企業タカラバイオ東証プライム:4974】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、技術基盤であるバイオテクノロジーを活用し、試薬・機器事業とCDMO事業の各事業を通じて、社会への貢献を果たしていくとともに、企業価値の向上を目指しております。

(2)経営戦略等

 当社グループは、「長期経営構想2025」を2020年に策定し、遂行してまいりました。また、2023年5月に、「長期経営構想2025」の後半3カ年の具体的な実行計画である「中期経営計画2025」を策定しております。

「長期経営構想2025」では、「試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを創出し続ける創薬企業」を目指すビジョンとしております。

(参考)「長期経営構想2025」のビジョン

①事業領域の拡大

 アカデミアの研究支援から、産業応用、臨床関連分野、さらに創薬へと事業領域を拡大させる

②新技術の開発

 研究用試薬などの新製品開発やCDMO事業の新メニューの開発を通じ、創薬基盤技術開発を進める

 注. 医薬品の研究開発、製造、販売のすべての機能を自社内で完結する完全統合型製薬企業のビジネスモデルではなく、新しく開発した治療法のライセンスを導出する等により収益を得ることをビジネスモデルとする企業

「中期経営計画2025」(2023年5月公表)では、以下の5項目の事業戦略を進めております。

 ①ライフサイエンス産業におけるインフラを担うグローバルプラットフォーマーとしての地位の確立

 ②グローカルな製造、マーケティング体制の整備

 ③品質管理工程の堅牢化・効率化と製造技術力強化

 ④創薬基盤技術の価値最大化

 ⑤研究開発プロジェクトの選択と集中による新製品/サービスの開発スピードの加速

 さらに、以下の3項目の経営基盤強化策を進めております。

 ①成長・強化領域への積極的な投資と適切な株主還元によりROEの向上を実現

 ②会社と従業員とのつながりを深め、強固な成長基盤を構築

 ③「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」を両立

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、事業成長を図る指標として連結営業利益、資本効率を図る指標としてROE(自己資本利益率)を定量目標としております。また、定量目標達成のためのプロセス指標として連結売上高、研究開発費をKPI(Key Performance Indicator)としております。

(4) 経営環境

 当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルスの流行を機にバイオテクノロジーの重要性が認識され、日本国政府の基本戦略に「再生・細胞医療・遺伝子治療」が重点投資分野として掲げられ、大型予算措置がなされるなど、中長期的にはライフサイエンス産業の市場規模は拡大が予想されていると認識しております。

 しかしながら、米国・欧州におけるインフレの長期化や政策金利の高止まり、中国における経済不況を原因としたアカデミア向けの研究補助金の削減の影響などにより、現下のライフサイエンス分野の研究開発アクティビティは世界的に低迷しております。さらに日本においては、バイオ医薬品CDMO事業への競合企業の参入などにより事業環境は急変しております。

 当社グループは、「中期経営計画2025」最終年度である、2025年度の定量目標(連結営業利益150億円、ROE8%以上)達成を目指しておりますが、現下の経営環境においては、その目標達成のハードルは大変高いものと認識しております。「長期経営構想2025」および「中期経営計画2025」に定めた方向性を堅持しつつ、スピード感を持って更なる施策を実施し、持続的成長を実現してまいります。

 加えて、社会的関心が高い環境問題や人権問題などの社会課題解決へ向けたサステナビリティ活動にも積極的に取り組んでまいります。

(5) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

事業成長戦略

(1) 試薬事業

 コロナ禍では、新型コロナウイルス検査関連試薬が大幅に伸長したが、「中期経営計画2025」ではこれらの売上を前提とせず、一般研究用試薬のグローバルで多極的(グローカル)展開による試薬事業の成長を目指す。

・BtoBカスタム製品の売上拡大など地域特性に応じたグローカルなマーケティング/販売戦略を構築し、年率7%成長(現地通貨ベース)を目指す

・アプリケーション分野や臨床応用分野における新製品の開発を強化する日本、米国、中国の各開発拠点の開発テーマの最適化をはかり開発効率の向上を目指す

・日・米・中における研究開発体制の最適化とシナジー効果を創出する

・効率性の向上とリスク低減のバランスを踏まえ、グローカルな製造体制を構築する

(2) 機器事業

 多様な検査に対応したPCR関連装置やシングルセル解析装置の新機種の開発を加速するほか、専用試薬の開発によるシステム化を図る。

・シングルセル解析装置(ICELL8)の新機種開発(2024年)の加速

・検査市場向けqPCR装置の新機種開発とパネル試薬の開発によるシステム化

・ヒト感染症検査用のqPCR医療機器と専用試薬の開発

・オンサイト検査用シングルユースデバイスの開発

・等温遺伝子増幅システムの開発

(3) 受託事業

 飛躍的成長を図るために積極的な技術開発・人材育成・設備投資を進める。

①再生医療等製品関連受託

・多様なモダリティや大量製造用受託メニューの充実

・製造・品質管理工程の堅牢化、自動化によるコストダウン

・遺伝子・細胞プロセッシングセンター3号棟(2024年度着工、2027年度竣工予定)の建設準備

②遺伝子解析・検査関連受託

・リキッドバイオプシー技術を活用した解析/検査前処理技術の開発

・臨床応用向けNGS関連サービスの開発

・先端的マルチオミックス解析による創薬支援サービスの開発

(4)遺伝子医療事業

 NY-ESO-1 siTCR®遺伝子治療薬(開発コード:TBI-1301)の上市を目指し、さらに、再生・細胞医療・遺伝子治療等に関する独自の創薬基盤技術の高付加価値化を図る。

・NY-ESO-1 siTCR®遺伝子治療薬の上市準備の推進

・CD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療薬(開発コード:TBI-2001):従来型CAR-Tに対する優位性データの取得

・CereAAVTMの従来型AAVに対する優位性データの取得

・RetroNectin®の製造能力の増強

・mRNA合成用酵素等(Ancillary Materials:医薬品等製造原料)の開発・製品化

経営基盤強化戦略

(1) 財務

 財務健全性を維持しつつ成長・強化領域への投資を積極的に継続実施する。また、適切な株主還元を維持することでROEを向上し、資本コストや市場評価を意識した経営を推進する。

①研究開発・設備投資・株主還元について

・健全な財務基盤を維持しながら、成長・強化領域への投資を積極的に継続実施する

・持続的成長と飛躍的成長の原動力となる研究開発投資を積極的に行い、日・米・中の各拠点の開発テーマの最適化と連携強化を進める

・遺伝子・細胞プロセッシングセンター3号棟建設をはじめ、成長・強化領域への設備投資を積極的にすすめる

・資本効率向上のために適切な株主還元をおこない、ROE(自己資本利益率)の向上を図る

②資本コストについて

・定期的に取締役会でWACC(加重平均資本コスト)やROE(自己資本利益率)、株価やPBR(株価純資産倍率)などを検証し、利益成長と適切な株主還元により中長期的な資本効率の改善を図ることで、資本コストや株価を意識した経営を実践する。

(2) 人・組織

 会社と従業員とのつながりを強化するとともに、飛躍的成長を目指す基盤としての労働環境づくりや人事施策を実施する。

・人づくり:採用から育成にシフトし、変化に対応できる人材を育成する

・組織づくり:困難に柔軟に適応できる組織づくりを実現する

・労働環境づくり:多様な人材が能力発揮できる就業環境を整備する

(3) 社会的価値の創造

 事業活動を通じて様々な社会的課題に取り組み、「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立を目指す。

・CO2排出削減の推進:事業活動の拡大、設備増大等によりCO2排出量の増加が予想される中、再生可能エネルギーの利用や省エネ活動等により、売上高あたりのCO2排出量(原単位)を2018年度(基準年度)から50%削減する

・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の開示レベルの強化

・人権デューデリジェンスの推進:タカラバイオグループ内およびバリューチェーン上の人権リスクの特定・評価を通じ、人権リスクの低減を図る

PR
検索