デクセリアルズ 【東証プライム:4980】「化学」 へ投稿
企業概要
サステナビリィに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
近年、社会課題が世界レベルで深刻化・複雑化しており、国際社会の分断も進行しています。
当社グループにおいてもサステナブルな社会の実現は自らの存続条件と捉えており、このVUCA※時代において、いかに持続的な成長と企業価値向上を実現するかが重要です。
また、社会・顧客をはじめとするステークホルダーの方々からも、経済的価値と社会的価値を同期させ、持続可能な社会を実現するための事業展開を求められていると認識しております。
(※Volatility 変動性、Uncertainty 不確実性、Complexity 複雑性、Ambiguity 曖昧性の頭文字を並べた造語)
(1)ガバナンス
当社は、代表取締役社長を最高責任者として、CSR推進部門担当役員の指揮命令のもと、持続可能な社会の実現に向けた活動を推進しています。
その具体的な活動の展開にあたっては、経営理念、企業ビジョン、CSR方針などにもとづき、全社一丸となり活動を進めるべく、サステナビリティに関する各テーマの担当部門より構成される「サステナビリティワーキンググループ」を組織しています。「サステナビリティワーキンググループ」 では、取締役会において特定された重要課題(マテリアリティ)にもとづき、テーマごとの課題を特定し、定期的にそれらの目標・活動の設定およびモニタリングを行っております。また、部門横断的な視点から検討することで、活動の充実および社内の意識醸成を図っております。
なお、サステナビリティ推進に係る個別の重要な事項については、適宜執行役員会・取締役会にて報告・議論のうえ、経営戦略、事業戦略の立案・遂行にフィードバックされています。
[CSRマネジメント体制]
(2)戦略
当社グループを取り巻く社会課題は多岐にわたります。事業を通じた社会課題の解決、持続可能な社会の実現に貢献すべく、マテリアリティ(①「新しい価値の創造・社会課題の解決」、②「ガバナンス・コンプライアンスの強化」、③「多様な人財とエンゲージメントの醸成」、④「操業安全と事業継続性の確保」)を特定し、それにもとづく計画的な取り組みを推進しています。
また、2022年度からは次期中期経営計画の検討・策定を見据え、当社の取締役会メンバー(社外取締役4名を含む)にて、VUCA時代における「デクセリアルズらしいサステナビリティ経営」をテーマとした議論を開始いたしました。
<デクセリアルズらしいサステナビリティ経営>(2023年3月31日時点)
社会における デクセリアルズの存在意義 | ・デジタル化の進む社会において、世の中になくてはならない、他社に真似できない 材料やデバイスを生み出し、社会の効率化を通じ課題解決に貢献すること。 |
デクセリアルズの強みとその強化に向けた課題 | ・デクセリアルズが社会課題解決に貢献する材料・デバイスを生み出すエンジン(ビジネスモデルの柱)は、「課題発見力」と「ソリューション開発・提案力」。 ・その基盤は、様々な技術を掛け合わせて、これまでなかったようなソリューションを開発する「技術」とそれらを使いこなす「人財」。 ・「人」と「技術」(知的財産力を含む)が、強化すべき無形資産のトッププライオリティ。 ・また、デジタル技術の革新やテクノロジーの進化で今後のビジネスも変化することを見越して、DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じ自らの変革や新たな顧客価値の創出が必要。そのためのデジタル人財やリテラシーの強化に向けた投資も必要。 |
ビジネスモデルと 事業継続のための課題 | ・強化すべきは非財務資本であり、下記の点を意識し将来にわたり、持続的成長と企業価値向上を目指していく。
1.技術 将来に向けたイノベーション機能、技術ポートフォリオの拡充に向け、2020年にイノベーション・新規事業創出を目指す組織、Dexerials Innovation Group(DIG)を発足させ、将来の社会課題からバックキャストしつつ有望な産業・技術を特定。新たな技術ポートフォリオならびにビジネスモデルの獲得のために2022年3月に株式会社京都セミコンダクターを子会社化。将来に向け、グループシナジーを発揮した新製品の開発などを進めていく。
2.人財 これまでも、従業員への株式給付、健康経営などの先進的な取り組みを進めてきたが、人的資本強化による更なる付加価値・生産性の向上が最も大きな重点課題である。具体的な人的資本施策として、持続的成長と戦略を実現させるための多様な人財のポートフォリオをいかにつくるか、2023年4月に導入した「ジョブ型人事制度」を今後、当社グループに拡大し活用していく。
3.コーポレート・ガバナンス 2021年に機関設計を監査等委員会設置会社に移行。執行と監督をより明確に分離し、モニタリング・モデルを推進。また、取締役会としてサステナビリティ経営にどう取り組むかというテーマでの議論も行っていく。
4.環境 2030年に向け「事業由来の電力消費によるCO2排出ゼロ」という目標を掲げ、TCFD提言への賛同も行い、環境負荷を低減しつつ事業を推進していく。当社グループのCO2排出量(環境負荷による社会への影響)は少ないが、脱炭素への取り組みがビジネス継続の条件となりつつあり、継続的な投資を行っていく。 |
また、環境面について当社グループは2050年の長期的な時間軸において、気候変動に伴うリスクと機会を特定するため、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の第6次評価報告書や国際エネルギー機関( IEA:International Energy Agency)の世界エネルギー見通し(WEO:World Energy Outlook)などを参考に、1.5-2℃シナリオと4℃シナリオを考慮したシナリオ分析を実施しており、財務や温室効果ガスのCO2排出量に大きく影響する当社グループの主要製品(「反射防止フィルム」、「異方性導電膜(ACF)」、「光学弾性樹脂(SVR)」、「表面実装型ヒューズ」)を優先して進めています。これら製品を対象に気候変動のリスクと機会を特定し、事業に大きな影響を与える可能性のある重要なリスクと機会を抽出し、それらの取り組みについて検討をおこないました。
当社グループは、これらのリスクと機会への取り組みにより気候変動に対するレジリエンスを高め、事業を通じて脱炭素社会へ貢献していきます。
<気候変動のリスク・機会と主な取り組み>
社会環境の変化 | 事業への影響 | リスク | 機会 | 主な取り組み | |
低炭素経済への移行 (1.5-2℃) | 炭素価格の上昇 | ・炭素税の導入に伴う製造および輸送コストの増加 | 〇 |
| ・再生可能エネルギーの利用や低炭素燃料への転換 ・省エネの推進 |
温室効果ガス排出削減に関する規制強化 | ・省エネ、再生可能エネルギーへの対応コストの増加 ・環境負荷を低減する製品やサービスの需要の増大 | 〇 | 〇 | ・環境負荷の少ない製品の開発と普及促進 ・政策動向の情報収集 | |
脱炭素社会、循環型社会関連技術の進展 | ・低炭素/脱炭素技術や資源循環への対応の遅れによる機会損失が発生 | 〇 |
| ・リデュース、リユース、リサイクルの検討 ・低炭素/脱炭素関連技術の情報収集 | |
バイオ、リサイクル原材料へのシフト | ・化石由来原材料の調達が困難 ・化石由来原材料のコストの増加 ・バイオ、リサイクル原材料の実用化に伴い、バイオ、リサイクル原材料を利用しやすくなる | 〇 | 〇 | ・バイオ、リサイクル原材料の導入検討 ・バイオ、リサイクル関連市場と技術の情報収集 | |
省エネ、省資源化の促進 | ・省エネ、省資源対応製品の需要の増大 |
| 〇 | ・省エネ、省資源化に対するソリューションの提供 | |
スマート社会の実現、次世代モビリティの普及および市場拡大 | ・車載用のディスプレイ、センサー、通信機器、バッテリー用デバイスの需要の増大 |
| 〇 | ・ディスプレイ、センサー、通信機器、バッテリー等のデバイス向け製品の開発促進及び次世代モビリティの普及 | |
物理的変化 (4℃) | 気象災害の甚大化 | ・修復コストの増加 ・サプライチェーンの寸断による操業停止の増大 | 〇 |
| ・BCP(事業継続計画)の強化 ・原材料、製品の在庫管理の検討 |
平均気温の上昇 | ・気温上昇への対応コストの増加 | 〇 |
| ・空調コスト低減の検討 ・省エネの推進 | |
気温上昇、災害の増加、感染症の拡大等に伴い、ライフスタイルが変化 | ・在宅ワーク、ステイホームの広がりによるディスプレイ関連の需要の増大 |
| 〇 | ・製品ラインナップの拡充 |
さらに 、人材の多様性の確保を含む人材育成方針および社内環境整備方針について、当社グループは、企業ビジョン“Value Matters”を実現するために、「人財ポリシー」を定めています。人財ポリシーの基本原則において、「1.人材は最大の経営資源であり価値創造の源泉。会社と個人は対等なパートナーであり人材の成長が企業価値を高める。」、「2.グローバル基準で優秀かつ意欲的な人材に選ばれる会社になる。社員一人ひとりが価値をつくる人材となる。」を定め、人材の可能性を最大限に引き出し、人的資本を最大活用するために、積極的に職場環境づくりに取り組んでいます。
また、人材育成方針を定めており、社員に対して「自ら学び、自ら考え、自ら行動し、成長し続ける」という自律的な働き方を求め、また会社はそれを実現するための支援や環境を整えることで、社員と会社が共に成長していく考え方を明確にしています。
社内環境整備方針においては、業務上必要な知識・スキルの獲得にとどまらず、専門性を軸とした教育研修やキャリア開発の支援など、社員の自律的なキャリア形成をサポートすることで、グループ全体で人材育成を強化することで、社員と組織が共に成長し続け、魅力的な会社であることをめざしています。
また、通常の採用・育成とは別に戦略的人材投資予算を設定し、将来の経営を担う人材を内部から育成する次世代経営人材育成プログラムの実施、専門性人材や高度経営人材の採用にも取り組み、企業の持続的な成長に向けた人材への投資を継続的に実施しています。社員一人ひとりの「成長したい」という欲求と行動が企業の成長に繋がり、それが社員のエンゲージメント向上へと繋がる人的資本への投資を積極的に進めてまいります。
加えて、一人ひとりが笑顔で前向きに挑戦する活気あふれる職場づくりに取り組み、社員一人ひとりの幸福、企業の持続的な成長とその先ある社会の幸福を実現するため、健康経営を推進しています。具体的に、2021年度より組織横断的な健康経営ワーキンググループの活動をスタートし、2030年度のデクセリアルズのありたい姿を定義し、そのためにおこなうべき具体的施策(ロードマップ)を策定・推進しています。
(3)リスク管理
当社グループでは、リスク管理に関する規定に基づき、リスクマネジメント委員会を設置してグループ全体の中長期および短期的な事業運営上、財務、外部環境、ESG関連のリスクについて評価を実施し、リスクを回避または軽減するための対策を立て、その進捗を確認しています。例えば「気候変動」については、経営基盤リスクの一つとして位置づけ、取り組みを行っています。リスク管理責任者であるコーポレート管理部門管掌の執行役員が委員長を担当し、各専門領域の部会で構成され、定期的(必要に応じて臨時)に委員会を開催し、モニタリングしています。特定した重点リスク項目は定期的に執行役員会に報告・議論され、さらに経営上または事業上の重要なリスクに関しては取締役会に報告・議論されています。
(4)指標及び目標
当社ではマテリアリティへの取り組みを着実かつ効果的に進めるために、中期的なサステナビリティに関する活動目標を設定しています。2021年度までに3カ年計画を終え、新たなKPI/目標を設定しました。
なお、指標及び目標に関する取組み状況については、当社の統合レポートにて発信しております。また、KPIなどの定量的情報を含め、サステナビリティ情報開示の更なる充実化を推進していきます。
<サステナビリティに関する活動目標(統合レポート2022 CSR目標から一部抜粋)>
・事業の活動目標
マテリアリティ テーマ | 達成指標(KPI) | 2023年度目標 |
新しい価値の創造・ 社会課題の解決 | 高速・大容量通信社会における情報通信機器の変化(小型化・薄型化・高速化・高信頼性化)への対応 | 製品の上市 |
自動車向け製品の普及促進 | 自動車向け製品の出荷数量 ・反射防止フィルム 540,000㎡ ・熱伝導シート 6,000㎡ | |
低温接合ACFの普及促進 | 出荷数量 1,910万m/年 | |
鉛フリーSCPの新製品上市の継続 | 新製品上市 1モデル以上 | |
重大品質問題発生件数 | ゼロ | |
製品品質事故発生件数 | ゼロ | |
サプライチェーンマネジメント | 主要取引先へアンケート調査および改善要請(指導)の実施 |
・気候変動に関する活動目標
マテリアリティ テーマ | 達成指標(KPI) | 2030年度目標 |
新しい価値の創造・ 社会課題の解決 | CO2排出量の削減 | 2030年までに事業由来の電力消費によるCO2排出量ゼロの達成 |
・人的資本に関する活動目標
マテリアリティ テーマ | 達成指標(KPI) | 2023年度目標 |
多様な人財とエンゲージメントの醸成 | 多様な人財の獲得と活用 | 次のリーダー・管理職候補の人財プールの運用を開始する(2023年4月~) |
リモートワークの活用 | リモートワークを前提とした採用の拡大 | |
健康経営の取り組み | 就業時間内禁煙の実施 |
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