第2相臨床試験、及びこれに引き続き実施する前期第2相長期投与試験の3つの治験計画を進めております。現在、東京、岡山及び関西地区の8施設において前期第2相観察試験が開始され、さらにそれに続く前期第2相臨床試験、前期第2相長期投与試験に順次移行しております。

 当社の臨床開発については、社内のリソースに加え、臨床医や製品開発のエキスパートを含む外部の協力も得て進めております。今後もumedaptanib pegolの開発推進に向け、一層の体制整備を図ってまいります。

②自社パイプラインの充実と質の高いデータの構築

 持続的な企業成長を実現するためには、良質な自社パイプラインを選定、拡充し、各々について製薬企業の評価に耐え得る試験データを取得していくことが重要と考えております。新規テーマの選定にあたっては、大手製薬企業における重点領域、既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査し、最適な創薬ターゲットと適応疾患を選定するよう努めてまいります。しかし同時に、経営資源の集中のため、一度着手したテーマについても、一定期間の後に適切な評価を実施し、必要に応じて、開発ラインから除外する判断も必要であると認識しております。

③新規技術の開発

 今後、アプタマー医薬への参入企業が増えてきた場合でも常に技術の優位性を保てるように、新規のアプタマー創薬技術の開発に努めてまいります。具体的には、アプタマー創製の新技術の開発、次世代シークエンサーとコンピューター科学を利用したアプタマー探索の人工知能(AI)技術の開発、細胞内への取り込み可能なアプタマーや、細胞膜貫通型のタンパク質と結合するアプタマー、脳内標的化アプタマー等のドラッグデリバリーシステム(drug delivery system:DDS)用アプタマーなどの創製に繋がる技術を目標に、これまでに培った技術のさらなる発展、向上を図ってまいります。

④ライセンス活動及びパートナリング活動の推進

 当社は、臨床ステージに進んだパイプラインや非臨床開発が完了したパイプラインにつきましてはライセンス・アウト、もしくはパートナリングの実現に注力しております。

 また、ライセンス・アウトを目標とした共同研究の実現や、自社パイプラインのライセンス・アウトを図るべく、国内外の製薬企業への営業活動、学会での発表や学術雑誌への論文掲載等を通じて、当社の技術と製品を国内外にアピールする活動を継続してまいります。

 なお、当社のライセンス活動については、社内のリソースに加え、必要に応じて外部のコンサルタントの協力を得て進めております。

⑤共同研究の推進

 大手製薬企業との共同研究は、安定的な収益源となるだけでなく、当社のアプタマー創製に関するスキルアップにつながり、同時に、大手製薬企業の技術を活用して開発を迅速に進められることから、既存の契約での成果創出と同時に、新規提携契約の獲得に努めてまいります。また、他の創薬ベンチャーやアカデミアと共同研究を通じて、新たなアプタマー関連技術や、新規核酸創薬モダリティー(核酸を用いる創薬基盤技術)の獲得に努めてまいります。

⑥資金調達

 当社はUnmet Medical Needsに応える医薬品開発のための先行投資段階にあり、研究開発活動に必要な資金の調達が課題であると認識しております。

 当社では、大手企業との共同研究やライセンス・アウト実現のための事業開発活動や公的助成金の獲得に努めており、これと同時に費用の節約に努めておりますが、継続的かつ安定的な収益の確保に至るまでの先行投資段階においては、新株発行等による資金調達を行い財務体質の維持・強化を図りUnmet Medical Needsに応える医薬品をお届けできるよう研究開発活動を進めてまいります。

⑦人材の獲得と育成の支援

 新たな技術を速やかに世に送り出すためには、優秀な人材を獲得し、社員の成長を支援する環境を提供することによって、小規模ながら機能的な研究開発、事業推進、管理の各部門を構築していくことが重要であると認識しております。今後もビジネスや組織のニーズに合った人材獲得を行うとともに、社員一人ひとりの成長が、会社の成長に繋がっていくよう社員の育成、活躍の場を整えて参ります。

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