企業デクセリアルズ東証プライム:4980】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」

 当社は、経営理念として「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」を掲げ、卓越した独自の技術を組み合わせて新しい機能性材料及び技術ソリューションを開発・提供することでお客さまのニーズや課題に応え、その期待を超える価値を創造し、社会課題を解決することを目指しており、その結果、当社の持続的な事業成長や業績向上が実現し、企業価値の向上につながると考えています。

 企業ビジョン

「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」

 当社は、顧客のニーズや課題に応え、卓越した独自の技術を組み合わせて新しい機能性材料を開発・提供することで顧客の期待を超える価値を創造することを常に目指しており、その結果として当社の事業成長や業績向上が実現し、企業価値の向上につながると考えています。

 この企業ビジョンのもと、「高付加価値製品および技術ソリューションの提供による社会課題の解決を通じて持続的に成長する企業」を目指しています。

 パーパス

「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」

 当社は、社会の効率化を実現するデジタル・テクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・デバイス・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しています。

(2)経営戦略

 当社は、中期経営計画2023「進化への挑戦」において、様々な施策への取り組みを通じてキャッシュ・フローの

 安定的な創出が可能となり、最終年度となる2024年3月期においては、4期連続となる過去最高の営業利益を更新

 し、持続的成長の礎を築くことができたと考えていますが、一方で、同計画で取り組んでいた事業ポートフォリオ

 拡大はまだ途上であり、地政学リスクの高まり等、ますます複雑化する事業環境において、変化を先取りする速度

 で進化を続ける必要があると認識しています。

 こうした状況を踏まえ、2025年3月期から2029年3月期の5ヵ年を、会社としての進化を実現するステージと位

 置づけ、中期経営計画2028「進化の実現」(以下、「本計画」)を策定いたしました。事業ポートフォリオ拡大を

 さらに推し進め、変化に強い経営基盤の構築に向けて、3つの基本方針に沿った施策に取り組んでまいります。

 そのうえで、持続的成長と株主還元の両立を通じて企業価値の最大化に取り組みます。具体的には、本計画期間

 のキャピタル・アロケーションにおいて、持続的成長のための成長投資と高水準の株主還元の両立を実現し、その

 計画の下で、投資の性質に応じた資本コスト管理を通じて最適資本構成を実現します。また、株主還元方針におい

 ては、安定的な配当と資本効率を念頭に、DOE(株主資本配当率)を導入しております。

 さらに、当社ではROEを持続的な企業価値向上に関わる指標として位置づけており、事業成長と資本効率化を通

 じて、高水準のROEの維持に努めてまいります。あわせて、事業ポートフォリオの拡大による持続的な成長と、為

 替感応度低減など業績のボラティリティを下げることの両面で株主資本コストの低減を図り、中長期にわたりポジ

 ティブなエクイティスプレッドの維持・拡大を目指します。

1.3つの基本方針

 事業ポートフォリオの拡大と環境変化に強い経営基盤づくりに向けて、以下の3つの基本方針に基づき、施策

 を展開します。

①成長領域での事業拡大

 今後成長が見込まれる「自動車」「フォトニクス」の領域において、これまで培った強みを活かして新たな価

 値創造に挑戦し、成長領域事業の売上高構成を2023年度の約20%から2028年度には30%まで引き上げます。

②既存領域における事業の質的強化

 収益ドライバーの幹をさらに太くするために、高付加価値製品の拡大を通じて既存事業の深掘と質的強化を図

 ります。

③経営基盤の進化

 今後も変化が激しく、先行きが見通しづらい事業環境が続く前提のもと、変化に左右されない持続的成長を支

 える、強固な経営基盤を持つ会社に進化する取り組みを進めます。

2.経営目標

 前中期経営計画リフレッシュ(アップデート)では、2024年3月期の経営目標として、売上高852億円、営業利益168億円、EBITDA239億円、ROIC15.0%程度、ROE15.0%程度と設定しておりましたが、2022年3月期に2年前倒しで達成しました。最終年度となる2024年3月期においても、売上高1,051億円、営業利益334億円、EBITDA400億円、ROIC22.3%、ROE27.1%となり、4年連続で最高益を更新しました。

2025年3月期を初年度とする中期経営計画では、2029年3月期の経営目標として、売上高1,500億円、事業利益500億円、EBITDAマージン43.0%程度、EPS626円、ROIC14.0%程度、ROE25.0%程度を設定しております。

(注意事項)

 中期経営計画に関する上記記述中の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、将来に関する記述の正確性・完全性に関する責任を負うものではありません。実際の業績等は様々な要因により異なる可能性があり、当社として将来計画の達成を約束する趣旨のものではありません。なお、実際の結果等にかかわらず、当社は本資料の日付以降において、本資料に記載された内容を随時更新する義務を負うものではなく、かかる方針も有していません。

 これらの記述は投資家の皆様の判断のための参考情報の公開のみを目的としており、投資に関する最終決定はご自身の責任においてご判断ください。これらの記述に全面的に依拠して投資判断を下すことによって生じうるいかなる損失に関しても、当社は責任を負うものではありません。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な企業価値向上に関わる指標としてROE(株主資本利益率)を位置づけており、EBITDAを当社の稼ぐ力、ROICを投資効率性を測る指標としてそれぞれを用いています。

(4)経営環境

 当期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における世界経済は、半導体供給不足を主な要因とするサプラ

 イチェーン問題の解消などにより回復の兆候が見られた一方で、ロシア・ウクライナ情勢に加え中東紛争などによ

 る地政学リスクの更なる高まりや、世界的な金融引き締めの継続などにより、依然不透明な状況が続いています。

 当社の製品が関わるコンシューマーIT製品市場において、スマートフォンでは欧米で出荷台数の停滞が続いてい

 ますが、中国では回復基調となりました。ノートPC・タブレットでは前期から続く在庫調整が完了したものの、最

 終需要の戻りは弱く厳しい状況が続きました。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社は、中期経営計画2028「進化の実現」において、基本方針のもと各種施策に取り組み持続的な成長を目指してまいります。現中期経営計画の初年度となる、2025年3月期については、特に以下の課題あるいは施策に重点的に取り組んでいきます。

1.成長領域での事業拡大

 コンシューマーIT製品向けの事業で培った技術とビジネスモデルを活かし、成長が見込まれる自動車及び

 フォトニクス領域においても、デジタル・テクノロジーの進化を支え、価値創出を推し進めます。自動車領

 域では、先進運転支援システム(ADAS)の進化に伴う車載ディスプレイの枚数の増加や面積の拡大が続いて

 おり、当社は、新ラインを稼働させて生産能力を増強し、今後も拡大が見込まれる需要を着実に取り込んで

 いきます。フォトニクス領域では、生成AIの浸透によるデータセンターの増加に伴い関連デバイスの需要が

 拡大しており、当社は、2024年4月にフォトニクス領域での事業をリードするデクセリアルズフォトニクス

 ソリューションズ株式会社を発足させ、増産投資を実行して足元の需要拡大に対応するとともに、次世代の

 高速通信を見据えた光トランシーバー向け高速PD(フォトダイオード)の開発を加速してまいります。

2. 既存領域における事業の質的強化

 当社の強みである、技術トレンドを先回りした開発により生み出す高付加価値製品の拡大を通じて、既存

 事業の収益を最大化します。スマートフォンのフレキシブルOLEDディスプレイで既にデファクトスタンダー

 ドとなった粒子整列型異方性導電膜(ACF)は、今後も需要拡大が見込まれ、2025年3月期より増産投資を実

 行し、中長期にわたる事業成長を目指します。

 また、リチウムイオン電池を搭載するアプリケーションに二次保護回路を搭載する流れが世界的に強まっ

 ており、当社は、付加価値の高い大電流製品向け表面実装型ヒューズにおいて、電動工具向けや電動バイク

 向けに、顧客基盤のグローバルな拡大を通じた事業成長を図ってまいります。

3.経営基盤の進化

 今後も変化の激しい事業環境が続く前提で、持続的に成長できる組織基盤づくりを進めてまいります。

(a)営業機能強化策としては、当社のビジネスモデルを更に強化するため、海外におけるデザイン・イン、

 スペック・インの強化に取り組みます。また、戦略的パートナーシップを通じてディストリビューショ

 ン機能の強化とともに、為替変動への対応力の向上、及び運転資本圧縮に取り組みます。

(b)当社にとって最も重要な経営課題(マテリアリティ)である、人と技術の強化を通じ、技術で差異化を

 図ることができる会社への進化に継続的に取り組みます。フォトニクス領域を中心に研究開発活動を加

 速させるとともに、ジョブ型人事制度のグループ展開による技術人財とグローバル人財の獲得力及びリ

 テンション力向上を図ります。

(c)製造機能強化策としては、今後日本において生産年齢人口が減少するという前提のもと、新たに投資を

 決めた鹿沼第2工場において、DX化を通じたスマートファクトリーの構築を進め、人的資本の価値を最

 大化する戦略を推進いたします。さらに、各拠点におけるBCP機能の強化を図ってまいります。

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