マクニカホールディングス 【東証プライム:3132】「卸売業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 企業・経営理念体系について
当社グループは、2022年2月21日に発表しましたパーパスを企業理念と共に上位概念とし、ビジョン、バリューとあわせて企業・経営理念体系を改定し、今後も、社会の経済価値・生活価値を高めることに貢献する企業グループとして、さらなる業績の拡大と企業価値向上を目指してまいります。
① 企業理念
足下に種を蒔き続ける
「足下に種を蒔き続ける」は、当社グループが創業時から掲げている企業理念です。全社員が企業理念、経営方針、行動指針を理解し、日々の事業活動のベクトルを合わせるために、社員全員に経営方針書、行動指針書を配布し、社員全員が幾度となく繰り返し読み込んでおります。本企業理念は経営方針書の冒頭に記載があり、社員のDNAとなっています。
② パーパス
変化の先頭に立ち、
最先端のその先にある技と知を探索し、
未来を描き“今”を創る。
私たち、マクニカは、未来予測が困難な時代において、
地球環境・社会の変化を先読みし、その変化の先頭に立ち、失敗を恐れず、
ワクワク楽しみながら、挑戦心を持った開拓者「ファーストペンギン」であり続ける。
最先端のその先にあるまだ誰も知らない、
指数関数的に進化していく世界中の技:先端テクノロジーと、
知:インテリジェンスを探索し、その種を足下に蒔き続け、育て、つなぎ、つむぐ。
快適で信頼できる持続可能な未来ビジョンを構想し、
あらゆる業種・業界のプロフェッショナルと私たちの技と知を新結合する事で、
解像度の高いソリューションを“今”に、きちんと実装し、
その実現にとことんこだわり、情熱をもって新たな価値を創りあげる。
明るく・楽しく・元気よく!!
私たちは、皆さまと共に、笑顔あふれる、豊かな未来に向けて、終わりなき成功へと寄り添い、伴走します。
「パーパス」は、過去、現在、未来の事業を通じ、普遍的に共通する当社グループの「志」を表すものです。当社グループは、新しい技術をどこよりも早く探し出し、磨きこむ目利き力を駆使して、最先端の半導体、電子デバイス、ネットワーク、サイバーセキュリティ商品を提供してまいりました。近年は、これらの経験と知見を活かし、新しい領域へ活動の幅を広げ、事業活動を行っております。当社グループは、今後も最先端の技(テクノロジー)と知(インテリジェンス)をつなぎ、未来構想力と解像度の高い実装力を併せ持った共創パートナーとして、未来社会の発展に貢献する企業を目指していく所存です。
③ ビジョン:Vision2030
サービス・ソリューションカンパニーは、これまで50年以上にわたるグループの成長を支えてきた高付加価値ディストリビューションのビジネスモデルを拡大しながら、その強みを生かした新しいビジネスモデルであるサービス・ソリューションモデルへと変革していくことで目指す絵姿です。
サービス・ソリューションモデルは、半導体、ネットワーク事業で培ってきたCyberとPhysicalの強みの融合、創業時から最先端の技と知を追い求め種を蒔き続けてきた先進性、昨今急拡大している共創パートナー、研究機関をはじめ、従来のサプライヤ、お客様、官公庁やM&A等によるグループ会社などによって大きく広がるエコパートナーを組み合わせることで、当社グループと当社グループのエコパートナーにしか出来ない、高付加価値のサービス・ソリューションを提供していくものです。
従来の当社グループのビジネスはその大部分がBtoBで完結するものでしたが、今後はソリューションのカバレージをコンシューマにまで広げ、社会価値と経済価値を両立させるサービス・ソリューションを提供してまいります。
④ バリュー
Trust Excitement Aggressiveness Move Stretch
当社グループのバリュー「T.E.A.M.S」は、社員が日々判断や行動に迷った際に立ち返る価値観をまとめたものです。社員全員がバリューに基づきベクトルを一つにすることで、質の高いチームワークが実現し、未来を切り開くエネルギーと勢いを生み出します。
⑤ ブランドスローガン
「Co.Tomorrowing」は、「ともに未来を創っていく」ことを意味しています。
(2) サスティナビリティ基本方針の策定について
当社グループは以下のとおりサスティナビリティ基本方針を策定し、社会の課題解決と持続的成長に取り組んでまいります。
① サスティナビリティ基本方針
当社グループは地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項のひとつとして捉え、当社グループのパーパスである「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き“今”を創る。」ための活動に邁進します。
a. 重要課題を特定し、社会課題の解決と持続可能な社会に貢献するビジネス推進と事業投資マネジメント
事業活動を通じての社会、環境への貢献と企業価値の向上に努めます。
b. 環境・人権に配慮したグローバル経営の推進とサプライチェーンの強化
環境保全、人権と労働の基本的権利に配慮した経営を行います。仕入先、得意先に当社グループのサスティナビリティの考え方を理解してもらったバリューチェーンの構築を目指し、また、世界各国の文化、慣習などの理解と公正且つ誠実な事業活動を行います。
c. 社会からの信頼づくりとガバナンス・リスクマネジメント体制の強化
正確、明瞭、タイムリーな情報開示とステークホルダーとの対話をいたします。不正などが発生せず、持続可能な経営が実現できるガバナンス体制の構築と強化を行います。
d. サスティナビリティ推進に向けた社員の教育・啓発
全ての社員がサスティナビリティを推進する責務を負っていることから、社員に対してサスティナビリティ推進に関する教育、啓発活動を行います。
② マテリアリティ(重要課題)と経営・事業活動の関係性
当社グループは社会、ステークホルダーにとって重要度が高く、かつ当社グループの経営インパクトも大きいと考える以下のマテリアリティを特定いたしました。
a. 顧客課題の解決を通じ経済の発展に寄与する
Cyber Physical System(CPS)セキュリティ事業を通じ、情報化社会における情報セキュリティの強化に貢献します。また、スマートマニュファクチャリング事業を通じ、代替えリソースによる労働力確保などの顧客課題の解決に注力してまいります。
b. 安全安心で快適な暮らしを創る
ヘルスケア事業を通じ、個人に最適化された個別化医療、予防医療の発展に貢献してまいります。また、スマートシティ/モビリティ事業を通じ、安全で安心できる生活環境の整備や地域社会の活性化にも寄与してまいります。
c. 持続可能な地球環境を創る
サーキュラーエコノミー事業を通じ、カーボンニュートラルの実現、再生可能な資源を活用した循環型社会の実現に貢献いたします。また、フード・アグリテック事業を通じ、生活基盤の強化による食料の安定供給を実現してまいります。
そして、これら3つのマテリアリティに共通して、最先端半導体の提供やIT商材の提供を通じて、産業と技術革新の基盤の創造に取り組んでまいります。
(注) スマートマニュファクチャリング事業、CPSセキュリティ事業、スマートシティ/モビリティ事業、ヘルスケア事業、サーキュラーエコノミー事業、フード・アグリテック事業とは、サービス・ソリューションモデルにおける事業テーマであります。
d. 経営・事業のレジリエンスを強化する
以下の3つのテーマのもとに経営のレジリエンスを強化してまいります。
・ガバナンスとリスクマネジメント強化
・ダイバーシティ&インクルージョン(人的資本の最大化)
・ステークホルダーとの対話の強化
(3) 長期経営目標について
2030年度の長期経営目標として、社会的価値と経済的価値(企業価値)の両立を目指してまいります。社会的価値としては①顧客課題の解決を通じ経済発展に寄与する、②安全安心で快適な暮らしを創る、③持続可能な地球環境を創る、の3つのマテリアリティ、経済的価値として、現在の高付加価値ディストリビューションモデルに加え、サービス・ソリューションモデルを強化し、高収益・リカーリング型の収益構造への変革を図り、連結売上高2兆円以上、連結営業利益1,500億円以上、連結営業利益率7.5%以上、連結ROE15.0%以上を実現し、事業の持続的な成長を目指します。
| 2030年度 経営目標 |
連結売上高 | 2兆円以上 |
連結営業利益 | 1,500億円以上 |
連結営業利益率 | 7.5%以上 |
連結ROE | 15.0%以上 |
(注) 1 連結営業利益は半導体事業、ネットワーク事業、CPSソリューションモデルの3つの柱で1,500億円以上の目標であります。
2 2023年9月25日に長期経営目標を上方修正しております。
3 連結ROE = 連結親会社株主に帰属する当期純利益÷ 連結自己資本(純資産から非支配株主持分を除いたもの、期末時点)
Vision2030、長期経営目標の達成からバックキャストし、2022~2024年度、2025~2027年度、2028~2030年度の3つの中期経営計画を、それぞれ経営資源融合フェーズ、専門性強化フェーズ、経営資源統合フェーズと位置付けて取り組んでまいります。
前段階として、前期経営計画(2019~2021年度)におきまして、富士エレクトロニクス株式会社、マクニカネットワークス株式会社を株式会社マクニカに吸収合併し、経営資源を株式会社マクニカに集めてまいりました。
経営資源融合フェーズ(2022~2024年度)においては、半導体事業部門とネットワーク事業部門の組織間連携を強化するとともに、得意先、仕入先、様々なパートナーを当社グループ全体で共有します。当社グループのCyberとPhysicalの強みをはじめ、あらゆる経営資源の融合を図ることで、サービス・ソリューションモデルの基礎となるサービス及びCPSプラットフォームの開発を進めます。
専門性強化フェーズ(2025~2027年度)においては、それぞれの領域(例えばモビリティ、スマートマニュファクチャリング、ヘルスケア)において専門性を高め、サービスの強化及びサービス間の連携を図ります。
経営資源統合フェーズ(2028~2030年度)においては、領域をまたがるサービス、データの連携を強化し、サービスの統合を図り、業界、業際の標準プラットフォームとして事業の安定化を図ります。
(4) 中期経営計画について
① 当社グループを取り巻く環境
当社グループは、独立系エレクトロニクス専門商社として、エレクトロニクス市場の黎明期からスマートフォンなどの高度な情報端末が日常の生活空間の隅々に行きわたり、社会に欠かせない存在となった現在まで世界の最先端の商品・技術を提供することを自らの使命としてきました。また、変化の激しいエレクトロニクス・情報通信業界にあって、当社グループは単なる商品の物流を担当する専門商社ではなく、顧客課題に対しての的確な提案、お客様が使いこなして頂くためのテクニカルサポートを行う技術サービス提供会社として、競合他社との差別化、位置づけの明確化を図ってまいりました。
昨今の当社グループを取り巻く環境並びに今後の見通しにつきましては、国内外における通信インフラ設備を始めとした設備投資の動向、スマートフォン、サーバー、民生機器、自動車、産業機器などを中心として、中期的には需給バランスの変動による好不況は避けられません。また、米中貿易摩擦の影響、国際情勢の変動、仕入先の合従連衝を背景とした半導体商社間の競争激化、さらに国内においては商社間で買収、統合などの再編が発生しており、大きな環境変化を迎えております。IT産業におきましては、不正アクセスによる個人情報の大量流出や身代金を要求するランサムウェアの大量拡散など、世界的に高度化したサイバー攻撃の被害が拡大する等、セキュリティリスクが高まっております。一方、労働人口の減少や生産性向上に伴う労働の自動化等の社会課題により、ロボットやAI等の活用が大きく期待されております。また、新型コロナウイルス感染症を契機として、さまざまな企業の活動や人々の生活に大きな影響を及ぼしております。今後は自動化や無人化、働き方改革などの加速が本格化するものと思われます。
このような環境の中、今後、当社グループが成長と同時に、より収益性を高めるためにグループ経営の変革を図っております。「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き“今”を創る。」というパーパスのもと、当社グループの目利き力、未来構想力、実装力という強みを活かして、サイバーとフィジカルをつなげ、価値そのものを創造するサービス・ソリューションカンパニーとして、様々な社会課題の解決に貢献してまいります。そして、社会的価値と経済的価値を両立し、高い付加価値を創造する経営を目指してまいります。以上を踏まえ、2022~2024年度中期経営計画及び経営目標を策定し、推進しております。
なお、2023年3月期は、旺盛な半導体需要と為替が円安水準で推移したことなどから、集積回路及び電子デバイスその他事業において想定を上回る成長を実現し、当初の中期経営計画(2022~2024年度)の経営数値目標を2年前倒しで達成いたしました。しかしながら、2025年3月期の見通しにつきましては、不安定な国際情勢や中国経済の低迷、米中貿易摩擦等により不透明な状況となっております。このような環境の中、集積回路及び電子デバイスその他事業におきまして、シェアの拡大を見込んでいるものの、2024年3月期から引き続き市場の調整局面が継続する見込みです。このような事業環境を勘案し、中期経営計画(2022~2024年度)を下記のとおり修正いたしました。
② 中期経営計画
a. 経営目標
当社グループは、2023年5月8日発表の「中期経営計画(2022~2024年度)」の経営目標を、2024年5月7日に修正しました。
| 2023年5月8日発表 | 2024年5月7日発表 |
連結売上高 | 1.2兆円以上 | 1.1兆円 |
連結営業利益 | 670億円以上 | 640億円 |
連結営業利益率 | 5.6%以上 | 5.8% |
連結当期純利益 | 500億円以上 | 420億円 |
連結ROE | 15.0%以上 | 15.0%以上 |
運転資本回転率 | 3.8回以上 | 3.8回以上 |
(注)1 連結ROE = 連結親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 連結自己資本(純資産から非支配株主持分を除いたもの、期末時点)
2 運転資本回転率 = 年間売上高 ÷ 運転資本(売上債権 + 棚卸資産 - 仕入債務、期末時点)
b. 事業戦略
・半導体事業の成長戦略
半導体事業においては①成長ドメインにおけるシェアの拡大、②半導体の技と知を活かした付加価値ソリューションのディストリビューションの拡大、③長期的な成長に向けたIoT関連、エナジーハーベスト関連、環境関連などを中心とした新規商材の開拓、④グローバルでの事業拡大を行います。
・ネットワーク事業の成長戦略
ネットワーク事業においては①セキュリティビジネスにおいて既存ターゲットセグメントでのシェア拡大と、ターゲットセグメントの拡大、②BigDataビジネスにおいてAI関連を中心としたソリューションの拡大、③DXを含むアプリケーションビジネスの拡大、④グローバルでの事業拡大を行います。
・サービス・ソリューションモデルのビジネス開発
従来新事業として取り組んでいた事業について、サービス・ソリューションモデルとして更なる強化を図ります。サービス・ソリューションモデルにおいては、①「マテリアリティと事業テーマの関係性」に記載のとおり、スマートマニュファクチャリング、CPSセキュリティ、スマートシティ/モビリティ、ヘルスケア、サーキュラーエコノミー、フード・アグリテックの6つの事業テーマにおいて、社会課題を解決するソリューションの開発、社会実装を推進、②サービス・ソリューションの事業基盤となるCPS(Cyber Physical System)プラットフォームの拡大、③社内の人材開発およびパートナーの開拓により長期的な成長に必要なケイパビリティの獲得を行います。
c. 経営基盤強化
Vision2030の実現に向けて経営のレジリエンスを強化します。
・リスクマネジメントの強化
グループ全体のリスクマネジメント体制及び活動を強化していくことと同時に、適切にリスクテイクができる仕組みを構築していきます。また、気候変動問題に関してTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づいた開示を行います。
・IT/DX戦略
前中期経営計画期間に導入した次世代システムの活用を進めることで業務効率の向上を図ってまいります。また、次世代システムでカバーできない領域においても更なる効率化のためのDXを推進してまいります。
・人的資本の最大化
人的資本を最大化するために、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の推進、働き方改革、人材育成を重点的に強化・推進してまいります。
・財務戦略
当社グループは、地球環境問題や様々な社会課題に対応しながら持続的成長と中長期の企業価値の向上を実現することを目指し、将来の成長に必要なCPS(Cyber Physical System)、AI、また自社オリジナルサービス等の無形資産投資およびM&Aなどの投資を優先いたします。そのために必要な資金は、事業活動による利益と運転資本回転率の改善から生まれるキャッシュ及び有利子負債を主体とした資金調達から創出します。
・株主還元方針
当社グループは、経営環境や各事業年度の連結業績および目標とするROE(15.0%)などを勘案しながら、連結自己資本配当率(DOE)4.0%を目安として安定的かつ継続的な配当を実施するとともに、機動的な株主還元の手段として資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を実施し、総還元性向30~50%を目指します。
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