テスホールディングス 【東証プライム:5074】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、取締役会において「リスク管理」及び「事業創出」の両面から、気候変動対応及び人材の多様化等のサステナビリティに関する事項を踏まえた、経営戦略や中期経営方針の策定、各種取り組みや事業目標の管理等を通じ、各部門・各子会社に対し、監督・指示を行っております。2022年6月には取締役会において、当社グループの気候変動対応及び人材の多様化を含むサステナビリティへの取り組みの監督を強化する観点から、取締役会の下にESG推進担当役員を委員長とするESG推進委員会の設置を決議し、同年7月1日にESG推進委員会を設立いたしました。
ESG推進委員会では、当社グループの事業活動上想定されるサステナビリティ関連のリスクと機会の抽出・分析によるマテリアリティ(重要課題)の特定及びその対応策の検討を行うと共に、進捗状況を管理しております。また、ESG推進委員会の下部組織として、CC(クライメイトチェンジ)ワーキンググループ(分科会)及びD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)ワーキンググループを設置しており、特定のマテリアリティをはじめとした個別のテーマについての取り組みに関する具体施策を検討しております。
また、外部有識者等のステークホルダーから率直なご意見や今後に向けたアドバイス等を伺う場として定期的にダイアログを実施し、頂いたご意見やアドバイス等については、適宜、経営にも繋げていく方針としております。
(2)リスク管理
当社グループでは、ESG推進委員会においてサステナビリティ関連のリスクの特定・評価を実施しております。また、当社は、全社的なリスク管理体制として、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置すると共に、「リスク管理規程」を制定し、その適正な運用を行っております。事業活動上の重大な事態が発生した場合には、コンプライアンス・リスク管理委員会に対してその報告を行い、必要に応じてその対策について協議を行う体制となっており、また必要に応じて、弁護士、監査法人、税理士等の外部専門家等から助言を受ける体制を構築しており、リスクの早期発見及び未然防止に努めております。ESG推進委員会等において特定・評価された当社グループに重大な影響を与えるサステナビリティ関連のリスクに関しても、コンプライアンス・リスク管理委員会と連携しながら対応策の検討を行っております。
(3)戦略
当社グループでは、ESG方針を掲げており、ESGとコンプライアンスを経営の根幹に位置付け、世界的なエネルギー脱炭素化に貢献し、SDGsの実現を目指すことを方針としております。
また、当社グループでは、企業活動の持続可能性と中長期的な企業価値の向上を目指していくため、「ステークホルダーにとっての重要性」と「TESSグループの事業にとっての重要性」を軸として、マテリアリティ(重点課題)を特定し、その中でも特に「脱炭素・気候変動」及び「多様性の推進」に関する取り組みを重視しております。
(脱炭素・気候変動)
当社グループでは、気候変動リスクと機会に対する取り組みとして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づく気候変動に関する情報を開示しております。
気候変動に関連する物理リスク・移行リスク及び事業機会の把握に加えて、それら気候変動リスク・機会が事業戦略・財務計画に及ぼす影響を評価し、リスクの把握にあたっては、2度シナリオ及び4度シナリオによるシナリオ分析を実施しております。2度シナリオにおいてはIEAのSDS等のシナリオに基づき、リスクの顕在化が想定される移行リスクの検討を行っており、4度シナリオにおいては同様にIPCCのRCP8.5等のシナリオに基づき物理リスクの検討を実施しております。2度シナリオ・4度シナリオにおいて特定されたリスクについては、ESG推進担当役員及びESG推進委員会等と共有し、適切に対応を進めていくことにより、当社グループの事業における強みの優位性(事業機会)を確保していくと同時に、気候変動リスクに対するレジリエンスを確保してまいります。また、引き続き、1.5度シナリオに基づいたシナリオ分析及び財務インパクトの影響の精緻化、リスク・機会及び対応策の経営計画への具体的な反映を通じて、気候変動対応を進めていくこととしております。
シナリオ分析を行った結果のリスク及び機会等につきましては、以下のとおりであります。
〔移行リスク〕
大分類 | 中分類 | 小分類 | 財務への潜在的な影響 | 影響度 |
移行リスク | 政策と法 | カーボンプライシングの導入(炭素税の導入等) | ・炭素税の導入に伴うエネルギー等の各種原材料コストの増加 | 低 |
企業への炭素排出目標や排出枠の割当制度等の導入 | ・CO₂排出制限等による事業活動の制限リスク ・課せられた排出目標達成に向けた排出権取引による排出枠やグリーン電力購入等のコストの増加 ・エネルギー効率化投資の増加 | 低 | ||
訴訟リスクの増加 | ・排出目標の未達成や開示情報の不備に伴うレピュテーション低下リスクや対応に係るコストの増加 ・再エネ発電所開発に伴う訴訟対応に係るコストの増加 | 高 | ||
テクノロジー | 新技術への投資 | ・バイオマス関連、蓄電池、水素関連、企業間アグリケーションビジネス等の新技術やサービスの開発に向けた設備投資、研究開発費の増加や失敗リスクの増加 | 中 | |
市場 | 顧客の行動の変化 | ・より低い炭素排出のサービスや商品(電気や熱等も含む)を求める顧客のニーズに応えるためのコストの増加 ・入札条件における低炭素・脱炭素についての要求事項の厳格化に対応するためのコストの増加 ・化石燃料を使用する発電施設の需要減少 | 低 | |
原材料コストの上昇 | ・原材料コスト、エネルギーコスト、電力コストの増加 | 中 | ||
評判 | 顧客や地域社会からの期待の変化 | ・気候関連課題への対応や情報開示のための運営コストの増加 ・対応や開示の不備による評判の悪化に起因する顧客離れ ・環境的にネガティブな事業の規模縮小や撤退 | 低 | |
投資家からの期待の変化 | ・気候関連課題への対応不備や情報開示ニーズへの対応不備による株価の下落や投資家離れ | 中 |
〔物理リスク〕
大分類 | 中分類 | 小分類 | 財務への潜在的な影響 | 影響度 |
物理的リスク | 急性 | 異常気象の激甚化による自然災害の甚大化、頻発化 | ・台風・竜巻・洪水による従業員、作業現場、自社施設や自社発電所への被害による損害 ・保険料の増加 ・作業現場や取引先の被災による作業停止、サプライチェーン寸断による資材納入の遅れによる工事期間の長期化、契約違反リスクの増加 | 中 |
慢性 | 降水パターンの変化と気象パターンの極端な変動 | ・降水量・降雨日数の増加による自社太陽光発電所の発電量の減少と売電収入減 | 中 | |
平均気温の上昇 | ・エネルギー使用量の増加に伴うコスト増加 ・現場作業者の健康被害(熱中症等)の増加や酷暑時間帯回避による生産性低下 ・自社太陽光発電所の発電効率の低下に伴う発電量の減少と売電収入減 | 中 |
〔機会〕
中分類 | 小分類 | 財務への潜在的な影響 | 影響度 |
資源効率 | 事業所における対策投資 | ・社有車の次世代自動車への切り替えによる車両燃料費削減 | 低 |
エネルギー源 | より低排出のエネルギー源の使用 | ・再エネ電気等の調達によるGHG排出量の削減 ・コージェネレーションシステムをはじめとする省エネルギーシステムの利用促進によるGHG排出量と燃料コストの削減 ・将来の化石燃料価格上昇時のエクスポージャーの減少 ・商品/サービスに対する需要の増加に繋がる評判上のメリット | 高 |
新技術の使用 | ・商品/サービスに対する需要の増加に繋がる評判上のメリット ・エネルギー効率の改善によるGHG排出量の削減と燃料コストの削減 ・将来の化石燃料価格上昇時のエクスポージャーの減少 | 中 |
中分類 | 小分類 | 財務への潜在的な影響 | 影響度 |
製品と | 低炭素排出商品及びサービスの開発・拡大 | ・脱炭素ニーズの高まりにより、太陽光発電やバイオマス発電等の再エネ関連工事の需要拡大による収益の増加 ・省エネ規制の強化等により、既存施設のエネルギー効率向上に向けたリニューアル工事の需要増加による収益の増加 ・オンサイトPPAを含む再エネ発電所への投資からの収益 | 高 |
研究開発とイノベーションによる新製品・サービスの開発 | ・バイオマス燃料の開発と実用化による収益の増加 ・水素エネルギー利用システムの開発と実用化による収益の増加 ・蓄電池を活用したエネルギーマネジメントシステムの効率化ビジネスの開発と実用化による収益の増加 | 高 | |
事業活動を多様化する能力 | ・創業以来培ってきたエネルギー多消費型の工場や事業所に向けて展開してきた省エネ・再エネ関連の技術を脱炭素社会における新たなセクター(中小企業や地方自治体等)に転用・活用することによる顧客の拡大と収益の増加 | 中 | |
顧客や投資家からの期待 | ・脱炭素・低炭素化を支援することこそが当社グループの事業そのものであることを開示することにより顧客や投資家からの評判を上げ企業価値が向上する ・自社のESG課題へ積極的に取り組み、その状況を開示しESG投資を呼ぶことで、株価上昇により企業価値が向上する | 中 | |
市場 | 新市場へのアクセス | ・創業以来培ってきたエネルギー多消費型の工場や事業所に向けて展開してきた省エネ・再エネ関連の技術を脱炭素社会における新たなセクター(中小企業や地方自治体等)に転用・活用することによる顧客の拡大と収益の増加 ・気候変動に適応したニーズ増加・受注機会の増加による収益の増加 | 高 |
公共セクターのインセンティブの利用 | ・省エネ・再エネに資する設備投資を後押しするための補助金制度等のインセンティブによる受注機会の増加による収益の増加 | 中 | |
レピュテーション | ・低炭素・脱炭素事業拡大による企業価値向上、様々な資金調達機会の獲得 | 中 | |
レジリエンス | レジリエンス対応事業の推進 | ・レジリエンス確保に関連する商品やサービス(例:BCPとしての自家発電装置(コージェネレーションシステム)やオンサイトPPAの導入等)の需要拡大による収益の増加 ・設備の強靭化のための工事、設備更新期の前倒し等に伴う収益機会の増加 ・浸水等の自然災害リスクが高い地域の強靭化設備投資や、より安全な地位への移転工事増加による収益の増加 | 高 |
なお、当社グループのTCFD提言に基づく気候変動対応の詳細の全文は次のURLからご覧いただくことができます。(当社ホームページ)https://www.tess-hd.co.jp/company/tcfd.html
(多様性の推進を含む人的資本)
当社グループは、企業理念として「顧客重視・顧客満足」を掲げ、強みである顧客に対する脱炭素に関する総合ソリューション提供力を活かしていくことで、「脱炭素のリーディングカンパニー」を目指しております。当社グループでは、この目指す姿を実現していくための原動力となるのは「人財」であるとの考えのもと、人材の多様性を確保していくと共に、特に次世代を担う人材育成に注力しながら取り組みを進めております。
多様性の確保にあたっては、当社グループでは、性別、年齢、国籍に関係なく、能力や実績を重視する人物本位の人材登用を実施しております。目指す姿を実現し、持続的な成長及び企業価値を向上させていくためには、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用しております。
また、これらの多様性が活きる文化と職場環境をつくることが従業員の働きがい向上と質の高い業務遂行に向けて重要になると考えております。D&Iワーキンググループや社会貢献提案、業務改善提案のために横断的に組織された“ワクワクわーく”プロジェクト、ステークホルダー・ダイアログにて議論された内容並びにESG推進担当役員と社員との1on1ミーティングの対話を通じて得られた意見等をESG推進委員会で取りまとめながら社内環境整備を進めていく方針としております。
人材育成にあたっては、当社グループでは、顧客のビジネスを理解し現場を見て調査し提案を作り込む「現場力」、省エネルギーや脱炭素といった専門技術や法制・社会動向の知見に富む「知識力」及び自由な発想で周囲を巻き込みながらソリューションや新事業を創造する「ひらめき力」の3つを求める力として重視しており、体系的・計画的な研修制度の構築及び実施を通して、これらの強化に取り組むことに加え、各人の多様性を尊重しながら人材を育成する方針としております。具体的な取り組みとしては、若手社員の育成を主眼においた研修や次世代を担う従業員を対象としたリーダー研修等を実施しながら人材育成に努め、次世代の管理職候補であるチーフ・アシスタントマネージャークラスの増員を推進していくことで、多様性が活きる組織力の強化を目指しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、2022年8月15日に「TESSグループ 中期経営方針」を発表し、サステナビリティに関する指標について、以下のとおり目標を定めております。
(脱炭素・気候変動)
・短期目標(2024年6月期)
項目 | 2023年6月期実績 | 短期目標(2024年6月期) |
TESSグループCO₂排出量(※) | 942トン | 0トン |
(※)Scope1及びScope2の合計
・中期目標(2030年6月期)
項目 | 2023年6月期実績 | 中期目標(2030年6月期) |
自社再生可能エネルギー発電所による送電電力量 | 258,000MWh | 636,000MWh |
CO₂排出削減貢献量 | 114,000トン | 288,000トン |
(多様性の推進を含む人的資本)
項目(※1) | 2023年6月期実績 | 中期目標(2030年6月期) |
女性従業員比率 | 20.1% | 30%以上 |
女性管理職比率(※2) | 3.7% | 10%以上 |
有給休暇取得率 | 56% | 80%以上 |
障がい者雇用率 | 2.9% | 3.1%以上 |
チーフ・アシスタントマネージャークラスの人数(※2) | 88名 | 200名程度 |
一人当たりの教育投資額(正社員)(※3) | 5.6万円 | 8.0万円以上 |
重大な労災発生件数 | 0件 | 0件 |
重大な法令違反発生件数 | 0件 | 0件 |
(※1)当社グループの合計
(※2)2023年7月末時点で集計
(※3)「令和4年度能力開発基本調査」(厚生労働省)によるとOFF-JTに支出した費用は平均1.3万円/人・年(令和3年度実績)
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