ニッポン高度紙工業 【東証スタンダード:3891】「パルプ・紙」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、以下の「企業理念」および「長期目標」に則し、エレクトロニクス産業に不可欠な部材であるアルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材を安定供給することにより顧客満足度を高め、エレクトロニクス産業の発展に寄与し、世界に役立つ仕事をしている集団であることを目指して事業活動を展開しております。
今後も、当社グループ社員一人一人が能力向上と自己革新に取り組みながら多様化・複雑化するニーズに応え、お客様との強固な信頼関係を構築することでさらなる企業価値の向上をはかってまいります。
(2)前中期事業計画の振り返り
顧客の在庫調整等にともなう販売数量の減少に加え、稼働率の低下や原材料価格の高止まりによる原価率の上昇などの影響があり前中期事業計画で設定した経営数値目標は未達成となりました。
経営指標 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | |
実績 | 実績 | 実績 | 目標 | 実績 | |
連結売上高 (うち機能材売上高) | 159億円 (39億円) | 180億円 (38億円) | 175億円 (41億円) | 190億円 (46億円) | 148億円 (33億円) |
連結営業利益 | 27億円 | 40億円 | 33億円 | 35億円以上 | 17億円 |
自己資本利益率(ROE) | 12.8% | 16.2% | 12.0% | 10%以上 | 6.7% |
(3)目標とする経営指標
当社グループは、第100期(2030年3月期)に向けた長期目標の達成に向け、3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)において、次の経営数値目標を設定しております。
経営指標 | 2027年3月期 目標 |
連結売上高 (うち機能材売上高) | 200億円 (50億円) |
連結営業利益 | 36億円 |
自己資本利益率(ROE) | 10%以上 |
(4)中長期的な経営戦略
当社グループは、事業内容について選択と集中を基本に重点課題を明確にし、経営資源の有効な投入および活用を進めることで、企業価値向上をはかっております。
3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)では次の5つの基本戦略をもとに、中期事業計画の目標達成に向け各取り組みを進めております。
基本戦略 | 主な取り組み内容 |
①新規事業創出による事業ポートフォリオの転換 | セパレータ製造で培ったコア技術を基に、電子材料、プラスチック代替材料としての活用など、用途展開の可能性を追求し、市場への普及を目指します。 |
②成長分野における重点的取り組みと新製品開発の強化 | 米子工場における建屋と抄紙ラインの増設、裁断加工ラインの新設などにより、生産能力増強と安定供給体制確立を進めています。 また、顧客の注力する成長市場(車載、通信、環境)において、競争力強化に向けた取り組みを推進します。 |
③ESG経営基盤の強化 | 当社にとっての重要性と、ステークホルダーにとっての重要性を勘案し、マテリアリティを特定しました。 それぞれの取り組み、KGI、KPIを設定し、進捗を管理することで、長期ビジョンの実現を目指します。 |
④DXの推進 | 属人化したプロセスの改善や、従業員の働きやすさの追求のため、製造工程、サプライチェーンの自動化・省人化を推進します。 本中期事業計画期間においては、自動倉庫の拡充、原巻輸送の自動化実現に向けた取り組みなどを予定しています。 |
⑤人的資本への投資 | 当社の最大の資本は人財であり、安全衛生の確保、健康の維持増進、働きがいの向上に係る取り組みの効果を定量化することで、「2030年のあるべき姿を目指し従業員の幸せを追求」の実現を促進します。 2025年3月期よりプレゼンティーズム・エンゲージメントサーベイを導入し、取り組みの推進・改善を行います。 |
(5)経営環境
わが国経済は、インバウンド需要や個人消費の回復、企業の生産活動の進展など経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方で、大幅な為替変動や資源価格の高騰によるインフレの長期化に加え、中国経済の停滞、ウクライナおよび中東情勢などの地政学リスクへの警戒感が高まり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの関連市場であるエレクトロニクス業界におきましては、コロナ禍での在庫確保の反動による在庫調整の長期化や中国経済停滞などにより半導体・電子部品全般の需要は鈍化し、民生機器や産業機器関連の需要低迷が長引いております。一方、自動車の生産回復による関連部品の需要継続、生成AI関連の需要拡大、自動化・省力化や環境対策を目的とした設備投資等により、グローバルでの半導体・電子部品市場の需要回復が見込まれております。
このような状況において、主力のアルミ電解コンデンサ用セパレータは、生成AI関連投資等による通信設備関連分野や車載分野での需要拡大、当期長期化した在庫調整も終息の兆しが見られることで全般的な需要の回復を見込んでおります。
機能材では、当期需要の調整局面が継続したリチウムイオン電池用セパレータ等についても、世界的な規模で加速するカーボンニュートラルの動きに対応する製品の研究開発を進め、需要拡大に取り組んでまいります。
また、当社グループは3ヵ年中期事業計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定しました。「高機能セパレータ、高機能素材の安定供給を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する」という長期ビジョンのもと、中期事業計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。
(6)優先的に対処すべき事業上の課題
当社グループは、優先的に対処すべき事業上の課題について次の取り組みをおこなってまいります。
(原材料・エネルギー価格上昇への対応)
アルミ電解コンデンサ用セパレータおよび機能材ともに、原材料・エネルギー価格上昇による負担増を軽減するために製品の値上げを実施しており、生産効率向上によるコスト低減にも継続して取り組んでまいります。
(安定供給体制の強化)
安定供給体制のさらなる強化のため高知県内生産拠点との同時被災リスクの低い米子工場で進めている高付加価値セパレータの生産能力増強、製品出荷までの各工程(抄紙~裁断~出荷)を完結できる体制構築については、2024年10月稼働開始に向けて取り組んでおります。
なお、本事業については、経済産業省の「蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業」に採択されました。当社製品の優位性および研究開発に対する取り組みが評価されたものと考えており、本事業の完了後には設備投資および研究開発投資の総額の約1/3の補助金を受給する見込みであります。当社グループは今後もより付加価値の高いセパレータの研究開発、拡販を進めてまいります。
(外部環境変化への対応)
2023年4月には会社分割により、当社南国工場で実施していたアルミ電解コンデンサ用セパレータ等の裁断加工・出荷業務等を承継するNKKソリューションズ株式会社を設立しました。今後の物流環境の悪化や人材不足等の外部環境変化に柔軟な適応ができる組織体制を構築することで、迅速な意思決定および機動的な事業運営を推し進めてまいります。
(健康経営の推進)
当社グループは、「安全・健康はすべてに優先する」の基本方針のもと、健康経営を推進しております。2024年3月に「健康経営優良法人2024(大規模法人部門ホワイト500)」に2019年より6年連続で選定されました。これは、従業員の「こころと身体の健康の保持増進」、「安心して働ける職場環境づくり」等の当社の取り組みが評価されたものと認識しております。
引き続き、安全・健康管理体制の確立と従業員に対する安全衛生教育の徹底をはかり、無事故・無災害の職場を実現するための取り組みにより、安全で健康な職場づくりを進めてまいります。
(資本効率の向上と株価を意識した経営の強化)
株主利益重視の観点から、資本効率を高めるために、収益性の向上を目標として事業を推進しており、自己資本利益率(ROE)10%以上を達成することを目標としております。付加価値の高い製品の拡販を進めるとともに、設備投資、研究開発投資、人材投資等を効果的におこなうことで資本効率を向上させてまいります。
また、株価を意識した経営を強化するために、当社の強みおよび事業の成長性を投資家にIR活動を通して訴求するとともに、資本効率を向上させることで株価純資産倍率(PBR)1.0倍以上を継続的に維持できるように努めてまいります。
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