バルカー 【東証プライム:7995】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)TCFD提言に基づく情報開示
株式会社バルカーは、2021年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD*)提言への賛同を表明するとともに、提言の推進を目的に設立された「TCFDコンソーシアム」に加入しました。 当社グループでは企業理念「THE VALQUA WAY」に基づくビジョナリー経営を推進しており、社員の一人ひとりが「安全・衛生・環境は人類共通の重要テーマの一つである」ことを強く意識した企業活動を実践しております。また、創業100周年(2027年)を区切りとする長期経営目標では、ありたい企業像として「未来と未知に挑むチャレンジングな企業-人類の豊かさと地球環境に貢献するために-」を掲げ、より良き地球市民として「環境・社会・企業統治」に積極的に取組、持続可能な社会の実現に貢献できる企業となることを目指しております。このような認識・考えのもと、企業価値向上に努めてまいります。 |
①ガバナンス
当社グループでは、「バルカーグループサステナビリティ委員会」において、気候変動を含むサステナビリティ経営に伴う重要課題(マテリアリティ)ならびに当該課題に対する基本的な方針及び取組を審議・決定し、定期的に常務会へ報告しております。各部門及びグループ会社はこれらに基づき事業活動を進めておりますが、特に気候変動関連のグループ全体で取り組むべき施策については、当社グループの「安全・衛生・環境(SHE)委員会」において審議・決定しており、各部門・グループ各社の「安全・衛生・環境(SHE)推進チーム」の活動に反映させることで、グループ横断的かつ効果的な取組に繋げる体制としております。 |
②リスク管理
当社グループでは、リスクマネジメントを強化するため、「リスク管理委員会」を設置し、国内外の事業環境の急激な変化と事業領域の拡大に伴って多様化するグループ経営上のリスクを一元管理しております。
気候変動関連のリスクについては、バルカーグループサステナビリティ委員会および安全・衛生・環境(SHE)委員会のほか、コーポレート部門と事業部門が連携してリスク・機会の識別や評価、対応策の検討を行っており、特定された重要なリスク・機会は、リスク管理委員会に適宜情報共有され、必要に応じて全社リスクに統合しております。全社リスクの管理状況は定期的にリスク管理委員会から常務会および取締役会に報告しており、取締役会から監督・指示を適切に受けられる体制を整えております。
③戦略
当社グループの財務に影響を及ぼす気候変動関連リスク・機会の特定にあたり、IEA(※1)やIPCC(※2)などのデータを基に、4℃シナリオ(成り行きで温暖化が進行するシナリオ)と1.5℃シナリオ(脱炭素化が進展するシナリオ)の2つのシナリオに基づき分析を実施しました。
シナリオの定義
対象期間:2050年を想定してリスク・機会を特定(ただし、財務的影響の内容については2030年を念頭に評価)
対象範囲:バルカーグループ
参照シナリオ:1.5°CにおいてはIEA NZE、IPCC RCP1.9等
4°CにおいてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5等
※1 IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)
※2 IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
シナリオ分析の結果、特定した気候変動関連の主なリスク・機会、およびそれらに対する今後の対応策は以下の通りです。
「1.5℃シナリオ(脱炭素化が進展するシナリオ)」
シナリオの世界観 |
| 財務的影響の内容 | 程度 | 時間軸(※1) | 対応策 |
脱炭素化への移行に伴う大きな社会変化が起こることを想定しております。 例えば、カーボンプライシングの導入や脱炭素エネルギーへのシフト、リサイクル技術の進展等を見込んでおります。 また、自動車産業では次世代車の普及が急速に進む他、様々な分野でGHG(※2)削減や省エネ化に寄与する技術や製品が求められるようになり、それらに用いられる半導体の需要はより拡大することを想定しております。 | リスク | (政策・法規制) GHG(※2)規制強化に伴い、電力会社の電源構成の変化(再エネ由来の電力比重の増加)によるエネルギーコストの増加 | 中 | 短期 | ・全社的な省エネ設備、再生エネルギーの導入 ・製造工程における歩留まり向上、生産性改善による省エネ化、電力使用量の削減 ・製造工程における省エネ設備の導入 |
(災害) 自然災害の激甚化により、生産拠点や事業所において操業停止による売上減少や、設備の被災による復旧コストの発生、サプライヤーからの材料調達の途絶 | 中 | 中期 | ・自社グループやサプライチェーンにおけるBCP(※3)策定と定期的な改定、実施状況のフォロー ・被災による損害を最小限に抑えるための、防災対策の見直し・強化 ・損害保険の付保 | ||
機会
| (半導体市場) 脱炭素・低炭素や省エネに貢献する製品需要の増加に伴う半導体装置等向け製品売上の増加 | 大 |
中期 | ・先端市場向け製品の研究開発体制の強化 ・M&Aや業務提携による新技術の獲得(半導体市場のみ) ・顧客ニーズの調査や販売力の強化 ・供給能力の拡大 | |
(EV関連等市場) EVおよびFCV等に使用されるシール製品等の売上増加 | 中 |
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「4℃シナリオ (成り行きで温暖化が進行するシナリオ)」
シナリオの世界観 |
| 財務的影響の内容 | 程度 | 時間軸(※1) | 対応策 |
低炭素・脱炭素への規制強化はそれほど進まず、気候変動に起因する平均気温上昇等により自然災害の激甚化を想定しております。 また、自動車産業では次世代車の普及は進展するものの、1.5℃シナリオと比べて緩やかであるため、当面はエンジン車の生産・販売が中心となることを想定しております。 ただし、技術革新の追求は止まることなく、半導体の需要はより拡大していくものと想定しております。 | リスク | (災害) 自然災害の激甚化により、生産拠点や事業所において操業停止による売上減少や、設備の被災による復旧コストの発生、サプライヤーからの材料調達の途絶 | 大 | 短期 | ・自社グループやサプライチェーンにおけるBCP(※3)策定と定期的な改定、実施状況のフォロー ・被災による損害を最小限に抑えるための、防災対策の見直し・強化 ・損害保険の付保 |
機会 | (半導体市場) 脱炭素・低炭素や省エネに貢献する製品需要の増加に伴う半導体装置等向け製品売上の増加 | 大 | 短期 | ・先端市場向け製品の研究開発体制の強化 ・M&Aや業務提携による新技術の獲得(半導体市場のみ) ・顧客ニーズの調査や販売力の強化 ・供給能力の拡大 | |
(市場/EV関連等) EVおよびFCV等に使用されるシール製品等の売上増加 | 中 | 長期 |
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※1 時間軸:短期3年以内、中期4~6年、長期10年以上
※2 GHG:Greenhouse Gas(二酸化炭素などの温室効果ガス)
※3 BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)
今回、当社グループの気候変動関連のシナリオ分析を実施した結果、分析で使用したいずれのシナリオにおいても、高いレジリエンスを有していると評価しました。
今後、特定したリスクへの対応と機会への実現に向けて、取組をより一層推進してまいります。
また当社グループは持続可能な社会の実現を目指しており、経営予算、事業計画の決議を行う際には、経営理念である「THE VALQUA WAY」や「創業100周年(2027年)のありたい企業像」に従い、気候変動問題を考慮することとしております。
例えば、設備投資予算では環境投資予算を区分管理し、取締役会において決議しております。
④指標と目標
当社グループでは、気候変動影響の緩和に向けて、合理化・原価低減活動や、老朽化設備の更新、太陽光発電による自家発電等により、短期では売上高原単位(t-CO2/百万円)(※1)前年度比1%減を目標として、温室効果ガスの排出量削減に取組んでおります。 また、その実績については右図のとおり、温室効果ガス排出量(Scope1(※2)、2(※3))を算定し、温室効果ガス排出量の状況をモニタリングしております。これらモニタリング結果を踏まえて、今後は当社グループにおける合理的な中期・長期の温室効果ガス削減目標を設定し、削減目標を開示してまいります。 |
Scope3(※4) についてもモニタリングを続けており、HPで公開しております。
https://www.valqua.co.jp/social/environment/ (第123期データは2023年7月以降掲載予定)
※1 売上高原単位(t-CO2/百万円):Scope1、2として算出した温室効果ガス排出量を当該年度の売上高で除した
値
※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガス直接排出
※3 Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※4 Scope3:Scope1、2を除いて、原料調達から生産、販売、廃棄までにおける間接排出
※ 温室効果ガス算定方法:「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づく温室効果ガス排出量算 定・報告・公表制度の各燃料及び電力の排出係数、海外工場所在国の電力の排出係数を毎年再確認し算定
(2)人的資本
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
管理職に占める女性労働者の割合 | 2027年3月までに15% | 13.1% |
男性労働者の育児休業取得率 | - | 12.5% |
労働者の男女の賃金の差異 | - | 69.1% |
①人材の育成に関する方針
企業において、最も重要な経営資本は社員です。人的資本が競争力の源泉であり、事業の成長と社会の発展のために、当社ではグループ共通の企業理念であるTHE VALQUA WAYのもと、社員それぞれが最大限の力を発揮できる職場環境づくりと、人材の育成を実施しています。バルカーは今年度、創業97年目を迎えます。創業100周年を超えて発展を続けるため、事業の変革を推進し、そのために必要な人材の育成と配置を実施しています。事業の変革の一例として、シール製品や高機能樹脂製品といったハード面に加え、お客様にさらなる安全性、効率性と快適性をお届けするために、設備の遠隔監視や定期点検を一元管理できるMONiPLATなど、デジタルを含めたサービスの拡充を行っています。このような新たな取組を企画・実行し、バルカーの将来を作るために、グループ人材ポートフォリオに基づいた採用・育成計画を策定するとともに、グループの枠を超えて国籍・性別・年齢などにとらわれることなく、優秀な社員にはチャンスを与えてチャレンジを促しています。
②ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)
今後、日本を中心に労働人口が減少していく中で、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮することが求められます。バルカーでは、執行役員や部長相当職に30代を登用する一方、優秀な人材については60歳を超えても関係会社の社長を任せるなど、国籍・性別・年齢や新卒・中途等のバックグラウンドにとらわれず、適材適所の人材登用を行っています。その結果、当社単体では、執行役員の平均年齢が2019年度58.0歳から2022年度は55.5歳となりました。また、女性管理職比率は2019年度11.1%から2022年度は13.1%へ上昇、取締役の女性役員比率は2019年度から2022年度まで28.6%を維持しています。また、男女問わず、多様なキャリアをサポートする仕組みの一つとして、副業制度などを導入しているほか、ライフイベントとキャリアを両立するための仕組み作りも推進しています。2022年度にはパパ育休制度も開始し、同年の男性の育児休業取得率は、12.5%です。
③社内環境整備に関する方針
バルカーでは階層別研修や昇格時研修、自己啓発支援、各部門でのOJTや業務研修に加え、選抜研修として「海外経営幹部養成」や役員候補の育成「CEO塾」等を実施し、個々人の成長とキャリア支援を促しています。また、当社は即戦力である中途採用がメインとなっていることから、2022年度は中途社員のスムーズな定着に向けたオンボーディング研修をリニューアルしました。今後、さらに事業の在り方が変革する中で、社員のリスキリングや、高齢化に対応したコア技術継承など、攻めと守りの両面で育成を強化してまいります。
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