企業兼大株主フェローテックホールディングス東証スタンダード:6890】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、エレクトロニクス産業に限らず、ものづくりにおける要素技術を拡充し、高品質の製品を国際競争力のある価格で世界に送り出すグローバル企業を目指しております。

 企業活動のあらゆる面で企業理念である「顧客に満足を」「地球にやさしさを」「社会に夢と活力を」に基づき、環境保全活動とグループガバナンスを積極的に推進するとともに、ステークホルダーの皆様にとって「成長する楽しみが持てる企業」であり続けることに努めております。

 半導体用マテリアル製品をはじめとする新素材及び生産技術の開発に注力し、品質を第一に考えて顧客満足の向上を追求する旨の「品質理念」を掲げ、生産の自動化、デジタル化、標準化を進めております。世界での市場シェアを高め、安定的な収益体質の企業集団を形成することを経営の基本方針としております。

(2)経営戦略等

 当社グループの属する主な市場は、エレクトロニクス産業でありますが、高度情報化の進展や新興国の経済発展に伴い、今後も市場規模の拡大が期待されます。同時に技術革新のスピードが早く、国際競争の激しい市場です。このような環境の中で当社グループが安定的に成長するためには、「顧客に満足を」を念頭に既存製品の拡充とともに新たな製品事業の育成を遂行する必要があります。

 中期的な会社の経営戦略の具体的な項目は、以下のとおりです。

① 半導体分野では、製造装置メーカーからの需要が強いマテリアル製品(石英・セラミックス・シリコンパーツ・CVD-SiC等)に関し、製造ラインの増設を進めてまいります。デバイスメーカーやFPDメーカーが保有する製造装置の部品洗浄サービスをさらに拡充してまいります。また、シリコンウエーハの再生サービスも行っています。

② パワー半導体分野では、絶縁放熱回路基板の増産を図っていきます。ロボット、工作機械、家電製品などに使用されるIGBTパワー半導体用DCB基板、電気自動車(EV)や鉄道車両などより高電流、高電圧下で使用されるAMB基板をはじめ、各種用途向け基板新製品等の製造拠点づくり、製造ラインの増設を進めてまいります。

③ バイオ・メディカル分野では、当社の熱電素子サーモモジュールを利用したDNA増幅装置(PCR検査装置)や血液分析装置、再生医療装置などへ拡販してまいります。遠隔医療機器に使用されているセラミックス製品は継続して提供してまいります。

④ 通信分野では、5G移動通信システムの通信機器、中継器、アンテナ内部の熱対策として熱電素子が採用されており、超高速・大容量化・多数端末接続などの運用による需要拡大を見込んでおります。また、大容量のデータ送信に欠かせない光トランシーバー内の熱対策にも当社マイクロモジュールが採用されており、こちらにも注力していきます。

⑤ 自動車分野では、電気自動車(EV)向けやプラグインハイブリッド車のパワー半導体用AMB基板、コンプレッサー、二次電池ほか各種温度検知を行う温度センサの販売や熱電素子を採用した温調シート、カップホルダーなど応用製品の用途開発に取り組んでまいります。磁性流体は、サスペンションやカー・オーディオスピーカー向けの採用を広げてまいります。

⑥ 受託製造分野は、半導体市場の需要に対応し、祖業である真空シール製造で培ってきた当社グループの真空技術と精密金属加工を組合せ、各種半導体製造装置メーカーからの受託製造を拡充してまいります。

⑦ 業務提携やM&Aを視野に入れ、既存製品のシェア拡大のほか、新規事業への参入も重要と考えております。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2025年3月期会計年度から2027年3月期会計年度までの3か年を対象期間とした「中期経営計画」を公表しており、事業成長の追求、生産効率・競争力の強化、人材強化・企業文化の醸成、財務強化を基本方針として掲げております。

 目標の達成状況を判断するための客観的な指標に関しては、本計画のKPI(Key Performance Indicator)として「売上高」、「営業利益」、「当期純利益」(*1)、「ROE(株主資本当期純利益率)」、「ROIC(投下資本利益率)」(*2)、「自己資本比率」の6指標を掲げており、達成度や進捗状況を外部公表しております。

*1 当期純利益=親会社株主に帰属する当期純利益

*2 ROIC =親会社株主に帰属する当期純利益/(有利子負債+純資産)、このうち純資産からは新株予約権、非支配株主持分を除く

(4)経営環境

 当連結会計年度における経営環境については、米国景気は良好な雇用・所得環境を背景に個人消費や非製造業の業績が堅調である一方、製造業では在庫等の調整が続くとともに設備投資の低迷が継続しました。米国金利についてはインフレ抑制のための利上げを徐々に抑える方向に向かっています。欧州では、ユーロ圏、英国ともに内需、輸出ともに不振であり、ECBも2023年半ば以降も利上げを止め様子見の状況ですが、年後半から消費者物価指数などは徐々に低下しております。日本は緩やかな景気回復が続き、賃上げなどが進む一方、燃料を中心に輸入品などの価格高騰が継続しております。中国は世界的な需要の低迷から輸出が伸び悩み、内需も特に住宅や不動産の市況悪化などもあり、比較的厳しい経済状況が続いております。政府は金融緩和や財政支出等で下支えをしていますが、景況感としては一進一退の状況です。また、ロシア・ウクライナ間の紛争継続に加え、中東地区での紛争の勃発など、国際紛争に伴う原材料、燃料等の調達ならびに物流等への悪影響は、コスト上昇の一因となっております。

 為替相場は、対米ドルレートは期初以降総じて円安方向に進み、期末時点では2000年以降で最も安い水準となっております。

 当社グループの属するエレクトロニクス産業では、半導体デバイスの在庫調整局面を迎え需要が低迷、半導体製造装置の需要も欧米製造装置メーカーの発注が前年対比で2ケタの落ち込みとなるなか、中国ローカルメーカーの需要が比較的好調であり、半導体製造装置全体の需要を下支えしました。一方、パワー半導体市場は電気自動車(EV)向けの需要を中心に比較的堅調に推移しました。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社として対処すべき課題と考えておりますのは、事業成長の追求、生産効率・競争力の強化、人材強化・企業文化の醸成、財務バランスと株主還元についてです。

 当社グループは「顧客に満足を」を企業理念に掲げ、顧客要求仕様の高品質な製品を指定期間で納められる生産体制を実現したいと考えております。事業成長に向けては、半導体関連、及び電気自動車(EV)を中心とする自動車関連の事業成長を追求し、業界上位ポジションの事業を拡大させるよう努めてまいります。そのなかで、新規事業の育成を図り、一定の事業規模へと成長させていくことも課題と考えております。能力面では、30年来量産拠点づくりをしてきた中国の量産拠点を更に強化し、近年旺盛な中国国内の需要を最大限取り込んでいくと同時に、顧客の地域戦略に合わせ、マレーシア、日本での量産拠点の設置と円滑な立上げにより、早期に収益貢献を図ることが課題です。具体的には、2024年1月より稼働開始したマレーシア北部(クリム)の半導体装置関連の工場の生産を軌道に乗せ東南アジア地区の顧客需要の取り込みを急ぎます。またマレーシア南部(ジョホールバル)のパワー半導体絶縁基板の工場についても早期設置を図ります。日本では、半導体企業が集中する熊本、従来より生産拠点を持つ石川での工場追加設置を急ぎ、国内調達ニーズに応えてまいります。

 そして、当社の持つ量産能力を最大限に研ぎ澄ましていくことが競争力強化のために重要であると考えており、デジタル化、自動化、AI化、見える化など「ものづくり力」の強化施策を徹底して実施し、生産効率向上、品質向上を図ります。特に「品質はメーカーの命」と考え品質向上のための不断の努力を惜しみません。ものづくりの現場での品質管理の徹底、研究開発、設計の段階での品質へのこだわり、納入やアフターサービスに至るまでの品質保持と顧客満足の追求、品質監査による実施状況のモニタリング、これらにより当社製品への信頼、ブランド力向上につながっていくものと考えております。

 また、これら施策を担う人材を広く募り、育成していくことが当社事業の永続性につながるものと考えております。人材重視を重要な経営戦略と位置付け、各種施策を展開してまいります。高度人材の採用、研修制度の拡充、株式報酬制度(RSU)導入を積極的に進めてまいります。さらに、当社事業のために集った人材各々が最大限の能力を発揮しながら、同じ事業目的に向かっていくために、良い「企業文化」を醸成していくことが重要であると考えております。

 財務に関しては、事業成長を実現するための積極的な成長投資を行いながら、財務状況の適切なバランスを確保することが課題です。より効率的な資産運用、資金運用に努め、ROE・ROIC向上、フリーキャッシュ・フロー改善への取組みを強化してまいります。株主還元については、株主還元の増加を重視し、配当は財務・投資機会の状況を考慮して判断いたしますが、配当性向は20%~30%を意識して、株主還元の拡充に努めてまいります。また、これらの対応を通じ、資本コストや株価を意識した経営を実現してまいります。

 内部管理面では、当社は業務の適正を確保する体制整備に努め、J-SOXに対応した内部統制システムの運営をグループ各社で実施しております。今後とも、適正な財務諸表の作成を保証する体制の強化を目指し、適切な運営の実施と監査を継続的に行ってまいります。

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