ピーエス・コンストラクション 【東証プライム:1871】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループの研究開発活動は、社会のニーズを的確に把握し効率的に成果を上げるため、本社に技術開発部門を配置して行っています。プレストレストコンクリート技術及び在来技術の改良に加え、新しいニーズに応えるため、先進技術の調査、情報の収集を積極的に推進しています。また、自社研究に加え、産・学・官との共同研究にも積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果並びに主要案件は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は821百万円であります。
(1)土木事業及び建築事業共通
生産性向上のための技術開発及びシステム開発は当社にとって喫緊の課題であり、早急に具体的な成果を得ることが求められています。そこで、土木、建築、技術、管理の各本部及びグループ会社で情報を共有し一元的に管理し、研究開発活動を強力に推進する組織「PSMAX推進委員会」を2019年に立ち上げ活動を行っています。
ここでは主にICT技術を活用して情報化と機械化を融合進化させ、当社グループ独自の建設システムを構築することを目的としています。
また、PSMAXの開発技術を当社及びグループ会社に広く展開するために「PSMAXフォーラム」をWEB開催し、開発技術の適用事例紹介と意見交換を行いました。
(2)土木事業
①環境負荷低減コンクリートの開発
地球温暖化の抑制策として、プレキャスト部材の製造工場からのCO2排出量を削減する取組みと、CO2排出量が小さい材料を用いたコンクリートの開発を行っています。
従来、プレキャスト部材の製造時にはコンクリートの初期強度発現を促進させるため蒸気による加熱養生を行ってきました。蒸気養生は重油を燃料とするボイラーにより稼働するため多くのCO2が排出されます。このため、蒸気養生を不要とすることが可能な常温で高い初期強度を発現するプレキャスト部材用の速硬コンクリートの開発を行い,実用化することができました。
コンクリート材料においては製造時に多くのCO2を排出するセメントを、CO2排出量が少ない高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材で大量に置換して使用し、材料由来のCO2排出量を大幅に削減可能なコンクリートを開発しています。また、CO2を吸着させたCCU材料をコンクリートの使用材料とすることによるCO2排出量の削減する研究を進めています。
今後も使用材料及び部材製造過程におけるプレキャストコンクリートに関する環境負荷低減技術を開発・提案していきます。
②高強度コンクリートを用いた低桁高PC桁工法の開発
近年、河川改修や都市再開発事業において桁下空間の確保など、建築限界の制限による厳しい架橋条件に対して低桁高橋梁の需要が増えています。このニーズに応えるため、高強度コンクリートを用いた低桁高PC桁工法「ダックスビームHC工法」を開発しました。本工法は設計基準強度100N/mm2の高強度コンクリートを用いることで、設計基準強度が50~60 N/mm2の一般的なPC桁に比べ、より低桁高で大きな支間に適用することができます。本工法は2023年5月、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録され、次いで同年7月に民間企業発注の橋梁建設工事に初めて採用されました。今後、施工実績を積み重ね、低桁高や軽量化(少主桁化)が要求される橋梁工事への適用増加が期待されます。
③大規模更新関連技術の開発
大規模更新工事に対応する技術として、高速道路などの床版取替工事において、高圧電線と交差して大型クレーンや既存の床版架設機では十分な離隔を確保できない等、施工環境の制約がある場合にも対応でき、さらに施工の高速化を実現する低空頭型床版架設機の開発を行いました。
取替え用のプレキャストPC床版については、床版上面の薄層を超緻密高強度繊維補強コンクリートに置換することで,橋面防水を不要として現場工程を短縮する技術の開発を行いました。
また、既設の中空床版橋の耐震補強に対し、従来の手法で設置が困難であった落橋防止等の定着用アンカーを容易に設置する工法を開発しました。2024年度の実施工を目指し、営業展開を行っています。
④効率的なコンクリート脱塩工法「LAC脱塩工法」の開発
脱塩工法とは、コンクリート表面に配置した陽極材と内部鉄筋との間に電流を流すことで、コンクリートに浸透した塩化物イオンを抽出する工法です。「LAC脱塩工法」は、カートリッジ化した線状陽極材を適切な間隔で配置することで、詳細な通電管理による脱塩状況の把握が可能となり、従来工法と比較して産業廃棄物の低減、現場施工の省力化が図れるという優れた特長を持っています。この当社独自のLAC脱塩工法が、凍結防止剤(塩化物)が多く散布される寒冷地山間部の橋台で試験採用され、脱塩効果を実証しました。また、海岸部に長年架設されたPC橋梁に対する大規模修繕工事を本工法により受注しており、さらなる効率的な工法へと実証試験を重ねています。
土木事業に係る研究開発費は649百万円であります。
(3)建築事業
PCa(プレキャスト)基礎フーチングの開発
建築部門におけるプレキャスト化の拡大・推進に向けて、杭基礎フーチングのPCa化を目的として、PCa基礎フーチングの開発を実施しています。本開発では柱梁の鉄筋やアンカーボルトが交錯し、現場施工が煩雑となる基礎フーチング部分をプレキャスト化することで、現場施工の省力化や工期短縮を図るものです。2023年度は、杭と基礎フーチングの接続部の基本性状を確認する載荷実験を実施し、2024年度も継続して開発を進める計画です。
建築事業に係る研究開発費は172百万円であります。
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